下ノ廊下/欅平〜阿曽原〜黒部ダム
- GPS
- 14:24
- 距離
- 25.6km
- 登り
- 2,320m
- 下り
- 1,438m
コースタイム
10/21 阿曽原温泉小屋5:42→権現峠6:10→人見平6:32→仙人谷ダム6:44→東谷吊橋7:00→半月峡7:50→作廊谷合流点8:02→十字峡8:38 (展望台往復22分)→白竜峡9:46→黒部別山谷10:30 (20分大休止)→新越沢合流点11:46→鳴沢小沢12:14→ (この途中12:50より20分大休止)→内蔵助谷13:20→ダム下14:08→黒部ダム14:50
※写真を大量に撮りながら歩いていたので若干遅めです
天候 | 10/20 曇ときどき晴 10/21 曇 |
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過去天気図(気象庁) | 2010年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
復路 関西電力トロリーバス 黒部ダム→扇沢 (1,500円) 路線バス 扇沢→信濃大町 (1.330円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
下ノ廊下の山行記録は数多ありますが、欅平から出発する方はあまり多くないようなので、同じルートを計画中の少数派の方々にとって参考になるように書いてみました。 そのため、以下は原則的に欅平発を前提としてのコース情報になります。 ●出発前 宇奈月からのトロッコ列車は、普通車 (いわゆるトロッコ車両) と特別車・リラックス車 (窓つきの一般的な車両、別料金要) があります。 欅平まで1時間半近くかかる上、普通車は吹きさらしなので、こちらに乗る場合は防寒対策が必須です。 私はレインウェアを上だけ着て手袋をしていましたが、下半身が寒かったです…。 少しでも体力を温存したいという場合は特別車以上のほうがいいでしょう。まあ、そこまで心配しなくてもいいとは思いますが。 ちなみに豆知識ですが、欅平駅から少しでも早くスタートしたい場合は、特別車以上を選ぶことをお勧めします。 というのは、欅平駅に到着した列車はホームの一番奥まで進んで停車するのですが、改札口はその反対側、進行方向に向かってホームの一番後ろにあるからです。 この駅のホームは2本の列車を同時にさばくために相当長くなっていて、端から端まで歩くと結構な時間がかかります。 通常の列車の場合、普通車は編成の最前部、特別車は最後尾に連結されているため、特別車に乗ったほうがホーム後方の改札口に近く、その分ホームを歩く距離が短くてすむので早く外に出られる、というわけです。 逆に言えば、普通車だと改札口までかなり遠いということなのですが…。 欅平に登山届の提出場所のようなものは見当たりませんでした。 以前は駅横にある「欅平ビジターセンター」で提出できたと聞きますが、この時は建て替え工事中。 今回は事前に富山県警察本部あてにメールで送付しておきました (これについては後日談あり、感想参照)。 ●欅平〜阿曽原 欅平を出て最初の登りがきつい。ストックがあれば、水平歩道始点まで使うといいでしょう。 水平歩道に入ってからは、途中に桟道や道幅の狭い箇所もありますが、基本的にフラットで歩きやすい道です。もちろん、足元には十分注意です。 途中でトンネルを何箇所か通過しますが、ライトは志合谷のトンネル以外は必要ありません。 その志合谷トンネルですが、湧水があるので足元に注意、また天井が低いので頭上にも注意してください。また天井からも水が垂れてきますので、気になる方はザックカバーをしてもいいと思います。 折尾谷の少し先にある折尾ノ大滝では水が補給できます。 阿曽原への下りにかかるところからは再びストックが使える場面になります。逆に言えば、この下りと、先述の欅平からの登り以外ではストックはかえって邪魔になるかもしれません。 ●阿曽原〜東谷吊橋 小屋からは10分ほど急登になります。暗いうちから出発する場合は足元に気をつけてください。 登りきった先の権現峠トンネルは、長さ的には折尾谷堰堤以上・志合谷トンネル未満といった感じで、出口は見えているのですが、大きな石が足元にゴロゴロ転がっているので、外が明るくてもライトを点けて通行することを勧めます。 仙人谷ダムの先、東谷吊橋までの車道にもトンネル区間がありますので、暗いのが苦手な人はそこまでライトを準備しておくといいでしょう。 東谷吊橋を渡る手前は広場になっているので、このあたりで休憩を入れる場合は橋を渡る前のほうがよいと思います。渡った先には広い場所はありません。 ●東谷吊橋〜黒部別山谷 東谷吊橋を渡るとすぐ登りになり、そこそこ急な箇所もあります。 十字峡の吊橋を渡ってハシゴを登ると小さな広場があり、そこから十字峡を見下ろせる場所まで下りていけます (写真参照)。吊橋の上からでは見られない景色なので、ぜひ立ち寄ることをお勧めします。 白竜峡から先は、道幅が狭くなり桟道も増えるのに加えて、時間的に黒部ダム方面から来る人たちとすれ違うようになります。すれ違いができる場所は限られているので、道の先のほうも確認しながら進んでください。向こうから来る人を早めに発見できると、すれ違い場所の確保もスムーズにいくと思います。 それでも、週末や連休など人の多い時はある程度のタイムロスを覚悟しておいたほうがいいかもしれません。 ●黒部別山谷〜黒部ダム 黒部別山谷は毎年遅くまで雪渓が残るところで、残り具合によって通過の方法が異なります。 今回は沢沿いまで下りるルートでしたが、足場の少ない2〜3mほどの壁を下りることになり、通過が大変でした (写真参照)。 別山谷の少し先のハシゴの高巻きと、屏風岩の大ヘツリを通過すれば、あとはそれほど危険な箇所はないと思いますが、落石のあった区間も途中にありますので注意はしておいたほうがよいでしょう。 新越沢合流点から先になると、景色的にはほとんど樹林帯か河原のガレ場になるので若干飽きてくるかもしれません。 水は、随所に沢があるのでそこで補給可能です。 ●コース全般について 言うまでもないことですが、落ちたらまず助からないと思いますのでそのつもりで。 道幅に余裕がある区間は快適に歩けるのですが、丸太の桟道など「ちょっと危ないな」と思ったところは、そのままのスピードで突っ込んだりせずに、いったん立ち止まって一呼吸入れてから通るといいかもしれません。 また、景色を眺めたり写真を撮ったりするだけでなく「時計の確認」「水補給」「カメラの出し入れ」などよそ見を伴う行為全般は、必ず立ち止まって手すりのワイヤーなどをつかんだ状態で行うことを勧めます。 そのワイヤーですが、必ずしもコース上の全区間に張られているわけではありません。「あれ?ここってこんなに狭いのにワイヤーないの?」というところが随所に出てきます。張ってあっても結構たるんでいる箇所があるので、ワイヤーを過信しないほうがいいでしょう。 さらに、樹林帯では頭上に木の枝が張り出してきているところが多いので、足元だけでなく頭上にも注意してください。私自身、何度か太い枝に頭をぶつけて帽子を飛ばしました (ちなみに私は身長169cmです)。 休憩については、コースの性質上どこででも休めるというわけではないので、休憩によさそうな場所があれば、「まだしばらくはいいや」と言わずにちょっと一息入れていくのがよいかもしれません。 |
写真
感想
初日、始発のトロッコ列車で欅平駅に到着。
同じく阿曽原へ向かう他の登山者の方々が先発する中、ちょっと準備に手間取って9時過ぎに出発しました。
最初の急登でいきなりメゲそうになりましたが、水平歩道に入ってからは歩きやすくなり、快調に飛ばしていきます。
崖側に木が茂っているところが多いせいか、高さもそれほど気にはなりませんでした。
逆方向から来た方々とすれ違いつつ、阿曽原へ。
阿曽原温泉小屋は、電気は来てるしトイレは水洗だし、そしてもちろん温泉もあるしで、山小屋とは思えないほどの快適さ。
心配していた宿泊者数もこの日は70名程度で、ご主人の佐々木さんが「めでたく1人で布団1枚」と笑いながら言っていました。
定員50名のこの小屋、ちなみに今までの最高記録は?と聞いてみたら「218名」とのことだそうです。いったいどんな恐ろしいことになっていたのでしょうか…。
翌朝、欅平へ下っていく方々を見送った後で、黒部ダムを目指して出発。
権現峠への登りと人見平への下りがきつかったですが、その先は関西電力の宿舎やら仙人谷ダムの施設やら、そして関電のトロッコ軌道やら、面白いものがいろいろあって楽しいです。
十字峡では剣沢から黒部川に流れ落ちる水の音が響き渡り、なかなかの迫力でした。
白竜峡に入ったあたりで最初のすれ違いがあり、その後もポツポツと黒部ダム方面からの方々と行き会いましたが、運のいいことにハシゴや桟道などの狭いところでバッタリということはありませんでした。
すれ違い自体も予想より少なくて助かりました。平日だったからでしょうか。
危険箇所を通過して普通の道(?)になってからは、緊張が緩んだのかずっと歩き通しだったからか、ちょっと疲れが出てきましたが、無事に黒部ダムに到着できました。
あまりに写真を撮りすぎて、黒部ダムまでもう少しということころでデジカメのバッテリーが切れてしまうというハプニングがあり、また天気も抜群とはいきませんでしたが、まあ雨が降らなかっただけ良しとしましょう。
(実は黒部別山谷のあたりで小雨がちょっとパラついていたのですが、雨具を出すかどうか迷っているうちに止んでしまいました)
行く前は、単独で下ノ廊下というのはちょっと無謀か?とも思っていたのですが、実際に行ってみると単独の方が他にも結構いて、ちょっと心強かったです。
下ノ廊下を歩いてみたいけど大丈夫かなあ…と迷っている方、行く価値のあるところだと思いますので、ぜひチャレンジしてみてください!
これから先は余談ですが、下山して携帯の電源を入れると富山県警の山岳警備隊から留守電が入っていて、「あなたの提出した登山計画書について聞きたいことがある」とのこと。
何か記入に不備でもあったのか、それとも「こんな甘甘の計画で下ノ廊下へ行くつもりなのか?ああん?」なんて怒られるのだろうか、恐る恐る折り返し電話してみたところ…
「メールに添付していただいた登山計画書が文字化けで読めませんでした」。
なーんだ、と一安心。
…いや、安心するべきではないのですが。
ちなみにその登山計画書は、富山県警のサイトからダウンロードしたファイル(リッチテキスト形式)に記入したものをメールで送ったのですが、担当の方によれば「PDFなど他のファイル形式でも構わないし、またメールでなくともファックスなどで送ってもよい」とのことです。参考までに。
※詳細な記録はブログに書いていますのでよろしければそちらもお読みください。
http://d.hatena.ne.jp/JamesMaki/20101019
また、元サイズの写真は
http://photozou.jp/photo/list/74507/2788443
で公開していますので、「写真小せーよ!」という方はそちらへどうぞ。
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