【秋アルパイン本番】北岳バットレス第四尾根
- GPS
- 42:31
- 距離
- 14.6km
- 登り
- 3,056m
- 下り
- 2,661m
コースタイム
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 5:50
- 山行
- 11:40
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 13:10
天候 | 24日 曇り昼過ぎから雨、夕方より曇り 25日 晴れ時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
トポは日本の岩場上(山と渓谷社)のものを参照。 準備山行としては金毘羅でのザイルワーク、御在所前尾根、一ノ壁など |
写真
装備
共同装備 |
クライミングシューズ
ハーネス
ヘルメット
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
カム
|
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感想
今週は今年のアルパイン本番として見据えてきた北岳バットレス第四尾根。
天気予報は微妙ながら、日曜日がチャンスになりそうなので、芦安まで車を走らせる。中央道で山梨まで回り込むのは久しぶりだ。
芦安の駐車場はそこまでの混雑ではない。適当に停めて仮眠。
24日
4時過ぎくらいから駐車場に乗合タクシーが入ってきて、みんなわやわや起きはじめる。
しかし、バス、タクシーともに大混雑というわけでもなく、適当に朝御飯を食べて5時半出発の乗合タクシーに滑り込む。
うたた寝しながら南アルプススーパー林道で、1時間弱で広河原へ。
北沢峠へ行くバス乗場は混雑していた。
登山口からは、目指すべき北岳を望むことができる。果たしてどうなることやら。
いつもの吊橋を渡り、白根御池小屋を目指す。
先日まで雨だったこともあり、林床にはいろいろなキノコが顔を覗かしている。すっかり秋だ。
ザイルとガチャでずしりと重たいザックを背に、急登を登って2時間ほどで小屋へ。
テントを設営する。小屋の人に芦安の混雑状況などの話をする。
やはり、土日だけだと北岳よりも甲斐駒、仙丈に流れる人が多いようだ。
今日は、まだまだ時間もあるので、明日のために下部岩壁の取付まで偵察しにいく。
大樺沢の左俣を登っていき小屋から1時間で、バットレス沢へ。
いろいろな記録にも出てくるが大きな岩が目印。
それ以上にすぐ先のC沢に水が流れていて分かりやすい。
我々は、Dガリー大滝から登るつもりなので、C沢のさらに先にすぐ入っているD沢(枯れ沢)の左岸を10mほど登り、枯れ木にくくりつけられたピンクテープと落石注意の看板を目印にD沢を渡り、C沢との中間尾根の顕著な踏跡を辿っていく。
2週間前にバットレスに行ったパーティーからログや情報を聞いていたので、ここまではとてもスムーズ。
踏跡を登っていき、樹林帯から抜けるとガスの中から巨大な下部岩壁が姿を現す。
尾根はピラミッドフェースの下(Dガリー大滝と十字クラックの間)に突き上がる。
大滝下まで行き、取付の支点を確認する。
明日は晴れることを祈って小屋に帰る。
まだ昼過ぎ、小腹が空いているので、禁断の小屋のランチに手を出してしまう。
カレーほうとうとトリモツの煮物、美味なり。
食堂で昔の岳人読みながら、うだうだしてしまう。もうシーズンも終わりに近いが、行きたい沢がまた増えた。
その後はテントに戻って昼寝。強くなる雨脚にげんなりしつつ、早めの晩御飯。
今回はフリーズドライで美味しいけどちょい粗食。
雨は止んだものの天気予報は芳しくない。どうなることやら。
25日
気合いの1時起き。棒ラーを食べてサクッと準備して出発。
外へ出ると星は見えているも朧月、北岳はガスの中。回復しなくとも午前中現状維持なら問題ない。
月明かりとヘッドライトの明かりを頼りに下部岩壁を目指す。
昨日偵察したお陰で、2時間弱で迷うことなくDガリー大滝下まで。ガスは飛んだり、かかったり。
登攀具をつけてさっそく、登はん開始。
下部岩壁
第五支稜( 40m)
大滝のバンド下にある残置ハーケンで支点を取り、バンドを進むも昨日の雨で濡れていて大滝に入れる気がしない。
バンドを左上し、細いブッシュでランニングを取り、第五支稜を登る。
支点が少ないので不安もあったが、難しくはないので、カムで支点を取りながらリッジを進む。上部は灌木もあり、終了点も灌木のシュリンゲ。
第五支稜上部〜Dガリー大滝上部
灌木の中の踏跡を進みDガリー大滝の上部に入りルンゼを登る。難しさはないのでコンテで進む。
ルンゼを登りきると草付き帯で横断バンドが目に入る。
横断バンド〜Cガリー〜ヒドゥンスラブ〜第四尾根取付きテラス
横断バンドで、Dガリー奥壁に向かう3人組とすれ違う。
日電歩道にも似たバンドを落石に注意しながら進んでいくとCガリーへ。
右岸を登っていきヒドゥンスラブを目指すが、噂以上のガレ沢で浮石・落石には細心の注意がいる。今回は下から登ってくるパーティーもいなかったが、混雑時はもっと気を使うだろう。
「4」や矢印のペイントを頼りにヒドゥンスラブへ。
緩傾斜でやや階段状20mくらい。多少濡れていてもクライミングシューズならザイルを出さなくても問題なく登れる。
第四尾根取付きテラスに飛び出すとちょうど日の出。
鳳凰三山と富士山の間から昇る朝陽がバットレスを赤く染め上げる。息を飲む美しさだ。
ここまで2時間、1つの核心とも言える取付きを順調にこなせてまずは一安心。
さて、いよいよ第四尾根。改めて気合を入れ直す。
1p (権 50m)
記録どおりのクラックからスタート。
フットジャムを決めながら登っていく。
意外と広めのクラックなのでカムを決めるにもやや数字の大きいレンジが必要。残置が多いので問題にはならないが。
後半は緩やかなフェースとなり、30m強登ったところにシュリンゲの終了点があるが、まだザイルを伸ばせるのでハイマツ混じりの泥付階段状のまで登り、ハイマツで確保支点を取る。
トポ(日本の岩場 上 山と渓谷)の2pに入り込んでいるようだ。
少し登ってトポでいう3pが出てきた。
2p(掘 40m)
緩やかなフェースに入るクラックに沿って登る。1pの出だしよりクラックは浅い。
難しさはなく、快適な登攀。無駄にカムを決めながら登る。
このピッチもハイマツ帯に入って少し進んで、ハイマツのシュリンゲの終了点で区切る。
3p( 30m)
ハイマツ帯を一段登ると、ツルンとしたスラブが現れる。
どうやら、前のピッチもトポでいうところの4pの途中まで登ってしまっていたようで、このスラブがトポの5ピッチ目(マッチ箱の手前)だ。
右のガバと左のリッジをがっつり掴んで、細かいスタンスを頼りに右側を回り込む。
残置は多いが、それ通りにいかず右寄りにルートを取った方がよい。
フェースを越えるとリッジとなり、一番上までいくと懸垂ポイントに辿り着く。
マッチ箱のコルへの懸垂(10m)
残置シュリンゲで懸垂下降。
samoaは真コルに真っ直ぐ降りようとしてしまい大失敗。足が滑るは振られるはで難儀した。
Dガリー奥壁側に降りるのが正解。
失敗すると多少振られてしまうが、なるべく上側に降りると、次のピッチが短くなり効率的。
ただ、振られ対策にバックアップは取った方がよい。
4p (掘 50m)
マッチ箱の真コルからフェースを20m登り、左に少しトラバースして、ルンゼを20m登る。終了点は枯れ木。
トポによると本来、2ピッチなので、フェースとルンゼで区切るのだろう。
5p ( 10m)
城塞ハングのチムニー下に向けて、リッジを掴んでトラバース。
噂通り、高度感でお尻がスースーする。
ちょうど、奥壁を上がってきたパーティーと城塞ハング下で一緒になるので先に登ってもらう。
6p 城塞ハング(検 15m)
かぶり気味のチムニーを登る。
チムニーのセオリー通り、中に入り過ぎないでスタンスを上げていく。
支点は豊富なので、ヌンチャクかけてA0で容易に突破できるだろう。
ハイマツが終了点。tentyoもフォローで登り、登攀は終了。
ピークまでは15分ほど歩かなければならないが、ここまで辿り着けた喜びはひとしおだ。
休憩がてら登攀具を片付けて、再び重くなったザックを背負ってピークを目指す。
はっきりとした踏跡を辿り、稜線に飛び出すと仙丈と遠くに木曽駒が見えた。
そして、久方ぶりの北岳ピーク。13年前に初めて立って以来、4回目だが、あの時から憧れていたバットレスを登り立つことができた。
tentyoとがっつり握手。
結局、時折ガスはかかるものの、終始天気はよく、鳳凰三山、甲斐駒、間ノ岳、塩見、荒川三山といった南アの山々、富士山、丹沢、御坂、大菩薩、奥秩父、奥多摩、八ヶ岳と大体見えるものは丸見えだ。
ピークでの達成感を堪能して、八本歯経由で下ることにする。
紅葉入り交じる気持ちのいい景色を堪能しながら下る。
そして振り返るとさっきまでいたバットレスを一望することができ、感慨深い。
第四尾根には1パーティー取りついている。他にも2パーティーほど見える。
結局、今日バットレスにいたのは、5パーティーくらいで、第四尾根はほぼ貸し切りといっえもいいだろう。静かなバットレスを楽しめてよかった。
何度も何度も振り返りながら、二俣を経由して白根御池小屋に帰投。
適当にテントを撤収して、禁断のソフトクリームに手を出す。冷たさが体に染みる。
あとは、登ってきた急登を下り、広河原まで。
吊橋を渡って振り返ると、まだ北岳の姿を望むことができた。
行きと同様、乗合いタクシーで芦安まで戻り、温泉で汗を流し、さっきまでピークから見ていた山々を見送りながら京都への帰路についた。
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