鹿島槍・八峰キレット・五竜岳


- GPS
- 16:05
- 距離
- 26.3km
- 登り
- 2,934m
- 下り
- 2,829m
コースタイム
30日 冷池山荘3:47-4:51布引山-5:42鹿島槍ヶ岳南峰6:22-8:00キレット小屋8:18-11:13五竜岳-11:55五竜山荘12:06-13:14大遠見山-14:55アルプス360(テレキャビン乗場)
天候 | 29日:晴れ 30日:曇り後雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
下山:五竜遠見スキー場テレキャビンから飯森駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山届ポストは柏原新道登山口 危険個所 柏原新道標高2300m沢筋の崩壊地が足元崩れと落石注意。 鹿島槍ヶ岳南峰、北峰どちらも北斜面の岩場に雪が付き、スリップし易い。 テレキャビン麓のエスカルプラザ大浴場は休業中、飯森の「十郎の湯」で入浴 |
写真
感想
鹿島槍ヶ岳は30年前、学生時代の夏に3人パーティーで八方尾根から入山、2泊の日程で目指したが、悪天停滞により五竜岳までで下りて以来行っていなかった。
5年前に富山住まいになり、近い山から片っ端に登っていたが、気が付けば北アルプス最後の未踏百名山が鹿島槍だった。一昨年頃からそろそろ登ってしまおうと思うようになり、去年は久しぶりに当時のパーティーの一人にあったので、一緒に行かないかと誘った。彼曰く、今僕は山に登れるような運動をしていないからおまえ勝手に行け、だと。その後計画するも天候不順などで断念を繰り返し、10月最後の週末に、今年最後のチャンスと挑戦することにした。
当時の計画とは逆に南側から登るが、五竜岳まで歩いて昔の足跡とつなぎたいと思った。日程1泊なので鹿島槍往復だけなら楽勝だが、キレットを超えて五竜・遠見尾根はロングコースになる。
直前の天気予報では、初日の土曜日は晴れだが日曜日は曇り時々雨と思わしくない。悪ければ鹿島槍から戻ってもいい、ともかく行ってみることにした。
29日土曜日は朝富山出発で、9時過ぎにバスで扇沢到着。車道を少し戻って扇沢の橋を渡ると柏原新道の登山口になる。沢筋から標高差1000m上の種池小屋が豆粒のように見える。よく整備された尾根道をしばらく行くと赤沢岳、鳴沢岳方面が、次いでスバリ岳、針ノ木岳が望めるようになる。紅葉はもう終末期だが木によってはまだ見られる。稜線の種池小屋がかなりの間見えていて、少しずつ、少しずつ近づいてくるが、標高2100mあたりから隠れて見えなくなる。その後扇沢源頭の崩壊地を注意して超えると急坂となり、頑張って登ると突然目の前に種池小屋が現れた。ここまで10人以上の人とすれ違った。爺ヶ岳日帰りの人が多かったのだろう。
爺ヶ岳へは眺望絶景のなだらかな尾根道となる。左手前方には目指す鹿島槍の双耳峰が、左に目を移すと剱岳、立山に従えられた連峰の山々、真後ろは針ノ木岳ほか後立山南方の峰々、さらに右手の遠景として八ヶ岳、富士山、南アルプスまで見えている。爺ヶ岳を越すと鹿島槍との間に、本日の目的地、冷池山荘が見えて来た。爺ヶ岳からの下り、北斜面となりここで初めて、周りに雪を見るようになり、時々は雪を踏んで歩いた。順調に下って最低鞍部からわずか登り返すと冷池山荘に到着。
ここでちょっと誤算だったのは、山荘周辺に雪が全く残ってなかったことだ。冷池山荘は天水頼りの小屋で、小屋仕舞いしているので水の供給はない。爺ヶ岳周辺ではかなり雪を見たので安心していたが、ここは南斜面で消えてなくなっていた。持っている水は約1リットル、夕食・朝食には足りるから後は歩いた先で調達しよう。
テントを張るつもりでやって来たが、山荘の冬季避難部屋が解放されている。あまりに快適そうなので使わせていただくことにした。使用者は1人1泊千円送れと書いてあるので、守ることにしよう。
30日、今日は長丁場なので早出、4時前に出発しよう。心配の天気だが、薄曇りで部分的に星が見えている。ラジオの天気予報で長野県北部などは曇り午後から時々雨と言っているが、さて山の上ではどうか。布引山を越えて鹿島槍ヶ岳南峰までは手を使わずに歩いて登れる山道で暗闇でも問題ない。ただこの間に、時々パラパラと雨が降ってきて少し心配になる。頂上に着いて夜明けを待つ。頭上は雲だが、東の地平線は赤く光りだし、富士山がシルエットで見えて来た。夜明けの太陽は拝めたが、その後は雲に隠れた。
さてこの先キレット、五竜岳へと進むか、しばらく悩んだ。この先天気は悪くなる方向であることは確かだが、その進み方が速いか遅いかだ。鹿島槍山頂を踏む、30年来の宿題は一応果たした。気温は7,8℃くらいあってこの時期としては暖かい。ネットで見て来た山岳予報では風は強くはならない。行く手のキレット、五竜岳への稜線はまだしっかり見えている。などと空を見上げて考えた挙句、最後は濡れても良いと、北へ向かって進む決意をした。この間に山頂の雪を溶かし、新たに500mlの水を確保した。今日はこれでもつだろう。
鹿島槍北峰への、吊尾根の下り道に入ると様相は一変した。北斜面で雪が残っており、しかも岩場。岩に氷が張りついてつるつるの所もある。鎖がかかってないところがむしろ怖く、ここで足元が滑るとヤバいな、という所が随所にあり、慎重に足場を確かめながら下りる。ストックを畳み、ピッケルにした。アイゼンは付けるほどでもない、と判断した。北峰への登りにかかると一旦楽になるが、北峰からの下りでまた緊張を強いられる。これでキレットの難所にかかったらどうなるんだろうと、一時は心配が高まったが、標高を下げてくると雪は少なくなり、キレットは見た目は怖いが、鎖、手掛かりがしっかりつけられていて、夏と変わらない条件で通過できた。
キレット小屋に着くころは、小降りながら雨が降る割合が多くなってきて、小屋の雨樋から水が汲めるくらいになっていた。ともかくここまで来たら前に進むしかない。五竜岳までは、稜線の登り下りを繰り返しながら少しずつ標高を上げて行く中に、随所に岩場・鎖場を超えて行く。緊張感と慎重さ、それに体力が続けば大丈夫だ。キレット小屋から3時間、遂に30年ぶりの五竜岳に到達。霧の中だった。
五竜山荘まで下りると、視界は大分良くなり、白岳の右手に下り道の遠見尾根が見渡せる。ここで丁度正午になった。テレキャビン下りの最終は16:30、そこまでの標準コースタイムは約4時間だけど、それよりは早く着けるだろう。雨は気にならない位弱くなった。西遠見、大遠見、中遠見と随所に登り返しがあるが、淡々と進む。小遠見を過ぎるといよいよアルプス平、テレキャビン乗場の建物が見えてくる。地蔵の頭からはリフト沿いの木の階段を駆け下りて、乗場に到着、11時間の行動を終えた。
今日はここまで、誰一人にも会わなかった。アルプス平もこの天気で観光客も全くおらず、初めて会った人はキャビン切符売り場の人だった。その係りの人は売り場の奥で事務仕事をしてるらしく、呼んでも気づいてくれず、ガラスを叩いてやっと来てくれた。
テレキャビンで下りたところの施設、エスカルプラザにはサウナ付大浴場があるというので当てにして行ったら、10月後半は営業していないとのことで、飯森の日帰り温泉「十郎の湯」まで歩き、入浴後大糸線の飯森駅から富山への帰途についた。
無事に下山できて良かったですね。
この季節に一泊二日でこれだけ歩けるなんて凄いです。
岩場に中途半端に雪が付くと危ないですからね。
私は今年の夏に百名山を完登しましたよ。
25年もかかりました!
好きな山は何度も上がってしまうのでなかなか終わりませんでした。鹿島槍、五竜も2回登っています。
「今は山脈を繋げる」を目標にしています。
後ろ立山連峰、常念山脈は繋がりました。
OBABAさん、コメントありがとうございます。
お歳を拝見してしまいました。OBABAさんもなかなか元気じゃないですか。励みになります。
おっしゃる通り、中途半端に雪がついた岩場で緊張しどうしでした。その分1時間以上余計にかかったと思います。
百名山完登おめでとうございます。私はこれで61座登りましたが、近場ではもうあまり残っていないし、完登の野望は今のところないので、この先は増えていかないと思います。隠居でもしたら目指すかも知れません。
今のところは体力には多少自信があって、日帰りか1泊で歩けるだけ歩こうとしています。剱岳早月尾根も毎年日帰りで行きます。四捨五入して60になったので、あと何年これが続けられるかはわかりませんが、その時々の体力に応じて末永く登り続けようと思います。OBABAさんもお手本でいてください。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する