【風作戦】風布〜長瀞アルプス〜破風山【風布みかん山・葉原峠・御嶽山・天狗山・宝登山・破風山】
- GPS
- 10:05
- 距離
- 35.3km
- 登り
- 1,489m
- 下り
- 1,426m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
復:西武鉄道西武秩父駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況:波久礼から野上までの道はよく整備されたハイキングコースか舗装された林道。長瀞アルプスの道も歩きにくくはないが、宝登山直下は急坂。破風山も急坂注意。凍結は殆どなし。 登山ポスト:なし。 下山後の温泉:星音の湯 |
写真
感想
風流人を自称する私のヴァンデルンク(徒歩旅行)は花鳥風月を大本とする。
清少納言の「春は曙、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて(早朝)」ではないが、春は梅・桜に始まり夏は新緑に滝沢、秋は紅葉、冬は雪に日だまりと年中遊び回っている。その結果、家の中は荒れ放題で家庭も省みないといけないなと思う今日この頃。一人家庭だけれども。
そんな私はここ数年、2月は宝登山に蝋梅を見に行くのである。初めて訪れた時には黄金色に輝く蝋梅に感嘆し、和歌を詠んだものである。
しかし、いつも同じルートではつまらないので、新春の足慣らしも兼ね、長瀞アルプスを追加。さらに、行きたいと思いつつも、立地や時間の関係で長らく行くことができなかった秩父・下吉田の星音の湯をゴールに設定。その途中に破風山を織り込む。最後に、野上・長瀞周辺で下車するというのがどうもしっくりこなかったため、もう1コース追加。
今回のコース設定では、西武鉄道作成のハイキングマップを大いに参考にさせてもらっている(3コース分)
最近は、午前3時台に起きて家を出るのが続いたが、今日は4時半頃まで寝ることができた。自転車で遠くの駅まで疾走することもなく、最寄駅から電車に乗る。車内では誰にも憚ることなく大きなしゃっくりをしていたのが耳障りだったが、比較的よく眠れた。
それも途中から電車が進むにつれ、だんだんと寒くなってくる。秩父鉄道波久礼駅で降りた時には、ここは氷点下何度なんだという感じで、記録写真もろくに撮っていられない。とにかく体を動かして早く暖まろうと先を急ぐ。これで山の上なんかにいったらどうなるんだ?コートも手袋も身に着けない私としては、ここが踏ん張りどころだ。
荒川を渡って、風のみちに至るまでの間に第一の落ち着きを得る。これは、当初体が硬直して無駄な力が入っていたのがほぐれてきたということである。
風のみちは風布川沿いに伸びる小径で、飛石等で川を渡るポイントが何ヵ所かあったり、この地域特有の石敷の道になったりと、なかなか面白い。また、まだ山道ではないので歩きやすくもある。取っ掛かりとしては良い道を選んだものだと我ながら関心する。
風のみちを出て、少しばかり車道を歩くと日本の里に到達する。
日本(やまと)の里とは、水と清流を活かす河川浄化運動のモデル事業として、また、ふるさと創生の一環として、風布川流域の自然を守りながら、その快適な環境の中で心の安らぎを求める名水の里のシンボルゾーンとして風布川流域の一角約1haの用地を取得整備したものだそうである。ふるさと創生というと竹下元首相だから、整備して20年位となる。
その入り口にあるのが姥宮神社だ。創建から結構経っているようで、狛犬ならぬ狛蛙が控えているのが、その土地との密接な結びつきを感じさせて良い。裏手に胎内めぐりなるものがあり、慎ましやかなものではあるが、真に有り難いことなので、早速巡らせてもらう。物には触れてみよ、人には添うてみよだったかな?最近、子供に危険を冒させない親がいると聞くが、虎穴に入らずんば虎児を得ずだ。私は平均的な日本人より背が低いということもあって頭、背中ともにぶつけることはなかった。身長170cm超だとどうなるかわからない。
少々腹が減ってきたかなと思いつつも、日本の里の売店はまだ開いていないので先に進む。ゲート近くに蝋梅の木が一本、その枝を花で輝かせていた。今日の主要目標である宝登山の蝋梅園にも大いに期待できそうだ。
みかん山へ向かう。みかん山とはいっても山の斜面にいくつかの農家がみかん園を展開させているからで、おそらくみかん山という名称の山があるわけではないだろう。ちょうど陽光も暖かくなってきたところで、エンジン全開でヘアピン道を登る。市場への出荷もやっているのだろうが、観光農園的なサービスも盛んにやっているようだ。後者の方が実入りはよいのだろう。みかん栽培の北限らしいが、実も大きい。鳥がたくさんいるのは木が多いというだけでなく、みかんがそこにあるからなのだろう。みかんと言えば、和歌山、愛媛、静岡が有名だが、埼玉のみかんも試してみたくなった。さすがに渇しても盗泉の水は飲まずで、道に落ちている実にも手をつけないのが良識と言うものだろう。
ある程度登った所に秩父大師玉泉院の案内があったので寄っていこうと右折する。早速堂宇と神社が並び立っていたので参拝するが、ここは秩父大師ではなかった。
秩父大師まで行っていたら当初のルートを大いに外れていたことだろう。
そこでは秩父事件が顕彰されていた。「顕彰」というのは良い意味で使うイメージがあるのだが、この事件は果たして肯定的な評価ができるだろうか。表面的な理解で物事を評価すると、秋葉原無差別殺傷事件の加藤や元厚生事務次官を殺そうとした小泉を賞賛するノータリンと同類になってしまう。しかし、テレビ等で「怒らなきゃダメだ」等と無責任なコメンテーターが煽る割には、特段目立った示威行動が起こるわけでもなく、また、祝日等に反対する小規模な集会が報道される一方で、政権を批判する数千人規模のデモがマスコミに取り上げられない現状を見るにつけ、このような事件が顕彰されてもよいような気がしてくる。
神山征二郎監督の映画『草の乱』はお勧めである。
と往時から現代まで思いを巡らせながら元の道に戻る。再びクネクネした道を登ると、みかん園の中を歩く道から、様々な種類の木が植えられている中を歩く道に変わる。名門埼玉県立浦和高等学校同窓生が植林しているらしい。何年か後には、さらに木々が生い茂るのだろうが、この日は道路から北方がよくみえた。
植林帯を抜けると葉原峠に至る。本当に小ぢんまりとした峠である。思えば、車の往来も殆ど無いと言ってよく、非常に落ち着けた。展望はルート全体で楽しめばよい話だ。
この峠には林道と垂直に交わる山道がある。どこに通じているのかわからなかったが、また来る際は、この道を歩きたいものだ。
その後は長瀞方面へ向けてひたすら林道歩きとなるが、社の後ろにどでかい岩が鎮座まします岩根神社や西方の盆地・連山が広く見渡せるポイントがあったりと、厭きることはない。
昼頃に再度荒川を渡り、秩父鉄道野上駅を経て中盤戦へ。昼食は本日のメインである宝登山でとることにし、市街地を抜けて萬福寺近くから所謂長瀞アルプスに登り始める。アルプスと言っても200〜300m程度なのですぐに尾根に上がることができる。今年行こうと考えている南ア方面もこんな感じなら良いが。
尾根上は木々が全て落葉し、枝間から右も左もよく見通せる。しかし、5月あたりから葉が生い茂って展望は無くなるのではないかと思われる。しかし、展望がなくなっても森林浴もまたオツなもの。春夏と秋冬で別の楽しみがあると考えることもできよう。
途中、天狗山方面分岐があったので寄り道する。御嶽山及び天狗山には、それぞれ社祠があって、天狗山頂にある山の全体図では両山及び中間にある三笠山の三山の麓から頂に至るまで至る所に神が祀られ、地元民の土地と密接に結びついた信仰の篤さを感じる。
来た道を戻り、宝登山への道に復帰する。途中、車道に出たが間もなく山頂直下の山道へ。階段に次ぐ階段の急な登りで何十人も団子状態である。その後ろについたわけだが、どうも先行が難儀しているようなので、空いているところを姿勢を保ちつつガシガシ登る。さすがに汗がどっと噴き出す。汗まみれになりつつ山頂に到達。正面から登ってきた人も含め、多くの人が黄色に輝く蝋梅を愛で、或いは弁当を広げて憩っている。私も宝登山神社奥宮に参拝の後、食事処で休憩する。
宝登山は神社が秩父三社の一つであるほか、蝋梅でも有名である。蝋梅が開けた南側の斜面に並び、その下には白梅・紅梅の木々があって、一部は既に花を咲かせている。また、東側の荒川沿いの街並みや外秩父の山々も見渡せる。前回行った時は少々盛りを過ぎていたが、今年は盛りのはしりといった感じで、一番良い時期に訪問できたと思う。
宝登山を辞して、静かな山道を南へ下る。にぎやかな山頂とは打って変わって通る人もいない。殆どの人は正面へ降りるか、長瀞アルプスを北上するのだろう。
県道に下りて、暫くは車道歩き。時間は何とか持ちそうだ。今日の終盤戦に入る。
風戸登山口から破風山へ。さらに西へ行けば水潜寺及び秩父華厳の滝経由の道もあるが、下吉田へ抜けるルートから大きく外れるので今回はパス、城峯山辺りに行く際に組み込もう。
特段歩きにくくもない道が続くが、こちらも段々と岩岩しくなってくる。そして最後に現れたのが猿岩である。見るからに登れそう、否、登れと言わんばかりの姿である。早速登ってみるが、螺旋階段のように岩を巻いて上っていける。何も遮るものがない光景を楽しみたければ上ると良いと思うが、岩上及び下りる際は足元注意だ。
猿岩から山頂へはすぐである。小さな、赤い祠に一礼の後、改めて秩父盆地を見渡す。今日は展望尽くしだ。田んぼが広がり、まるで散居村のようだ。
山頂について以降は入浴が目当ての歩きなので、一種の消化試合みたいなものになるが、それでも、途中の夕日に照らされた南面に開けたミカン畑や、断崖の間を流れる川等々、見どころはまだ残っている。
途中、かつての秩父事件の蜂起現場となった椋神社から県道に出たところ、警察が規制線を張っていた。事故か事件か。「それでもボクはやってない」とよそ者である私はそそくさと現場を離れる。後から埼玉新聞で確認したところによると、この日の「午後1時50分ごろ、皆野町野巻の県道で、ダンプとバイクが衝突、男性が死亡」とのことであった。見たところ、殆ど真っ直ぐな道だったので、居眠りか何かだろうか。現場の感じから重傷者か死者が出ているような感じはしたので、手を合わせておく。
最後は秩父市下吉田の「星音の湯」に入る。この湯は、まず、名前が良い。そしてタオル・バスタオルが必ず付いて700円(17時以降)だ。確かバイエルとかいうホテルがやっていたような気がする。シャンプーとリンスは別で、ボディーシャンプーのほか固形石鹸も用意している。外湯は2種類あり、看板に偽りがないよう、空を広く見ることができるようにしているが、湯船の位置またはひさしの幅をもう少し工夫しても良いような気がする。それでも、夜空に星が何個も見えた。
帰りは無料シャトルバスで西武秩父駅へ。コストパフォーマンスはかなりよい。
盆地の真ん中にあるので、山行とのコラボが少々難しいが、車で来た時など、有効活用したい。
今回はやや中長距離の山行となったが非常に満足できるものだった。今後も引き続き健全山行に努めてまいりたい。
〜おしまい〜
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