雪洞ビバークとなった反省の 白馬岳 小蓮華山で敗退
- GPS
- 56:00
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 1,493m
- 下り
- 1,504m
コースタイム
2日目:小蓮華山12:15ー彷徨14:00ー雪洞設営ビバーク開始
3日目:小蓮華山06:30ー栂池ロープウェイ上部駅11:30
過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
お叱り、恥を忍んで書いておこうかと・・・
小蓮華からの白馬岳モルゲンロートを撮影すべく3連休を利用し新宿発八方行きのバスに乗車ヤマテン、山の天気では天候はさほど悪く無し・・・これはいけると意気揚々で出発。 八方からバスを乗り継ぎ栂池スキー場へ、此処でも天気は良し。
ゴンドラチケットの渋滞には驚いたが30分ほど並び乗車、そこから乗鞍岳までは先行者多数で遠慮無くトレースを踏ませて貰う。 乗鞍から大池までも一部のBC、登山の方のトレース有り後を追う、BCの方の多くは登山道で言う蓮華温泉方面へ向かい北上、それでも小蓮華山方面へのトレースは有り。 船越ノ頭を越え小蓮華着。
時間も早い(早いと言っても14時過ぎなのでそうも言えないが・・・) 今回の目的であるここからの白馬三山のモルゲンの撮影のため幕営適地を探し頂上南下の風下を整地しいつもより丁寧にブロックを積む。明日の好天を期待しつつ雪を溶かし水作り、ラジオを聞きつつ早めの夕食、持参したビールとウイスキーで晩酌、携帯の電波は断続的であるが、フェイスブックへの投稿を済ませ何度か知り合いとメッセのやり取りを済ませる。18時くらいだろうか風下で会ったはずの幕営地に風が当たり出す、それでも未だ良い方かと・・・ 北風が若干西寄りに傾き巻き風が入ってくるようだ、もう少しその方向へブロックを積んでおけば良かったと後悔・・・時々入る携帯の電波を楽しみに幕営とウイスキーを楽しむ。 いつもならば読書タイムを済ませ就寝する頃合いではあるが、かなり風が強まり、大きくテントを揺らす。外は風雪に変わり、ブロックとテントの間に雪がたまって行く。 いつもより遅いが21時に就寝に入る、しかしフライのばたつく音が大きく疲れているにもかかわらず眠りに落とせない・・・平地のラジオ放送の陽気さが恨めしいが、若干の安らぎを与えてくれる。 明日の天気を気にしていたが、ラジオではもちろん都市部を中心とした話・・・ ネットでの山岳部予報は曇り、翌日3/19夜は強風の予想であると。明日の白馬岳登頂は状況を見て判断、風速20msを越えるテン泊は辛いかなと(今日の予報でも10ms程度でこの風だもの・・・)拝める可能性の低くなった御来光を一応は待って撤収かな、一気に下山、大池一泊でも良いかなと目を閉じる。 益々風足は強まりテントを揺らし、風雪はテントを覆って行く。 積雪(地吹雪?)に次第に寝床は圧迫されて行く・・・寝袋越しに膝や、尻を使って雪を押しのける・・・眠れない、おかしな夢(普段は余り見ない家族や、幼少の頃の思い出に似たシーン)雪解けを一時間毎に繰り返す・・・風雪は強まっている様子。
そんな事を繰り返しうつつの中5時起床、朝食準備をしている内に外は薄明かりとなる、テントのベンチから様子をうかがうが、風雪やまず視界は近くの岩が見える程度、5m程か・・・ 朝食を取りつつラジオとネットの天気予報の取得に執心、12時からは若干回復傾向であると、此処で既に白馬岳登頂は断念し機会をうかがい下山を決断。
11時頃には風も弱まるのではと期待するが、全く状況好転の気配無し、12時まで待って撤収し下山する事とする。 12時前昨日此処でパスして白馬へ向かったで有ろう3人組が下山して来、テント越しに大丈夫ですか?と声を掛けてくれる。
何とか・・・私も12時見当で撤収下山しますと返答。 この天気の中白馬から下山とはすごいなと関心。 ホワイトアウトに近い状況でルーファイと雪の稜線と空の堺も分からぬ状況、私には進むスキルもギアも無し。助けに船で申し訳ないが、彼らのトレースを追わせて貰おうかなと・・・
12時過ぎ予定通りテント撤収を終え小蓮華頂上から下山を開始、期待していた先行者のトレースも地吹雪の為消失。とりあえずコンパスで進行方向を決め下山を試みるも、下山直後は細い稜線、東に進路を取るべきが登高時に印象にあった南側の切れた斜面のイメージから(実際は割と広い尾根であるが・・・)次第に足は北方の尾根に向いて行く、磁石での進行方向はおかしいし、ルートのイメージも違うとそこから東転し正規尾根を探すもたどり着かず、いや逆方向だと次は西転する・・・気持ちがリングワンダリングを始める。 北西風を正面に受けている事から、ただ間違っていることはハッキリと理解する。
遭難の典型だと思い返し(以外とパニックにはならず)駄目だこりゃと諦め、ビバーク地点の捜索に方針変更、北西斜面は吹き上げの風が強く幕営も困難、また雪洞を掘るほどの雪深も無し。ルートを失ってはいるが登り詰めれば小蓮華頂上への復帰は確実と考え再び登高を始める、案の定頂上復帰。 そこで驚愕・・・なんと頂上直下から既に歩きやすい北西向きの尾根を下っていたのである方向は正に蓮華温泉から白馬への登山道方面・・・その進行方向には大きな沢状地形があり恐らくはそこへはたどり着けず瀬戸川上流に引き込まれてしまう。 危ない・・・
14時、強風下幕営は既に断念、雪洞適地の捜索も意外と積雪は少ない・・・また雪の残る南斜面は相変わらずのホワイトアウトで稜線の見極めできず。 唯一頂上付近へ大きな踏み抜き後を見つけ中をのぞき込む、ハイマツ、岩領と半分は雪が確認できる、片側は2m程の積雪を認める、此処なら横穴を発展可能と思い潜り込む、グローブは既に予備、それも水浸しにさせてしまいながら横穴を掘り寝床確保。エアマットは昨日パンク、バス用に買っていた百均のピローも吹き込み口が低温硬化のため破損。(前に谷川岳で遊び半分で雪洞訓練していた経験が役に立つ結果だが・・・)
避けたマットとテント本体を寝床にし敷き、エマージェンシーシートとテントフライを雪洞口の塞ぎに使う、積雪によりフライは垂れてくる・・・テントポールを4分割ほどに折りたたみ、トレッキングポールと共に張に使う、垂れては除雪、隙間からは粉雪の吹き込みに対策を繰り返しいよいよ日没を迎える。 先ずは昨日使用済みの主グローブの乾燥を兼ねての水作り・・・250缶の約2/3は残量有り兎に角グローブの乾燥をを急ぐ、生乾きであるが後は着用し水を飛ばそうと、次に気分転換のためラジオのスイッチを入れる、相変わらず暢気な放送だが当たり前だ・・・雪洞で聞いている人間は余りいないのだから・・・なんて1人悪態。なんだか自分の置かれている状況に少々わくわく感を感じるほどの余裕は出る。 ラーメンで夕食、残りのウイスキーで晩酌。風の音は遠くで激しさを感じるが、風下の穴の中では実感しないほどの無風。 完全な雪洞では無い為気温は外気温同様に低い。寒さに耐えかね寝袋を取り出す。(出来ればホントのいざという状況まで使いたくなかったが) 水滴と下部の融雪のためどんどん水分を含んで行くが悪寒は緩和。 しかし眠れる状況ではとても無い、ここから長い夜が始まる・・・
30分おきにバーナーを点火し濡れたグローブと着用した手を温める。またその際少量ずつ持参していたスポーツドリンクを温め飲用する。 カロリー摂取しなければ体温維持は無理(燃えるものがなければ・・・)とその都度チョコレートとナッツを口にする、決して美味しく感じないが低体温は燃料不足で動けぬ故との認識有り。
食べて、飲んで、目を瞑りつつ手足の指と手袋経由で水を吸った腕を摩擦する。
それが功を奏し腕の衣類の水分は割と乾燥ゆく感じ、これで随分寒さ緩和。 (何度かコッヘルを空炊きしアイロンのように押し当てるを繰り返す、一度欲張りすぎ、一部焼損・・・でもなぜか笑える)01:00〜02:30の睡眠は有難かった、家族へお土産を買いに行く夢、無事に帰宅する夢を三度見る、一度目は完全に喜び、目が覚めその夢の内容よりも自身の置かれた状況を認識し恨む、二度目は夢の中で騙されないとの意識があり、これは夢だと頬をつねるがどうやら本当に帰ったんだと安心した瞬間目が覚める、あ〜完全に遭難時に見る幻の様だと・・・三度目はその夢が始まった瞬間に”またかよっ”つて目覚める。 時間は03時、後3時間すれば夜明けだ、やり遂げたぞと言う思いと共に、濡れた寝袋と明日も回復しないかもっての天候に大きな不安感が生まれる。 幸い昨日よりネット環境は良い、天気予報を見ると強風であるが、天気は晴れ予報!!
気力回復で05時朝食(ビスケットとチョコレートとホットスポーツ飲料)
(食料は2泊分+緊急2日程の量は持参) しかしこの時点で更なる一泊の可能性を覚悟をし燃料の節約に入りバーナーを使用しての調理は避ける、残量ガス1/4程度
待ちに待った日の出時刻06時、雪洞の殻を破り顔を出す、見事な御来光、しかりと確認できる雪の帰路稜線・・・少し目頭が潤む。 相変わらず強風ではあるが、午後からは再び曇り予報、急ぎ装具を整え下山へ向かう、風は猛烈だが、明瞭な稜線を急ぎ下り無事、大池山荘着で一安心。
トレースは完全消失でわかん装着、これまでの道を思い返しホワイトアウトに近い状況で進むのは自身にはやはり無理だった、判断は正しかったと思い返す。 大池からの登り返しも視界無ければ困難(ただ此処は指針通りに進めば大丈夫なのだろうが) 大池でテント泊2組か? ブロック後を見る・・・が彼らの足跡も見当たらない・・・ 昨日撤退したのか? 乗鞍頂上からの下山ルートのトレースも無いが、栂池山荘は目視でき迷うことは無いので、問題は無し。
雷鳥とご面会後乗鞍からの下山ルートを思案する。気温は割と高めであり此処まで来て最後に雪崩避けなければと、遠回りにはなるが北東方向の尾根を下る(そこまでのトラバースは一部冒険したのは反省・・・)
あとは天狗平に立てられた赤布沿いを進む、割と長いなと感じながらロープウェイ駅着。 早くビールが飲みたいなと言う気持ちを抑え直ぐに出発するというロープウェイに乗車する。
後で思い返すと、良くあそこでビバーク決断したな、雪洞覚悟したなと・・・
しかし、あの状況ではもう一泊はかなり辛かった、天候に救われた、例え救助要請出しても荒天では直ぐには助からない・・・等々考えると喜びよりも、情けなさが先立つ。
天候の読み、ビバークの基本、ルートファインディング、ギアの点検手入れ等々自身のスキルと精神力の無さを痛く感じる。 雪山の怖さを(ホントの怖さは更なる物であろうが)認識し、背丈を超えぬ安全登山に努めなければなと。
これは自身への備忘録のつもりで記している所もありますが、少しでも皆様の安全登山に役立つことが出来ればと思います。長文お付き合い有り難うございます。
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