蓼科山(前代未聞と山小屋で言われた苦労登山)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 16.1km
- 登り
- 1,450m
- 下り
- 942m
コースタイム
滝ノ湯川出合17:35-天祥寺原17:55-亀甲池18:25-双子池ヒュッテ19:40
10月6日(水)双子池ヒュッテ7:15-(林道)-雨池峠入口8:30-雨池峠9:20-
ロープウェイ山頂駅10:15-七つ池11:00-北横岳12:05-ロープウェイ山頂駅12:50
天候 | 1日目:晴 2日目:晴→曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
スズラン峠・蓼科山登山口駐車場(無料) 簡易トイレあり ピラタスロープウェイ山麓駅から駐車場まではタクシー2300円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
スズラン峠には登山ポストありませんでした。 登山道入り口は駐車場から20mほど南に車道を行ったところにあります。 下山後の温泉…音無の湯(渓流の露天風呂)クーポン利用で600円 http://www.otonashinoyu.com |
写真
感想
さて…、何から書き出したらいいでしょうか。
とにかく予想外の出来事、想定外の状況が生じてしまい、本当に反省せざるを得ない山行となってしまいました。
原因は、同行者の登山レベルを把握できてなかったことです。今回は母を含めた60代の4人を連れた登山でした。登山好きの皆だったので
コースタイム+αくらいでいけるだろうと余裕を見越して行程を計画していた。
でも実際は桜さんが登山の技術も体力もほとんどなかった…。ペースは遅いメンバーに合わせるのがグループ登山の鉄則。
蓼科山頂まで2時間30分のコースタイムがなんと倍の5時間かかった。
歩き始めは良かったものの急な登りになると桜さんがついてこれない。
一歩一歩が遅すぎる。休憩が多すぎる。焦る私。山小屋を変更したく思ったがこの辺りは基本的に要予約で、あらかじめ双子池ヒュッテに5人分も予約している。
勝さんや母にこっそり相談する。このペースだと確実に暗くなる。無理だと。しかしゆっくりでもみんなで双子池まで行こうという結論。こうなったら何としても頑張って最後まで桜さんに歩ききってもらわないと、それだけ。桜さんのザックから荷物を私の方へ移し、少しでも負担を軽くする。それでも彼女はかなりまいっている。立ち止って待ったり、桜さんをひっぱったりみんなで助け合いながらなんとか山頂に着く。その時点で14時30分。地図上ではまだ残り3時間近くある。
このペースだと5時間かかるか…とゾッとしながら予約していた双子池ヒュッテに電話を入れる。
今が山頂だと伝え、大河原峠か天祥寺原かどちらがラクか尋ねると天祥寺原の方が平だから距離も短いからそちらを通るよう言われ、ルートを変更する。
この下りもずっと岩だらけ。みな辛そう。一気に下りればすぐなのになぁと、多少じれったく思う気持ちを抑えて桜さんのペースに合わせる。
長く感じた下り道。なんとか河原に出た。ここで17時30分。もう薄暗い。
冷えてきたのでみんな上着を着、ヘッドランプをつけてもらう。といってもまともなヘッドランプをみんな持っていなかった。勝さんは豆球の暗いヘッドランプ、勝さん奥さんは不携帯、桜さんも暗いヘッドランプ、母はLEDのペンライト、わたしはLEDを持っていたが途中で何度か切れかかり、電池不足が疑われ、…(恐)
勝さんを先頭に5人かたまりながら適当に足元を照らしつつ山の中を歩いて行く。
私たち以外に目を向けるも真っ暗闇そのもの。星も見えない。
亀甲池に抜ける峠はそれほど時間かからなかったもののそのあとの双子池に抜ける峠はかなりきつかった。とりあえず暗い!道がどの方向に進んでいるか見えにくい。途中、倒木に遮られたりぬかるみに足をとられたり、丸っこい石に滑ってこけたり本当に苦労した。そうした最中にわたしのランプが2回切れてしまう。まさかこれって電池が切れる前…?!と焦りまくり、私のランプがなければ3つだけで5人歩かないといけなくなる…これはかなり厳しいぞと思い、行けるところまで私だけ先行して先に下っていくことにした。途中でランプが切れたらそこでみんなを待つつもりだった。
そして一人で真っ暗な道を進んでいく。いつランプが切れるかと思うと怖い。
天祥寺原のあたりから私は桜さんのザックも持ってあげていた。前に抱っこするとランプの光が足元照らさないから、左右どちらかの肩にかけたり頭の上に担いだりしていた。それがかなり持ちにくく、体も不安定になる。おかげで何度か転ぶはめになる。でも桜さんの負担が少しでも少なくなるなら…そして少しでも早く山小屋に着けるなら…その一心だった。
で、一人でどんどん先に下りていきながら考えた。この状況、どうだろうか。
5人パーティーで、2,3に分かれるならともかく、単独で行動するのはかなりタブーだ。道迷いや何か事故があった場合どうするのか…これはどう考えても賢明な行動ではない。
おかしすぎる。ということで少し開けた場所にきた時点でストップしてみんなを待つことにする。もちろん節電のためランプは消して。真っ暗闇の中一人座って待つのはけっこう怖い。鈴をリンリン鳴らし続ける。たまに声を出して呼んでみる。10分ほどすると遠くの方から鈴の音が聞こえてきた。少しホッとする。でもその後みんなと合流できるまで15分ほどかかる。
なんとか再び合流。みんな怪我もなく無事だ。桜さんは相当くたびれている。
大丈夫か…?平地に出た。おそらく雌池付近のはず。水平に歩いていくとテントが一つ。よかった。テン場だ。池が見えた。そしてその向こうに山小屋の明かりが見えた!!だれかが明かりをぐるぐる回して合図してくれている。たまに「おーい」という呼びかけが聞こえる。こちらも返事する。「がんばれ〜」山小屋のご主人も、そして泊り客も心配して見に来てくれていた。
その声に励まされてがんばって歩ききる。といってもわたし自身は焦ったばっかりで体力温存の登山だったのでほとんど疲れていなかったが…。
でも夜に歩くのは全く初めてだったのでこわかった。
山小屋に到着。19時40分。20時消灯なのに、すみません、ご主人はとりあえずよく頑張ったとねぎらって下さり、食事を提供して下さる。薪ストーブで部屋があったかい。山頂のあの時間からどうしてこんなに時間かかるんだい?と前代未聞だと豪語される。はい、確かにその通りでございます。自分でも信じられない不始末でございます。
謝りながらおいしい食事を頂く。山菜の天ぷら!それに具だくさんの豚汁!おいしかったです〜。ご主人のあったかさにも大変癒されました。
翌日5時起床。私だけ自炊。食堂横の部屋で自炊しようと用意していると「そこのヤカンに湯わいとるから使いな」とご主人。(T_T)なんて親切なのでしょう。ありがたく頂戴いたしました。あったかい部屋でラクラク朝食、助かりました。
食後付近を散策。まだ陽が昇る前で朝もやでいっぱい。でもお天気な様子。
山小屋の前から左右に見える雄池、雌池。雄池はそのまま飲み水。雌池にテン場があり、彼らの水場でもある。休憩は雌池でする。ごみひとつ落ちていない。
そして鏡のような美しさの両池。もう2,3日すると紅葉が最高だという。
山小屋のご主人に本日のコースの相談をする。桜さんのあの様子だととても今日は山には登れない。とりあえず帰る一直線のみだ。はじめは亀甲池から竜源橋に戻ろうかと考えていたがご主人の勧めで林道→雨池峠→ロープウェイ下山コースをとることにする。教えてもらえてこのコースは正解だった。眺めもいいし適度な距離でロープウェイ乗り場まで行けた。まだ時間に余裕があったので、せっかくだから七つ池まで行こうということになり、桜さんも一緒に登り始める。しかし半分も来ないくらいで桜さんはギブアップ。乗り場で待っているという。確かにきついかも、ということで彼女と別れ、私たち4人で七つ池まで行く。北横岳ヒュッテでラーメンやおにぎりを食べて楽しみ、他の3人が下りていくあいだに私だけ一人で北横岳山頂まで行く。山頂までは10分。ガンガン登ればすぐだ。南峰に到着し、ひととおり景色を楽しんで帰ろうかとしたら、他の登山者に北横岳の山頂は北峰にあると教えてもらい、そちらまで足を延ばす。危うく行きそびれてしまうところだった。
その頃にはガスが上がってくる。昨日登った蓼科山が眼前にドーンとそびえている。意外にこの山はきつかったなぁと昨日の行程を思い出しながらこのコースを選んで失敗だったと後悔の嵐に襲われる。でも過ぎたこと、仕方ない。今日はいいお天気、いい眺望に恵まれてみんな楽しんでいるし、桜さんも元気だ。だれも来て後悔はしていないと自分に言い聞かせ、北横を後にする。
そのうち下山組の3人に追いつき、そして追い越し、先にロープウェイ乗り場まで一気に帰ってくる。やっぱり単独登山は自分のペースでラクだなぁなんて思ったりしながら。そして乗り場でお土産とこけももアイスを買って、みんなを待ちながら食す。うん、さっぱりしていておいし〜い。幸せ。
下山はロープウェイ。8分ほどで山麓までくだる。タクシーを呼ぶ。5人まとめて乗れてラッキーだった。車まで送ってもらい、温泉へと向かい、あとは高速で帰る。事故なくみんななんとかご機嫌に帰れてとりあえず良かった。
でも今回の反省。はい、登山レベル不明者を連れていく場合は前もって近場の低山をいっしょに登って、どの程度か知っておくべきでした。彼女は以前に槍ヶ岳に5月に行ったことがあって…とこの話しをよく聞かされていたから登山経験はあって体力も十分あるものだと思っていた。でもまったく全然で、わたしがかえってショックだった。こんなこともあるなんて…。
最近よくあるツアー登山遭難事故。参加者みんな登山歴もレベルも体力も違う。こんな素人が混じっていたら計画通りに行くわけがなく、遭難してもおかしくないとよく理解できた。ガイドの大変さも少しわかった。いやいや、大変ですよ、彼らは。すごい重責ですね。今回のメンバーはみんな気ごころが知れていて、だれも文句言ったり怒ったりする短気な人もいなかったから良かった。終始和やかな雰囲気に包まれていて、この切羽詰まった状況でも明るく励ましあって歩ききることができた。それが良かった。
お天気にも恵まれたから景色も楽しめたし。桜さん、これに懲りて登山はもういいってことにならなければいいけど。それが心配。だけど帰りにはご機嫌におしゃべりいっぱいしてたから良かった。
でも今回は運転手も私しかいなくって、計画からパンフレット作りから会計から何もかも私だったから疲れましたー!
グループで行くのも楽しいけど、やっぱ単独が気楽でいいね〜っと再確認した山旅…そしてこれが今年ラストの登山でした。
苦労のほどが伝わってきます。
マイペース、イケイケのminkistさんにしてみれば、高齢者同行のペース配分が掴めなかったと言うことでしょうか
まずは、無事事故もなく辿り着くことができて何よりでした。それが全てです。
この状況下でメンバーが分散するのはNGでしたが、minkistさんも早めに気づかれて対応されたのはよかったと思います。
ライトの重要性はあらためて体感できたと思います これは、どんな山行でも基本でした。
この「前代未聞」の時間がかかった原因は、おそらく最初のピッチの速度と行動時間ではなかったかと思います。健脚娘の半分くらいのペースで、みんなの体調をはかりながら登れば、ここまでバテバテにはならなかったのかな 急ぐよりも、ゆっくり休むことも必要だったかもしれませんね。
いずれにしても当のminkstさんが、一番身にしみてわかっていることでしょうね。この反省を生かして、次はきっと愉しい山行になることでしょう。
これに懲りずに、またこのメンバーを連れていっててあげてくださいね
良き分析とアドバイス、感謝です。
いやはや一時は本当にどうなることかと思いました…
え?!このメンバーでもう一度ですか?!それはちょっと…今すぐにはホイサッサとは言えないですわ…
ちょっとくたびれてしまいました。計画する自信も今はありませんし…これは信用がかかってますしねー。
今度は日帰りハイキング程度からにしよっかな…まぁ来年の話しですけどね。今季は終了〜!
早く山用品のメンテをして、片づけないとまた気が変わりそうになってしまう〜
今となっては大変貴重な体験をされたと思いますので、今後の山行に生かして下さいね。
ベテランの話や山行記録を見ると、ザックの重量が20kgを越えるとCT(コースタイム)の1.5倍は掛かっています。私の経験でグループ登山は1時間毎に10分の休み時間を予定していますが、実際はなんだかんだとザックを下ろしてまた背負うまで20分掛かります。
でも今の所歩きでCT×0.9でトータルでの予定時間をクリアーしています。
で、山を楽しむ意味では思い切って予定をCT×2として休む場所=チェックポイント=隊列を整える 数箇所を事前に決めておく。チェックポイントまでは自由に歩くとする。 これにてトランシーバー等で先発隊と後発隊で連絡を取り合えば尚宜しとなります。
チェックポイントや休憩場所は山小屋やビューポイントなど、休む時に安全で楽しみが出来る場所を選べば尚良いですね。
また何か有った事を考えると隊列の時間差は1時間程度としたい所です。(トランシーバーの届く範囲)
問題が見えてたならそれに対しての備えをすれば、次回からは楽しい山行へと変わるはずですよ。
こんにちは!そうですか、コースタイムの2倍はやっぱりみたほうがいいのですね・・・ あぁ〜でももうグループをまとめるのがしんどいのでたぶんやめます。
このあとは行っても2〜3人ですね。もう自分がマイペースなもので人に合わせるのが苦手だからちょっとくたびれました。
だれかお世話好きな人にお任せしたいと思います
いやはやこれを教訓としていきたいですね。
そしておっしゃられる通りいつか楽しい山行ができるように…
まずは他の方のを見て学ばせていただきます
桜さんに対しても温かな思いやり。
minkistさんの人柄が伝わってきました。
それと対応もなかなかのものだったと思いますよ。
蓼科山は意外にきつい山です。
桜さんは、そこでエネルギーを使い果たしたようですね。蓼科山は登った経験から、富士山と同じで眺める山だと思いました。
もう今年の山は終わりなんですか。
なんかさみしいですね〜
きっとどこか登るような予感がしますけど・・・・
こんにちは。
みなさん、ご無事で何よりでした。
私は、基本ソロが多いのですが、ご一緒の登るメンバーの体力を事前に把握することは重要なのですね。
ご一緒していなくとも、今シーズン登った山を聞くだけでも、なんとなく感触がつかめるかもしれませんね。
私も登り始めるとどうしても引き返しづらくなるのですが、勇気ある撤退ができるようにしたいと考えさせられました。
こんにちは。そうですね、無事に帰って来られて良かったです〜一時はどうなることかと恐ろしかったですけどね
また来夏…別の友だちからも山へ連れて行ってほしいと頼まれてるので今度はもっと融通のきくような計画にします…そしてその子と2人だけで行くかなー
まぁ、何事も経験失敗は成功のもとですよね
この楽観的な自分、切り替わりが早いな〜
こんにちは〜 もう少し余裕もった計画にしておくべきでした。本当に無理をさせてしまってかわいそうでした
だけど、蓼科山はもう一度登り直したいですね。
そして北八つを全部縦走したいな!
今年はもうないですよ、ほんとに 来月は大井川鉄道SLの紅葉の旅に祖母を連れて行ってあげるくらいですね〜
お疲れ様でした^^;
こんにちはお久しぶりです〜
もう山グッズもすっかり片付けてしまいましたよ。
また来年までおやすみです。
来季に行きたい山はもう決まってますけどね〜
おかげさまでテント楽しんでます
初めまして、minkistさん。
ドキドキしながら読んでしまいました。
「どうなる、桜さん!?どうするリーダー??」
とにかく、皆さんご無事で何よりでしたねぇ〜。
私も単独のときは、標準タイムの2/3でスケジューリングしますが、嫁同伴のときは1.5倍して「ま、のんびりいくか」みたいな感じで、写真家に転身します(→そのため先日NikonD5000買っちゃいました、出費が・・・)。
懐中電灯の方もドキドキでしたね!先日甲斐駒黒戸尾根ピストンした時は、メイン+予備+予備電池持って行きました。暗闇は怖すぎるので・・・。
今後もレコ楽しませて頂きますね、宜しくお願いします
P.S 蓼科山は良い山ですよね、八ヶ岳含め縦走お気をつけて。
こんにちは!コメントありがとうございました。
はい、自分でも何度読んでもドキドキします…
そうですか、1、5倍も?!やっぱりグループだとそれくらい必要なのですね…知らなかった。がっくりです。
でも失敗から学べたのでいい経験でした
甲斐駒 黒戸尾根のレコ読ませていただきましたよ!長い&キツイというマイナスイメージしかなかったのですが、けっこう魅力的ですね行きたくなりました。日帰りはとても無理ですがついでに鳳凰三山まで縦走したいですねぇ。ずっと先になりそうですが
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