鳥海山 湯ノ台〜新山

- GPS
- --:--
- 距離
- 23.9km
- 登り
- 1,968m
- 下り
- 1,987m
コースタイム
9:30湯ノ台温泉発-11:00鳳来山-13:30滝ノ小屋着
4月15日
5:05滝ノ小屋発-7:00外輪山(伏拝岳)-9:00新山-9:45大物忌神社(山頂小屋)-11:30滝ノ小屋
12:45滝ノ小屋発-15:30湯ノ台温泉
| 天候 | 4月14日:曇り 4月15日:晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2012年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
○滝ノ小屋〜外輪山 標高2000m以上は全域アイスバーン状態。 アイゼンもしくはスパイクの付いたスノーシューで無ければ とても登れない状態でした。 ○外輪山〜新山 外輪山の下降が今回登山の一番の難所になりました。 夏道は雪で埋まっており利用できません。 今回、新山方向を示す道標から少し七高山方面に進んだ先に下降ルートが ありましたが、岩陰に隠れており、見つけにくい状態です。 (場所は、後述の写真などを参照下さい。) 岩に沿ってフラットな下降道が外輪山の断崖中腹くらいまでは続いてますが、 そこから先は急斜面の下降となってます。 斜面はアイスバーン状態でかなり硬いので氷にも対応できる ピッケル、アイゼンが良いと思います。 尚、今後融雪が進めばルート状況はかなり変わると思われます。 今回、私が辿ったルート(特に岩沿いの道)は通れない状況になるかもしれません。 安全な下降ルートが見つけられない場合は撤退を薦めます。 この区間は不確定要素が多いので、新山登頂を目的とするなら、 外輪山尾根上を経由しない別登山道の方が確実かと思います。 ○千蛇谷 2か所、外輪山側が崩れて小規模な雪崩が発生してました。 (15日の朝方発生したものと思われます) 外輪山の斜面には多数のクラックが走っており、山沿いは危険な状態でした。 近日中に千蛇谷の滑走を予定している方は御注意下さい。 |
写真
このルートを下降中に、青ルートを発見した。
青ルートは岩沿いにフラットな道が出来ているので、利用するならこちらの方がずっと楽。
但し、下降路入口は岩で隠れているので、外輪尾根上からは見つけにくい。
感想
【4月14日】
湯ノ台温泉より、入山。
鳳来山へ続く尾根を経由し、本日の目的地である滝ノ小屋へ向かう。
雪は浅く、踝が埋まる程度。
重く湿った雪質であるが、歩くのは楽だった。
風は南東から吹いてくる。
この日は南東方角に低気圧があったのでそちらから吹いてきている模様。
数日前のものと思われる古いトレースを辿っていると、
突然、東の方角からドーンという音が鳴り響いた。
どうやら遠くで雪崩れが起きた模様。
今日は日差しは出ていないが、気温は8℃程あり暖かい。
融雪が進むには十分な環境。
雪崩れには十分気をつけた方が良さそうである。
鳳来山までは特に難所らしい箇所はなく順調に進むが、
その先にある急坂が嫌らしい。
ワカンで登るには少々厳しい急斜面で、
ジグザグに登ろうとするも、雪が脆くて安定しない。
結局、アイゼンに履き替えキックステップで直登した。
急坂を過ぎると道はなだらかなブナ林に入る。
視界が開けず、変化のない道が続くので方向が時々判らなくなるが、
静かで雰囲気のよい林。
ここで昼食をとった。
時折、GPSにて方向確認しながら林を進むと、やがて視界は開けてきて、
進む前方に鳥海山が見えてきた。
木の間隔も疎らになり、登山道は広く開放感のある雪道となり、
ところどころにスキーのトレースが目に付くようになる。
しばらく進むと前方より一人スキーヤーが滑走してくる。
積雪期の鳥海山に登るのは今回が初めてであるが、
この季節の鳥海山、といえば山スキーという印象がある。
山道はスキーヤーで溢れている、と思っていたのだが意外に人は少ない。
この日すれ違ったのはこのスキーヤー独りのみで、後から登ってくる者は誰も居なかった。
今日の天気は悪くないものの晴れ間はなく、雪崩注意報も出ている。
この山がスキーヤーで賑わうのはあらかた雪も雪崩落ち、もっと安定してからなのかもしれない。
通過してきた雪道の所々に雪庇が張り出していたが、大部分は崩れ落ちており、
残っている部分にもクラックが走っている。
近いうちに崩れ落ちそうな雰囲気を醸し出していた。
今回通るルートは初めて、という事もあり雪崩が心配なところである。
滝ノ小屋には午後1時頃に到着した。
丸太と石垣を組み合わせて作られた2階建ての立派な小屋で、見るからに頑丈そう。
小屋の入り口は外から鎖がかけられており、中には誰もいないようだ。
周囲に人は居らず、鳥海山外輪側の広大な斜面を見渡しても、滑走するスキーヤー見られない。
今日の宿泊者は私一人になりそうだ。
鎖を外し、小屋内に入る。
一階部分は、広い座敷と板張りの居間となっており、
二階は雑魚寝部屋とその奥に個室が二つ。
片方の個室は鍵がかかっておりは使用できないが、もう片方は利用可能。
この個室を寝室にし、食事や水作りなどの家事作業は、1階の座敷で行う事にした。
1階の居間の壁に、小屋の料金が記載されてあった。
通常は2500円であるが、積雪期の管理人不在期間は400円。
今日の利用者は自分一人で、山で過ごす環境としてはかなり贅沢な環境だ。
これで400円は十分安い。
夕食用の水作りなどをしながら、しばらく小屋で過ごしていると空に晴れ間が見えてきた。
いくら小屋内が快適、とはいえ折角の晴れ間に閉じ篭るのも勿体無い。
カメラだけを持参し、小屋を出て周辺散策に出かける。
滝ノ小屋より上部は大きな樹木は存在せず、
外輪山の尾根まで、白く広大な斜面が広がっている。
まるで山全体がスキー場のようだ。
一体、ゲレンデ何面分あるのだろう。
横に広く、ルートは長大。
山スキーが盛んな理由が判る気がした。
その山容は穏やかで、先週登った谷川岳の厳しさとは対照的に見えた。
しばし、その山肌を眺めつつ、明日の登頂ルートを考える。
明日は間違いなく晴天となり、気温は上がる。
外輪山の尾根までの道は難所はなさそうであるが、雪崩の危険は考えられる。
下方からざっと眺めた限りでは、雪崩れそうな急斜面は見られないが、西側の谷部が少々気にかかる。
しばらく考えた結果、伏拝岳へ続く尾根上の道を辿るのが最も安全と考えた。
尚、日中気温が上がる事を考えると、早朝の早出が良さそうだ。
今の雪は気温上昇に伴いかなり緩んでおり歩きにくいが、
朝方氷点下の環境であれば、締まって歩きやすくなってるはず。
更に、雪が締まれば雪崩れる可能性も低くなる。
そんな事を考えながら、明日の計画を立てていると、やがて日没。
斜陽に照らされる鳥海山を眺めた後、小屋に戻り夕食へと取り掛かった。
陽が落ちて、暗闇に包まれる小屋内。
広い空間を自由に使えるので、かなり快適であるが・・・
やはり、一人っきりてのはどうにも落ち着かぬ。
狭いテントに比べると、死角になる空間が実に多い。
その暗がりの中に、誰かが佇んでいるような・・・
常にそんな錯覚にとらわれるのである。
私は霊感、というのはまるでない人間であり、霊の存在なんて信じてはいないが、
一度だけ、それらしい経験をしたことがある。
それは、東北のとある山小屋に一人で泊まった時の出来事であるが・・・
(その話を書きだすと無駄に記事が長くなるので省略)
真っ暗な小屋で一人過ごしていると、どうしてもその時の出来事が思い出され、
食事している間は落ち着かない。
そんな時はアルコールの力で忘却。
持参したウィスキーをお湯割りで2杯飲んだところで、ようやく落ち着いた。
私は山で一夜を過ごす時は、必ずウィスキーを持参するが、
それは酔って気分が良くなる為、というより恐怖を紛らす為、という理由が大半を占める。
なんとも臆病な奴だの。。。
酒の力で楽しい山小屋暮らしを満喫し、21時に就寝。
夜になっても気温は4℃と温かく、快適に寝ることが出来た。
【4月15日】
3時30分、起床。小屋内:2℃、小屋外:-3℃
朝から雲ひとつない快晴。
5時05分、日の出と共に滝ノ小屋を出発。
ほどよく気温が下がり、雪が良く締まっていた。
アイゼンの爪がサクサク刺さり、歩いていて心地よい。
周囲の雪は朝日に照らされ、真っ赤に染まっている。
昨日決めたルート通りに、まずは外輪山上の伏拝岳を目指す。
その途中、何度も後ろを振り返った。
赤に染まる雪原の中に佇む滝ノ小屋、
遠方に見える月山と朝日岳。
特に月山の眺めが素晴らしい。
鳥海山からは近くに位置しているので、立体感を伴って視界に飛び込んでくる。
月山の東面も、うっすらとではあるが赤く染まっている。
素晴らしいモルゲンロート。
尾根上は雪が浅く、ところどころ岩や灌木が露出していた。
雪の踏み抜きが多発しそうだが、硬く雪は締まっており、めったなことでは踏み抜かない。
ルート上は極めて歩きやすい状態で、順調に高度を上げてゆく。
しかし、2000mを越えた辺りから雪は氷化し全面アイスバーン状態になる。
アイゼンもしくはスパイクのついたスノーシューでも無ければ進めない状態となった。
更には風が強まりだして、時には耐風姿勢をとらざるを得ないような突風が吹きつける。
厳寒期ほどではないが風は冷たく、着ていたハードシェルのフードを目深にかぶる。
足場は濡れた氷で傾斜こそ緩いものの、一旦転倒したらかなりの距離を滑り落ちそうであった。
一歩一歩慎重に、時には岩陰で風を凌ぎながら外輪山上まで登りきる。
外輪山に上がった途端、その視線の先に目指す新山が見えた。
ようやくここまで来たか、と思い外輪山の尾根上に立った瞬間、
真正面から強風を受け、背後にバランスを崩しそうになる。
背後は氷のゲレンデ状態なので、冷や汗ものだ。
一旦、風下側に逃げ、大岩の陰でしばし様子を見る。
そこで5分程待ってみて、風は弱まり出した頃に改めて外輪山の上に立つ。
外輪山に立ち、まず真っ先に見えるのは、鳥海山の山頂である新山。
夏場は大岩が積み重なったゴツゴツした山容だが、今は雪で覆われなだらかな傾斜を描く。
頂上部には、小さなピークが多数突き出ており、遠方から見ただけではどれが本当の頂上か判らない。
視点を下ろすと、そこには千蛇谷の雪渓が広がっている。
夏に訪れた時は、谷底に雪が残っているだけだったが今は谷全体が深い雪で覆われている。
いずれも素晴らしい光景であるが、それよりもインパクトがあるのは今立っている外輪山の断崖だ。
北側は鋭く切れ落ちており、その断崖は新山を守る城壁のようにぐるりとその周囲を取り囲んでいる。
自分は今、その城壁のてっぺんにいる訳で、目指す新山頂上へ行くにはこの断崖を下降しなければならない。
どこから降りればいいのか、その場で見ただけでは全く判断が付かなかった。
とりあえず、夏道へ向かってみるか。
尾根上を北東へ進む。
外輪山尾根上は、雪が氷化しており滑りやすいが地形的な険しさはない。
アップダウンはあまりなく、雪庇等の危険要素も無し。
快適な2000mの尾根歩きが続いた。
そして、夏道があったと思われる地点に到着。
うーん・・・、これは無理。
予想通り夏道は完全に雪で埋もれており、下降できそうな場所は見られない。
周囲を捜索してみるも、切れ落ちた断崖しか見つからず、
ロープを利用して懸垂下降でもしなければ降りられそうには思えない。
ここはダメだ、と諦めて尾根を先へ進む。
たしか、この尾根の先にある七高山の手前辺りにも夏道がある。
そちらを当たってみることにした。
しかし、その夏道も雪で覆われ使えない可能性は大いにある。
あまり当てには出来そうにないので、道すがら時折立ち止まって下降路が無いか、断崖下方を覗き込む。
だが、一向に下降路は見つからず、やっぱりここもダメかと諦めて尾根の進路上に目をうつした。
すると、そこに1匹の獣が。
黒々としており、一目見た時タヌキに見えた。
しかし、体長はやけに大きい。
1m以上はあっただろうか。
カモシカのようだ。
カモシカは私の方をじっと見つめており、しばらくすると七高山の方へと走り去る。
その後を追って行くと、時々カモシカは立ち止り、じっとこちらを見つめる。
まるで私を待っているかの様だ。
“下降路に案内でもしてくれるのだろうか?”
なんて非現実な考えが思い浮かぶが、他に行く当てもない。
とりあえず、カモシカの後をついて行く事にした。
やがてカモシカの姿は見えなくなったが、しばらく進むと新山頂上への道を示す道標を見つける。
道標の示す矢印方向を調べてみるが・・・、やはりダメだ。
そこは切れ落ちた断崖。下降路は無い。
だが、道標を越えて、更に七高山へ進むと・・・
かろうじて、ではあるが下降可能そうなルートを発見。
一見、急な斜面に見えるが、よく見ると緩い斜面も交じっている。
それら緩斜面を繋いで行けば、下まで到達する事は出来そうだった。
ひとまず、ここを下降ルートの第一候補とし、他のもっと良いルートを探す為、七高山まで進んでみた。
外輪山の最高地点である七高山。
その頂上を越えてしばらく尾根を進んだところで、道は終わっていた。
尾根の先は切れ落ちており、これ以上は進めない。
結局、第一候補としたルート以外は良い下降路は見つからず。
尾根を戻り、そこから下降する事とした。
そして、下降開始。
始めは緩い斜面を3mほど下る。
ここはまだ傾斜が緩いので、足だけでも下る事が出来る。
しかし、そこから先は傾斜が上がり、ピッケルの補助も必要。
ピッケルとアイゼンの前爪のみで斜面に張り付き移動する。
雪質はアイスバーン状態で、かなり硬いが安定している。
この斜面は、今の時間は日陰に位置するので日光の直射が当たる事はない。
しばらくは地場が緩む心配はなさそうだ。
だが、昼過ぎ、直射が当たるようになると・・・少し心配なところである。
とにかく、長くはかけられない。
ここは真っ直ぐ下りたいところだが、直下のルートは傾斜が厳しく
アイスクライミングの装備でも無ければ行けたものでは無い。
まずはルートを左手方向にとり、カニ歩き。
ピッケル、アイゼンの3点支持で慎重に進む。
この時持参したピッケルは氷にも対応したTクラスで、アイスバーン相手でも深く刺さり、食いつきも良い。
滅多なことでは外れない安心感がある。
だが、それに比べるとアイゼンは心もとない。
一応、氷も対応できるが、前爪が短めの縦走用なので足首をしっかり固定しないと外れる危険がある。
張り付いた斜面から下までの落差は20mはあるだろか。
落ちれば無事では済みそうになく、緊張感のあるルートとなった。
しばらく横移動し、その先に安全に立つことの出来るテラスがあるので、一旦そこで休憩。
その後、若干高度を下げながら今度は右手方向へと横移動。
行く手の先は、角度にして45〜60°程の緩い斜面と合流する。
あそこまで行けば、後は一気に下まで降りられそうだ。
そして、緩斜面に辿りついた時、一安心し、ふと、右手方向を見る。
その瞬間、目が点になる。
そこには大きな岩が突き出ており、その岩に沿って外輪山尾根上まで続く道幅50冂のフラットな登り坂があった。
斜面に張り付きながら降りてきたルートに比べれば、圧倒的に楽なルートである。
“なんでこの道を見つけられなかったのだろう?”
不思議に思いながらその道へと移り、試しにその道を辿って外輪山の尾根まで登ってみた。
先に進んでみると、外輪山へ出口部分は腰くらいの高さの岩で塞がれていた。
それを見て、自分がこの道を見つけられなかった理由が解った。
この岩の裏に道が隠れていたので見えなかったんだ。
最初からこの道を見つけていれば、わざわざ危険なルートを辿る必要はなかっただろうに…
一気に拍子抜けした^^;
新たに見つけた道を辿って、再び外輪山を下る。
その道は断崖の真ん中頃まで出来ており、そこから先は再び斜面に張り付く事になる。
だが、傾斜は緩く、先も述べたように45〜60°くらい。
3点支持で慎重に進めば、真っ直ぐ下まで降りる事が出来る。
そして、ようやく外輪山の断崖下りが完了した。
断崖を降りた先には奇妙な光景が広がっていた。
雪面が緩やかな孤を描き、まるで砂丘のように盛り上がっている。
その孤に沿って、登山者の古いトレースが残っていた。
これが新山頂上へ続く道のようだ。
しばし休憩した後、そのトレースを辿った。
新山へ続く道は、夏であれば大岩が累積した険しい道であるが、それら大岩はすっかり雪で埋まっていた。
お陰で夏以上に楽な道となり、特に難所無し。
9時には、山頂に立つことが出来た。
山頂にて、しばし景色を堪能。
誠によい天気で、遠方まではっきり見える。
天候は良いので、今日はスキーヤーや登山者が居てもおかしくなさそうだが、
朝早い時間である為、周囲山域に人の姿は見られない。
西側を見ると、海が見える。
そういえば、
鳥の視点で海を見る山、だから鳥海山というのだ、
て誰か言ってたな。
確かに、ここからの眺めは鳥の視点だね。
少し気になったのは千蛇谷。
頂上から見ると、外輪山側斜面の表層が崩れて小規模な雪崩が発生している。
目視で2か所、雪崩ている斜面が確認された。
2時間前、外輪山から見た時は、そのような雪崩形跡は見られなかった。
ということは、その間に雪崩が発生したものと考えられる。
その他にも、外輪山の斜面には至る所にクラックが走っている。
非常に雪崩やすい状態のようだった。
新山頂上を後にし、大物忌神社と山頂小屋へ向かう。
立ち並ぶ小屋はすっかり雪で埋まっており、一見すると雪塊のようだった。
そこで休憩と昼食。
まだ午前中で時間はある、ゆっくりして行きたいところだが・・・
相変わらずの快晴で気温が高い。
手持ちの温度計を見ると10℃とかなり高くなっていた。
外輪山の斜面が緩めば、帰れなくなる恐れがあるので、早めに戻る事にした。
帰路は同じ道を辿り、再び外輪山の尾根を進む。
その尾根上で千蛇谷を見下ろすと、一人のスキーヤーが山頂小屋方面へ進んでいた。
やはり、雪崩を警戒しているのだろう、外輪山からはかなり距離をとって歩いている。
この日、初めて目にする入山者。
外輪山の尾根の上から手を振ってみたが、気が付いただろうか?
11時半、滝ノ小屋まで下山。
小屋前では、2人のスキーヤーが昼食をとっていた。
私が新山まで行ってきた事をを話すと、
「スノーブリッジは残っていたか?」と質問される。
何の事か判らず、聞いてみると・・・
その方曰く、
厳寒期には新山と外輪山の尾根の間に雪が堆積し橋が出来る。
その橋の事をスノーブリッジと呼んでいるとの事。
その話を聞いて思い当ったのは、外輪山の下降点で見かけた砂丘の様な雪だまり。
今思えば、あれがスノーブリッジの名残だったのだろうか。
残念ながら殆ど溶けており、その橋を渡る事は出来なかったが、いつかその橋を渡ってみたいものだ。
でも、厳寒期の鳥海山。
辛いだろなぁ・・・
この地方の厳寒期の厳しさ考えると、単独では無理そうだ。
滝ノ小屋からの下山は昨日の鳳来山経由ではなく、鳥海高原ラインの自動車道を通って下山するつもりでいた。
なので、そのスキーヤーに道の状況を聞いてみると、
「その道では麓まで時間が掛かり過ぎる、自分達が登ってきたトレースを辿りなさい」
と別の道を薦められる。
その道は鳥海高原ラインに沿って真っ直ぐ麓まで続いており、自動車道を通るよりもずっと早く下山できるそうだ。
手持ちの地図を見てみると・・・
なるほど、確かに自動車道に沿って小高い尾根のような地形が走っている。
この尾根を辿れば短時間で下山できそうだ。
冬だけ通れる登山道のようで、地図上に道は記載されていないがトレースが残っているなら迷う心配はなさそう。
お礼を言い、下山準備に取り掛かる。
小屋に置いておいた荷物を回収し、トレースを辿る。
雪が腐ってきていたので歩き難くなっていたが、傾斜は緩く、難所は無い。
疲れた体で歩くにはありがたい道であり、教えてくれたスキーヤーに感謝した。
でも、登山道の景観変化が乏しく、ちと退屈かな^^;
登りに利用した鳳来山経由の登山道の方が、変化があって面白い道かと思う。
やがて登山道は自動車道と合流。
曲がりくねった自動車道はショートカットし、一気に下るとやがて広々とした雪原に出た。
麓は牧場地帯なので、あちらこちらに広い雪原がある。
そして振り返ると、雪原の奥に、白く輝く鳥海山が鎮座する。
これは良い撮影スポットだ。
最後は除雪されていない自動車道を進み、草津川の橋を渡って、湯ノ台温泉まで戻る。
草津川の橋手前にはフキノトウが群生しており春を感じさせた。
橋を渡った先の道、そこには道路脇の斜面が崩れて転がった雪塊がゴロゴロと・・・
こちらも春を感じさせる光景・・・である。
この道路、下手な登山道よりよっぽど恐い。
転がっている雪塊の大きさはかなりのもの。
雪崩防止のフェンスは付いているのだが、それを越えて雪塊が道路に散乱している有様だ。
こんな危険な場所はさっさと通り過ぎたいのだが・・・疲れてすでにヘバり気味。
最後の最後で、思わぬ難所に遭遇するのであった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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Luske











谷川岳・西黒尾根に続き、、、素晴らしいレコをありがとうございました。
雪の鳥海山、、、私にはルート、状況など想像もつきませんが、
ため息の出るような素晴らしい眺望、厳しいルート、うーんです。
次はどこなのでしょうか、想像してしまいます。
おはようございます。
融雪、雪崩、クラック…いろんな危険性を踏まえながらの雪山登山。
私にとっては至難の極み(だから雪山登山はしないんですが
鳥海山の厳しいルート、高みに居るものでしか味わえない朝焼けの瞬間、様変わりした頂上付近の雪山風景。
素晴らしい写真と映画のような臨場感に思わずコメントしてしまいました。ありがとうございます。
これからも記録が楽しみです
ところで
東北の山小屋の怖い体験…どこですか?教えてほしいなぁ
4月16日に同じようなコースを日帰りで登ろうとして、撃沈しました。
もう少しがんばっていたら登れたかなとの思いがあったのですが、外輪から新山へのレコを見てこれは無理と納得できました。
きれいな写真と文章を読みながら自分も登った気分にさせてもらいます(笑)
あと、いつになるかわかりませんが、自分の再チャレンジの参考に。
またの山行記録楽しみにしています。
>ricalojpさん
ricalojpさん、こんばんわ
今回の鳥海山登山は、前回の西黒尾根に引き続き天候が良く、
素晴らしい眺望に恵まれました。
最近の私の登山は晴天続きで、そのうち反動がこないか心配でもあります^^;
さて、次回の登山ですが、ゴールデンウィークを予定してます。
連休を利用し、長期山行に行ってこようかと考えております。
場所は・・・
5月でも雪のある山を予定してます。
(有名な山なので、想像ついてしまうかも?)
記録を書くのはしばらく先になってしまうかと思いますが、
その際はまた御覧頂ければ幸いです
>meikenさん
たしかに、雪山は夏山に比べると敷居は高いですね^^;
でも、危険な場所ばかりではなく、ハイキング感覚で行けるような山域も沢山あります。
いろんな人レコを参考に、meikenさんも一度行ってみては如何でしょうか^^b
(個人的には、蔵王刈田岳の樹氷トレッキングがオススメです)
夏山では決して見ることのできない、素晴らしい景色が見られるかもしれませんよ。
山小屋の場所ですが・・・
具体的な名前を書くと、今後その小屋を利用する人も落ち着かない気分になるかもしれないので、記事ではあえて伏せておきました(笑)
でも、少しヒントを言いますと・・・
「丸い屋根の小屋」です。
奇妙な経験はしましたが、しっかりした作りの良い小屋でしたよ
>Webberさん
なんと、日帰りですか@@
今回、私は1泊2日で行ってきたワケですが、
その移動時間で計算すると新山往復所要時間は・・・
14時間!
むむ、私には無理っぽい
私の体力では一日10時間以上歩くのはキツイです。。。
やはり登山に無理は禁物。
撤退した判断は正しいと思います。
でも、一度目で登頂するよりも、
何度かチャレンジを重ねて、ようやく登頂!
の方が達成感は大きいと思います。
雪の状況次第では、今回の記事内容とルート状況は大きく変わるかもしれませんが、
次回チャレンジの参考に、少しでもお役に立てば幸いです
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