(過去レコ)西沢渓谷から甲武信ヶ岳
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- GPS
- --:--
- 距離
- 17.9km
- 登り
- 1,669m
- 下り
- 1,673m
コースタイム
- 山行
- 10:10
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 11:35
天候 | 快晴後ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
【山行記録投稿=2017年7月12日】
甲武信ヶ岳は甲州・武州・信州の3県境にまたがる。大きく分けて5ルートの一般登山道の他、柳避難小屋からの真ノ沢林道(林道とはいえ、廃道化した山道)も歩いたが、西沢渓谷から辿る沢ルートはまだ歩いたことがなかった。
この沢ルートは『山と渓谷』10月号で、“美しいナメ滝が続く初級者に人気の沢”として紹介され、昭文社の山地図にもルートは記載されてないものの、付属の小冊子で概略が記されている。
天候が安定し、紅葉も綺麗な秋の晴天の好日だが、日が短いことと沢の凍結が気掛かりだった。前日、甲武信小屋へ沢が凍っていないかどうかを問い合わせると、まだ凍っていないと言う。
『山と渓谷』10月号(P.80)の参考コースタイムでは西沢渓谷入口から甲武信小屋まで7時間少々。下りは戸渡尾根の一般登山道が約4時間。もし下りで暗くなっても、危険な岩場はなく、ライトで照らして歩ける。
26日、西沢渓谷入口の駐車場を、山の中ならまだ暗くて足元が見えにくい時刻に発つ。舗装された車道歩きなのでライトは不要。
二俣吊橋を渡り、遊歩道から鶏冠山入口と表示された東沢へ入る。以前、鶏冠山へ行った時は登山靴を濡らすことなく飛び石伝いに対岸へ渡ったが、今回は水量が多く、渡渉用の靴に履き替える。
山ノ神までは東沢の左岸沿いの山道。山地図には荒れていると書かれているが、そんな感じではなく一般登山道並みの歩きやすさだ。
山ノ神の先から本格的な渡渉を繰り返す遡行が始まる。
乙女滝、東のナメ沢、西のナメ沢などの現地表示が多く、切り取って持参した山渓10月号の地図で現在地を確認する。
コバルトブルーに晴れ渡る大空に今が盛りの紅葉が映え、素晴らしい風景の中での遡行である。 コース上のキーポイントとも言える金山沢と釜ノ沢の分岐点にも間違えようのない明瞭な標示がある。
金山沢の方が水量も多く、渓相も広くて本流ではあるが、ルートは釜ノ沢を辿る。
釜ノ沢に入り、すぐ魚留滝がある。魚留、魚止メなどの名の付く滝は各地に多い。洪水時に遡上する習性のある渓魚が越えられず、滝より上流に渓流魚は生息しないことが名の由来だが、現実には滝上にも人の手で放流され、名前だけの滝が多い。
滝を越える上がり口のスラブには一本の枯れた丸木が立て掛けてある。自然に置かれた丸木ではなく、スタンスやホールドの少ないスラブを這い上がるための補助具だ。
魚留滝から両門ノ滝までが、この沢ルートで最も美しい渓相だった。両岸の紅葉、黄葉の中を滑り台のようなナメ滝が続く。
しかし、両岸の岩場は地中から染み出した水で濡れ、そこに落ち葉が溜まっていて腐った状態となり、とても滑りやすい。
両門ノ滝〜薬研ノ滝と続けて左岸を巻き、持参した山渓の地図にある“広河原”へ出る。昭文社の山地図では“東俣”と書かれている付近だ。
この付近は沢から離れた左岸の針葉樹林帯の中が広く、ビバーク適地も広範囲にある。樹林帯の中に踏み跡が伸び、ピンクリボンもあって迷うことなく進める。
40分ほど樹林帯の中を歩いていた間に、沢靴から登山靴に履き替える。再び沢に出た所から奥は水量が少なく、ずっと登山靴を濡らすことはなかった。
本流と水師沢の出合(標高1930m付近)には『甲武信⇔西沢渓谷』の標識があるが、甲武信は本流側か水師沢側かが分かりにくい標識だった。本日の沢ルートで唯一迷った地点である。
ピンクリボンは水師側へ渡った地点にあるが、その先には踏み跡がない。標識の所へ戻り、本流側に沿って少し行った先にリボンがあり、ホッとする。
その後も目印は少なく、基本的に沢通しで良いことは分かっていながら多少の不安を抱えて心細い。
右から流れ込む木賊沢を過ぎた辺りからは一段と水量が少なくなる半面、渓が急峻となり一歩ごとに20〜40cmの階段を上がるよう。段差が40cmもあれば灌木や木の根に掴まって身体を引き上げる感じ。上方に目印を見つけては一安心、その繰り返しとなる。
やがて上方に甲武信小屋の揚水設備(水源小屋)が見え、憧れの西沢渓谷・遡行ルートがフィナーレを迎える。
朝は雲のかけらも見当たらない快晴だったが、水源小屋に着いた頃は日差しがない曇天で、周辺の高い山にはガスが掛かる。
水源小屋から甲武信小屋までは普通の登山道で8分。カメラのみ持って甲武信ヶ岳へ行くもガスで眺望は得られなかった。
笛吹川〜東沢〜釜ノ沢〜東俣〜甲武信ヶ岳と遡行する沢ルートは標高差は大きいものの、特に危険な所もなく、快晴の紅葉と相まって、渡渉しやすい素晴らしいルートであった。
『山と渓谷』に初級者に人気の沢とあるのはそのとおりである。
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