那須岳(三斗小屋温泉テント泊)
- GPS
- 64:00
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 1,543m
- 下り
- 1,537m
コースタイム
- 山行
- 7:40
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 7:50
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:00
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
愛子様のお印に決まってから、俄然シロヤシオツツジ(ゴヨウツツジ)が注目され始めた。それまで私は、ツツジの種類に関心はなく、ツツジは全てツツジと表現していた。だいたいそれまで白いツツジを見たという記憶がなかった。一度くらい見ておかなければと出かけたのは袈裟丸山だった。その後釈迦ヶ岳や那須のマウントジーンズスキー場でも見ることになった。マウントジーンズスキー場では、観光で行ったので、リフト利用の楽なものであった。そのとき眺めた尾根が中の大倉尾根だ。長くなだらかに続くいい尾根である。いつかは歩いてみたいと思った。
那須山塊で中の大倉尾根のほかに行ってみたいのは三斗小屋温泉。ところがここは日帰り温泉はやっていない。湯治に出かけるような趣味はない。行くことはないだろうと思っていたが、昨年、三斗小屋温泉を通った時、テントが数張、張られているのを見た。その時は、臨時の従業員でも泊まっているのだろうと思った。しかし、それは間違いでテン泊が可能だということが分かった。それで山行意欲が一気に増して、北温泉から中の大倉尾根を登り、山頂に登ったことがない朝日岳、行たことのないひょうたん池を行程に入れて計画を立てる。
予約もとれ、準備万端整い床に就く。明日は、4時自宅発。
目が覚めて、真っ暗なうちから花の水やりも無いだろうなあ、等と考えていると
「行かないの」と神さんの声。
「ん、どこへ」
「4時出発と言ってたでしょ」
あ〜、そうだ今日は那須へ行くんだった。なんたる体たらく。
朝飯はおにぎりにして車の中で食べることにして、取りあえずミルクコーヒーを飲む。一息入れて出発。およそ一時間弱の遅れ。高速のインターに向かうと、何と、津川IC〜西会津IC間が6時まで通行止め。道路公団のHPで確認して夜間通行止めは解除になっていたはずなのに、なんでやねん。先行きに暗雲が。
北温泉前駐車場8時30分出発。出だしのドタバタはあったが、計画より30分遅れの出発で、まあ、順調な出だしである。駐車場から北温泉へ下って行って橋を渡り対岸の斜面を登っていく。ウグイスなど小鳥のさえずりが賑やかだ。残念なことにシロヤシオツツジは散っていた。地面に落ちた花びらも風情があると思えばそれなりに楽しめるが、遅かったか、とちょっと残念に思う。しかし、上部に上がると花は咲いていた。標高の差というよりは、上部の方は強い風が吹き付けて、気温が低いからであろう。
シロヤシオツツジの花を見るたびに思うのだが、この花は実に目立たない花である。五葉の下に一つの花をつけるため、その陰の影響を受けるのかもしれない。真っ白というよりは薄く緑がかった色に見えて、葉に同化してしまうような感じだ。それがまた奥ゆかしくて、人々の耳目を集めるのであろう。
スキー場上部に出ると観光客らしい人が多くなり一気に賑やかになる。遊歩道の要所要所にシロヤシオツツジが生い茂っていて、カメラマンがいて、長椅子があり記念写真の撮影場所になっているようである。展望台に上がると茶臼岳を始めとして展望が広がり一気に気分は高揚する。中の大倉尾根は、三本槍岳を往復する人が多いようだが、登る人は少なく直ぐに一人旅となる。日差しが強く汗を拭き拭き苦しい登りとなった。シャクナゲの花に励まされて、もう一歩もう一歩と進むが、たまらず風当たりの良い場所で大休止。先客あり。もうちょっとでピークに出るのだが、始めなだらかな道は、徐々にこう配を増し日差しも強く、苦しい登りであった。ここで休む人が多いようだ。
ミネザクラが満開である。清水平に出ると登山客多くなった。三本槍岳を目指す人たちであろう。朝日岳には豆粒のような登山者の姿が見えた。今日の目標は、朝日岳の山頂に登ることとひょうたん池探訪である。那須岳には数回来ているのだが、朝日岳には登ったことがない。稜線からわずかな時間で登ることができるのだが登ったことがなかったのだ。清水平は、文字通り平だから楽で良い。しかし、それはわずかですぐに登りとなる。こう配はたいしたことはないが、立ち止まり休みを繰り返す。思いのほか疲れが出ているようだ。
一目で親子とわかる女性がやってきた。軽装である。三本槍岳まで行くのだろうか。
「ここを行くと何処へ行くんですか」と聞いてきた。
「三本槍岳ですね。いろいろ行けますけど」と答えると、ちょっと驚いた様子だった。道を間違えたのかどうかは分からないが、駐車場へ戻るというので、朝日岳の分岐まで一緒に歩く。朝日岳はすぐ目の前なので登ったとしても風景が大きく変わるわけではないが、山登りはやっぱりピークに登らないとね。山頂には誰もいなかった。
単純に那須岳と表現するが、最高峰は茶臼岳。山塊でとらえると、白笹山から南月山、三本槍岳、流石山、三倉山辺りまで含まれるのであろうが、実に多様な風景が広がっている。なだらかな尾根が続いているかと思えば、旭岳のような三角錐の端正な山容もある。同じ“あさひ”岳でも文字違いの岩峰、朝日岳もある。流石山から三倉山の稜線は、ミニ飯豊連峰と表現されることもある。今も噴煙を吐き続ける無間地獄。いかにも火山だと言わんばかりの瓦礫の茶臼岳。見飽きることの無い風景が広がる。また、温泉も多い。首都圏からも近いので、いつも賑わっている那須岳である。
地図に剣が峰と表示されているガレの道を下って行くと、那須岳の山腹を突っ切る登山道を数珠つなぎになって歩く豆粒のような登山者の姿が見えた。やっぱり那須岳は人出が多い。紺色のジャージーを着ている集団は、子供たちの遠足でもあろう。それも絵になる風景だ。峰の茶屋跡には避難小屋があり登山道が交差し、老若男女が集う、要衝の地だ
まっすぐ進んで山腹のトラバース道を進む。シューシューと噴き出す噴煙の音が聞こえてくる。上を見上げるといつ転げ落ちてもおかしくないような岩が林立している。あまり気持ちのいいものではない。昨年はこんなところを懐電で良く歩いたものだ。右手下方に白く光る小さな円形がみえた。ひょうたん池に違いない。まだ雪が詰まっているようだ。今日は、池の水面に映る景色は拝めないのか。往生際が悪く、前から来る人に聞いてみると、異口同音に雪だという。やっぱり雪で埋まっているのだ。今回山行の目玉の一つだったのに残念なことである。
ゴーゴーと噴煙を上げる無間地獄の下を通り、牛ヶ首から右手へ下り、姥ヶ平へ向かう。砂地のような色の平地が見えている。それが姥ヶ平。明治時代に大爆発した痕跡である。木製のテーブルと椅子が設置されていて大休止。椅子に仰向けになって背を伸ばす。青い空だ。上部から4,5人くらいのパーティが下ってくるのが見えた。若者のパーティだった。
ひょうたん池へは木道を行く。分岐から数分である。先ほどのパーティも続いたのですぐに道を譲る。若者は勢いがある。ひょうたん池はほとんどが雪で埋まっていて景色は映っていなかった。ダケカンバの白い樹肌と青々とした若葉、その向こうに峩々とした茶臼岳、そして青い空。それが池の面に映し出されたとすれば絶景であろう。しかし、池そのものは小さなものだ。表現は難しいだろうなあ、と思う。
煙草屋のホームぺージに、遅くとも15時半までに入館を、という記載があったことだ。テン泊だからそれはないだろうと思うが、これは無理な情勢だったのだ。幸いなことに、先のパーティに聞いてみると、煙草屋に泊まるという。これ幸いと事情を話して事づけを依頼し、快諾を得てほっとする。これでマイペースで歩を進めることが出来た。
林の中の道となると見通しは無くなる。林の中には白いムシカリの花が咲く。山襞に沿うように道は進む。路傍にはスミレやイワカガミなどが咲く。笹竹が多い。道は緩やかな下りで沢にかかる橋を渡ると登りとなる。最後の登りであろう。立ち止まり立ち止まりしながら進み、ようやく三斗小屋温泉の分岐に出て大休止。あとはのんびり歩いて三斗小屋となる。
テント場には二張のテントが張ってあった。大きさは一人用に違いない。私と同じアライテントだ。先客は、中年の男性だった。受付を済ませ、テントを張って露天風呂へ。先客は、先ほどのテントの住人二人。こじんまりした湯船だが、前方に大倉山を望むいかにも山のいで湯である。いままさに夕日が沈まんとする絶景である。日本中の温泉を訪ね歩いている御仁がやってきての温泉談議に話が弾んだ。
テン場に戻ると、さっそく山の話が始まる。テント二張なので、単独かと思っていたら、二人は仲間だった。いわゆる“個テント”と言われる山行スタイルだ。
彼曰く“ザックがコンパクトだったので、テン泊じゃないと思ったら、テン泊だったので意外だった。コンパクト化の秘訣は”と話しかけてきて、それを突破口として、話弾んでとどまることが無い。いや〜、俺って、ほんとは話好きだったんだなあ、と少し驚く。それも頃合いを見てお開きとなる。
朝、すっかり打ち解けたテントの住人と別れ5:15分出発。“楽しかったです”の言葉が自然に出てきて少し驚く。ほんの一時だったが、ほんと楽しいテン泊であった。相変わらずムシカリの花が多い。今シーズン初めて見るサンカヨウの花も咲いていた。峰の茶屋跡まで一気に登れず。誰もいない道の真ん中で大休止。立ち止まり休みしながら峰の茶屋跡へ出ると、ポツポツと人の影が見えた。茶臼岳には登らなくてもよいのだが、山登りだからやっぱり山頂には登らなくてはならない。また、ここまで戻ってくるのだから荷物はデポしてもいいのだが、足腰を鍛えるため背負って登る。
岩の間を縫って一歩一歩進む。大した坂でもないのに、日が照ってきて一歩一歩、亀の歩きとなる。お鉢巡りの一角まで登って、たまらず荷物をデポ。空身で一回りする。富士山も見えるはずだが霞がかかっていて確認できなかった。しかし、大展望であることは間違いない。那須岳は、ほんと、変化に富んだ良い山である。お鉢を一回りして下る。
峰の茶屋跡から先は、大勢の人とすれ違う。話しかけてくる人も居て、それが格好の休憩時間で、のんびり歩いて県営駐車場に出る。これで山道は終わりである。あとは大丸までショートカット道をたどり、そこから舗装道路を歩けば北温泉前駐車場、今日の山行の終わりである。ショートカット道は地図では分かりにくいが標識もあり迷わずに進むことができた。以前入ったことがある大丸は荒れ果てていて廃業したような雰囲気が漂っていた。
北温泉前の駐車場は半分くらい埋まっていた。人気の温泉だ。大きな天狗の面がある湯が有名である。北温泉は入ったことがあるので、前から入ってみたいと思っていた甲子温泉大黒屋で汗を流すこととして車を走らせる。那須甲子有料道路は、料金所は撤去されており無料になっていた。大黒屋は建て替えたばかりらしい。黒を基調とした真新しい建物で、まだ、外構工事が行われていた。内風呂とその外側に露天風呂がある。きれいな透き通った温泉だ。
メインの岩風呂は、階段を下って橋を渡った対岸にある。支配人とじっ魂の仲だというおじさんが、200段もある階段で暑いときなど大変だ、と教えてくれた。行ってみると確かに急な階段であるが、200段は無いだろうと思った。岩風呂は湯小屋になっており湯船は大きく男性が一人入っていた。彼はすぐに上がって行ったので、久しぶりに湯船で泳いだ。隣にはプールがあるが、お湯は入っていなかった。
登りに階段の段数を数えてみたら50段だった。4倍もサバを読んでいたのだ。それも愛嬌で山行の終わりに彩りを添えてくれた。
追記
今朝のテレビニュースで那須の冬山訓練中に発生した遭難事故の映像が流れた。今回のルートは、その遭難場所の直ぐ脇を通った。今は初夏。時期は違うが、現地を見て感じたことを書き留めておきたい。
大雪が降ったという条件の中で登山は中止したのに、なぜラッセル訓練を実施したのかが問われている。私は、ラッセル訓練を実施したことは間違っていないと思う。その時々の条件に応じて、訓練内容を変更することは、普通に行われていると思うからだ。もし、私が指導者であったとしても、訓練内容を変更してラッセル訓練やビバークの方法などを実施したと思う。大勢の受講者が集まっているのだ。貴重な機会を失いたくはない。
問題は訓練場所の選定だ。私は、訓練場所の選定についてはテレビの映像を見た時から疑問を感じている。今は、青々とした木々の葉が生い茂っていて、状況は当時とはまるっきり違うが、雪崩が起きたとしてもおかしくはない地形だ、と私には見える。七年前の講習の時も雪崩事故があったと報道されている。実際に雪崩が頻発している個所らしい。その教訓が生かされていない。
ただ、講習会が成功裡に終わった、という実績作りの意識はなかったのか。それが自らの将来に影響するのではないか、などという意識はなかったのか。その有無によって評価は大きく変わる。何はともあれ、真摯に事故に向き合い、真相を明らかにしなければならない。それが亡くなられた方々への何よりのたむけである。合掌
見られたんですね。
雪崩を知らない私が言う立場にはありませんが
親御さんたちが引率者を信頼されて
口を噤んでおられたのが
何とも言えず切なかったです。
こんばんは〜
一般に那須岳と言ってますが、山域は広いですね。緑多い山から瓦礫の山まで変化に富んだいい山です。温泉も好かったです。
事故の有ったことは、ほんと残念です。雪崩の有無の判断は難しいですね。判断する方法も提案されていますが、完ぺきな方法というのは無いようです。私も、降雪後の早い時期にラッセルして登ったことが有りますが、踏んだ後から雪の斜面に亀裂が入って、音もなく崩れていく状況に遭遇したことが有ります。そんな状況だったんじゃ無いでしょうか。それに雪崩に巻き込まれた経験があるという人は少ないでしょうから、雪崩対応は難しいと思います。それゆえに真相究明は大事ですね。きちんと総括されることを願っています。
妙高さん、こんばんは。
那須岳、まさに一筆書きですね。
さすがの脚力に脱帽です。
いいところですよね。
花も眺めも最高ですね。
テント泊もとても楽しそうでいいですね。
三斗小屋温泉はいつか泊まってみたい宿のひとつです。
お疲れさまでした。
おはようございます。
那須というと茶臼岳が真っ先に目に浮かびます。茶臼岳は、一目で火山とわかりますが、周辺を見渡せば青々とした山域が広がっていて変化に富んでいます。ほんといい山です。三本槍岳・三倉山・大倉山・旭岳は会津百名山にも選ばれています。国道121号線の下郷町あたりを通ると、三倉山がカッコいいんです。三角錐の旭岳も目立ちますね。山登りなんかやってなかった頃、名はなんていうんだろうなあ、といつも思いながら通ってました。ニッコウキスゲやシャクナゲの花もいいんです。
三戸小屋温泉を拠点にすると豊富な山行内容にすることができますね。考えるだけでも楽しいです。って、寝不足が・・・・。遅寝早起になってます(-_-;)
では、良い一日を。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する