戸隠山 / 蟻の塔渡りの恐怖!!
- GPS
- 10:31
- 距離
- 11.7km
- 登り
- 1,003m
- 下り
- 1,007m
コースタイム
- 山行
- 8:23
- 休憩
- 1:57
- 合計
- 10:20
天候 | 曇り〜雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上級者向けのコース。危険箇所多数。 |
写真
感想
夫婦で2連休が取れることになり、どこか日帰りで登って麓で一泊するような山に行こうということになった。
最初に計画したのはロープウェイを使っての木曽駒&宝剣岳だったが、今年はまだ千畳敷カールは雪で埋まっているらしくまた今度に。次に候補に挙がったのが戸隠山。ちょっと遠いし難易度も高そうだが、下山してからの戸隠そばが美味そうなのと忍者好きの妻が「戸隠」という響きに魅せられて戸隠山に決定する。今年はまだ岩場のあるような山に行ってないし、剱岳の予行演習のつもりで行ってみるのもいいかも知れない。
戸隠は歴史のある土地で、古くから修験道や戸隠流忍者の里として知られている。伝説によると、アマテラスが弟スサノオの狼藉を悲しんで天の岩屋戸にお隠れになった時、戸をこじ開けたタヂカラオが勢い余って扉を放り投げ、それが宮崎の高天原からはるばる信州まで飛んできて戸隠山になったのだそうな。なんともスケールの大きな話である。そんなワケで、周辺には天の岩屋戸伝説にまつわる神々を祀った神社がいくつもある。
堺を10時半に出発して名神、中央道、長野道を爆走して朝5時に戸隠に到着、雨が降っているので仮眠しながら止むのを待つ。
7時半ごろに雨が上がったので、核心部までに雨が再度降り出したら撤退する方針を決めて出発することに。
登山口は戸隠神社奥社。手力男命を祀った戸隠の本社である。参道の脇には巨大な杉の並木が訪れる者を圧倒する。登山届を提出して登山開始。登山ポストの横には「2千mだからみんな甘く見るが極めて危険な山である。事故は滑落ではなく墜落であり、ほぼ即死である」といった内容の注意書きが。(((( ;゜Д゜)))ガクガク ブルブル
登り始めからいきなり急登となる。20分ほどで多少ゆるやかになると、木々の間から戸隠連峰の岩崖がまるで巨大な屏風のように姿を現す。ところどころに濃いガスが重く立ち込め、まさに水墨画の世界である。
ちょっとしたクサリ場を登ったりして五十間長屋、百猟慌阿謀着。巨大な岩壁の最下部をオーバーハング状にくり抜いたような登山道。いったいどういう自然の摂理が働いてこのような形状になったのだろうか。
ところで虫が多い。元から多いのか雨模様なのでエンカウント率が高いのか知らんがアホほど多い。誇張なしで50匹から100匹くらい顔の周囲を飛び回っている。
一応虫よけリングなるものを後頭部に装備しているのだが、こいつら全く気にしやしねえ。構わず特攻してきては耳に入ったり鼻に入ったり目に入ったりする。
オレも刺されたが、虫刺されに弱い体質のひるねは後で耳がボコッと腫れたり、額に刺された毒が降りてきたのだろうか瞼が腫れてお岩さん状態になってちょっと気の毒なことになっていた。虫対策は万全にして山に入るべきである。
百猟慌阿鬚垢てちょっと行くと、岩壁にクサリがダランと垂れ下がっている。ルートではないはずだが何だろうと上を見上げると、ほぼ垂直の崖に下がったクサリの先10m上方に、岩の隙間にスッポリとお堂が収まっている。いやいやコレ登って拝みに行くんかよ。いくら信仰のためとはいえムチャ振りがすぎやしませんかねえ。
そこから先はクサリ場、クサリ場、またクサリのクサリ天国。いや地獄か。
一見ホールドもスタンスも豊富なように見えるが、岩がもろく崩れやすい。いい具合に掴みやすい突起があったと思ったらボコッととれる。勘弁していただきたい。
「なるべく岩を持ちクサリに頼りすぎるな」「腕の力ではなく足の力で上がれ」が原則であるが、なりふり構っていられねえ。思いっきりクサリに体重あずけて、腕力をフル活用してクリアしていった。三点支持だけは確実に行う。
ラスボス的存在の胸突き岩をクリアすると「蟻の塔渡り」と書かれた標識が目の前に現れる。さあいよいよ来たぜモーストデンジャラスゾーン!今こそ我の前にその姿を現せ!!
いやこんなん無理やろ。
写真で見ても怖そうだったが、実際にその場に立ってみると迫りくる恐怖感ハンパない。立って歩いて通過するなんて無理よ無理無理かたつむりだ。
結局、四つん這いのような格好で通過することにした。けっこうな横風も吹いてるし、落ちたら150mまっさかさま、一貫の終わりである。田中陽希も最後の方は跨いで通ってたし、ここは無事に通過することこそ最優先であろう。
右下の方には迂回ルートのクサリが見えるが、あそこもなかなかに危なそうな感じがする。そもそも迂回ルートも途中でこっちに合流して、さらに狭い剣の刃渡りと呼ばれる箇所はどっちみち通過する必要があるのだ。だいたい迂回ルートでも滑落脂肪事故が起こっているらしい。
途中で一ヶ所だけ立てる場所があったが、基本全区間四つん這い&跨いで通過する。このような馬の背的な場所が苦手なひるねは途中で思考停止して進むも戻るもできない状態になりかけていたが、「気持ちで負けたらダメ」とハッパをかけて何とかクリアする。いやホントよく頑張った。
通過し終えて振り返っても物凄い場所だった。この恐怖はひょっとしたら北穂から奥穂へ雨の中縦走した時の怖さに匹敵するかも知れない。ホント怖かった。
這う這うの体で八方睨へ。頑張った我々へのご褒美か、ガスが晴れて展望が開けた。これから向かう稜線の向こうには百名山・高妻山、反対側には戸隠連峰の最高峰・西岳、そして西の方には後立山連峰が雲の中から顔をのぞかせている。
11:50、戸隠山(1,904m)山頂に到着。やれやれだぜ!
さて、やっとの思いで難所は越えたが、まだ片側が絶壁の稜線歩きや、クサリ場の連続する沢筋の下山が待ち構えており気は抜けない。ところが、ここにきて妻のペースがガクンと落ち始めた。シャリバテか脱水症状かはたまた蟻の塔渡りで体力と気力を使い果たしたか。ひるねのザックから水などの重い荷物をオレのザックに移す。
13:20、九頭龍山(1,882m)到着。本当は一不動の避難小屋まで行くつもりだったのだが、ここで昼メシ休憩にする。お湯を沸かしてカップラーメンを作り、展望もないガスガスの山頂でズルズル食う。
九頭龍山を出発して30分ほど歩くとだいぶガスが上がってきた。辺り一面真っ白になり、急がないとマズイなと思う間もなく本格的な雨が降り出した。とりあえず上だけレインウェアを着て一不動へ急ぐ。
一不動の避難小屋で全身レインウェア姿になり、雨の中下山を開始する。
戸隠牧場への下山路は沢筋の道で、途中、不動滝のすぐ横の垂直な岩場の下降や、ナメ滝の脇のいかにもツルツル滑りそうな岩の斜面の通過など、それなりにデンジャラスな場所が連続する。
ちなみに、カメラは一不動でザックの中にしまい込んでおり、上記の滝や下りてからの牧場の風景など撮影に適した面白いポイントはいくつもあったのだが、雨の中カメラを取り出す気にはならず、結局九頭龍山以降写真は一枚も撮っていない。残念なことである。
増水した沢を何度も渡渉し、そもそも登山道自体がほとんど沢みたいになってる中をジャブジャブと下山し、コースタイムを大幅にオーバーしてようやく戸隠牧場にたどり着く。牧場に着いたらソフトクリームを食うことを心の支えにして下りてきたのに、すでに牧場の売店閉まってた。ガッデム!!
晩は宝光社の武井旅館に宿泊する。戸隠そば美味ぇ。
動画です。10分弱ですんで、お時間のある方はご覧ください。
こんにちは。
はじめまして。
戸隠お疲れ様でした。
天候も同じような状況で下りのキャンプ場までの沢渡りも雨で増水。似た境遇でした。一年前を思い出しました。
怖かったですよね。ユーチューブも拝見させていただきました。
fragranceさんはじめまして。
コメありがとうございます。
正直あんなに怖いとは思ってなかったです。想像以上でした。
増水した沢の横の岩場の下りもなかなかハードでした。
でも行ってよかったと思ってます。もう一度行きたいかと言われると「?」ですけどwww
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