大滝山・蝶ヶ岳
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 26.8km
- 登り
- 1,420m
- 下り
- 1,382m
コースタイム
- 山行
- 3:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:20
- 山行
- 7:57
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 9:25
- 山行
- 5:25
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 5:35
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
予約できる山小屋 |
蝶ヶ岳ヒュッテ
|
写真
感想
(23日) 今年は穂高連峰の縦走に手を付けたかったのだが、腰痛と足指の怪我のため自信がなく断念。しかし、くすぶってばかりいても仕方ないので思い切って北アに行ってみることにした。
「まつもとー、まつもとーー」と「とー」を伸ばすアナウンスを2年ぶりに聞いて、この駅に降り立った嬉しさがこみあげる。遅めの時間だが、松電の座席は登山者で一杯だ。上高地のバスターミナルでパンをかじって出発。穂高の上の方は雲をかぶっている。森と水の美しさを味わいながら1時間のアプローチを楽しむ。徳本峠への道に分かれると、途端に人の姿がなくなり、ここから山行スタート、そして単独行モードへと気分が切り替わる。峠までは2年前の同時期に来ているので(霞沢岳往復→島々)、まだ記憶に新しい。稜線の黄葉は遅めのようだ。校の谷の間に穂高の山腹が見える。梓川の向こう側に行きたかったと、一抹の悔しさがよぎる。それでも秋の峠道をしみじみと辿り、小屋に到着。テント場は7割くらい埋まっていたが、穂高の見える端っこを確保できた。とりあえずビール、次に山。徒歩50秒の展望台に行くと、初めは明神だけだったのが、次第に雲が切れ前穂、奥穂と姿を現してきた。雲を背景にした峰々のシルエットは威圧感があり、さすがの風格を感じさせるものだった。霞沢への道を散策しているうちに、西穂までの全貌が現れ、陽が沈むまで飽きる間もなく眺め続けた。
(24日)快晴のもと、穂高は全貌をさらしている。今日は一日付き合ってくれるだろうか。小屋の裏から森に踏み込む。針葉樹の森は地味だが、奥秩父や北八ツの森より深みがあるような気がする。一人の秋の徒歩旅行を心ゆくまで味わう。大滝見晴らしでは空の明るさに戸惑うほど。槍の穂先がチラリと見えた。疲れを感じ始めたころに、大滝槍見台のやぐらが現れる。昔のガイドブックにはやぐらなどと書かれていなかったような気がするが。そんなに短期間で木が伸びたということか? 上がってみると、眼前のナナカマドの紅葉が華やかだ。槍穂高もさることながら、大天井の大きさが目を引く。ぜひ常念からつなげてみたい.
三たび、森の中へ。道はぬかるんで、丸太が敷いてあるところも多い。しばしば舟窪地形も見られる。疲れが出てくると、不安のあった腰にいやな感じが出てきて、もうアルプスの幕営は限界かとやや気分が沈む。次第に道は左側をからむようになり、地図とは異なるらしく直登部分はないまま、ひょっこりと尾根の反対(東)側へ乗り越す。意表をつくように青空と、黄色くなり始めた草原が広がった。後方には歩いてきた重厚な尾根と、霞沢岳や焼岳が望まれて嬉しい。直射日光に当たると暑いが、久し振りのハイマツにタッチしながら歩けば、辛抱も少し軽くなる。意外と長い登りを経て、平らな道になると、ハイマツに囲まれた大滝山南峰に飛び出した。まだ雲もなく、槍穂高が一望だが、長塀尾根が下半分を隠してしまっているのが残念だ。
平坦な稜線を、秋の風情の草原や池を見ながら進むと、もう扉の閉じられている大滝小屋を通り過ぎ、北峰に着く。槍穂高はもちろんだが、今までずっと樹林の中を歩いてきたので、蝶ヶ岳に続くたおやかなハイマツの稜線が実に魅力的に望まれる。先着の単独行の男性と話をしてみると、三俣から常念を越えて来て、なおこれから折り返すとのことで驚嘆する。(後にSo-pia氏と分かった。) 私にはその力はないし、流儀でもないので、氏が発たれて一人になった後に周囲の山々を眺めながらゆっくり長めのコーヒータイムを味わった。
さて、名残り惜しいものの、ビールの欲求にも負けて腰を上げる。今季初の森林限界上の散歩がしみじみ嬉しい。花は無い代わりに、コケモモの実の鮮やかな赤色が宝石を散りばめたようだ。下り始めると、黄葉し始めた岳樺や枯れ草原が陽光に輝いて、寂しいというより爽やかな秋景色だ。立ち止まったり振り返ったりで歩みが進まない。登り返しは見かけほど苦労ではなく、ハイマツのトンネルを抜けると小屋の赤い屋根が見えてきた。設営した後、薄暗くなるまでビールを飲みながら穂高を眺める。なぜかエアマットの空気が抜けてしまい、寒い一夜を過ごすことになった。
(25日)本日も快晴。日の出前からカメラをぶら下げた大勢の人たちが稜線に立ち並んでいる。穂高に曙光が当たり、次第に下に広がっていく様に歓声が上がる。残念だが帰らなければならない。もう一度蝶ヶ岳最高点を踏んで、下山にかかる。枯葉の上にはもう霜が降りている。寒いわけだ。秋の山に別れを告げ、モノトーンの樹林帯に入る。平日なので登ってくる人は少なく、満足感を反芻しながら針葉樹の森を下った。
(総括)
天候に恵まれ、大展望を楽しめたことは良かったが、自分自身のパフォーマンスは今一つ。膝や腰は痛むし、軽量化のためと夏季用のシュラフにしたら寒くて寝られなかった。そんな時に限ってエアマットがつぶれ(帰宅後に水に沈めてみたら穴を発見)、何だかガックリきてしまった。自分の身体から徹底的にリニューアルしないと、今のままの延長はないなと感じざるを得なかった。
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