飯縄山・高妻山・戸隠山《日本百・二百名山》

- GPS
- --:--
- 距離
- 37.6km
- 登り
- 3,895m
- 下り
- 3,762m
コースタイム
- 山行
- 6:03
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 6:58
- 山行
- 11:08
- 休憩
- 2:09
- 合計
- 13:17
| 天候 | 1日目(9/9):曇り 2日目(9/10):霧後晴れ後曇り |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2005年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山口:宝光社BSから川中島バスでJR信越本線長野駅 |
写真
感想
1日目(9/9)
前夜大阪駅から急行“きたぐに”の自由席に乗り直江津に着いた。信越線に乗換え黒姫駅に下り立ち霊仙寺跡の登山口までは3,160円の出費でタクシーに乗った。出費の多いのは単独行の辛いところだ。7:28に歩行を開始、霊仙寺はこの辺り一帯を境内としたお寺で戦国時代の戦火と共に消失してしまったようだ。奥之院跡(標高約970m)から尾根に取り付き樹林帯を行進んだ。奥之院のすぐ裏手には嘗て森林軌道が敷かれた林道が通っていた。
登りだしは急登で、1,091mの標高点を過ぎると一旦緩やかになり、標高1,400m位からから再び急登となった。1,550m過ぎた辺りから樹林の切れ目から所々展望が利くようになり北信の山々の姿を見ることができた。若干盛りを過ぎたマツムシソウやオヤマリンドウ、ウメバチソウが頑張っていた。飯縄山からの縦走路と合流し北に100m程進むと霊仙寺山(1,875m)の山頂に到った。早朝車窓から良く見えていた妙高、黒姫、斑尾はガスっぽくなっているが目の前の飯縄山だけはしっかり見えていた。霊仙寺山までは昭文社の地図では赤点線道になっているが下草も刈り払われ明瞭至極な道だったが、飯縄へ向かい出した途端に倒木の横たわるアップダウンの多い道となってしまった。100m余りを登り返すと飯縄山(1,917m)山頂に達した。2等三角点「飯縄山」があり、西からガスが広がり視界を遮ったが長野市街や斑尾山面ははっきり見ることができた。平日でメイン登山道の飯縄神社からすら誰も登っておらず至って静かな山頂だった。
登山道を霊仙山方面に少し戻り右に折れ瑪瑙山へと進んだ。ガスの中に入ってしまい視界を奪われるが、少し高度を下げると視界が戻り戸隠高原に流れる尾根を俯瞰できた。標高1,639mの鞍部まで下り、110mの登り返しで瑪瑙山(めのうやま1,748m)に至ると山頂標識の破片が転がり痛々しい。すぐ下はスキーリフトの終点になっており山麓まで戸隠スキー場が広がっていた。(飯縄山にあるのに何故“戸隠”スキー場なのだろう?)
尾根道の登山道を暫く進むとゲレンデに出た。この後はずっとゲレンデ歩きが続き鞍部で作業道に入ると登り返して怪無山(1,549m)のピークに達した。山頂らしき標識はなく、スキーリフトが上がって来ているだけ。再びゲレンデのお花畑を下り戸隠スキー場のロッジ街に下りた。駐車場群の脇を未舗装の車道で通り抜け、右に折れると“旧越後道”の整備された遊歩道に入った。念仏池は藻の繁殖した小さな池でなんてことはないが、池の一部に湧き水が噴出しており池底の砂がボコボコと波紋を作り面白い光景が見られた。
以前に黒姫山に行った折の下山地“戸隠キャンプ場バス停”を懐かしく見て通り、戸隠牧場へと入って行った。遊びに来た人は有料だが、登山道が牧場の中を通っているので登山者の通り抜けはタダ。放牧された牛や馬を見ながらなだらかな場内を歩き大洞沢が近づいてくると登山道となった。何度も渡渉を繰り返し軈て登山道は沢の中に入ってしまった。7〜8mほどのナメ滝で鎖が出現、折しも地元の方が修理中で横をすり抜けて通過した。巨大な岩盤から流れ落ちる不動滝を左からトラバースして、ここでも鎖の設置作業中。退避してもらってこのバンドを越えた。軈て「氷清水」と名付けられた水場に達した。冷たくて美味しく、持参の水の残りを捨てて2.5ℓ確保した。「氷清水」と書いた看板には「地図に載っている一杯清水を訂正してください ガイド協会」との添書きがありこの冷たさをアピールしたいのだろう。
あと120m程の登りで一不動避難小屋に達した。アーチ型の屋根をした小さな小屋で定員15名、入口ドアはぶら下がっているだけで寒くなると隙間風が冷たそうだ。寛いでいると高妻山から下山してくる人達が続々と到着し賑わいだした。みんな牧場からの日帰りピストン、一人だけ戸隠奥社から縦走して来た人がいた。最後の一人が下りて行くと再び静けさが訪れ、今日は一人で過ごすことになるだろうと床一杯に荷物を広げていると仙台から来た7人組の高齢者パーティーが到着し一挙に騒がしくなった。15人定員の小さな小屋に7人ものパーティーで泊まると言うのは如何なものだろう、何故か迷惑に感じてしまうのは私のエゴだろうか?
2日目(9/10)
今日の夕方は所により雷雨で、明日も良くないらしい。雨の鎖場の下りと楠川の増水を恐れ、今日中の下山を決意し早立ちした。ザックは小屋に残し、まずは戸隠連峰裏山の高妻山・乙妻山へピストン。往復10劼旅堋、コースタイムは6時間5分となっている。雲が多く見通しは悪いながらも戸隠牧場の緑を見ることが出来た。晴れる筈なので期待しながら歩き出すがガスは濃い。三文殊(1,857m)、五地蔵山(1,998m)を越え、グッと登り詰めると高妻山(2,353m)、全てがガスの中だ。たっぷり含んだ露がズボンを濡らしスパッツはあまり役に立たなかった。この先乙妻山までは増々道が悪く雨具の下だけ履いて先に進んだ。
目的地の乙妻山(2,318m)山頂は比較的なだらかで360°の展望がある。この先に昭和53年長野国体の時に合ノ峰から木曽殿アブキに降りるルートが切り開かれたそうで、非常に興味があったがもう一つ情報不足で縦走は断念したが、やはりその後放棄され踏み跡はあるかなしかの状態になっているようだ。
未練を残し来た道を引き返し、高妻山に差し掛かると丁度その時ガスが切れ上空に青空が広がる劇的な天候回復。今行ってきた乙妻山や、反対側に戸隠連峰表山、西を望めば後立山、今日友人が目指すという白馬の山並みも確認できた。小屋に泊まり合わせた仙台の爺さん婆さんはまだ来ていないようだ。奇跡的に晴れた山頂を後にし、下り始めるとまたガスが山頂を包みだした。山頂一歩手前の十阿弥陀で「山頂だ、山頂だ」と騒いでいるお年寄りたち。5:30に小屋を出て4時間経ってまだ山頂に達していない。このグループ大丈夫かいな?この直後には戸隠牧場からの日帰り組みが続々と登ってきた。極めつけは茨城から来た30名近い団体、ツアーではないようだが、こんな人数で来るのも如何なものか? なんて文句ばっかり。
高妻山を下り切ると八丁ダルミの鞍部だが、小さなアップダウンが幾つもあり結局分からないまま通過してしまった。覆われていたガスも九勢至あたりで晴れ、戻りの五地蔵山は快晴だった。山頂は展望が利かないが高妻山寄りに展望箇所がある。しかし目の前の黒姫山はガスがしつこい。四普賢あたりは東側に切り立った絶壁で慎重に進んだ。最後の急坂を下り一不動避難小屋に帰り着いた。後で気付いたが一不動(小屋)から、二釈迦、三文殊、四普賢、五地蔵(山)、六弥勒、七観音、八薬師、九勢至、十阿弥陀と順に高妻山に向かい仏様の名前が付き小さな祠に祀られていた。高妻山の先には十一阿閦、十二大日と続いた。
所要時間5時間23分で小屋に帰着し、昼食を済ませフル装備になって戸隠連峰表山へと踏み出した。戸隠高原から見上げると恐ろしいほどの絶壁がそそり立ち本当に登れる山かと疑わしくなる山容だった。縦走路はいきなり急登で140mの標高差を登り屏風岩(1,888m)のピークに到った。高妻山の雲が取れその優美な姿を現すと流石に存在感があり感激した。木の間隠れに見えるが撮影ポイントが無いのがもどかしい。アップダウンの続く縦走路を進み表山三角点(3等三角点「大胴沢」)と言われる九頭龍山(1,883m)に達した。山頂は開けているが肝心の三角点が見当たらない。高い木の上に山頂標識だけがぶら下がっていた。表山の北側は比較的なだらか(といっても他の山の比ではないが)、それに比べて南壁の切り立ち方は尋常ではなく絶壁で一挙に落ち込んでしまう。(こういう山容をパッドレスと云うそうだ)そして眼下に広がる美しい樹林、その中にひっそりと戸隠神社奥社の社殿が埋もれているのが俯瞰できた。
P1869は顕著なピークで戸隠山かと思ってしまった。登ってみると山頂は「ま〜だだよ〜」って感じ。戸隠奥社の谷間を回り込むように進むとひと際高いピークが戸隠山(1,904m)だった。山頂には戸隠牧場から登ってきたという若いカップルがビールを飲んで寛いでいた(下り大丈夫かいな?)。飯縄山の麓、長野市に住む地元の人だが戸隠山には初で、蟻の戸渡りが怖くて元の道を引き返すそうだ。ここは北信五岳の一つ、振り返れば高妻山が美しい。
すぐ南に見えるピークが八方睨(1,900m)、頂上に着く頃5、6人のパーティーが表山の縦走に踏み出して行った。すぐ下を覗くと問題の難所“蟻の戸渡り”が見え、数人が渡っているところで、なるほど岩に跨って進んでいる。これぞナイフリッジだ!平均台のような際どい細さが10m程続き、さらに剣の刃渡りと難所が連続する。ここを下れば戸隠奥社への下山路だが、私の戸隠連峰の縦走はこれを横目に見てまだ続く。
八方睨から西に進み西岳の山域に入った。栂ノ廊下を下り1,719mの鞍部まで標高を下げての登り返しだ。少し登ると一息ノ峰(1,760m’)本当に僅か一息でまだまだこれから。前方に立ちはだかる絶壁を右へ回りこみ、草付きの急登を登った。滑りやすく難儀な道だ。尾根に取り付く手前に“板倉清水”の水場があり登山地図には「涸れることが多い」と書かれ心配していたが、湧きだした水が岩盤を伝い極細い流れを作っていた。10分掛けて漸く1ℓのタンクを満たすことが出来た。標高は約1,855m、急登の悪路が更に続き、漸く登り詰めたピークは本院岳ではなくその北峰で標高は2,010m余り。更に前進して本院岳本峰(2,030m)の山頂に辿り着いた。山頂標識もなく一寸寂しい。前方には最高峰の西岳が聳えている。これも前衛峰を伴っているので今度は騙されないぞ。
西岳の登りは嫌悪な鎖場もありかなり厳しい。西岳(2,053m)は戸隠連峰表山・西岳の最高峰で山頂には立派な山頂標識が迎えてくれた。やはり前面は断崖絶壁で、戸隠高原の樹林の向こうに、飯縄山がどっしりと鎮座し、漸く雲が取れすっきりしている。高妻山は雲の帽子を被り、姿を隠してしまった。一瞬ポツリと雨粒が落ちたが問題はなさそうだ。比較的なだらかに縦走路を行くと第一峰(1,989m)、“P1”と通称されている。この先にP2、P3・・・P5、一夜山と稜線が続くが登山道は記されていない。登山道は南西に下りるP1尾根に描かれ、これを下った。難路はこれからで、10分ほど下ると不帰ノ嶮の垂直に近い壁、何本もの鎖で慎重に下り、奥社の尾根と同じ名前の“蟻ノ戸渡り”のナイフリッジを越えた。あちら程ではないが両側は深く切れ込んでいる。渡り終えると垂直のハシゴで“無念の峰”に登る。とんがったピークが次々に現れ、アップダウンは厳しい。他の山域の鎖場では使わなくとも通過できるところが殆どだがここではそうは行かない。鎖に体重を預け足掛かり求め、もううんざりするほど連続した。
標高1,400m位まで下りると緩斜面の軽快な道となりスピードが上がった。樹林帯から天狗原に出ると放草地の草原歩きとなり、左手の“登山道”の看板から再び登山道に戻り、楠川に下降した。楠川を渡渉し左岸に渡る。飛び石伝いとも行かず2m程の川幅を飛び越えたから問題なかったが、増水するとそうは行かないだろう。最後にしっかりした吊橋で右岸に渡ると林道となった。上楠川橋まで下り戸隠神社宝光社へ向けての最後の登り坂、車道とはいえ標高差125mは最後の場面でキツイ。辺りは暗くなり、ポツポツと雨が降り出した。18:12バス亭に到着、2日分の行程を13時間余りで歩き流石に疲れた。コースタイムは14時間20分、あまり短縮することが出来ず、この山域のコースタイム設定はかなり辛めのようだ。
バスは18:59発。バス停に小奇麗な小屋が併設されている。向かいのお店でアイスクリームを食べバスを待っていると、雷が鳴り出し、篠つく大雨となった。そして生まれて初めて聞く大音響、狭い道路の反対側にある電柱が閃光に包まれ青白い光が地上に達した。小屋へ引き込まれる電線にも電光が伸びた。雷だ! 忽ち付近の集落は停電。バス亭の小屋も真っ暗になってしまった。10m先に落ちた雷、電柱がもし道路のこちら側だったら、そして下山があと30分遅かったらと思うとゾッとした。雷の危険は山中だけではないようだ。待ちかねたバスに乗り長野に向かい駅前のホテルに宿を求めた。
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