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Yamareco

記録ID: 116509
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無雪期ピークハント/縦走
甲信越

山火事延焼中! 兜山・鹿穴・大蔵経寺山

2008年12月29日(月) [日帰り]
 - 拍手
GPS
05:14
距離
14.1km
登り
1,069m
下り
1,082m

コースタイム

春日居町駅  09:40
兜山(展望台) 11:15-11:25
兜山(最高点) 11:40
岩堂峠    12:15-12:25
鹿穴     12:50-12:55
大蔵経寺山  13:55-14:05
石和温泉駅  14:55
天候 終日ほぼ快晴
過去天気図(気象庁) 2008年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車
(行き)
JR中央線 春日居町駅
(帰り)
JR中央線 石和温泉駅
コース状況/
危険箇所等
大蔵経寺山では山火事がまさに延焼中!だったのですが、そうとも知らずに予定通り大蔵経寺山に向かい、山火事直後の焼け跡を歩いていました。
しかし延焼している様子を直接見ることがなかった上、火災現場なら当然あるはずの緊迫した雰囲気も全く感じなかったので、それが山火事だったと知るのは、実は帰宅してからのことでした。

※デジカメを持ち歩くようになる以前のため、写真はありません。

感想

春日居町駅で電車を降りて、踏切を渡ると公衆トイレがあったので、そこで用を足し身支度を整えてから出発です。
国道に出た所を右に進むと、すぐに左に折れる道に兜山を示す道標が立っています。でも今回は、山と溪谷社刊「山梨県の山」に書かれていた、

 ――― 国道に出てすぐ北側にある、旧春日居町で設置した道標にしたがうと、登山口駐車場までひと山越えるような車道歩きをさせられる。岩下温泉からフルーツラインに出で、夕狩沢古戦場跡から入った方がよい。―――

というのを読んでいたので、それに従って歩いていきます。

少し国道を歩いて、次の信号の交差点を左折します。しばらくは道なりに進んで、岩下温泉を過ぎた先の十字路を左折したら、その後も道なりに進んでいきます。
山の麓に入って、棚山へ向かう道を右に分ける地点には、「←兜山(岩場コース)」という道標が立って左への道を示していました。
道が山道に変わってから、さらに5分ほど登るとT字路に出ました。兜山へは、そこを右折して斜面に取り付いていきます。直進方向は駐車場のようでした。

登山道に入ると、終始かなりきつめの傾斜が続きます。しかも道の上に降り積もった落ち葉が良く滑って踏ん張りが利かないので、余計に体力を消耗させられます。
しばらくすると、長いクサリの下がる岩っぽい斜面に差し掛かりました。さほど急な傾斜ではなく、手掛かりも豊富にあって、一見クサリは不要そうなのですが、足元が落ち葉で滑るので、ここは目一杯クサリを使うことになりました。
最初のクサリを登り終えると、一気に展望が開ける地点に出ます。甲府盆地が一望でき、御坂山塊の上には富士山という、なかなか贅沢な眺めが広がって、急登の疲れも吹っ飛ぶ瞬間でした。
さらに長いクサリを登って岩場を抜け、いくらか道の傾斜が収まってくると、間もなく頂上に到着です。

木立の中にあって展望がない兜山の頂上は、三角点や標識とベンチがあるだけの地味な地点でしたが、尾根を南に少し下ると「展望台」という地点がありました。
開けている南側には、雄大な富士山のほか、黒岳や三ッ峠、それに笹子雁ヶ腹摺山や滝子山といったあたりが眺められます。
3つあるベンチの1つに腰掛けて、日差しをいっぱいに浴びていると、年の瀬とは思えないほど暖かくて心地よく、ここで少し休んでいきました。

展望台から三角点のある山頂まで戻った後で、さらに北西方向にある最高点を目指します。
傾斜の緩やかな尾根を進んで、やがて大岩が転々とするエリアに入ったところで、その一番奥にある岩の上が、兜山の最高点に当たるようでした。
しかし標識はおろか、何らかの目印的なものが一切見当たりませんし、岩の上に登ったところで、周囲の樹木のために何の景色も楽しめません。
最高点に立つことへのこだわりのない人が来ても、全く面白味の感じられない地点だろうと思いました。

兜山の次は岩堂峠に向かいます。薄暗い杉林を抜け、一旦車道にぶつかったりした後で、沢沿いに緩やかに登る山道に入ります。
土止めの木段が出てきて、ほどなくベンチのある岩堂峠に到着です。

岩堂峠からは、「←鹿穴・大岩園地」という標識に従って、鹿穴経由で大蔵経寺山へ向かいます。
峠状の地形まで登り詰めた所が本来の岩堂峠で、後付けされた現在の峠よりも、ずっと風格のある場所に感じます。東西に交差していた峠越えの道が、消えてしまっているのが残念でした。

登山道は鹿穴の東側斜面を巻いていて、鹿穴への尾根には踏み跡すら見当たりません。でも標高差は高々50m程度なので、適当に斜面に取り付いてみました。
藪とは言えない程度の草木を掻き分けながら登っていくと、素直な形をしたピークだったのも幸いして迷わずに到達です。
三角点のほかは、立木に「鹿穴 989.8m」と書かれた紙が貼られているだけで、展望は全くありません。周囲にも人に踏まれたような跡はほとんど見られませんでした。

登山道に戻るべく、鹿穴ピークから南側に降りて行くと、南斜面には微かな踏み跡が見られて赤テープすら貼られていました。鹿穴に登る人は専ら南側から取り付くようです。
しばらく下るとすぐに明瞭な道に降り立ちましたが、期待していたよりは少し西にずれている地点で、左へ軽く登り返していくと、標識の立つ分岐点に出ました。
左はつい先程まで歩いていた岩堂峠への道に戻ってしまうので、大蔵経寺山へは右(直進に近い)へと進みます。

この分岐点から大蔵経寺山までは、あくまで尾根を忠実に辿って、いくつものコブを越えていくルートでした。
ただし、アップダウンは繰り返されるものの、ひとつひとつのコブにはあまり大きなものはなく、さほど体力的な負担にはならずに済んでいます。
また比較的明瞭な一本道が続いていて、道標や赤テープ類が少ないことを差し引いても、迷うような要素はほとんどありません。
ただし、防火帯の切り開きが分かれる所では、その防火帯に引き込まれないよう注意が必要でした。

「大蔵経寺山 20分」という標識を見たあたりから、周囲に白い煙が立ちこめて少し息苦しくなってきました。
この時点での印象は、
  「きっと裾野のほうで野焼きでもしているのだろう」
といった程度のものでした。今朝乗った中央線が勝沼付近を通過した時、何かを燃やす煙があちこちの果樹畑から数多く立ち上るのを見ていた影響も大きかったです。

■煙が立ちこめる中、登山道は焼け跡の中へと突入!!

煙たい中を構わず進んでいくと、次第に地面が黒ずんできて、ついに登山道もその焼け跡へと入ってしまいます。
野焼きで、こんな人のいない稜線上まで焼くものなのかな、という疑問はありましたが、良く見れば下草が軽く焼かれているだけで、腰よりも高い草木は無傷で青々としています。
自然にこの程度の燃え方で収まったとは考えにくかったので、火加減が人為的にコントロールされた結果だという印象は変わりませんでした。
もしもこれが山火事であれば、もっと圧倒的に燃え尽くされるもの、と思っていたのです。

そんな中、間もなく大蔵経寺山の頂上に到着です。兜山と同様に尾根上のコブといった程度の場所で、あまりピークらしくなく、展望もありません。
しばらく焼け跡の中を歩いてきましたが、切り開かれた頂上は広く地面が露出していて、何も燃えるものがないためか、特に変わった様子を感じませんでした。

変わったことと言えば、ほんの10分ほどの休憩中に、ヘリコプターが何機も上空に飛来したことです。いずれも給水タンクをぶら下げているのも確認できました。
しかしそれでもまだ、野焼きが必要以上の範囲まで延焼しないよう、警戒しているのだろう捉え方ですませていました。
焼け跡を歩いてきたとはいえ、実際に燃えている様子も見ていなければ、水が撒かれて消火された形跡も見ていなかったのです。
しかもヘリコプターが去って爆音が遠ざかれば、静けさが戻って周囲の雰囲気は平穏そのもの。穏やかではない事態が発生しているという発想には全く至りませんでした。

大蔵経寺山からの下山は、前出の「山梨県の山」で紹介されている南尾根ルートに入ります。入口を示す道標は見当たらず、歩き始めの方向はコンパスが頼りでした。
しかしすぐに最初の赤テープを見つけると、同書が「過剰なほどの赤テープに導かれて」としている通り、以降は本当に至る所に赤テープが貼られていたのでした。
ルートが明瞭なのは良いのですが、かなりの傾斜を、大きな石がゴロゴロする中を下るのに、大量の落ち葉が道を覆い尽くしていて地面が全く見えません。
隠れている凸凹に足を取られたり、石と石の隙間に足を挟みそうになったりします。挟み方が悪ければ捻挫どころか骨折の危険性すらあって、慎重に足を運ぶ必要がありました。
同書では特に注意喚起されていませんが、この南尾根ルートは、落ち葉の季節に歩くのは要注意だと思います。

長い急降下は、途中で林道を横切った後も続きます。山神社まで下ると一旦は階段の下りとなりますが、その先でも落ち葉が覆う石ゴロ道が再現したりして、なかなか緊張から解放されません。
イノシシ除けの立派な扉を開閉して果樹園の中に入ってようやく、舗装道路に出てホッとできたのでした。そして果樹園を抜ければ、もう石和温泉駅はもう目の前でした。

帰宅後、夜のNHKニュースを見ていてビックリです。山火事の報道で、歩いてきたばかりの「大蔵経寺山」の文字が画面の中で踊っているではありませんか。
ここで初めて、あれが山火事であったことを知ったのでした(このニュースを見ていなければ、ずっと野焼き程度のものと思い続けていたことでしょう)。
報道を追っていくと、その後もなかなか鎮火には至らず、なんと年を越しての5日間にわたる消火活動の末に、ようやく収まったようでした。


※ 報道によると、頂上付近での最初の出火は、私が歩く前日の午後だったようです。確かに私が歩いた時点で、頂上周囲の灰は新しいものでしたが、熱はもう全く持っていませんでした。
山梨日日新聞による出火翌日(登山当日)の第一報では、「下草などを焼失した」という程度の表現に留まっていて、私が見てきた状況とも符合します。
私が山火事を疑うことができなかった理由は、このように燃え方の規模が小さかったことと、周囲の様子が平静を保っていたことにあったと思います。
山麓では緊急自動車などを全く見ませんでしたし、下山地では果樹園の上の斜面で子ども達が遊んでいたほどで、全く普段通りのたたずまいに感じられました。
このため「災害」と言えるほどの規模のものについては、最後までその可能性すら頭に浮かぶこともなく、何事もなかったように揚々と帰路に就いていたのでした。

詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2008_10_12/mt2008_10_12.html#20081229

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