燕岳往トレーニング山行
- GPS
- --:--
- 距離
- 9.5km
- 登り
- 1,406m
- 下り
- 1,391m
コースタイム
実働時間6時間45分 休憩時間2時間40分
総行動時間9時間25分(5:45出発-15:10帰着)
有明荘入浴料,600円
過去天気図(気象庁) | 2007年07月の天気図 |
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アクセス |
感想
燕岳トレーニング山行
7月8日(日)
5:45中房温泉P出発。同登山口6:00発。同28第1ベンチ着。同35発。7:00第2ベンチ通過,予定より1時間早い。7:25第3ベンチ着,15分の休憩。
今回のトレーニング山行は、8月2日〜6日の『北アルプス・夏の子ども冒険登山』参加者のためのもので、子ども達の参加を想定して時間をゆったりとってあったが子どもの申込者なく、参加者は足が揃った『境界線』メンバーのおとな3名なので、ここまで予定を大幅に短縮して順調に進んで来た。天気曇り。
第3ベンチで15分休んで7:40発。8:07富士見ベンチを通過。富士見ベンチは合戦ノ小屋前の急登に設けられたベンチ。かなり標高を稼いでいるので、このあ辺りから南西〜南々西方面に大天井岳〜横通岳のラインを見ることが出来るようになる。常念岳に抜ける縦走の場合は大天井岳で幕営となる。残念ながら常念岳はガスの中。
その稜線付近はすっかり晴れているが、その下には雲海があって安曇野からは見えていないと思われる。こんな風に上は晴れていても下界からは山が見えないと言うパターンが夏には多い。
今朝は3時半起床。5時に穂高の『鐘の鳴る丘集会所』に集合。天候がハッキリせず、梅雨の最中なので雨も予想されたが、中房温泉の登山口に着く頃には空が明るくなり、雨の心配はなくなる。
7月に入って、表銀座のこの人気コースはさぞかし登山者で溢れ返っているだろうとの予想に反して駐車場はがら空きで、同時に登る登山者は3組程度だった。
合戦小屋着8:37。小屋の周辺は人影もまばら拍子抜けするほど。2年前のトレーニング山行の時は大変な賑わいで、1切れ(八つ割り)800円也のスイカが飛ぶように売れていたが、それは今回より1週間あまり遅い7月17日だった。なので来週の3連休あたりから混雑するだろうことは間違いないと思われる。
天候も好転し、思わぬ梅雨晴れの静かな山旅となった。20分休んで8:57合戦小屋出発。9:15合戦ノ頭通過。最後の樹林帯を抜けて合戦ノ頭まで登ると燕山荘の建物が見えて来る。
いつもながら,その年初めてのアルプスの前には重苦しい気分に襲われて、何かの理由をこじつけて日延べするか、止めてしまいたくなる。とりわけ今年は冬山にも春山にも入らず、今回が初めてのアルプスだったので余計気が重かった。
1歩踏み出すとその気持ちは跡形もなく消えてしまうものなのだが、何年経っても慣れないものだ。だがそれは悪いことではないと思っている。
まもなく今年初めてのアルプスの稜線に出る。涼しかった樹林帯が終わると幾分陽射しが強くなり暑さを感じるようになるが、視界が広がる爽快感は何者にも代えがたい。
コイワカガミ考
樹林帯のかなり標高の低い所から、花が終わった直後で花穂が立ち上がったままのコイワカガミが見られた。コイワカガミと言えば光沢のある赤〜赤緑の葉が相場であるが、ここでは緑鮮やかで艶やかな若葉が多く、それが目を引いた。
花が終わると赤茶けた葉も新しい葉にとって代わられるのだろうか・・,と訝しく思いながら歩いて来たが、稜線に出ると赤と緑の混じった見慣れた葉のコイワカガミが、今を盛りとピンクの可憐な花を咲かせているのが見られた。雪が融けたばかりのところで葉が赤茶けているのは雪焼けの名残りなのか,そして、標高の低い樹林帯の葉が鮮やかな緑色なのは、陽射しが弱い場所からなのか、それとも花が終わると葉が新しく生え変わるからなのだろうか・・。謎は謎のまま残こしておいて、二通りの花のあり様を楽しむ。
合戦ノ頭から上には雪があるから気をつけろ,と脅されていたが、雪は本当にあった。おかげで雪解け直後の芽吹いたばかりの緑と咲いたばかりの花に会うことが出来、その中には8月のアルプスでは見ることのない花があった。ミツバオーレンもその1つで、オーレンの仲間を見るのはこれが初めて。
雪が解けたばかりの湿った草地にはショウジョウバカマが咲いていた。平地のものに比べるとムラサキが強く鮮やかな感じがする。春先の雪を割って咲くショウジョウバカマももちろんいいが、それをもう一度見ることが出来るのは夏山ならではこその楽しみだ。
ブログを見ていると、西から東から,あるいは北から南から、それぞれの土地の季節の花がアップされる。それはそれで喜ばしいことではあるが、アルプスでこそ見たい花達が季節を先取りしてアップされると、何だか取り残されたような気分になり、アルプスの雪解けが余計に待ち遠しくなる。今年もようやくその時が来た。
8月のアルプスではあまり見ることのない花は他にもあった。イワウメもその一つで、想像していたより花が大きいのに戸惑う。他にもコケモモやオオバキスミレが見られた。サンカヨウも8月なら丸い3つの実をほうばっては、ペッ,ペッ,と吐き出すだけだが、今の時期はフレッシュな花を見ることが出来るのだ。
稜線で見たサクラはミネザクラ(タカネザクラ)だろうか・・? 後で調べると、ミネザクラは花柄や葉柄に毛がないのが特徴だそうだ。それがわかっていれば詳しく調べたものを・・,
ミネザクラ(タカネザクラ)
バラ科サクラ属 本州中北部、北海道の亜高山から高山帯に生える落葉小高木。花は5月下旬から6月,花と葉が同時に出る。高さ2〜5mくらいの樹高が多いが、幹が斜め広がり、いかにも雪や風に耐えそう特徴的な樹形になる。
タカネザクラ
ダケカンバ等と同様に多雪に耐えることが出来、ミネカエデやオガラバナなど共にダケカンバ帯を代表する樹種である。遅い融雪を雪の下で待ち、消雪直後に次々に花をつける。凹地や風背斜面などでは7月のサクラとなる。
と言うのが図鑑などの説明である。
ノウゴウイチゴ考
山地や高山帯の草原に生える多年草で太い根茎を持ち、長い走出枝(ランナー)を出す。葉は3小葉からなる複葉で粗い鋸歯がある。花は径2cmほどで、栽培種のオランダイチゴによく似ているが、普通,イチゴの花の花弁は5枚と相場が決まっているのにこの花の花弁は7〜8枚で、これが見分けのポイントとなる。登山道脇の日当たりのよいところで地面を這うように生えているのがよく見かけられる。
ところが・・,今春,我があまってら農園で7枚の花弁をつけているオランダイチゴを見つけた。その数も1つや2つでなく相当数にのぼった。
説明にあるようにノウゴウイチゴとオランダイチゴの花は非常によく似ている。そこで、両者は共通の祖先を持つ近縁種で、我が農園の7枚花弁のオランダイチゴは先祖返りではないかと言う仮説を立てて見た。本当のことは分からないが、自然界には分からないことや例外がいっぱいあるものだ・・。
他に、シナノキンバイは湿性お花畑の代表格で、ひときわ大きく文字通り金の杯のごとく輝くような派手な花びらを持つので一目でわかり、間違うことはない。まともに撮るとハレーションを起こして飛んでしまうか、逆に暗くなってその輝きを写し撮ることができにくい。
合戦ノ頭からは所々に残雪があり、また雪解け水で流された部分を修復したばかりと言うところもあるが、概ね道は良好に保たれている。山荘直下の分厚い雪の壁につけられた階段を登って、予定より2時間早く9:55燕山荘に着く。
燕岳を燕山荘側から見ると、安曇側と野口側の天候が稜線ではっきりわかれて稜線を境に安曇側にガスが湧き立つことが多い。
燕岳は稜線全体が花崗岩の山で、あちこちに特異な形の白い岩峰が見られ、中には恐竜の背を思わせるようなものもある。
展望を楽しみながらゆっくり歩いて10:45山頂着。滅多にないことだが、予定を大幅に短縮しているのでここで1時間もの昼食休憩をとる。先着者数名と東沢から登ってきた単独の男性1名に会うのみ。
燕岳のすぐ北隣には東沢乗越を隔てて餓鬼岳に続く岩峰がわずかに見えるだけで、以北の後立山連峰はまったく見えない。高瀬の渓谷を挟んで不動岳らしい岩肌が見え、そこから烏帽子,三ツ,野口五郎,真砂,ワリモ,鷲羽,三俣蓮華へと連なる裏銀座の山々が、頂上に幾分雲を戴きながらもよく見えている。またワリモ岳の北には水晶岳が,鷲羽と双六の間遠くには黒部五郎が覗き,槍の右手奥には笠ヶ岳も見えている。
眼下には高瀬渓谷が深く切れ込み、最上流部で硫黄岳の不気味な山肌が渓谷を湯俣川と水俣川の二つに分けて、その合流点には湯俣温泉が隠れている。
一方,南側を振り返ると燕山荘の向こう,大天井に続く稜線を境に安曇側から吹き上げるガスがくっきりと稜線を浮き立たせてさながら万里の長城のごとく連なる。常念はそのガスに遮られて見えない。
上高地を隔てて槍・穂高連峰の大山塊は青くかすんで見えるのみである。その上空を雲が激しくちぎれ飛んで何やら騒がしい。
以下,11:40発,燕山荘12:10。10分後の12:20,下山開始。12:50,合戦ノ頭通過して13:00合戦小屋着,休憩。13:20発,飛ぶように下って第3ベンチ13:57。同14:05発,第1ベンチ14:35着。14:45発,登山口15:01,駐車場着には15:10に帰着。
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