景鶴山・至仏山《日本百名山》
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- GPS
- 13:40
- 距離
- 28.7km
- 登り
- 1,764m
- 下り
- 1,765m
コースタイム
- 山行
- 0:49
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:49
- 山行
- 8:00
- 休憩
- 1:37
- 合計
- 9:37
天候 | 1日目(4/29):晴れ 2日目(4/30):晴れ後曇り一時雪 3日目(5/1):曇り一時雪のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年04月の天気図 |
アクセス | 鳩待峠駐車場に駐車 |
コース状況/ 危険箇所等 |
積雪1m以上、雪が締まって歩き易い |
写真
感想
1日目(4/29)
高速道路の渋滞を避け深夜に出発し何の滞りも無く9時頃には沼田ICに達した。今日は山ノ鼻でテント泊をするだけなので、このまま行っては早過ぎる。尾瀬に行くたびに気になっていた吹割の滝(ふきわれのたき)に立ち寄ることにした。数件ある茶店が「駐車無料」で客を引き帰りに散財させようとの魂胆が見え隠れするが、そのうちの“滝のおばあさんの店”という駐車場に入った。滝はすぐ近くで“鱒飛の滝”を見て遡るとナメ滝が続き、真ん中が割れて両側から落ち込むお目当ての“吹割の滝”に達した。「日本の名瀑百選」に選ばれ、天然記念物にも指定されている。一見の価値あり。
滝を見た後、滝ばあさんのお店に立ち寄ると、84歳になるおばあさんが店番をして客に気さくに話しかけてくる。客はと言えば私一人、話し出したら止まらない! 沼田市の山間部は今が桜の見頃、平年より1週間ほど遅れているそうだ。この集落に“山妻有(やまつまり)の桜”と言われる樹齢650年の古木があると言う話がでたので上手く切り上げ見に行った。
朝から曇っていたが終に雨となり、汗はかいていないが、片品村界隈は温泉を避けて通れず”花咲の湯”に立ち寄った。鳩待峠に達する頃には早くも雨は上がり晴れてきた。この季節乗用車の規制は行われておらず峠まで上がって駐車場に車を止めた。駐車料金は1日2,500円と高速道路より高いが止められるだけでも幸い。(延泊は1,000円追加)
13時前、今回新調した65ℓのザックを背負い山ノ鼻へと登山を開始した。“登山”と言っても川上川沿いの道を下降するばかりで今日の行程に登りはない。この季節かなりの人が入っていると見え雪は踏み固まり、腐れ雪でアイゼンの必要ない。1時間足らずで山ノ鼻に到着し、至仏山荘でテント設営の受付を済ませて設営。先客が1張あったが、このあと続々到着し計7張になった。未明の1時から起きているので疲れている。人と話をする気も無く、早めの夕食を摂り、未だ明るい17時に寝に着いた。
2日目(4/30)
3時過ぎに起床し朝食、ゆっくりコーヒーを飲んでいると時間が押してしまった。急いでテントを撤収しようとするが手が悴んで思うように行かない。標高1,400mの朝は冷える。予定の7分遅れで出発すると辺りはもうすっかり明るい。それもそのはずこの季節の日の出は4時45分、尾瀬ヶ原には先行する人影が何組も見える。夏場は木道の上を一列になって歩くしかないが、この季節は一面の雪原、川が露出しているだけでどこを歩いても良い。
燧ヶ岳の右肩に太陽が昇り、ガスっぽかった至仏山も朝日を浴びて姿を現した。ヨッピ橋は冬の間は踏み板が外され、橋桁だけとなっている。一本のレールのような鋼材の上を綱渡りのようにして対岸に渡った。橋の袂から踏み跡が北に向けて幾つもある。これは無視してアイゼンを付けヨシッ堀田代を横切り東電小屋の手前まで進み真北にある笹山の斜面に取り着いた。
先行する人達が右手から現れた。笹山と与作岳の鞍部を目指しているようだ。私は笹山に直登するのでルートが交差する。その4人パーティーのうち3人は私に釣られてか笹山に立ち寄るべく進路を変えて付いて来た。笹山(1,538m)山頂は朝方のガスが霧氷となり青空に映えて素晴らしい情景を見せてくれた。3等三角点「尾瀬崎」があるはずだが1〜2mの雪に埋もれ確認できないのが残念だった。
鞍部に下り与作岳の急斜面に取り付いた。雪は締まりアイゼンが良く利く。霧氷の林が続き燧ヶ岳が見え隠れしている。P1653までは急登続きだったが傾斜が和らぎ樹林も斑になり尾瀬ヶ原や会津駒ヶ岳の姿も垣間見ることができるようになった。尾根は徐々に左にカーブし東南東から与作岳(1,933m)山頂に到った。松高山の別名もあり遮るもののない展望が得られた。3等三角点峰で点名は「景鶴山」、これから登る山の名前が点名になっていた。ここまで来ると平ヶ岳が近く大きく優雅な山体が真っ白に横たわっている。男性が一人登ってきた。追い越してきたグループではないので後から来たとなると随分早い。聞いてみるとヨッピ橋から北の尾根を直登してきたそうだ。
1,860mの鞍部まで下ると急峻な景鶴山が見上げるように聳え、その斜面を下りてくる人が見える。山ノ鼻からにしては早過ぎる? 東のコブに乗り上がるといよいよ核心部の急斜面で両側が切れ立って人ひとりが立つのがやっとの細さ、すれ違いは不可能で慎重に進み景鶴山(2,004m)山頂に達した。先客が2人、ヨッピ橋からケイヅル沢東の尾根を直登してきたそうだ。どうりで早い筈だ。狭い山頂は10人も立つことはできないだろう。29人の団体が来ると云う情報があり遅くなると渋滞しそうだ。
人の来るのも日本三百名山のここまで、この先に縦走する人は物好きだけ。西斜面は断崖で通行不可能、トレースを辿り北斜面を巻くように這い下り50m程下の基部に到り振り仰ぐと凄まじい絶壁が立ちはだかっていた。やれやれ第一の難所を突破することができた。この先はなだらかな雪原だ。北には平ヶ岳、南には至仏山の姿、後ろには景鶴山・燧ヶ岳を背負って歩き、P1898を越えP1892に到る。昭文社の登山地図にはここに「カッパ山」とあるが、地形図に記された南の1,822mの標高点の位置が正解のようだ。
第2の難関は大白沢山(1,942m)、南面が雪も付かない断崖で東面はその縁を登れそうだが、地形図では西面・北面も岩場で下ることは難しそうだ。三角点峰で3等「大白沢」が置かれているはずだ。山頂には与作岳、景鶴山にもあった茶色い山頂標識が雪の上に顔を出した木に掲げられ迎えてくれた。偵察に西に進んで見るがやはり断崖に阻まれ下りることはできない。唯一岩場の記号のない南南西斜面を斜めに下り大白沢山とP1911の鞍部に回り込むことができた。
P1911の北端で上越国境と別れ群馬県域の水上・片品町村界尾根に入る。県境尾根はこのまま北進し平ヶ岳へと続いているピストンするには長過ぎ、行ってしまうと帰る足がない。進行方向は南西に変わり雪庇の発達した稜線を行く。どこからともなくスキーの古いトレースが現れ先に続いている。前方に人影を発見、スノーシューを履いた2人組の男性が近づいてきた。聞くと鳩待峠から平ヶ岳をピストンするそうだ。この人達が景鶴山と至仏山の間で出会った唯一のパーティーだった。
ススヶ峰(1,953m)への登り返しは100m、急斜面をジグザグに登り、疲れた体には少々キツイ。ススヶ峰の山頂域は地形図では笹原の記号があるので、木がなく一面真っ白になっている。この辺りが人の来るところから一番遠そうなエリアだ。展望は素晴らしく、上越の主要な山々は全て見ることができ、日本百名山だけでも7座、至仏山、燧ヶ岳、平ヶ岳、会津駒ヶ岳、上州武尊山、谷川岳、日光白根山を確認できた。山頂標識はなかった。
標高1,800mを切るまで下降し岳ヶ倉山(1,816m)へ登り返す。3等三角点「搔切越」のあるピークで別名”日崎山”とある。山頂には例の茶色の山頂標識があった。眼下の尾瀬ヶ原には今朝出発した山ノ鼻の小屋群が見える。あれだけ晴れていた空には雲が出だした。今日の宿泊地はここから至仏山との間の鞍部(1,640m)までの間で適地を探そう。まだ小ピークが3つあるのでできるだけ最低鞍部に近づきたい。雲が出ただけではなく風が吹き出し何か白いものが落ちてきた。最後の小ピークP1668の少し手前の窪みに絶好のテン場を見つけると、急いで設営しテントに入り込んだ。今日も疲れた。早めの夕食を済ませ、18時前には眠りに着いた。
3日目(5/1)
昨日の雪は夕方の一時的なものだった。曇り空だが雲は低く至仏山の姿は見えない。気温はマイナス6℃位まで下がっただろう。テント撤収の指先の感覚がない。今日は5時丁度に出発できた。尾瀬ヶ原を挟んで燧ヶ岳の背後が焼けている。今日も晴れるだろう。
至仏山(2,228m)への登りは厳しい。標高差600m弱、徐々に傾斜がきつくなりガスの中に突入してしまった。ガスは濃く視界は50m位しかない。細かな雪が落ちてくる。おまけに這松の露出あり、岩場もあってアイゼンが引っ掛かる。夏道のない北尾根は結構厳しい部分がある。しかし昨日出会った二人組のトレースがしっかり付いていて心強い。トレースを辿って只管登り至仏山山頂に到着、墓石のような山頂標識がデンと鎮座し迎えてくれた。至仏山は山スキーのメッカとも言うべき山で無数のスキーの跡がある。鳩待峠から登ってくる人達もまだ来ていないようで今日の登頂一番乗りのようだ。
8年振りに訪れた山頂もガスの中では仕方がなく一息入れて小至仏山へと下り始めた。鳩待峠から一番の男性やって来た。「山頂までどれくらい?」と聞かれたので「下りで6分歩いた」と答えるが、後何分で登頂できると計算しただろう。がっかりしなければいいが・・・
小至仏山(2,162m)山頂にも墓石タイプの山頂標識があるが至仏山のものより小さい。この後続々登って来る人とすれ違うが4割くらいはスキー、2割がボーダー、4割が登山という比率のようだ。雪の至仏に登れるのも今日を入れてあと6日、5月7日から雪解けまでは入山禁止となる。
オヤマ田代からアルバイトで悪沢岳へピストンしようかと目論んでいたがこの天候では意味がなくあっさり中止しそのまま鳩待峠へと下った。ここまで下るとガスの下に抜け尾瀬ヶ原が一望できるようになり振り返ると小至仏山のガスも今にもなくなりそうな勢いになってきた。もっとゆっくり出発したら山頂展望が楽しめたことだろう。しかし下山後は奥秩父へ移動、温泉も入りたいし沼田にも寄りたいし、やはり山は早起きしかないだろう。
一体何人登って行ったことだろう。百名山は凄い。できるだけ静かに登りたいものだが。鳩待峠の駐車場は満車だが駐車待ちの列はない。戸倉に「鳩待峠駐車場満車」看板が出て入込みを防ぎシャトルバスに乗せているようだ。
沼田に到る国道120号線は「日本ロマンティック街道」と名があり温泉が点在する。中でも有名な老神温泉は一度行きたかった温泉だ。日帰り施設の湯元華亭(入浴料\550)に立ち寄りゆっくりした。沼田市では真田氏の沼田城を訪ねた。真田昌幸苦心の城で、関ヶ原の合戦で父弟と袂を分かち東軍に付いた長男信之が城主となった。その後延宝9年(1681)に一旦廃城となり破却されるが、元禄16年(1703)本田正永が入封し再興された。城跡からは子持山、大峰山、三峰山、戸神山、谷川連峰、上州武尊山の秀峰が一望でき感慨一入だった。
沼田城を歩いた後は、沼田ICから関越道に入り山行後半の奥秩父十文字山周回縦走の登山口埼玉県大滝村中津川を目指した。
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