快晴の八ヶ岳納め!横岳西壁中山尾根&小同心クラックと絶景の中山展望台

- GPS
- 15:27
- 距離
- 12.0km
- 登り
- 1,638m
- 下り
- 1,626m
コースタイム
- 山行
- 4:38
- 休憩
- 1:57
- 合計
- 6:35
- 山行
- 3:48
- 休憩
- 3:39
- 合計
- 7:27
| 天候 | 26日(土)晴れ 27日(日)晴れ 28日(月)晴れ、ガス、雪 風は微風 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
1日目 中山尾根 取り付きまでトレースあり。ないと時間も体力もかなり消耗すると思われる。 人気ルートだけあってしっかりした支点が豊富。 1P目のルート取りがわかりづらい。 2日目 小同心クラック アプローチの大同心稜は降雪直後は腿、胸ラッセルになることもある。 大同心基部から取り付きまでが悪く、トレースが残りづらい様子。 我々が行った時もここの区間はトレースが完全に消えていました。 ルートは雪やペルグラがついていると支点が乏しいこともあり厳しそう。 冬期岩稜登攀はどこでもそうだと思いますが、 どちらのルートも湿った雪の降った後の岩に雪・ベルグラが付いた状態だとかなり大変な思いをすると思います。 |
写真
感想
毎年お天気に恵まれるkamehiba隊の3月の3連休。
テント泊縦走や外岩クライミングなど悩みましたが今年通った八ヶ岳でバリエーション納めをすることにしました。
1日目
予報ではこの日が一番良いようなので、もよりの道の駅に前泊して早出→赤岳鉱泉→中山尾根の計画です。
早朝、予報通りよいお天気ですが気温はかなり低いです。
明け方は赤岳山荘あたりで-10度くらいまで下がったそうです。
美濃戸口から赤岳山荘までは雪はほとんどなし。
赤岳山荘でお茶をいただき、一休みして赤岳鉱泉へ出発。
北沢は一部凍結がありましたが前夜の降雪(ほんの数センチですが)があったのでアイゼンは着けず。
登攀のギアに2泊3日のテント泊装備が重いですが鉱泉泊りで水の心配をしなくてもいいので文句は言えません。
八時半過ぎに鉱泉に到着。
すぐにテント設営にかかります。
1時間くらいで出発できるかなぁ、なんて思っていましたがテント張って、登攀ギアをセットして、エネルギーチャージして、としていたらやはり結構時間がかかってしまいました。
9時50分に鉱泉出発!と思ったら講習の仲間とばったり遭遇。うん、幸先よいかも。
2週間前に講習で中山尾根を登った時は、取付まではヘッデン行動。
暗いとなんだか歩く時間が長く感じるようで、今回は明るい時間に歩いたせいか、
前回以上に取り付きまでのトレースがしっかりしていたせいか思っていたより随分短く感じました。
樹林帯を抜けて取り付きが見えてくるとそこには岩に取り付く3パーティー。
1パーティーはフォローの人がすでに離陸していますが、2パーティー5人が取付に。
「う〜ん、これは時間がかかりそう?スタート遅いけど大丈夫かな?」と少し不安になりながら装備を装着。
取付から数メートル後ろで行動食を食べながら、スタートしようとしている2パーティーの様子見。
1P目、1パーティーは直上ルート、もう1パーティーは右にたっぷりトラバースして凹角というよりルンゼを登攀の様子。
私達は2週間前と同じく2〜3メートル雪面を右にトラバースしてすぐの凹角を登る予定でルートが重ならないようなので、取付は少し混雑するけどスタートさせてもらうことにする。
前回はトラバースの雪面が悪そうに見えて、思わずほとんどトラバースせずにツルッとした手掛かりのない岩を無理に登ってエライ目にあったのですが、今回は雪面に安定したトレースが付いていました。
こちらから登ると前回と比べると格段に登りやすいようでhibaはぐいぐい高度を上げて「ビレイ解除」コールでkameが続きます。
凹角の最初のガバが少し遠いと聞いていたのでhibaに「お助けシュリンゲ掛けといて」って言ったのに登りやすかったせいか、hibaはすっかりそれを忘れたようで悪態をつきながら登るkame。
このピッチ、hibaが直上パーティーとロープを交差させてしまった。それも上から。
これは二人とも大反省、すみません。(hibaはフォローの方に平謝りしたそうです←当然)
もう1パーティーはルンゼ登攀は厳しかったらしく、リードの方が取付に戻ってきて仕切り直しで一旦ロープ解除されていた。
スタートで30分くらい様子見待ちがあったけれど、このピッチ以降、直上のパーティーにも追いつくことはあっても待つことはなく登れました。
2P目、ちょっとしたスラブを左にトラバースしてから木を利用して雪の草付きに乗っ越す。
ここは2週間前より雪が減って前回ほど快適じゃなかった。
下部岩壁はここまで。
少し傾斜の緩んだ雪稜を登り、傾斜が増していくと地面が少し露出した潅木帯になる。
ここはコンテで進みました。
さあ上部岩壁。
この辺りから風が少し強くなってきました。
まず最初の1P目に核心の少し被った凹角があります。
でも岩にはほとんど雪がついておらず非常にいい状態だったし、一度登ったルートなのでhibaはスムーズに登って行きました。
フォローのkameは核心はAOせずに登りましたが、その手前のなんてことないところでランナーを掴んだら上からhibaに「あっAOしてる!!」って見つかっちゃいました〜。てへぺろ。
その後も全てhibaリードで。
最後のピッチだけhibaが相変わらずのご乱心が始まり、「またラスボスかよ」と焦りましたが、なんてことない只の記憶違い。
2週間前に登ったこともあり、大きなミスなく登攀終了。
主稜線へのトラバースは前回よりもトレースがしっかりついていたので歩きやすかったです。
無事hibaと二人で中山尾根を登攀終了!ほっと一安心。
今回は天気、雪そして岩の状態に恵まれ快適なクライミングとなりましたが条件が悪いとずいぶん苦労しそう。
そして二人で登ってみて、やっぱり大先生はすごいなぁ、ってこと。
まだまだ実践を通して覚えることが山積みです。
そんなことを話しながら地蔵尾根からテントへ戻ります。
上部岩壁辺りから赤岳の東側がガスに隠れ始めましたがそれ以上ガスることなく周りの景色を楽しみながら下山しました。
行者小屋辺りからは相変わらず二人とも「ビール、ビール!」しか頭にありません。
ビールで初日無事終了の乾杯をして、最近kamehiba隊ブームのカレーライスの夕食でお腹いっぱい。締めはデザートのチョコレートケーキです。
就寝前にヤマテンで2日目の好天も確認してお休みなさ〜い。
2日目
朝カレーで栄養ばっちり。
夜はちらちら雪が降っていましたが夜明け前はお月様もくっきり見え好天間違いなし。
5時過ぎに鉱泉スタート。
この日は大同心稜から小同心クラック登攀です。
前日に講習の先輩Rちゃんに「小同心クラックは雪がついていなければ快適な登攀ができるはず。取り付きまでのトラバースが核心になるかも」とのありがたいアドバイス。
まずは急登の大同心稜を登ります。
ここは我々は1度だけ下りに歩いたことがあるだけでひどく急だった覚えがあったのですが前日同様明るい時間になっていたお陰か焦らずマイペースで歩いたお陰か樹林帯を抜けるまではあっという間でした。
迫力のある大同心の基部から小同心クラックの取り付きまでが思いのほか時間がかかりました。
まずは大同心の右側に沿って草付をトラバース。ここはトレースが少し残っていてさほど悪くなかったのですが小同心側に移って急な雪面をトラバースするところが予想通り悪かったです。
私達はロープをつけずにいきましたが雪の状態がもっと悪かったらロープを出す必要があるかも。
でも支点を取れるところがあまりないんですが。。
トップのhibaが最初に踏み出した一歩目で足元の雪があっさり崩れてさ〜っと急斜面を落ちていったのを見た時はちょっとビビリましたが雪の状態はそれほど悪くなくしっかり足を蹴り込んでピッケルも効かせて慎重に進みました。
小同心クラックの基部は広めのテラス。
ここでロープを出し、登攀準備をします。
ここでkameがATCを落とすというまさに致命的なミス!
あとからhibaが何度も「なんであのまま落ちていかなかったのかわからない」と言うように奇跡的に2メートルくらい下でとまり無事回収。
あ〜なんという大失態。。
気を取り直して登攀スタート。
トポなどでは3Pとなっている小同心クラックですが慎重派のhibaは途中短く切ったので4Pで登りました。
Rちゃんの言っていた通り、ルートの岩は雪がなくホールド、スタンスともに豊富で登りやすいですが1P目以外は支点に乏しいです。
昨日から連続の登攀でhibaは高度に慣れてしまっていたのかほとんど支点を取らずに登っていました。
フォローのkameは「回収少なくって楽だけど初級ルートだからってどランナウトし過ぎじゃね?」と思いながら登りました。
岩の向きのせいか登攀開始からずっと風にさらされかなり寒かったので小同心の肩に乗っ越して太陽の光の下に出た時はふたりとも思わず「うぉー暖かい〜」と声が出ました。
肩はちょっとしたテラスになっていてそこから小同心の頭、そして横岳奥の院の山頂が見えました。
昨日の中山尾根もいいですがすっきりと山頂に出るルートはやっぱり気持ちがいいですね〜
最後の山頂へのビクトリーロードを眺めていると山頂にいる4~5人の人達がこちらに向かって両手を大きく振っています!
思わず「私達だよね?」と後ろを振り向きましたが後ろは絶壁ですのでもちろん誰もいません。(笑)
嬉しくなってこちらも両手を大きく振って応えました。
すんごくフレンドリーな方々だなぁと感激していたら、あとから実は石尊稜登攀から下山途中の講習仲間だったとわかりました。
お互いに手を振ることに一生懸命で写真を撮り逃したのが悔やまれます。
どちらからの写真でもなかなかない構図だったのになぁ。残念。
小同心の頭から横岳まではコンテで。
2日目の好天の下の登攀、その上この日にここを登ったのは我々だけ!
登攀中は終始風にさらされ、横岳山頂も風があって寒いんだろうなぁと思ったら、山頂はほぼ無風。
のんびりロープを片付け、行動食とホットドリンクで休憩。
この日はガスもほとんど出ず、結局2日目のほうが1日目より天気はよかったかな。
下山は大同心稜からというルートもあるようですがせっかくの好天だし、この日も鉱泉泊りで時間はたっぷりあるので硫黄岳経由でのんびり降りることにしました。
横岳直下はクサリのトラバースは比較的安定していたのですがカニのヨコバイ?のクサリのついたところの手前でほんの2〜3メートル下るところが結構悪くてバックステップで降りました。
あとで縦走された皆さんのレコを拝見したら皆さんそこのことを書いていたようです。
短い難所を越えたらあとはのんびり稜線満喫。
全ピッチリードのhibaはやはりフォローのkameよりずいぶん疲れたようで硫黄岳山頂までの岩の出た登りは足にきたようです。
実はkameは積雪期の硫黄岳はお初!
横岳から赤岳、そして中岳を経由して阿弥陀岳への連なりはかっこいいですね〜
絶景をたっぷり堪能して赤岩の頭から鉱泉へ下ります。
そしてあとはお約束の「ビール!ビール!」下山。
鉱泉に着いたのはまだ1時前で、お天気が下り坂予報の3日目は登攀はしない予定だったので山を降りることもできましたが、せっかくの3連休なので予定通りのんびり泊まっていくことにしました。
2日目の無事の登攀を祝ってビールで乾杯!
閉鎖となったアイスキャンディーの辺りから2日間で自分達の登ったルートを眺めるのは最高の気分でした。
そして目を凝らすと大同心のすぐ下に大同心大滝を見つけました。
遠目でも大迫力の氷爆に二人とも大興奮!
お昼ご飯をたっぷり食べて昼寝して、起きたらまたビールの至福の時。
夜は焼酎とつまみにデザートのチョコケーキと軽く済ませてバタンキュー。
日曜日の夜なのでテントは我々を含めて3張りのみ。
静かな静かな夜でした。
3日目
午前中は晴れるが不安定な天気とのことで前から気になっていた中山展望台へ朝の散歩に行って下山することに。
鉱泉から30分ちょっとの中山展望台は想像以上に素晴らしかったです。
自分達の今シーズン登ったルートがぐるっと見渡せるのはもちろん想像通りだったのですがなんといっても阿弥陀岳がすんごく近くって大迫力!
去年登った北稜や今年は残念ながら登れなかった北西稜がくっきりはっきり見えます。
特に北西稜の樹林帯の長さ、上部岩壁の険しさが手に取るように見えて大感激!
3日目も赤岳主稜を登るという案もあったのですが1日目、2日目と登攀して雪がかなり減り、草付きのルンゼが悪かったり、浮石が少し気になったりしたので展望台を思いつきました。
この日は我々が鉱泉に戻る頃には稜線にガスがかかり、美濃戸に降りた頃には雪が降り出したのでスケジュールもドンピシャでした。
鉱泉でテントを撤収して、赤岳山荘の焼肉丼目指して一路下山です。
濃い目のお味の焼肉丼は相変わらずボリュームたっぷりで美味しく、この日はなんと自家製アンズソースのかかったパンナコッタもサービスしていただきました。
ご馳走様でした!
都内の自宅までほとんど渋滞もなくお昼過ぎには帰宅。
片付けを済ませて3連休最終日をのんびり過ごすことができました。
今シーズンはなんと9回通った南八ヶ岳。
東京からこんなに近くって、その上ひよっこのkamehiba隊にも登れるルートがたくさんある山域。
本当に恵まれているなぁと思います。
そして今シーズンは諸々の条件にも恵まれ、二人で石尊稜、赤岳主稜、中山尾根、小同心クラックを登ることができました。
今シーズンは雪が少なくアイスクライミングも思いがけずたくさん練習できました。
kameはアイスはさほど興味がなかったのですが裏同心ルンゼや峰の松目沢などのマルチピッチのアイスは思いのほか楽しかったです。
これから雪山での登攀力を上げるためにはやはりアイスの練習も必要だなぁと実感しました。
これからの岩登りのシーズンにもっとロープワークの練習をつんで、シーズンに入る前のアイゼントレは今シーズンに入る前以上にきちんと計画しなくてはと思いました。
来シーズン前はリード、そしてマルチピッチ、冬用アブミのアイゼントレをきちんとしよう。
ありがとう八ヶ岳。
小屋の方々にも感謝、山でごあいさつした皆様に感謝、全ピッチリードで頑張ったhibaに感謝。
奢ることなくこれからも楽しく山を歩こう。
コメント
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kamehiba















kamehibaさん、こんばんは。
今シーズン、9回も八ヶ岳に行かれたんですか。
すごいですね〜
でも、いつもながら、アルパインクライミングはスリル感たっぷりで、
登りきった時の達成感と無事に下山した時の充実感、ビールの美味しさが格別であることが、よく伝わってきました。
今回は、お天気にも恵まれ、有終の美を飾るに相応しい、
充実した山行になりましたね。
来シーズンに向けての目標も既に決まっているところ
そのバイタリティーの高さにあやかりたいです。
エルクさん、こんにちは!
9回は自分達でもびっくりです
南八ヶ岳西面は入門者向けのルートが豊富でアプローチもいいので
まだまだ初心者の私達にとってはとてもありがたい山域なんですよ。
お山のすぐあとのビール、泊り山行の醍醐味ですね
日帰りでもエルクさんのコーヒーはとっても美味しそうですが
おかげさまでよいお天気で八ヶ岳納めができました!
お互いに楽しく壁と仲良くなりましょ〜〜
kamehibaさん、こんばんは
私も26、27と赤岳鉱泉にいましたが、小屋泊でした。
お二人のレコなどでこのエリアにいらっしゃる事が多いかな?という印象があり、
小屋の中でそれらしき方がいないかな〜〜
レコが上がって、やはりいらしたんだ!!と。
お会いできなく残念感たっぷりです。。
いつもお二人でクライミング、時期を問わずにすごいですね!!
超初心者の私には雪の時期にクライミングなんて考えられません
私は体重も重いし、本格的なクライミングを目指してはいませんが、
今年の夏岩稜帯の縦走もしたいと思っているので、
少しづづでも岩登りに慣れたいと思っています。
今月末は表妙義の星穴岳という所にクライミングのベテランさんと一緒に行く事になりました。
また何かわからない事やお聞きする事もあるかと思いますが、
宜しくお願いいたします。
では・・、どこかでお会い出来る事、楽しみにしていま〜す。
ピカちゃんさん、こんにちは〜
ほんとにニアミスでしたね!
この日は講習仲間が鉱泉泊まりだったので小屋の近くをウロウロしていたんですよ〜
お会い出来ず残念〜
妙義山ですか!
うちはまだ沢しか行ったことないのですが楽しそうですね!
クライミングのベテランさんとご一緒だといろいろ勉強になっていいですね〜
楽しんでいらっしゃってください!
どこかのお山でお会いできると私達もうれしいです!
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