奥穂高岳・扇沢:春の雪崩
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- GPS
- 19:48
- 距離
- 28.2km
- 登り
- 2,378m
- 下り
- 2,353m
コースタイム
- 山行
- 8:09
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 8:30
- 山行
- 7:01
- 休憩
- 1:39
- 合計
- 8:40
天候 | 2日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・昇温後は全方位湿雪雪崩注意 ・登りの直登ルンゼはリスクあり ・下りの扇沢は雪崩が一箇所に集中するおそれあり |
写真
感想
5/3
天気の良いGWはどこか遠くへ出かけたかったが、家庭の事情で2日しか取れなかったため、穂高へ。深夜に東京を出るもGW初日の渋滞にハマり、沢渡から出るバスの始発には間に合わず。今回はいつものモーゼ+久しぶりのAKさんで3人パーティ。少し遅れて05:20のバスに乗り、上高地に入る。バスターミナルでRSSAご一行と去年まで所属していた山岳会のメンバーに会った。お互い「安全に」と声を掛け合う。
人の多い上高地を板とブーツ担いでトレランシューズでアプローチ。明神館でSHOさんを発見。その後、涸沢まで世間話しながら一緒に行動する。横尾で渡りしばらくすると雪が出てくるので、シールで歩く。途中他の登山者から離れ、徒渉し、沢筋や屏風岩の際をスキーで進んでいく。雪はかなり落ちているが、巨大なデブリが怖い。互いに距離をあけて歩き、適当な場所で横尾谷へ下り、涸沢へ。ヒュッテから穂高を見上げると、狙っていたルンゼは既に滝が出ていた。
涸沢にテントを張ってトイレに行くと、御大と相方のSDさんに会う。今日は色々偵察した後、やむなく直登ルンゼを滑ったそう。後ほど落ち合う約束をしてSHOさんと4人でオダマキのコルを目指す。体力の余っているモーゼがひたすら先行。一人ルンゼの出口に着いて待っているが、しばらくするとデロリデロリと湿雪雪崩が。これ以上は危険と判断し、適当な場所から涸沢を滑走し、その日の行動は終了。レジェンドたちと飲んで適当に寝た。夜は意外に寒くなく、久しぶりのテン泊は快適だった。
5/4
朝4時半頃起き、テントを畳んで適当に出発。アイスバーンが緩まないと滑れないので、あまり急がない。私とAKさんはシールで、モーゼはシートラで歩き始める。相変わらずモーゼ先行で進むが、一度合流し進路を確認する。穂高岳山荘経由は人が多いこと、まだ朝早く雪崩のリスクが低いことから、直登ルンゼを詰めることにした。ルンゼを先行していたガイドチームは北東稜に取り付いていた。モーゼを先頭にひたすらルンゼを詰めて山頂へ。
AKさんが着く前に気になるルンゼ2つの偵察をする。扇沢も歩いてみた。アイスバーンもあるが基本的には緩んでいるため、急斜面を迂回せずに滑走できそうだ。AKさん合流後に準備し、私が先頭で滑り始める。扇沢は出だしがノール状で、途中岩肌が出ている箇所があるため少し緊張していたが、ワンピッチで核心を抜け、安全地帯に下りることができた。そこにはなぜか人糞があった。ここで緊張から解放され括約筋が緩んだのだろうか。
次のピッチで扇の要にある安全地帯に集合する。そこからはロート状になっていて、すべての雪崩が集中する。ジャンダルム方面からかすかな雪の流れがあり、ルンゼの真ん中に「川」を形成していた。タイミングを見てルンゼに飛び込み、安全な場所まで滑ってから後続を待つ。しばらくするとルンゼの入口にモーゼが現れた。同時に女性の掛け声が2、3度聞こえた気がした。直後に川の流れが強まったかと思うとルンゼの入口に濁流となった雪崩が押し寄せた。「避けろー!」と叫ぶとほぼ同時にモーゼもそれに気づき、ルンゼの横へ避けた。雪崩は強弱をつけながら何度かに分けてルンゼを駆け抜けていった。
しばらくしてAKさんも下りてきて合流し、全員の安全を確認。コブ尾根のクライマーかと思っていた女性の掛け声はAKさんのもので、最初にジャンダルム方面からの雪崩に気付いて大声を上げたが、我々には伝わらなかったようだ。その後は難なく涸沢へ出て、適当な場所でセックン(スノーアンカーと1/3引き上げシステムの確認)して帰途についた。涸沢から上高地に出るまでの間は雪が少なく林間アドベンチャースキー。最後は担いで歩いた。
東京へ帰る途中の道の駅で悲報を聞く。この日は気温が高く、我々が滑った10時半頃でも雪崩が頻発していた。雪崩の発生した斜面の向きは我々が見たものと同じと推察される。以前「明日は我が身かもしれない」とブログに書いていた故人、長きにわたり山スキーに情熱を注いだ数少ない方だった。本当に山スキーはリスクが高い。私も気を引き締めて事に当たりたいと思う。ご冥福をお祈りいたします。
扇沢での雪崩はこちらに記録しました(03:20あたり):
FISCHER TRANSALP80:5★
ATOMIC CHARTER 100:10
FISCHER BIGSTIX 122:8
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合計:23
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