大普賢岳・和佐又山 和佐又山ヒュッテから
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 1,370m
- 下り
- 1,361m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
”冷静な対応が必要”との反省を込めての感想です。
水簾滝の水場での小休止を終え、和佐又山を目指して歩いていると、後ろから走ってくる男性が。何事かと振り返ると、先程の水場にいた若者です。若者「すみません。ドコモの携帯をお持ちではありませんか?」、自分「ドコモですけど、どうしました?」、若者「父が足を滑らせて頭が割れてしまったんです。僕はソフトバンクなんですけど繋がらなくて。」、自分「えっ、さっきまで元気でいたじゃない? どうして?」 とりあえず携帯を取り出し、機内モードを解除してみます。自分「ごめん。ドコモもダメですね。」、若者「何か血を止めるものを持っていませんか?」、自分「医者じゃないし…。」、若者「ありがとうございます。」 若者は、先を急いで走っていきました。
若者が去った後、自分の中で葛藤です。(とりあえず現場に戻ろう…。)(でも頭が割れた…。そんなところに素人が戻っても何もできないし…。血だらけのそんな凄惨な現場は見たくないし…。)と最悪な状況が頭の中に浮かびます。しばし葛藤した後、(後になって、あの時戻っていれば…。)と後悔したくないし、もしかしたら自分にも何かできることがあるかもしれないと考え、現場に戻ることにしました。
現場に戻ると、既に後続の方々が救護されていました。「大丈夫ですか?」と声をかけると、後続の方の一人からは「血は止まったと思うけど。」との返事。頭が割れた男性は岩に腰掛け、血の付いたタオルで頭を押さえています。男性に「息子さんに話を聞いて戻ってきました。医者ではありませんけど包帯やガーゼとかは持っていますので、ちょっと見せていただけますか?」と声をかけ、タオルをどけてもらうと、傷口は大きなバンドエイドでふさがれていました。そうなんです。若者から”頭が割れた”と聞かされたので、とんでもない状況を想像していたのですが、実際の傷口はそんなに大きくなかったのです。若者から話を聞かされた時に「意識は?」「出血の程度は?」など冷静に質問していればと反省した次第です。
その後は、頭に包帯を巻いてあげ、ペットボトルの水で手に着いた血を流してもらい、濡れた服を脱いで予備に着替えて、最後にジャケットを着こんでもらいました。
そして、男性のザックと若者のザック(彼はザックを置いて走っていった)を一か所にまとめました。これで一段落となり、後続の方々も順次出発しはじめました。救援が来るまで誰か一緒にいてあげた方が良いと思いましたが、自分は初めてきた山でコースに不案内のため、暗くなってから行動するのは避けようと判断し、男性には、「必ず救援隊が来るのでこの場所から動かないこと」、「このあと大丈夫だと感じても、頭を打っているので動かない方が良いこと」を伝えて自分も出発させてもらいました。
出発して30分か40分位経った頃でしょうか。ヘリの音が徐々に聞こえてきて黄色の機体が現れました。樹林に囲まれいるため、すぐに機体は見えなくなりましたが、音から察するにしばらくホバリングした後一度上昇し、またすぐに戻ってきて20分程度ホバリングしているようでした。その後ヘリは飛び去って行きましたので、無事救助も完了し、めでたしめでたしと思っていました。
和佐又山を下山し、ヒュッテの駐車場に戻ると、消防の方が無線でどこかとやりとりをしていました。その内容を聞いてびっくり。消防「男性から歩いて下山しているとの連絡が入りました、どうぞ。」
男性が歩いて下山することになった経緯はわかりませんが、ヘリは空振りとなった模様でした。
救援を呼ぶために走って下山した若者は、実の息子さんではなく、義理の息子さんとのことでした。義理の息子さんからしてみれば、奥さんのお父さんが怪我をして相当焦っていたんだろうなぁ。もうちょっと自分が冷静に応対してあげていたらヒュッテまで走らなくても良かったかもと反省しています。
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