【夜間縦走改め薄暮作戦】鋸山〜御前山【丁28.0】
- GPS
- 05:09
- 距離
- 12.5km
- 登り
- 1,428m
- 下り
- 1,235m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:奥多摩湖BS〜奥多摩駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
通常、鋸の名を冠する尾根は険しいのだが、その例に漏れず岩場や急登が連続。御前山も引き続き急登。奥多摩湖への下りは奥多摩三大急登の一。下りも気を抜けない。 |
写真
感想
【夜間山行計画】
これから暑くなってくると、真昼間はとても外を出歩けず、また午後、時には昼前から大気の状態が不安定となってくる。また、アルプス等の高山において日帰り山行を行うには暗いうちからの行動開始が重要になってくる。しかし、夜行性でない我々にとって夜の山というのは歌舞伎町や六本木ほどではないにせよ怖いもの。
そのため、少しでも夜の山に慣れておくため、特に丹沢方面において夜間山行を企図していたのだが、出来物ができたり、稜線において強風が予想されたりということで決行は延び延びとなっていた。
そして、この週末。直近では状況が良いように思われ、「気圧の谷」という言葉が頭に引っかかりながらも急いで夜間山行の準備を進めた。
【風雲急】
とは言っても週間天気予報では当初快晴並みの好天が予想されたところ、期日が近づくにつれ「夜から朝にかけて曇り」という予報となり、風速予測も10m前後。また、「気圧の谷」という言葉まで出てきたからには気が気ではない。月光が雲に隠れ、風雨にさらされるとなると結構厳しいものがある。過去の夜間山行の成功は、天気に依るところ大であるので、私は慎重になった。
結局、当日朝の天気予報を見て最終判断することとしたのだが、NHK朝のニュースを見てみると、日本全国をマス目状に区切った地図では箱根付近が青マス、つまり雨。気象予報士の南さんも「山沿いでは雨」と言っている。箱根付近が雨なら丹沢も雨の可能性が高い。これで、丹沢は中止。そろそろ梅雨やヒルの季節だし、今年も丹沢は敬遠だろうか。
当初、夜間山行を企図していたこともあって、朝一山行開始を旨とする私にとっては若干時間が遅くなり過ぎていた。今から他の山域といっても、日没までの時間を考えると…。
そうした中で、天気予報図を見ながら代替の山行計画が具体化してくる。奥多摩なら丹沢よりも雨の可能性が低いのではないか、明るいうちに入山して山の中で夜を迎えれば夜間山行の導入としてはやりやすいのではないか、と。
であれば、いつまでも家でぐずぐずしてはいられない。作戦区域を奥多摩に変更して早速出発だ。
【立ちはだかる急登】
13時30分頃に奥多摩駅に降り立ち、モソモソと昼食を摂った後、出発する。第一段は鋸尾根から御前山を経て三頭山を目指す。鋸の名のつく尾根、今までも歩いたことはあるので、当然険しい道ということはわかっている。また、先は長い。ゆっくりと歩を進める。ちょうど、下山時間帯であり、反対方向から山行者が続々と降りてきたため、休み休み、負担の無い山行のはずであった。
しかしながら、ゆっくり行こうという以上に体が重く感じる。これは久し振りの本格的な急登のためか、多めに携行した食糧の重み故か、はたまた最近本格山行を回避してきた結果、若干増えた体重のためか。とにかく、歩みが重く、つらい。また、空気が乾燥しているらしく、やたらと咽喉が渇く。出発前に水分をしこたま入れておけばと思っても後の祭り。必然的に水分消費が増える。
歩きながら、何故暗くなる前に消耗するような鋸山〜御前山ルートを組み込んだのか。そもそも夜間山行なのに昼から歩き始めるのはおかしくないか。という疑問が頭に浮かんでくる。
【断行か下山か】
何故、昼過ぎから歩くこととなったのかと言うと、どうせ夜は長いからということで、引いた線も長かったからである。鋸山〜御前山を組み込んだのは、最近訪れていないからついでに入れておくか、といった程度の軽い考えだったと思われる。もちろん、御前山に上ったことがある方にはお分かりいただけると思うが、御前山はついでに登るような山ではない。
奥多摩へ向かう途上、たまたまスマホで「ノモンハン戦争から学ぶべきこと」という記事を読んでいた。関東軍司令部が示達した『満ソ国境紛争処理要綱』においては彼我の戦力格差を顧みることなく「兵力の多寡、理非の如何に拘わらず必勝を期す」とされ、その強硬な方針の結果、ノモンハン事件が起きて数万の兵卒が戦死傷し、自決を強要された前線指揮官もいた。
これを山行に照らして考えると、滅茶苦茶な計画の下で戦死傷・自決するのは紛れも無い自分自身である。過去の夜間山行を振り返ってみると、今回ほど長行程の夜間山行は無く、昼間から歩き始めるというのも前例が無い。そもそも計画がよく練られているのか、水分は足りるか、身体は朝まで持つか…といった観点から夜間山行を中止して下山しようという考えが勢いを増してくる。
その一方で、「この程度でへばっていては夏山山行の成功は覚束ない」、「三頭山は残っているが、御前山を越えれば後は比較的楽」、「水分は檜原都民の森で補給できる」、「三頭山等のピークを外して歩くこともできる」という考えもあり、暫くは両論を頭の中で戦わせながら歩くこととなった。
【山行は楽しくあるべし】
御前山は本格的に山行を始めた頃の私に初めて山の厳しさを教えてくれた山であり、尊敬の意味を込めて「御前山先生」と呼んでいる。
結論は、先生の御前で出すこととした。そして、その結果は…、
「山行は楽しくあるべし」。
これまでの様子を見るに身体の調子も上がらず、士気も低下してきている。ピークを外して歩けば確かに楽かもしれないが、夜間山行においてはピークがメルクマール(指標、目印)として重要となるから、それらを外すことで山行の充実感は失われるだろう。山行は楽しくあるべきで、楽しめない山行を続けても意味は無い。
最終的には基本に立ち返って結論を出した。小河内峠へ下る分岐のある惣岳山で改めて結論を再確認し、奥多摩湖へ下る。下りということもあろうが、いささか足取りが軽くなったような気がした。
【総括】
最終的に意図せず、いつもセオリーとしているところの日没前下山になったことで、結局これが私の山行スタイルなんだよなあと、苦笑しながらしみじみと思う。
今回は結局薄暮山行にとどまったが、人の絶えた、夕陽の木漏れ日と谷間の闇の、静かさと動物達の喧騒の、山の夕べというものは、やはり良いものだ。
今後、しっかりと計画を練って薄暮〜夜間山行を実現する。
〜おしまい〜
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