北穂高岳(涸沢〜ピストン)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 35.3km
- 登り
- 1,711m
- 下り
- 1,708m
コースタイム
- 山行
- 2:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:00
- 山行
- 4:40
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 6:00
- 山行
- 7:10
- 休憩
- 3:30
- 合計
- 10:40
- 山行
- 3:00
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 4:30
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
バスに乗り換えて上高地まで30分。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【横尾〜涸沢】ガレ沢の落石に注意 【涸沢〜北穂高】 南稜の長い鎖とハシゴが核心部。 全体的にガレ場多く、落石に注意。 |
写真
感想
北穂高岳(涸沢〜ピストン)
2016年。夏山シーズンになっても週末に限って今いちな天候が続き、7〜8月は計画延期の繰り返し。
山フラストレーションが溜まっていた。
台風一過の晴れを狙って夏季休暇の残りをとり、かねてから登りたかった穂高に行くことに決めた。いかんせん山自体久々なので体力的な準備不足が不安ではある。まずは涸沢までテントを担いでみて、その感触で上まで行くかどうか決めようかと考えた。
初の穂高、奥穂に行くか北穂に行くか迷ったが、槍の絶景を見たかったし、前に涸沢へ行った時、まず登ろうと決めたのは北穂だったことを思い出し、北穂に決定。
■1日目〜徳沢キャンプ場
朝5時半に出発、
平日の高速道路はスイスイで予定よりも
早い時間に沢渡駐車場に着いた。
11時頃には上高地に到着。
人の少なさにやった!となる。快適だ。
上高地で早速昼食の山賊焼きカレーを食べ、出発。この日のキャンプ地は徳沢。
前日遅くまで仕事していたのもあり寝不足なので、快適な徳沢でのんびりキャンプすることにした。徳沢園の御飯やスイーツは美味しいし、徳沢ロッヂの日帰り湯は新しくて綺麗。楽園のようなキャンプ場である。
キャンプ場に着くと、ちょっと他と離れた場所にテントが一つありその隣に張った。テントを張ってる時に、隣のテントが開いた。美男美女の外人さんカップルがにこやかに挨拶してきた。
しばらくすると、そのテントから頻繁にチュッチュチュッチュ聞こえてくる。
けしからん、もっとやれ。
晩ご飯は、徳沢園のおでん定食を頂いた。
■2日目 徳沢〜横尾〜涸沢
19時から4時30分まで爆睡。よく寝れた。寝ぼけながら横尾まで歩く。
ザックは相変わらず重いが、よく寝たので元気。
横尾でカップラーメン(シーフード)を食べる。山で食べると何でこんなに美味しいのか。
横尾からようやく登山道。本谷橋までは緩やかに登る。途中、北穂高が綺麗に現れるポイントがある。なんかここからのフォルムが写真で見るエベレストに似ている気がして、和製エベレストだと勝手にはしゃいだ。
本谷橋からいよいよ急登。きつい。
ザックの重さをより強く意識してしまう。しかし1回来た事があったのでコースやペース配分は何となく分かっていた。全く来た事がないのと2回目は大きな違いがあるものだ。
途中大きなガレ沢を渡る。「落石注意、急いで渡れ」の看板がいくつも置いてあって怖い。3年前に来た時、こんな大きなガレ沢あったかな..思い出せない。
しばらく進むと奥穂高が現れ涸沢カールが見えてくる。疲れた身体に元気が湧いてくる。が、見えてから長いことも知っている。
何度も小刻みに休憩を繰り返し、やっと
涸沢に到着。涸沢ヒュッテに着くとテラスで乾杯する人、美味しそうにおでんを食べてる人、談笑する人など皆幸せそうだ。後ろは涸沢カールの絶景。
ほんとに楽園だな〜ここは!と嬉々としながら自分もビールとおでんを注文。
この為にここまで頑張ったのだと思える一杯を飲んだ。幸せだ。
涸沢のテント場は相変わらずゴロ石ばかりで、なかなかの環境だが、比較的平らなラッキーポイントを見つけた。
日光が照りつけてテント内は暑くていられない為、岩かげのひんやりしたところにマットをひいて昼寝。
明日はいよいよ北穂高に登る。
夜は期待と緊張のいりまじった気持ちでソワソワして中々寝つけなかった。
■涸沢〜北穂高〜涸沢〜横尾
朝4時半に起床。
1本満足バーを口に入れて、テントからのそのそと出るともう朝日が今にも出ようとしていた。奥様は今回涸沢で待ってるとの事なので見送られてスタート。
無事に帰ってこれますように。
涸沢小屋の右から登山道に入っていく。
ヒュッテから眺めた時、壁のように見えたがやはり急登だった。
最初の30分くらいは比較的整備された道で登りやすい。が、段差があるので太ももに乳酸がたまる。ところどころガレが多くなってくる。後から登ってくる人も見えたので落石を作らないよう注意する。
途中スラブ状の岩場があり、右にはトラバースして進めそうなガレた道があった。岩場に進行マークがついていたが、トラバースする方が通りやすそうだったのでそちらに進んだ刹那、思ったより足場がもろく30cmほどの石をひっかけて落としてしまう。青冷めて「ラーク!」と叫び、下の様子をうかがう。
幸い後続の人とは離れていた為、事無きを得たが心底反省をした。
進行マークには忠実に従うべきだった。
ガレ場の急登を越えると、今度は長い鎖場が出てきた。思ったより斜度がある。
足場を確かめながら慎重に登る。結構長いので横の景色をチラ見してしまった。高度感があり一気に呼吸が荒くなる。集中集中と念じて登った。足の置き場はちゃんとあるので、慌てなければ問題ない。
鎖の後は垂直の長ハシゴ。こちらは槍や焼岳でも経験済みだったので特に問題なかった。越えた後、ここをまた何事もなく下れるのだろうかと少し憂鬱になった。
南稜の核心部を越えたあと、またいくつか緊張するポイントもあったが慎重に進んだ。すこし開けた場所にテント場があった。テント場の若者達からワッと声が起こったので何事?と見るとテントが風で飛ばされそうになっていた。
あそこで本当に飛ばされたら谷底に落ちるしかない。
そこを越えるとやっと山頂らしきものを目視できた。嬉しかった。
切れ落ちたトラバースルートを進み、最後の登りを越えてついに山頂に到着した。
山頂の景色が目の前に広がる瞬間、これほど高揚する景色も稀なんじゃないだろうか。槍ヶ岳がドーンと存在感抜群にあらわれ、手前の大キレットが深く恐ろしく切れ落ちている。
後ろには鷲羽や水晶、薬師岳が見える。絶景だった。
ちょうど2名の男性が来たので写真を撮ってもらう。「あっという間だったな〜」「次は涸沢岳か」と軽い口調で話していた。槍からの縦走らしい。ヘルメットもせず猛者がいるもんだ。。
北穂高の山頂といえば、楽しみにしていた山頂小屋のテラス。槍の絶景を眺めながらのコーヒー、何と贅沢なことか。
お土産の手ぬぐいやバッヂを購入する。バッヂはどれも良いデザインで、ほとんどの種類を思わず購入してしまう。
山頂小屋はスマホの電波が入ったので
インスタに写真をアップしたり、友人にLINEした。涸沢はほとんど電波が入らないので嬉しかった。
名残り惜しい景色だったが、下山を始める。下りは登り以上に落石を作らないよう気をつかう。順調に降りて、長い鎖場のところにきた。
3点支持を心がけてゆっくり降りる。
鎖と鎖の繋ぎ部分が、油断禁物な感じがした。無事に降りられて心底ホッとした。
あとは急登を慎重に下るだけだが、登りで膝と腿を酷使していたので、踏ん張りがきかずガクガクする。
準備不足を痛感する。
確かな足取りで行って帰ってこれない山行は危ない。山に行けないまでも、もっと日常でトレーニングしとくんだったと反省した。涸沢のキャンプ場が少しずつ大きく見えてくる。嬉しい。
米粒のような自分のテント場近くから奥様らしき人がこっちを見ている気がしたので、試しに手を振ってみたら振り返してきた。その時すごくホッとした。
涸沢小屋に到着。そこで飲んだポカリはとにかく美味しかった。
奥様と合流し昼食。カレーともつ煮を頂く。
もうかなり疲労困憊だったが、このまま涸沢に泊まるか横尾まで降りるか判断に迷う。
翌日の天気予報も怪しく、上高地まで5時間の道のりを歩いた後、運転を5時間することもハードに思えた。次の日出勤だし。。
仕方なく、テントを片付けて降りることに決めた。最初は良かったが、本谷橋付近にくる頃には蓄積ダメージで足には力が入らなくなっていた。虚ろな目で歩き続け、ようやく横尾に辿り着く。
ヘロヘロだった。でもこれでもう安心だ。明日は平地を歩くだけだから。
夕食はラーメン。
雨のパラつく音を聞きながら就寝。
翌朝、予報は良い方向に外れ、晴れだった。美しい林道を歩いて徳沢、明神で休憩し上高地に着いた。嘉門次小屋のイワナはやはり絶品だった。
4日間天候に恵まれ、大満足な山行が出来たがやはりトレーニング不足が反省点。涸沢より上はレジャーではなくアスリートの世界なのだな、とそれを肌で感じた。穂高岳はとにかく大きく懐ろの深い山だなと思った。片鱗を垣間見たに過ぎないが、それだけにもっと知りたくなった。
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