雁ヶ腹摺山 〜年末三日連続富士見 喫砲風〜 A13


- GPS
- 09:29
- 距離
- 21.5km
- 登り
- 1,696m
- 下り
- 1,442m
コースタイム
天候 | 晴れ、風強し |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
・高尾駅着6:13、発6:14 - 大月駅着6:51、発7:00 - (富士急バス、500円) ハマイバ前バス停着7:20 ・やまと天目山温泉バス停発17:12 - (栄和交通バス、300円) 甲斐大和駅着17:24、発17:34 - 塩山駅着17:55 |
その他周辺情報 | 塩山駅前「菊亭」(中華料理) 年末29日に開いていた貴重な店、美味し。 塩山温泉「中村屋旅館」素泊まり4,600円 大浴場一人貸切だった。 |
写真
感想
富士に会いたかった。北から西から見つめたかった。冬に登るためとっておいた山々から三山を選んだ。年末の三日間で連続して登る計画。仕事が片付かず、一日送った。思い出深い時間を過ごせた。
機―麗富士 碧き風
さすがに登山者は疎ら、ドアが開く度に風が車内を吹き抜ける。高尾発松本行普通列車は定刻どおり大月駅に到着した。駅前にはバスが1台、ハマイバ前行だった。乗客は私一人、降車時に深く頭を下げた。
1ヶ月ぶりの山行、長い林道歩きで取り戻そう。このコースを選んだのは、冬期、林道が閉鎖されるからだ。前も後ろも車の存在を気にする必要がない。マイペースで空を見上げながら歩ける。背中に陽の光を感じ、前方の影に守られながら進む。今年1年の出来事を思い浮かべながら、或いは時にショートカットをして、単調な時間を紛らわす。
時折、後ろを振り返っては確認する。大峠手前でようやく会うことができた。やはり大菩薩の山域から望む姿が最も美しいと思う。こころ揺さぶられながら、先を急ぐ。大峠付近で二人の登山者と出会う。結局この日、下山するまでに出会ったのはこの二人だけだった。
吹き荒ぶ強風に悩まされながら、気は急いていたが、後半の歩きを考えゆっくりと登ってゆく。やがて明るいカヤトが現れるとほどなく山頂に着く。期待をはるかに上回る素晴らしい眺望だった。寒さと強い風によって、かの山までの空気は澄み渡っている。感謝し尽せないほどの時間だった。
珍しくタイマーをセットして、富士と我が身を被写体として収めた。ダウンジャケットの暖かさのお蔭で、30分以上その場を離れずに済んだ。やがてますます強まった風に押されるかのように、動き始め、次なる峰を目指した。
大峠まで下りてから、黒岳への上りにかかる。風は勢いを失い、陽だまりは暖かく、寒さで失われた体力も気力も戻りつつあった。山頂は木々に囲まれているが、それだけに白谷丸からの眺望には息をのむ。陽の光によって映し出される均整の取れたシルエットは、甘美な思いさえ感じられるほどだった。
湯ノ沢峠に下り、沢沿いの道を進む。流水の創り出す氷の作品群は、2年前の11月よりも少なく未完成だった。登山口からは延々と続く林道歩きが待っている。前回の記憶が明瞭であり、明るい林道なので夕闇は気にしなくて済むのだろうが、廃屋の建ち並ぶ集落跡だけは早めに通過したかった。
林道からバスの走る県道に出る頃には、既に日没の時間を迎えていた。前方に日帰り温泉の灯りが見える、はずだった。様子がおかしい。恐る恐る近づくと、バス停に非情な貼紙があった。温泉に浸かり、夕食をとってから塩山に直通バスで向かうという素敵な企画は、1日ずれたことにより儚くも潰えていた。
傷心の思いでベンチに座り込む。思えばこの日初めて腰を下ろしたのがこの時だった。寒さと強風と時間との闘いのせいで、座ることを忘れていた。強行軍だった。目の前を折り返し前のバスが上って行った。温かな光と共に。
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