[春の増毛山塊一周] 浜益岳〜群別岳〜暑寒別岳
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 38.1km
- 登り
- 2,255m
- 下り
- 2,255m
コースタイム
- 山行
- 4:10
- 休憩
- 0:15
- 合計
- 4:25
- 山行
- 10:25
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 12:20
- 山行
- 0:20
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:20
天候 | 4/29 晴れ 4/30 晴れ、夜に雨 5/1 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
※わずか2キロの距離なので、暑寒荘に駐車したほうが良いでしょう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
極端に危険個所は無かったが、強いて言えば以下に注意。 ・群別岳南東稜 斜度が尋常でないので、常に滑落停止できるよう準備しつつ登る。また、東側の雪庇に近づいて踏み抜かないように十分注意する(踏み抜いたらまず助からないでしょう)。 ・暑寒別川林道終点の渡渉 林道は西斜面から流れ落ちる沢に寸断されて終点になっており、橋は無い。雪の状態と水量により渡渉は難しいと思われる。今回は沢が狭くなっているところを利用してなんとか渡れた。 ・暑寒別岳南稜 夏道はあるがガレており何か所かロープもある。雪があまりついていないので夏道との行き来になるので雪の状態によってはめんどくさい。それほど心配する箇所ではないが、強風のことが多いそうなので一応注意。 |
その他周辺情報 | 増毛市街に食堂は多数あるが、温泉は浜益方面の岩尾別まで行かないと無い。私は北に向かいたかったので、とままえ温泉ふわっと(500円)に行きました。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
マフラー
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
アイゼン
ピッケル
スコップ
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
調味料
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
|
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感想
■4/29(月) 晴れ:ポンショカンベツ沢出合〜浜益岳北尾根940m△
朝一の飛行機で旭川に飛び、レンタカーで増毛に入った。正午までに出発したかったが、いろいろあって1時近くの出発となった。暑寒別川本流沿いの林道を歩くが、出だしから残雪の上を行く。雪解け水で川は増水しているが、春のすがすがしい空気の中の川沿いはとても気持ちがいい。地図で確認していた通り、2本目の橋で本流は左へ大きくカーブする。留知暑寒別沢出合だ。本流沿いの林道はさらに続き、砂防ダムを超えると徐々に斜面を巻きながら標高をあげてゆく。東斜面には枝沢がたくさん流れており、湧き水のところもあったので水筒を満タンにする。
林道はやがて少し大きな沢に寸断されて終わる。沢の狭いところを利用して越え、斜面に取り付く。当然ながらここからは自力でルートを開拓せねばならないが、残雪も多く地形もマイルドなのでどこでも登っていける。北に寄りすぎると城壁のような岩場に向かってしまい行き詰まるので、なるべく南方向に巻きながら登ってゆくのが良いようだ。標高600mくらいまで登ると城壁のような岩場の南に緩い鞍部が見えてきた。あれが目標だ。鋭い群別岳と暑寒別岳本峰もダイナミックに見えてきて、テンションも上がってくる。
浜益岳北尾根の鞍部へ無事登れるか心配だったが、ここは雪庇も発達しておらず斜度もそれほどでもなく無事に上がることができた。同時に風が尋常じゃなく強くなった。すでに時刻は4時半を過ぎており、幕営場所を探さねばならない。しかしこの北尾根は行けども行けども真っ平らな地形だ。風をよけられそうな岩すらない。5時を過ぎてさすがにヤバいと思い、ダケカンバの根元近くに雪穴を掘ることにした。掘って掘って30分、ようやく強風の中安全にテントを張れる竪穴が出来上がった。
雄冬山、浜益岳、群別岳、暑寒別岳に囲まれた素晴らしい幕営地だった。夜は月も出なかったので満点の星となり、思わず息をのんだ。
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■4/30(火) 晴れ、夜雨:940m〜浜益岳〜群別岳〜暑寒別岳〜暑寒荘△
驚いたことに徐々に強風は収まり、無風快晴の朝を迎えた。しかし午後になればまた風は復活するだろう。早くに行動するのが吉だ。暑寒別岳の後ろからの荘厳な日の出を見つつ、正面の浜益岳を目指す。すぐ近くに思えるが浜益岳は恐ろしく大きな山で、なかなか山頂が近づかない。それでも出発して1時間で山頂に到着した。浜益岳は登山道のない山にも関わらず、山頂には立派な看板がある。浜益御殿から浜益の街、そして青い日本海まで丸見えである。群別岳はますます鋭角に見え、暑寒別岳も遠くにどっしり控えている。どこもかしこも真っ白けでヤブの心配もないだろう。最高の一日の始まりだ。
浜益岳の大下りを無事終えるとあとは標高差の少ない尾根歩きで快適に群別岳の懐まで取り付いた。群別岳の北西尾根はあまりに急峻で登れないため反対側の南東尾根からアプローチするが、そのためには急峻な北東面をトラヴァースし、北東尾根に乗ってからさらに南東尾根に乗らなくてはならない。どの位置を巻けばいいか眺めるが、なるべく下の方を行く方がブロック雪崩や落石も避けられ安全だろうと、斜度の緩いところを選んだ。幸い時間もたっぷりある。ルートどりは良かったようで、気持ち的にも余裕をもって北東尾根に乗ることができた。ただ途中の斜度は相当急で、滑った場合は滑落停止の心の準備をしつつだった。暑寒別岳へと続く北東尾根に荷物をデポし、空身で群別にアタックする。
群別岳の南東尾根に乗りたいが、そこまではとてつもない斜度で、おまけに南東尾根にはびっしり雪庇が貼り付いている。どこから上がれるか下から眺めるが、さっぱりわからないので近づくしかない。岩のコブを巻きながら近づくと、1か所だけ雪庇が切れているところがあった。なんとラッキー。無事に南東尾根に乗ることができた。しかし乗ってびっくり、西側は凄い斜度で落ち込んでいる。東側は今超えた雪庇で踏み抜いたら下に真っ逆さまだ。しかし、なんと微妙な位置にトレースがついていた。浜益からのピストンルートのものだろう。ありがたく利用させてもらう。
滑ったら終わりの区間をなんとかジワジワ進み、ヤブに取り付くとすぐに頂上だった。この山にもこがね山岳会の立派な看板がある。思わずやった〜と雄たけびを上げて喜んだ。この時期の群別岳はスリル満点だ。危険も多いが許容できるレベルであり、充実感でいっぱいだった。眺めも申し分ない。びっくりなのはお隣の奥徳富岳の急峻さだ。時間があれば登ろうかと思っていたが、途中の岩場の通過が非常に厳しそうだ。明日の天気予報も良くないので今日はなるべく先まで進んでおきたい。この時点で奥徳富岳はあきらめることにした。
南東尾根の下りは往きに輪をかけて慎重に行き、荷物のデポ地点まで戻った。次の懸案は暑寒別岳南陵への取り付きだが、見た感じ雪は十分付いていて苦も無く上がれそうだ。途中、だだっ広いホンジャマ平でラーメンを作って大休止し、いざ暑寒別岳に取り付く。南陵までは順調に登れたが、この時間になるとまた強風が吹き荒れるようになってきた。山頂への最後の登りは大きくガレており注意が必要だった。この区間は南暑寒別岳からの夏道があるのだが、部分的に雪も付いているのでうまく行き来しながらクリアした。
暑寒別岳に到着。最後のピークは激烈な風が吹き荒れて寒くてかなわない。すぐに下山することにした。暑寒荘へのルートはこの時期バックカントリーのメッカで、多数のシュプールがあるので安心だ。頂上台地の大下りを終えるとだいぶ風は収まった。この調子だと暑寒荘まで行けそうなので頑張って下ることにする。それにしてもスキーがあればあっという間に下れるのに歩かなければならないのは悔しい限りだ。スキー場の林間コースのような牧歌的なルートで目印も多く安心して下れる。
最後までほぼ残雪の上を歩き、今日も5時を過ぎて暑寒荘に到着した。12時間以上も歩いてしまい最後はフラフラになった。山小屋は結構な人がすでに食事を作り始めていたので、2階のベランダにテントを張らせてもらう。屋根の庇が出ているので雨が降っても安心だった。6時半くらいから予想外の夕立になった。
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5/1(水) 晴れ:暑寒荘〜ポンショカンベツ沢出合
テントの中で記念すべき令和を迎えた。荷物は暑寒荘に置いたまま車をデポした地点まで歩くがわずか2キロ。20分ほどで到着した。
増毛の街に出て携帯電話をONにするとレンタカー会社から山のような着信記録が…。車を止めた場所は駐車禁止ではなく邪魔にもならないスペースだったが、普段誰も止めない場所だったので警察が不審に思い、レンタカー会社に連絡を入れたそうだ。レンタカー会社の担当者は私が山で遭難したと思ったそうだ。何はともあれ無事に下山出来たのでよかった。駐車する場所は今後気を付けた方がよさそうだ。
こうして増毛山塊の一周を無事終えた。残雪豊富でヤブもこぐことなく、牧歌的な春山登山だった。この時期の暑寒別はまったく最高である。そして群別岳のスリルもまた楽しかった。
増毛で豪勢な食事をし、夜の日本酒も仕入れて、車を次の利尻へと向け北へ走らせた。
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