唐松岳
- GPS
- 23:19
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 1,138m
- 下り
- 1,117m
コースタイム
- 山行
- 2:52
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 5:02
天候 | 18日 晴れ 19日 吹雪き |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
コース通りなら危険箇所はなし ゴンドラのチケット売り場に登山計画書を提出 |
写真
感想
土日と晴天の予報の唐松岳。
久しぶりにテント泊を計画しました。
初日はいい天気で快調に登り、唐松岳頂上山荘の前を整地して幕営。
とりあえず山頂にも登りました。
翌日は早々に下山することにしてフロアレスシェルターに戻って休憩。
今回は象足にダウンパンツ、ダウンジャケット3枚重ねに夏、3季、冬用のシュラフを3枚重ね、ウレタンマットにエアマット、さらには使い捨てカイロと万全の寒さ対策で臨みました。
ところが18:00頃から風が出始めます。そのうち止むかも知れないと思いつつ寝ていると、風に伴って顔に小さな氷が降りかかります。シェルター内の結露した水分が凍って風にあおられて降ってくるのだと思っていましたが、いつになっても降り続けるので起きてみると、シェルターの通風孔から雪が吹きこんでいます。窒息防止の通風孔なので閉めることもできず、あっという間にシェルター内が雪で真っ白になっていきます。雪山でのテント泊でも初めてのことで驚きましたが、万全の寒さ対策をしているので寒くはありません。ただ、冬にビビィサックで外に寝ているのに等しく、シュラフはすぐに雪に埋もれてしまいます。仕方がないので10分ごとくらいに雪を払い落し続けますが、荷物は雪の底に埋もれてしまいます。
そのうち止むかと思っていた風はだんだん強さを増し続け、恐ろしい勢いで雪をたたきつけ、シェルターが飛んでいくのではないかと心配になってきます。いくら万全の寒さ対策をしていても、シェルターが飛んでしまったらどうなるか。小屋の前ではありますが、中には入れませんし、風を避けられそうな場所もなく、命の危険を感じます。そして1:00頃、ついにシェルターの端が風に飛ばされ、バタバタはためきました。幸い飛んで行ってしまうことはなかったのですが、竹ペグでペグダウンしていたシェルターの隅のプラスチック部品が欠損していました。ショベルとピッケルをアンカーにシェルターをペグダウンしましたが、今度はどこの端が飛んでしまうのか、はたまたポールが折れてしまわないか、生きた心地もしません。
雪まみれで、スマホやカメラを使おうとすると外にいるのと同じであっという間に雪が付着して凍結していきます。電波は通じるので天気予報を見ると朝方には風も収まるとのことですが、その前にシェルターが飛んでしまわないか心配になります。
シェルターが飛んでしまったら猛吹雪の中で荷物をまとめることなどできません。身一つで下山しなければならないでしょう。せめて荷造りだけはしておこう考え、3:00頃から荷造りをし、シェルターの中で待機します。まるでビバークです。
やがて4:30ごろになり、まだ夜は明けませんが、早く帰りたい都合もあり、行動して体を温めた方がいいとも思い出発します。しばらくはトレースもありましたが、テントがいく張りがしてあった場所から先のルートがよく分かりません。中々明るくならない中、停滞するのも危険だと思い、進んだ結果道に迷ってしまいました。すでに辺りは明るくなっていましたが、地吹雪のホワイトアウトで2,3メートル先も見えません。時たま風雪のまにまに前方に岩が見えるだけで、トレースはもちろん山容も全く分かりません。GPSを見るとルート上にはいるのですが、数十メートルも離れてしまえば地形も分からず、雪庇や崖の危険もあり、命の危険も感じます。
そして右足を踏み込んだところ、ズボッと踏みぬいてしまい、下を見ると大きな空洞が空いています。ここに落ちたら大変だと思い、あわてて這いあがったところ、荷物に引っ張られて背中から坂を転がります。しまった!と思いピックを打ち込みますが止まらず、ごろごろ転がり落ちます。このままだとまずいと思った瞬間、なんとか落下を止めることができました。4、5回転したでしょう。肝を冷やしました。
それから少し方向を変えて登ったところ、ようやくトレースが見つかりました。この時までどんなに心細かったことか。
その後も風は収まることはなく、一時は風速30メートル近かったと思いますが、耐風姿勢で風をしのがなければ体が飛ばされるほどでしたが、標高が低くなるについて風も弱まり視界も開け、スキー場ではスキー客がスノボやスキーを楽しんでいました。
今回非常に怖い思いをしましたが、いくつかの教訓を得ました。
当たり前のことではありますが、天気予報は当てにはできない。地上では快晴でも山では猛吹雪が吹き荒れていることがある。
どんな強風にでも耐えられるように、風防のブロック積み上げ、飛ばないベグダウンなど、手間暇を惜しまない。シェルターの通風孔には雪をシャットアウトできる通気性のある蓋をつける。
ホワイトアウトの場合は決して動いてはいけない。ましては暗いうちから行動するのは危険。単純なコースだと甘く考えたのが危険な目にあった原因。
色々考えさせられる山行でした。
命の危険を感じ、助かって、生きている実感をしました。今後の山行に活かしたいと思います。
takenakanoさん、こんにちは
コメントありがとうございました
レコ拝見させていただきましたが、写真見ただけでは普通のレコに見えたのですが、感想読んでびっくりです(๑⊙ლ⊙)
大変な思いをされたようですが、ほんと無事下山出来て良かったですね
これからもくれぐれも安全に気をつけ山を楽しんでください。
zo-roさん、こんにちは。18日の日中からは想像もできない暴風雪でした。
これまでも強風の中のテント泊はなんどか経験があるのですが、雪が吹きこんできたのは初めてのことでした。防寒装備をしっかりしていたので助かりました。備えあれば憂いなしですね。
たけさん…無事の帰還、おめでとうございます。
雪庇の踏み抜きも止まれる斜度でよかったです。
少なくとも西穂での体験でなくてよかった…
それから先日の講習会でヤマテン代表の猪熊氏の講義を受けたあと、書籍を購入したのですが…「山の天気にだまされるな!」って本で気象情報の落とし穴を詳しく解説しています。
奥駈の天気もヤマテンは見事に当ててましたし、気象の勉強は遭難対策の筆頭だと確信しました。
いろいろと雪山は怖いですが…止められませんね(笑)
やまさん、こんにちは。
やまさんのことを無謀とはいえませんね。(苦笑)
踏みぬいたのは雪庇ではなく、岩盤に沿って広く雪が溶けて空間になったクレバスのような所でした。他にもこのような場所があり、雪庇と違って外から見ても全然分からないので恐いです。
本、読んでみます。ありがとうございました。
takenakanoさん、ご無沙汰してます。
相変わらずガッツリ雪山へ行ってるな〜と思いレコ拝見していたら、ものすごい目に会われていたようで… 無事生還出来て何よりです。
わたしにはここまでの雪山は経験無いのですが、恐怖と大変さは伝わりました。
経験を生かし、今後も安全に登山を続けて下さいね。
peachk4cさん、こんにちは。
恐い思いをしましたが、これも神様が与えてくれた試練だと思い、この経験を今後の山行に活かしたいと思います。peachk4cさんもお気をつけて。
たけさん!大丈夫でしたか。
私も今週は怖い思いをしましたが、たけさんと比べたら可愛いものでした。
写真でシェルター見た瞬間、マジ???と思いましたが
ホントに寝たんですね!想像ができない世界です。
それなりにシェラフがあれば寒くないんですか?
しかし、唐松の簡単なコースでもホワイトアウトは怖いですね。
お互い安全登山で楽しみましょう。
赤岳で詳しい話、聞かせて下さい。
改めて、無事で何よりです。
御嵩さん、こんにちは。
防寒装備はしっかりしていたので寒くはありませんでした。
傍から見ると雪に埋もれて寝ているのは異常な光景でしょうけど。
今度また詳しくお話しいたします。
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