雲取山〜三条の湯〜後山林道(春の残雪ロング周回)


- GPS
- 12:26
- 距離
- 29.6km
- 登り
- 2,722m
- 下り
- 2,707m
コースタイム
- 山行
- 10:46
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 12:19
天候 | 朝方快晴、のち時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
標識に従い暫く小袖集落方面へ舗装道を進むと、左側に登山口あり。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
堂所から上部は残雪多く(恐らく3/21の降雪)、特に下りは軽アイゼン推奨。七ツ石小屋下からの巻き道も早朝は残雪が一部クラスト、通行注意。 ブナ坂からの石尾根は日向が多く土斜面が露出、午後は泥濘注意。小雲取山前後の尾根道は積雪多し(スライドしたハイカーの半分弱がアイゼン使用)。 雲取山頂から三条ダルミへの下降路は吹きだまり状態の区間多くノートレース、膝前後のラッセル。三条ダルミ手前で小雲取方面からの巻き道に合流(この時期、ほとんどのハイカーは巻き道通行の模様)。 三条の湯への下降路は途中まで残雪多く、雪が消えた後も岩尾根の乗越やザレ斜面のトラバースが多数、通過は慎重に。雪解けのこの時期、登山道上部からの不意の落石も多く、上部の落石音に神経を配る必要あり。 |
その他周辺情報 | お祭から車で約7km、丹波山道の駅から橋を渡ったところに日帰り温泉「のめこい湯」あり(露天風呂、食堂、休憩室有)。午後7時まで営業、最終入館は午後6時。大人600円、JAF割引あり。 |
写真
装備
備考 | ・水分消費量:水350ml(昼食時)、ペットボトル500cc.1本、Qooゼリードリンク1本 |
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感想
先週末、好天の三連休を椎名誠・田中陽希氏のトークショー等で逃し、今週は土曜のみの好天予報を頼みに、4月前半の残雪期限定名山ツアーの足慣らし兼ね、今年の「標高年の山」雲取の日帰りロングにチャレンジ。小袖の丹波山村営駐車場に前泊、夜明け前の朝5時過ぎに出発します。
この時間から雲取山日帰り目指すハイカーは皆さん強者・ベテラン揃いと見え、歩きやすい登山路の途中で、次々追い抜かれます。太陽も向かいの稜線上に顔を出し、身体が温まってきたところで尾根合流点の堂所着。この辺りからは残雪も多くなり、そろそろアイゼンを出そうか、まだ大丈夫などと逡巡するうち、七ツ石小屋への分岐到着。ここからの巻き道は更に残雪が狭いトラバース道にベッタリ、所々クラストした箇所もあり、スライドする登山者も半分弱がアイゼン装着してますが、登りは何とかアイゼンなしでもクリアできました。
ブナ坂で石尾根縦走路に乗り、ここからは陽当たりの良い斜面も多く、雪もかなり解けてます。ヤマレコでもすっかり名所となったダンシングツリーを過ぎると、左手の視界が大きく拓け、日本一の富士に加えて、南アもほぼ全山が見えてます。気持ち良い青空の下、日本の標高トップ3が顔を揃える贅沢な眺めに、テンションはMaxながら写真撮影も忙しく、なかなかペースも上がりません。奥多摩小屋でカロリー補給、体勢を立て直すもヨモギの頭、更にその先の小雲取の登りにヘロヘロ状態。愛らしい山頂標識のある小雲取山頂で、休憩がてら本ツアーの課題の一つ、10本爪アイゼンをテストのため装着。ここからの斜面は雪も多く、調子に乗ってザクザクと縦走路を歩いていくと、陽当たりの良い最後の登りは地肌も出て雪もズブズブ、アイゼンの刃を気遣って雪の残るコース端を登っていきます。
登山口から5時間強、ハイカーで賑わう雲取山頂にようやく到着。早速、居合わせた男性ソロの方にお願いして、立派な「標高年」標柱の前で証拠写真を撮っていただきます。2ヶ月遅れでしたが、無事「2017.1」の山頂標識をゲットです。ほぼ無風の平和な山頂で昼食を済ませ、勇躍三条ダルミ方面の下降路へ足を踏み出しますが、ここが意外にも本日の「核心部」。先日の雪が縦走路をしっかり覆い尽くし、その後ハイカーも誰一人通らなかったと見え、トレースは可愛らしい野ウサギの小さな足跡のみ。仕方なく、途切れ途切れのウサちゃんの足跡を辿るようにバージンスノーを下っていきますが、膝前後の新雪ラッセルに、時々ズボッと足を取られ四苦八苦。新調のアイゼンの威力を実感するとともに、踏み抜きもなく軽やかに雪原を下っていく野性動物の生存・移動能力の高さにも改めて感動します。
そんなこんなで漸くしっかりトレースの付いた巻き道に合流、コースタイムの倍以上かかり、ようやく三条ダルミ到着。既に予定の時刻を大幅オーバー、この先も似たようなコース状況が予想され、明るいうちの下山はおろか、丹波発の最終バスにも間に合いそうもなく、あっさり当初予定の飛龍山踏破を断念。三条の湯へのエスケープルートを下ります。見えない野ウサギの先導に助けられた吹きだまりラッセルからは一転し、出だしはとても平和なトラバース道。標高1,700m地点を過ぎるとやがて残雪の量も減り、そろそろ潮時、とお世話になったアイゼンを外します。
…とここまでは至極順調、その後も日陰のトラバースや岩尾根の乗越箇所で所々慎重に通過すべき区間はあったものの、後は淡々と斜面を巻き気味に下るのみ、と思った小生が甘かったようです。標高が下がり、次第に残雪もなくなると、今度はザレ場の上部が崩壊してルートが土砂で埋まった嫌らしい斜めったトラバース路や、いかにも上から石が転がって来そうな岩尾根の乗越が次々現れ、気の休まるヒマがありません。実際、上からコブシ大×2ぐらいの大きさの石が落ちてきて小生が身構えるすぐ目の前を通過したり、といった際どい場面も何度かあり、この時期の春山のリスクを改めて思い知らされるとともに、周囲の状況や物音に十分注意して登降することの大事さを痛感した次第です。
それでも、三条ダルミから約2時間弱、尾根をヘズるように急斜面を下ると、ようやく約30年ぶりの三条の湯に到着。下界はもう近い、とホッと一息、フルーツ缶でリフレッシュし、「日帰り入浴500円」の魅力的なオファーにも心動かされますが、この後も3時間近くの林道歩きが控えており、湯冷めしそうなので残念ながら今回はパス。小屋番の若い方に土産代わりの「鹿の燻製」8枚セット(300円)をオーダーしますが、燻蒸した肉を切り分けるのに10分強待ってほしい、と言われ、こちらも時間が惜しくなり断念。商売っ気の薄さに苦笑しつつ、結局この山村経済に何ら財政的貢献をすることなく、先を急ぎます。
さて、後はノンビリ林道を下るだけ、と安心するのはまだ早く、林道に出るまでの20分強は三条の湯までと同様、沢沿い急斜面の細いトラバース道のため(黒部の水平歩道のミニチュア版のよう!?)不意の落石への緊張モードが続きます。後山林道に出ると、道幅は広くなり、すれ違う登山者も数組現れてようやく人心地つきますが、ここからが実に長い…。既に20km近くを歩いてきた両足には簡易舗装交じりの林道歩きはキツく、しかも変化の乏しい周囲の光景に精神的疲弊も重なって、中間点の塩沢橋ではへたり込むように小休止。その後はスライドするハイカーも絶え、ひたすら精神修養さながらの独り歩きを黙々と続けます。
それでも「明けない夜はない」、林道出口の国道合流点が見えた時には、思わず快哉を叫びたい心境でしたが、ホッとするのはまだ早く(この日も何度「ぬか喜び」したことか…)、今朝出発した小袖の駐車場まで、舗装道をあと2km以上歩かねばなりません。お祭のバス停から国道を盛んにハイスピードで行き交う車を気にしながらまず所畑へ、バス停脇の「丹波山村営駐車場/雲取登山路近道」の有難い標識に従って、農道を辿っていきます。確かに、平面地図で見ると鴨沢経由のルートよりはかなりのショートカットですが、実際はつづら折りの結構な上り坂が続き、ここまで5時間余り「下りモード」で歩いてきただけに、フルマラソンの残り2.195kmさながらにズッシリ両足が重く、牛歩のように遅々として先へ進めません。それでも、登るうち眼下に拡がる多摩川上流のステキな夕景や満開の梅、路傍にこじんまり咲く早春の花々に励まされ、日暮れ少し前、ついにゴール地点の駐車場へ帰着。我が愛車に歩み寄り、どうも駐車場の奥の方がガサガサ騒がしいとよく見ると、芝の小山で野生のサルのファミリーが夕方のお食事!?中。思わぬ動物達の出迎えにホッコリしながらも、ボス風のおサルさんに舐められぬようガンを飛ばしながら山靴を脱ぎ、丹波山の日帰り温泉「のめこい湯」の受付終了時間が迫るため、そそくさと出発。先ほど悪戦苦闘した農道を今度は10分弱でクリア、車を飛ばして丹波山村の道の駅へ向かいました。
ということで、今回は4月の春山残雪ツアーの足慣らし、と言いつつ、総歩行距離30km弱と小生にしては近年にない日帰りロングとなりました。残雪も飛龍山近くまで行かないと10本爪アイゼンが使えないのでは、との事前の予想は完全に裏切られ、雲取山直下の下降路でしっかりノートレースの吹きだまりミニラッセルも体感でき、所期の目的は何とか達成できました。雲取山ハイクはかれこれ10回弱経験しましたが、これまでは全て泊まりがけツアーで、残雪期の日帰りは今回初。2,000m級の山々の積雪状況を甘く見てはいけない、と痛感するとともに、春山特有のリスクや野生生物のサバイバル力の強さなども改めて体感した次第です。さあ、これで心身の準備もほぼ整い、次はいよいよ奥飛騨へ残雪期限定の名山ツアーに出陣です!
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