キリマンジャロ5895m ロンガイルートから
- GPS
- 128:00
- 距離
- 70.2km
- 登り
- 4,339m
- 下り
- 4,405m
コースタイム
天候 | 1日目 曇りのち雷雨 2日目 雨 3日目 曇りのち雨 4日目 曇りのち雪 5日目 快晴 6日目 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
飛行機
https://www.zaratours.com/ 相場よりかなり割高だが、一人での参加にも拘わらずHPに見積もりが最初から載っているので安心感があった。Lonely Planetでも紹介されている優良企業である。 ロンガイルートは静かだと聞いていたが、マウエンジターンハットから先はかなり混雑していた。最繁忙期なので仕方がないかもしれない。 ダイアモックスは2日目〜4日目の3日間服用した。服用しないときは3000m台でも具合が悪くなったことがあるが、服用した時は6000mまでぴんぴん。私には合っているようだ。 一人での参加だと終了後のチップが悩ましいところ。ガイド、ポーターをはじめ悪天候下でみな頑張ってくれたので、結構な額を奮発した。後悔はしていない。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
整備状態は完璧で何も心配はいらない |
写真
感想
12/30(金) 一日目:曇り一時雷雨
ロンガイ登山口(2070m)14:30〜17:15シンバキャンプ(2670m)
はるばるタンザニアまで来た翌日の登山スタートである。一か月前に喉の手術をした上、その後風邪をひいて一か月以上も咳を引っぱっているが、ここまで来てしまったら行くしかない。
スプリングランズホテルは大きな宿で山登りに出発する人でごった返していたが、ロンガイルートから登るのは私とノルウェー人のパーティだけだった。ほとんどの人はマラングルートのピストンだそうだ。ロンガイルートはとても静かだそう。四日ほど前に降りてきた徳永夫妻にホテルで偶然お会いして話を聞いたのだが、同じ行程だったのは五人だけだったそうだ。
途中食事をして登山口に着いたのは二時前。二時半にスタートだったが、今日は三時間の行程なので大丈夫だ。最初の一時間は松林を切り開いた林道的な道で、道端にジャガイモ畑がずっと続く。民家も点在し、生活道路と兼用である。それをすぎるとようやく山道になる。整備は非常によく、それにもかかわらずこれほど人が少ないのはとても不思議だ。
途中休憩していると、雷が鳴って土砂降りになった。昨日から天気が安定せず心配だったのだが、やはり降られてしまった。ずぶ濡れになってシンバキャンプに到着。初日からひどい目にあった。もちろんお山はまったくみえない。明日からの天気が心配だ。
テントは前室付きの非常に大きなテントでとても快適。標高もまだまだ低いので呼吸も楽だ。のびのびと過ごすことができた。
12/31(土) 二日目:雨
シンバキャンプ8:20〜11:50セカンドケーブキャンプ(3450m)
昨夜は結構な雨が降り今日もそれを引っぱって天気が悪かった。気持ちは沈むばかり。昨日のように服が濡れるのは嫌なので、今日はがっちり上下カッパで固めて出発した。天気が悪く見るものもないのでサクサク進む。植物もジャングルから灌木帯に変わり眺めがよくなってきたが如何せん天気が悪い。途中、洞窟があったのでちょっと休憩しながら遊ぶ。洞窟上に穴が開いていて首を出せば首人間の写真が撮れる。ノルウェー人たちは大盛り上がりだった。
洞窟からすこしで今日のセカンドケーブキャンプに到着。こちらにも洞窟があり、最初のやつよりも大きかった。ここでキャンプしたら快適じゃないかと思ったら昔泊まっていて崩落したことがあってから禁止になったそうだ。恐ろしすぎる。
今日は午後は雨が強まったり弱まったりで結局晴れなかった。タンザニアに入ってからあまりに天気が悪すぎる。ガイドは上の方は雪が降っているだろうとも言っていた。この先心配になってしまうが果たして大丈夫だろうか?
1/1(日) 三日目:曇りのち雨
セカンドケーブキャンプ8:10〜10:20キケレロワキャンプ(3600m)10:45〜13:25マウエンジターンハット(4315m)
今日は朝から少し晴れ間ものぞくまずまずの天気だ。しかしキリマンジャロは見えない。昨晩ガイドが私の行程を勘違いしていることが判明。今日は二つ先のキャンプまで行かなければならなくなった。昨日までの行程がやけに短いからおかしいなと思って確認したからよかったものの、このまま放っておいたら違うルートから登るところだった。ノルウェー人のパーティは7日間なのでここでお別れになった。
キケレロワまではキリマンジャロの北東の裾を巻いてゆくのであまり標高は上がらない。植物の丈が低いので天気が良ければ最高の眺めだろうが、今日はキリマンジャロの山頂部が一瞬姿を現しただけであった。山体があまりにでかくてビビる。おまけにこの悪天候でかなり雪が積もっているようだ。不安だけが募ってしまった。
キケレロワからはマウエンジ峰に向けてひたすら標高を上げる。植物の丈がだんだん低くなってくる。ロベリアなどアフリカらしい植物もあるが、ウガンダのルウェンゾリに比べると貧弱なのは否めない。やはり降雨量の違いと、火山なので水はけがよすぎるのだろう。ルウェンゾリはどこもかしこも深い泥泥で覆われていたが、キリマンジャロはこれだけ雨続きなのに水溜まりもあまり出来ていない。
キケレロワを過ぎると雨がひどくなってきた。4000mを超えるとさすがに苦しくなってくるが、猛烈にゆっくり登ったので高山病は全く出なかったのは良かった。ダイアモックスも効いているかもしれない。
マウエンジターンハットはものすごい人だらけで、自分のテントを探すのに苦労した。ゆっくりの割に5時間ちょいで到着してやれやれ順調だったなと思っていると、とたんにものすごい雨になって、大急ぎでテントに入った。明日からがますます心配だ。体調がすこぶる良いのにこの天気はもったいなさすぎる。あとは天気さえ良くなってくれればよいのだが…
1/2(月) 四日目:曇り時々晴れ、一時雪
マウエンジターンハット8:15〜11:40キボハット(4700m)
昨晩は思わぬことに日没後晴れわたり、ピラミダルなマウエンジ峰も見え、夜はこれでもかというほど星が見えた。このマウエンジターンハットは素晴らしい立地だ。高山病が出るとすると今日だと警戒していたが、幸い体調も絶好調。今日はようやく雨なしで歩けそうでテンションも高いが、やはりガスが多くキリマンジャロの本峰は見えない。
昨日のルートを少し戻り、マウエンジの前衛峰を巻いて超えるととんでもない広い大地に出た。あとはこの大地を延々と歩くだけである。目標のキボハットも遥か彼方に見えているが、いかんせんあまりに広いのでなかなか近づかない。ときどき日が差したり、巨大なキリマンジャロ本峰がちらりと見えたりして「おお」と声を上げる。
途中五年前に墜落したという飛行機の残骸があるポイントがあった。整地さえしてあれば充分着陸できるだけの敷地はあるが、さすがに凸凹のある状態で不時着できなかったのだろう。無残な姿だがこういうものを撤去せずに放置してしまうところがまたアフリカらしい。ガイドと記念撮影したりしながらのんびり進む。
しかしあと40分というところで雪につかまってしまった。今日は降られないだろうと思っていたが、そうは問屋がおろさない。ただ標高は4500mを超えたので雨ではなく雪なのがまだ幸いだ。ときどき前方が見えなくなるほどの吹雪に耐えながらなんとかかんとか登りキボハットにたどり着く。
その後は晴れたり雪になったりを繰り返し、やはり天気が安定しない。しかし今日までの傾向では全般に朝から昼前は天気が良い。明日のアタックは夜中出発なので、なんとか山頂では晴れてほしいものだ。
1/3(火) 五日目:快晴
キボハット00:05〜5:40キリマンジャロ・ウフルピーク(5896m)6:15〜8:15キボハット10:20〜12:40ホロンボハット(3720m)
こぼれんばかりの星空が広がっている中を出発。雲が全くない。天の川からサザンクロスから余裕で確認できる。昨日までの不安定な天気は何だったのだろう。火口壁にあるギルマンズポイントまでひたすら急な登りだ。富士山の登りにそっくりな火山灰と岩のミックスに登山道がつけられている。一番最初の出発になったが他のパーティも追いついてきて抜きつ抜かれつ登ってゆく。
どうもガイドのダミアンは登りが極端に苦手でスピードが出ないうえ、重心移動が不十分のまま次のステップに体重をかけるのでよく滑る。危なっかしくてしょうがないがゆっくり行くしかない。二言目にはポレポレだが彼自身のためである。ギルマンズポイントには三時間で順調に到着。ここからは火口壁を歩くが、新雪がかぶっていて道がよくわからない。しかしダミアンはさすが慣れていて(なんと登頂回数はこれが118)、難なく進んでゆく。山頂には無事到着。一番乗りかと思ったがマチャメルートからすでに到着したパーティがいてちょうど下山するところ、我々は二番だった(おまけにツアー会社は自分と同じZARA)。すでに東の空は明るくなっていたがご来光は四十分後だったので寒さに耐え切れず、写真を撮って下山することにした。
日の出はまさに荘厳で、巨大な氷河や火口をよく見ることができた。キリマンジャロの氷河は山頂部全面を覆っているものではなく、外輪山はほぼすべて露出していた。リムの少し下、それも一部のみからいくつか下方向へ発しているに過ぎなかった(だからクライミングギアなしで登れる山なのだ、七月くらいの富士山によく似ている)。ルウェンゾリの方が深刻だがこちらの氷河もそのうちなくなってしまう運命だろう。
それにしても次々と登山者が登ってきて、キリマンジャロの人気ぶりが伺えた。キリマンジャロ登山とは、結局三〜四日間のハイキング付きの富士山登山というような構成の大衆向け登山パッケージなのであった。そしてまた富士登山と同様、体調を崩して登れなくなって引き返したり、吐いたり、おんぶして降ろされる人も見かけた。難易度が低く巨大な丘といった風情だが、やはり標高だけはなめてかかれない。
砂走りの要領であっという間にキボハットまで下った。ポーターたちも大喜びだった。一寝入りの仮眠をして、食事後にホロンボハットまで下った。途中は昨日のグラウンドを横にかすめるコースだが、マウエンジとキリマンジャロ本峰を交互に眺めながらの贅沢な下りだった。ホロンボハットはジャイアントロベリアが点在する湿原の近くにありすごく良い立地。天気もいいので初めてポーターたちとも無駄話をして過ごす。キリマンジャロはタンザニア人なら多くの人は見たことはあるが、山頂にまで行ったことがある人はほとんどいない。何で世界中の人にこんなに人気なんだ?と聞かれた。形がいい山で、しかも道具なしで登れて簡単だから、としか答えられない。たぶん何で人は山に登るのかという根源的な質問だったと思う。
ホロンボハットのトイレは水洗で驚いた。しかし水を流すと貯水槽の下のホースが勢い良く外れてしまい、床に水がどっと放出されたので、もっと驚いた。
1/4(水) 六日目:快晴
ホロンボハット07:45〜10:25マンダラハット(2720m)10:50〜12:45マラングゲート(1950m)
最高の朝になった。この日は全く危険個所がないダラダラと下るだけのハイキングだった。マラングルートはキリマンジャロの眺めはあまりよくないが植生は素晴らしく、ロンガイとは対照的で面白い。途中のマンダラハットは森の中の素晴らしい立地で、癒された。
こうして無事キリマンジャロ登山を終えた。最初の悪天候は残念だったが、十分楽しめたしとても充実感もあってよかった。一方でキリマンジャロに登りながらルウェンゾリのことが常に頭にあった。思えばルウェンゾリ登山も前半は雨にたたられたが、あまりに現実離れした景色に毎日驚きの連続だった。泥が深くて、困難の連続だったのも今思えばよかった。一緒に苦労を共にした欧州人たちとのあの時の一体感も醍醐味の一つだったから。キリマンジャロに初めに登ったらもっと感動は深かっただろうが、あちらに初め登ってしまっては、アフリカの山の魅力はこんなものではないと思ってしまう。
ということで、ルウェンゾリより先にキリマンジャロに登ることを強くお勧めいたします。好みとして富士山が好きならキリマンジャロ、南アルプスが好きならルウェンゾリでしょうか。
ルウェンゾリの記録:2013/12/29
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-392740.html
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