奥多摩馬蹄形縦走 鳩ノ巣から川乗山経由、長沢背稜から雲取山、石尾根をつなぐ山旅
- GPS
- 19:48
- 距離
- 52.3km
- 登り
- 3,883m
- 下り
- 3,863m
コースタイム
- 山行
- 7:28
- 休憩
- 0:39
- 合計
- 8:07
- 山行
- 10:06
- 休憩
- 1:27
- 合計
- 11:33
天候 | 28日晴れ午後薄曇り。29日晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一般ルートで特に危険箇所は有りませんが、長沢背稜の水松山から芋ノ木ドッケまでの区間に尾根状があいまいな箇所があります。数日前の降雪は溶けて来ていますが、標高の高い所や日陰には残っています。チェーンアイゼンを持参しましたが使わずに済みました。 酉谷山避難小屋前の雪は溶けていますが、テントが良く張られる尾根向こうのスペースは北面の為、積雪が残っています。避難小屋の水場は良く出ていました。 |
写真
感想
28〜30日まで珍しく3連休が取れました。折角の3連休、冬枯れの低山をのんびり縦走なんて良さそう。奥多摩の馬蹄形縦走なんてどうかなと山地図見ながらコースを検討しました。
綺麗な馬蹄形になるよう、鳩ノ巣から入山し、川乗山から長沢背稜を経て雲取山に登頂し石尾根を奥多摩へ下山というルートにしました。山と高原地図による3日間の行動時間は、
1日目、鳩ノ巣-酉谷山避難小屋(泊) 8時間55分
2日目、酉谷山避難小屋-鷹ノ巣山避難小屋(泊) 8時間55分
3日目、鷹ノ巣山避難小屋-奥多摩 4時間15分
と以上の通りで3日目が短いものの、そこは帰りに温泉でも浸かってゆっくり帰ろうと考えていました。
ところが出発の土曜早朝に確認した天気予報では、土日は晴れ予報ですが月曜は生憎の雨模様。正直寒い雨降りの中行動するのは気が進みません。3日目の雨を避ける為には、1日目の酉谷山避難小屋泊の後、2日目に奥多摩まで抜けたい所ですが、2日目と3日目の行動時間合計は13時間10分となります。泊まり装備で果たして歩けるか微妙な距離です。
という訳で雪の状態や気力体力が続かない場合に備えて、雲取山避難小屋か鷹ノ巣山避難小屋での2泊目も想定し2泊3日の食料とお酒、チェーンアイゼンやスパッツ、オーバーグローブやダウン上下等のユルめ冬装備も加えて17kgの装備重量となりました。
28日朝、鳩ノ巣駐車場からスタートです。朝の冷え込みが厳しくパンツの下にタイツまで履いてスタートしました。(これは後で後悔します)
鳩ノ巣駅から集落を過ぎ川乗山への登山道から入山します。入山後、左足の靴の足首にアタリがあるので数回靴紐を調節します。登山靴はシリオPF611GTXの3足目で慣らし切っていないのですが、ようやくこの固体に合った締め方が判って来た感じで、この後はほぼ順調な感じになりました。
さらに暫く進んで下半身が暑いので、靴とパンツを脱ぎ切り株の上に立ちタイツを脱ぎます(笑)急に寒くなった事も有り、着過ぎなんて久しぶりのミスでした。
落ち葉サクサクの登山道を進み、川乗山の山頂手前で雪を見るようになります。実は初めての川乗山頂は好展望。右から長沢背稜、芋ノ木ドッケ、雲取山、石尾根と今回の縦走ルートが一望に広がります。雲取山と芋ノ木ドッケは遠くからでも白く雪が付いているのが判ります…それにしても遠いです。
川乗山からは一旦踊平に降り、日向沢ノ峰に登り長沢背稜に乗ります。ここからは尾根沿いに進み蕎麦粒山へ。蕎麦粒山から先、仙元峠の手前からルートは尾根の南側を進むようになります。
やがて一杯水の水場を過ぎ、一杯水避難小屋へ到着。水場は通常この時期は涸れていますが、今年は11月の雨が多かったので細いながらも出ていました。避難小屋前のベンチで休憩後、非難小屋の裏から三ッドッケへ登ります。三ッドッケの山頂からは群馬、埼玉、東京の大展望が広がります。
尾根を暫く進むと反対側から単独の男性が、ってザイルパートナーのゆきさん!え?何でこんなところに?そう言えば27、28日休みって言ってたっけ。昨日雲取山避難小屋泊して今日長沢背稜下山だそう。いやぁ奇跡レベルの偶然で驚きました。
この先、酉谷山避難小屋へは尾根南側に登山道が付いています。上の草付から落ちてきたのかザラメ雪が溜まっていますが通行には問題ない程度です。
いい加減に歩き疲れてきたところで酉谷山避難小屋に到着しました。水場も良く出ています。避難小屋の扉を開けると板間には既に6名の先客、挨拶をして一番手前の土間にスペースを確保しました。水を汲んで晩酌を開始します。晩酌中さらに1名単独の男性が到着し避難小屋はほぼ満員状態になりました。
各自飲み食べつつ、山の話で暮れゆく山小屋。殆どテン泊山行の自分にとって、久しぶりに和気藹々とした良い雰囲気の夕食時となりました。
この時、さらに4名パーティが到着しました。聞けばツェルトもテントも持って居ないとの事。板間に7人、土間に3人がせいぜいの避難小屋に合計12人。詰めれば入る人数ですが、快適とは程遠くなるのは明らかなので、自分を含め4人が自主的に外で寝る事にしました。という訳で小屋前の広場を一段降りた所にシェルターを張り潜り込みます。
モンベルのULドームシェルターなので結露を気にして入り口を大きめに開け横になります。東京の夜景と星空を見ながら就寝です。
29日は3時起床、明け方の気温は氷点下3〜4℃でシェルター内部は結露が凍って霜が付いています。今回マットはサーマレストプロライト4、シュラフはモンベルダウン#3、上は山シャツ2枚にファイントラックニュウモラップフーディにダウンジャケット、下はファイントラックストームゴージュアルパインパンツで快適に寝られました。一応持ってきたもののダウンパンツやタイツは要りませんでした。
朝飯を済ませシェルターを撤収。昨日同様、水はハイドレに1.5リットル、テルモスにお湯を0.5リットルとしました。暗い中ヘッデンで酉谷山へ。稜線から北側のスペースは格好のテン場となるポイントですが雪に覆われています。ザクザクと雪を踏みしめて酉谷山頂に至ります。山頂では埼玉から東京までの夜景が美しく良い眺めです。ヘッデンを消してみると月明かりと夜景のコントラストが素晴らしく、暫く見とれていました。
滝谷ノ峰ヘリポートを通過、長沢背稜は2010年6月に歩いて以来なのでこのヘリポートはまだ無かったと思います。水松山の手前で夜が明けました。ここまで尾根の南側についていた登山道は、水松山の先で一旦北側へ、西側のピークを北側から巻きます。
長沢山への登りからルートは尾根上になり、地味な山頂の長沢山へ。その先の桂谷ノ頭では若干険し目のアップダウンになりますが、思っていたよりも雪が少なく通過に問題は無い状態でした。
芋ノ木ドッケの長い登りは、全体の行程を考えて押さえ目のペースで進みます。標高が上がり気温が低いため、この辺りから雪が多くなって来ますがツルツルに凍結した部分が無くてラッキーでした。ザクザクと雪を踏んで芋ノ木ドッケ山頂へ。
芋ノ木ドッケからの降りは南面の為に雪が少なく、気を使う事無く大ダワへ到着しました。大ダワから雲取山荘までの間に一部氷結箇所がありましたがアイゼンは使いませんでした。
雲取山荘から雲取山へ登ります。山頂は多くの人で賑わっており、富士山が見事な眺めです。東側を見ると川乗山から蕎麦粒山、三ッドッケから長沢背稜と歩いてきた尾根が続いています。そして奥多摩へ続く石尾根、まだまだ遠いですが時間的には今日下山することが可能な時間です。雲取山避難小屋のベンチで大休止後、降りに掛かります。
雲取山からは多くの登山者に踏まれ、雪解け水で登山道がドロドロになっている部分が多くなります。小雲取山を過ぎ奥多摩小屋を通過、ブナ坂から七ッ石山に登りますが徐々に疲労を感じます。
高丸山と日陰名栗峰は巻き道を使い鷹ノ巣山避難小屋へ到着。ここでも大休止を取りました。結構疲れていますが、この時間なら明るいうちの下山が期待できそうです。
鷹ノ巣山へ登りますが、もう登りの筋肉は終了している感じでゆっくりとしか進みません。水根山を過ぎる頃には完全に苦行状態となり、残りのコースタイムが減っていくのを祈るような気分になります。
六ッ石山分岐に差し掛かる辺りで「自分は歩くだけの機械、右足、左足、右足…これだけを残った時間繰り返すだけの機械…」低下した思考力で歩く事だけを続ける存在になってきます。
三ノ木戸山分岐を過ぎると降りの筋肉もほぼ終了ですが、ここまで来たので歩き切ります。「なんで毎回こんな事に…この前の石尾根ピストンだって酷い有様だったのに…オレの馬鹿!」辛くてリアルに涙が出てきます。
車道に出て一安心するのも束の間、アスファルトの硬い歩き心地が疲れた足にさらなる拷問を与えます。車道をショートカットし、羽黒三田神社の参道を通り奥多摩へ無事下山。
なんとか明るい内に奥多摩に到着しましたが、荷物の重さも有って今回は(今回も?)ボロボロになりました。山が辛くて本当に泣くとは思いませんでした。
終わってみれば30日も天気は崩れなかったので2泊しても良かったのですが、無理した事も含めて良いチャレンジになり印象に残る山行となりました。
カシミール3DによるGPSログの計測は
1日目 沿面距離21.038km累積標高差3278.6m
2日目 沿面距離32.459km累積標高差4855.2m
でした。
ウチ 避難小屋じゃなくて山荘にテント張ったんだょ。あのザックにテントやら寝袋やら火器やら入ってたんやで(´・ω・`)寝袋薄くてちょっと寒かったけど
あっ、そうだったんか〜。ってか折角の平日に避難小屋泊しないなんて勿体無い気もするが、避難小屋をアテにするしないに関わらず幕を持つ姿勢は流石。それは兎も角またアイスシーズンだよ!いい加減モノポイント買えよ〜。
当日、小屋の板の間で奥から3番目に位置していた者(若老人)です。それぞれ一夜を過ごすための位置も決まりゆっくりしていた時、ツェルトなどを持たずに来た4人パーティに、何も言わずに自主的に場所を譲られたyamamossanさんほか3人の方の潔い行いに、感銘を受けました。
彼らには、外に出て行った人それぞれにきちんとお礼を言うようということと、この小さな小屋を週末に目指すのなら、大混雑は目に見えているのだからツェルトなどの装備を持つように話しましたが、その意味が伝わったかどうかは分かりません。年寄りの小言と馬耳東風だったのかもしれませんが、誰かがそのようなことを話してやらないと、譲られるのが当たり前となってしまいかねません。
いすれにしても、いつもテント泊などされていて経験豊富な方々だとは思いますが、今回の対応に感謝いたします。ありがとうございました。
5年振りの酉谷山避難小屋泊で、同宿の方々と良い山の夜を過せると思っただけに残念でしたが、次の機会に期待したいと思います。翌日、石尾根を降っている時に彼らに再会したのですが「すいませんでした、勉強になりました」と頭を下げられました。自分もキツく言い過ぎたかもしれない所は謝罪しました。言うべき事は伝えたつもりですし、chiroro_さんの指導も含め、なんとなく険悪になった避難小屋の雰囲気に彼らも気付いてくれたと信じたいと思います。彼らも含め、あの夜避難小屋の時間を共有した皆さんと、次の機会には楽しい山の夜を過せる事を願っています。
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