雷鳥平から奥大日・大日岳



- GPS
- 22:41
- 距離
- 22.1km
- 登り
- 907m
- 下り
- 2,848m
コースタイム
24日 雷鳥平5:25-6:25稜線(2390m)-6:43室堂乗越-8:58奥大日岳最高点-9:22奥大日岳三角点付近-11:53(2409m)-14:26七福園-15:30大日小屋15:55-17:36大日平小屋-18:55牛ノ首-称名道路
天候 | 23日: 雨のち雪 24日: 朝のうち晴れ、曇りのち濃霧、一時雪 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
写真
感想
予報では23日の土曜日に気圧の谷が通過し、24日は弱い冬型で富山県はすっきりとは晴れないものの曇りとのことで、土曜は夕方室堂に上がって泊まるだけ、日曜に主行動の計画とした。
土曜日室堂付近は、昼間は雨だったそうだが、我々が着いた17時頃はガスっていてやや風があり、時折雪がパラついていた。室堂山荘までは竹竿が並んでいるのでそれに沿って進んだ。室堂山荘の裏から称名川の谷に下りようと思ったが、視界が悪く足元の雪面も見えない。崖におちたら嫌なのでより安全なルートとしてミクリガ池とミドリガ池の間を通ってから沢に下りた。スキー履いたままでロッジ立山連峰に到達。夜中も雪が降っていた。
日曜日、夜明け前から快晴で、新雪の上を素晴らしい稜線歩きと大滑走ができると期待して出発した。気温-5℃、立山の稜線から日が昇り、朝日に輝く奥大日、室堂乗越からは剱岳も見えてくる。とここまでは良かったが、奥大日岳への稜線をスノーシューで進むうちに、立山・浄土山に雲がかかりだしていやな予感がして来た。風も吹き出して遂に周りも曇ってきたが、奥大日岳最高点に着いたときはまだ視界が利き、ここで9時なので昼までに大日小屋で、余裕をもって降りられると思っていた。
奥大日岳三角点から先は急な斜面と痩せ尾根が出てくるのでアイゼンとピッケルとし、概ねくるぶしまでだが時々膝かそれ以上のラッセルとなった。ガスが濃くなって来て、尾根筋がはっきりしない所ではGPSで方角を確かめながら進むようになってペースが遅くなっていった。最低鞍部を過ぎると夏場に鎖場となっている箇所があり、以前5月には雪の壁を超えるのに怖い思いをしたが、今回はその鎖場斜面を左にエスケープするように雪の斜面が出来ていて、そちらから難なく超えることができた。七福園辺りで一段とガスが濃くなり、足元も見えない。風も一段と強まり、時々耐風姿勢が要る様だった。この時ほどGPSが有難いと思ったことがない。地図と磁石では方角は定まるが現在地特定に自信が持てずもっともっと苦労しただろう。大日小屋まで100m以内になってもどこが小屋か分からず、相変わらずうろうろしていた。小屋が見つかった時はほとんどその屋根の上にいた。小屋はまだ半分以上雪に埋もれ、小屋の屋根に「登る」のではなく、雪の斜面を下りて行くと屋根上に出る状態だった。
大日平へと下り始める時も、強風と視界絶悪で怖くてスキーが履けず、スノーシューのまま、ただ斜面の下の方へと歩いていく。2200m位まで下りると風は弱まったので、スキーに履き替えた。視界は相変わらず悪く、自分のスキーの先位はなんとか見えるが、雪面が全く見えない。とてもまともなターンは出来ず、歩く速度で斜滑降を繰り返す。2050m位からは少し視界が改善し、5-10m位先は見えるようになった。やはり雪面は見えないので斜滑降状態は変わらず、左に進んで雪崩のデブリが見えると切り返し、右に進んで樹林帯が見えると切り返す。何も見えない所では自分のスピードがよく解らず、止まったと思ったらバランスを崩して倒れる有様だ。遂には吐き気がして来たのは、目が利かずに三半規管が酷使されて乗り物酔い状態になったのだろう。人の後に着くと先行者のシュプールが見えて大分楽になると判り、先頭交替で進むことにした。1900m位で漸く50m位先が見え、斜度も緩くなってきてスキーらしい進み方になってきた。大日平の小屋辺りでは、これから行く牛ノ首方面まで見渡せ、雲は夕焼け色に染まってきた。ところが再びガスって視界不良となり、GPS頼りに牛ノ首を目指し、日没過ぎて牛ノ首に到達した。
さて牛ノ首から、下山道が称名道路に向かって下りて行く弛みに出ようとしたところ、一旦雪が切れて階段状の夏道が現れ、その先再び残雪が夏道を覆い、4m位の雪壁を作っている。ピッケル・アイゼンで攀じ登ると反対側も雪の壁で、その先にも乗り越えなくてはいけない雪壁がある。壁を横に逃げようとすると夏道を外れ、樹林の急斜面で行けない。しばらくルート工作をし、雪壁を10mほど下りて再び夏道露出部に出られることが分かったが、雪壁を落ちるとザクロ谷まで落差がある。雪の堅さは中途半端で、確保なしに下りるのは非常に怖い。そこで非常用に持っていた30mの8mmロープを出し、木の枝に中間支点を取って難を逃れることができた。このロープも今回たまたま持ってきて良かったと思った。後から地図を見て考えると、一旦戻って傾斜の比較的緩い所からザクロ谷側を下りて登り返しても良かったのかなと思う。その後はしご・固定ロープをつたって弛みに到達。
弛みからまた直ぐに夏道は隠れ、広大な雪の斜面となる。地図で読み取ると上部は45度位の傾斜だ。明るければ前向き踵キックステップでも下りられるかも知れないが、とっくの昔にヘッドランプの世界で、後ろ向きにピッケル支点で慎重に下りて行く。途中で雪が切れるかもしれないので、やはりGPSを活用して夏道を外さないように進み、結果的には最後まで雪の上で、称名道路に到達した。後は車に戻るまで、8kmの舗装路を辛抱して歩くだけだ。
今回は視界不良のため、異常なペースダウンと長時間行動を強いられた。普通ガスっても10m単位で先が見えることが多く、また最悪の時があっても時折先が見えたりするものであるが、今回は改善しない状況が長時間に渡った。楽しい筈のスキー滑降も見えないために怖いものであった。この次ここをやる時は、好天が約束されているときにしたいものである。
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