南八甲田 横岳・櫛ヶ峯
- GPS
- 64:00
- 距離
- 31.0km
- 登り
- 1,937m
- 下り
- 1,693m
コースタイム
2月20日 9:00テント場-大湿原-11:30笠松峠-13:00酸ヶ湯ゲート
天候 | 19日晴れ、のち曇り、そして晴れ。 20日深夜から吹雪、朝ガス、下山後晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
横岳上部ガスと強風のため視界不良 横岳南尾根すごい強風(雪庇のためとても広い尾根に見える) |
写真
感想
昨年3月上旬、N田さん、I澤さん、F本さんの4人で南八甲田(城ヶ倉〜横沼〜がちゃぽち〜櫛が峰〜黄瀬萢泊〜乗鞍岳〜ニセ駒〜傘松峠〜酸ヶ湯)を縦走した。私にとっては、積雪期初めての南八甲田縦走で、参加するのにかなり勇気が要ったのを思い出す。1日目は天候に恵まれず強風が吹き荒れた。結局、櫛ヶ峰は1350メートルほど登って下りた。テントの脇にはブロックを積んで風を避けた。ただただ、後をくっついて歩くだけだったが、大先輩達と泊まり山行ができ、とっても勉強になった。2日目は、晴天に恵まれ乗鞍岳に登ることができ、うれしかった。大満足で下山したが、日が経つにつれて、櫛に登れなかったことが心のどこかに引っかかっていた。いつか厳冬期に櫛ヶ峰に登ろうと、目標ができた。
O澤さんから泊まり山行の提案があったとき、F本さんも私と同じことを考えていた。自分たちの力だけで縦走してみようと。櫛に再挑戦しようと。話はすぐにまとまった。
私は、大きな計画を言い出したのに、なにも準備をしないまま出発の日を迎えた。F本さんは、念入りに地図にメモをして、ルート図を作ってきてくれた。頭が下がる。
O澤さんの車を酸ヶ湯に回し、二人が城ヶ倉へ到着した。ありがとうございます。天気はまずまず。時折、太陽が顔を出す。樹氷の様子が次第に変わり、順調に横岳頂上に着く。でも、そこはもう、笑顔ではいられないような強風。もっと前に、中に一枚に着るとか目出し帽をかぶるとか、対策をしなければなかった。地図から状況を予測して行動するということが自分たちには欠けていた。春のような陽気に、油断したまま突入。南尾根を下りるが、あまりの強風で吹き飛ばされ、体勢を崩すこともしばしば。スキーごと雪庇側へ押され、悲鳴をあげる。左足が山側のままずっと下りていると足が疲れてきて、反対方向へ体勢をかえたいが、強風で顔が痛くてできない。尾根は雪庇で広く見えるので、要注意。F本さんのスキーの跡を外さないように、慎重に下りる。やっとこさ下りたものの、体はものすごく冷え切っていて震えが止まらない。休憩してフリースを着て、おだんごをを口にする。
でも、まだ今日の行程の3分の1しかきていない。随分時間がたったような気がした。 気を取り直して、櫛ヶ峰に向かう。まだ体が熱くならないが、風が穏やかになり、心はほっとした。
しばらくて、目の前のピークに人影が見える。1人、2人、3人…4人。あっ。O谷さんたちだ!私たちを心配して、わざわざ逆川岳〜横沼〜逆川からこちらの横岳へルートに変更したのでしょう。ありがとうございます。冷え切っていた体が、少し温かくなってきた。「お〜い。」と声が聞こえる。お昼も食べず、すごいスピードでここまで来たようだ。私たちも一緒にお昼を・・・と言いたいところだったが、まだまだ長い道のりを考えると、そうはいかなかった。軽く言葉を交わし、今日一番の目標、櫛ヶ峰へと向かった。O谷さんたちのトレースをありがたく歩き、遅れた時間を少し取り戻した。辺りは、ガスって方向がいまいちはっきりしない。それでも、F本リーダーは、しっかりと地図と照らし合わせて、指示してくれた。櫛の取り付きまできたら、昨年の様子が思い出されてきた。
さあ、いよいよ登るぞ!と意気込んだとき、O澤さんが、「ここで待ってる。」と言い出した。ここがメインなのに、何を言ってるの?ここまで来たら登らなきゃ。F本さんと説得する。結局、みんなでワカンで登ることにした。よかった。
ザックをデポしたので、足取りも軽い。太陽が徐々に顔を出し、八甲田の山々が見え始めた。俄然、意欲が湧く。急な登りで頂上が見えず、何回もだまされるが、3人で先頭を交代して登る。またまた、雪庇側に近寄りすぎないようにF本さんの指示が飛ぶ。ああ、やっと頂上。ついに来た。今までとは何か違う。全員がそう感じたと思う。
下山も写真を撮りながらゆっくりと、喜びで満ちあふれていた。本当に3人で来れてよかった。
あとは、目指すはニセ駒。F本さんは、あと1時間くらいと言うけれど、見た感じは、ちょっと遠いぞ。ゆるい樹林帯の登りで、風もなく、ゆっくりと進む。時間が経つにつれて、天気が上がってくる。雲も取れて、北八甲田が全開。写真を撮りまくる。あぁ、山の神様、ありがとうございます。
16時、絶景が広がる樹林帯にテントを張る。風は冷たくやっぱり厳冬期だが、太陽が出ているだけで幸せ。風にテントが飛ばされないよう、気をつけながら設営した。F本さんは、すぐ水用の雪も確保し、冬山に手慣れていた。
一段落し、テントから出てみたら、夕焼けに染まる櫛ヶ峰の姿。来てよかった。これだから、山はやめられない。贅沢な時間が静かに流れる。いつまでも眺めていたいような景色と出会え、最高の一日だった。
夜は、F本さんの作ってきたルート図とにらめっこしながら、今日の山行の反省会。ここには書けないようなだめ出しがたくさん!それを自分たちの教訓として、またこれからも頑張る。そう、今日ここまで来れたのは、天気が味方してくれただけのこと。お天気に感謝。
夜は、青森の夜景がきらきらと輝き、お月様も絵に描いたような美しさだった。優しく語りかけてくるみたい。とてもいい気分で眠りについた。
朝起きると、雪が随分積もっているようで、テントの裾が押されている。顔を出してみると、やっぱり・・・ガスって真っ白。が〜ん。今日は、天気がよければ駒ヶ峰まで行く予定だったのに。
初心者マークの私たちは、安全に下山することを考え、駒ヶ峰を諦め、湿原を通って石塚ポールまで行くことにする。ここでも、F本さんが作ってきてくれたルート図が役に立つ。天気が悪いときほど、現在地も特定できないし、地図を読むのも時間がかかる。予め、ルート図を作ってくると、心強いし、何かあったときも素早く対応できると改めて感じた。
ひたすら、地図通りコンパスを合わせ、進む。
ザックの中から電話の呼び出し音。慌ててでてみると、I澤さんからだった。昨日、乗鞍岳へ登り、泊まっていたみなさん(N田さん、Y崎さん)、駒ヶ峰へ向かっているとのいるとのことだ。私たちを心配して、こちらへ向かってくださったのでしょう。ありがとうございます。
ガスの合間に石倉岳が確認できた。もうすぐ傘松峠。そう思ったとき、一人のスキーのトレースが・・・。絶対、O谷さんだと思う。きっと、心配で迎えにきてくれたのかな。
この跡を辿ればいいか迷うが、他人のトレースを当てにしないと常々言われているので、コンパスを信じ、進む。
迷ヶ岱に出て、青い標識が見えたとき、F本リーダーは、今まで張り詰めていた緊張がほどけたと言っていた。がくんと疲れがでたことでしょう。でも、あと1時間半の歩きが残っている。O谷さんのトレースが見え隠れして、その温かさに感謝しながら進む。ゲートに着いたとき、ほんとにO谷さんだろうかとどきどきした。やっぱり車があった。私たちは、無事に旅を終えた喜びよりも、O谷さんの優しさに静かに車の雪を払い、感謝の言葉をつぶやくだけだった。
たくさんの方に心配してもらい、助けてもらいながら、なんとか無事に山行できました。感謝の気持ちでいっぱいです。ステップアップできたが、まだまだこれから。たくさんの課題も見つかりました。少しずつレベルアップしていきたいと思う。これからもまた、よろしくお願いします。
数日後・・・
鼻の右側が黒くなり、鼻をかんだら、水ぶくれがやぶれたのか、皮がむけた。これって凍傷?初めてなりました。やっぱり厳冬期。油断大敵でした。
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