火打谷より皆子山へ☆ツボクリ谷に滝と大樹を訪ねる
- GPS
- 04:17
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 808m
- 下り
- 812m
コースタイム
天候 | 晴れ時々曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
皆子山山頂からトチノキの広場のみ一般登山道 しかし、この道はかなり急下降であり、踏み跡も不明瞭であり、一般登山道と呼べるものではない。下りで使うには慣れた方でないと困難と思われる |
写真
感想
この時期、皆子山西尾根の周囲の源頭の草原がイワヒメワラビの若緑に覆われるのを待っていた。この日は夕方に京都で仕事があるので、短めの山行を考えるが、時間的にも皆子山は程よいところだ。
まずは火打谷から入る。谷に入るとすぐ左手に小さな山小屋がある。扉の上には火打谷山荘と書かれ、立派な山小屋のようだが、小屋の扉にはこの小屋は無断で建てられたものなのですぐに撤去して下さいという紙が下げられている。
杉の植林の褐色の林床に沢の周りだけが苔むした岩が緑の筋を刻んでいる。沢の左右には林業の作業道と思われる微かな踏み跡が続いている。歩きやすい作業道を辿るうちにすぐにも二俣に出る。ここからは皆子山西尾根の西端部に源頭がある左手の谷へと入る。
谷の上部でようやく自然林になると、若緑色に一変する。狭いV字谷になり、沢の中央を登ってゆく。沢の水が切れると谷の右手の稜線を目指して斜面を登る。ところどころに色鮮やかな苔が林床を覆う自然林の斜面を登ってゆくと、斜面には蕨の群生が出現する。満開のエゴノキの下を過ぎると楚々とした芳香が立ち込めている。
稜線が近づくにつれ、ヒグラシの蝉しぐれの音が大きくなる。稜線に出た瞬間、一面を蕨が覆い尽くした皆子谷の左俣のなだらかな源頭の光景が目に飛び込む。源頭をトラバースして西尾根にのるとp926のピークである。このピークの目印であるプレートは最近、新調されたように思われる。
尾根を皆子山に向かってあるいてゆくと再び右手に美しい源頭が現れる。繁茂する蕨の草原の中に刻み込まれた鹿道を辿ってみる。源頭からは正面に望む比叡山は霞んでいるせいで、遠くに感じられる。広い谷にポツンと立つ楓の孤樹が美しい。紅葉の季節に訪れてみたいところでだ。雲の合間から柔らかな光が谷間を充たす。
尾根に戻り、皆子山山頂手間の源頭もまた広々とし美しい。源頭の谷筋に沿ってつけられている一条の踏み跡を辿って、谷を下ってみる。源頭に立つ楓やコナラの孤樹の佇まいを楽しみながら、緩やかに斜面を登って山頂へと至る。
皆子山の山頂に辿り着くと、ここもPH氏によると思われる真新しいプレートがつけられている。北西の方向に望む武奈ヶ岳も霞んでおり、遠くに感じられる。
山頂からはツボクリ谷を下る。皆子山に端を発する他の谷の一面の蕨で覆い尽くされたなだらかな源頭とは違って、このツボクリ谷は鬱蒼とした林の中の急峻な源頭から始まる。登山道は沢の源頭を登ってくるようだが、上から見る限り明瞭な踏み跡はなく、左手の沢沿いに下るにはあまりにも急峻だ。右岸の尾根上に微かな踏み跡と赤テープがついているので、尾根芯を下る。
尾根は右手の沢との合流部を目指して下っていくようだ。沢に下り立つと沢沿いに踏み跡がついている。谷にはサワグルミやトチノキの大樹が目立つ。家内は早速にも葉陰で蠢くヒルを目にする。
左俣との二俣に下ると、周りに小さな広場を従えて谷の主のような、苔むした大きなトチノキの巨木が目に入る。これがどうやら山と高原地図で記載されているトチノキの大木だろう。時折、雲の気まぐれにより木漏れ陽が林の中を柔らかな光で充たすが、光が消えると湿っぽい苔の緑の景色がひろがる。
ここからはツボクリ谷の右俣に入る。まもなく沢は三俣に分かれるが、中央の沢が目指す西尾根の西端に端を発する沢だ。沢を少し進んだところで左手の小さな谷の奥に滝が目に入る。滝を目指して谷を進むと、高さは20m程だろうか、岩肌を扇状に枝分かれしながら流れ落ちる大きなナメ滝の下に辿り着く。
滝の左手の斜面を高巻くのはさほど困難ではなさそうであるが、それはまたの機会にしよう。滝を後に、もとの沢に戻り、緩やかに谷を登ってゆく。沢沿いにはサワグルミの巨木が立ち並ぶ。やがて水が切れるとまもなく樹林が終わり、蕨が繁茂する広い源頭に飛び出した。
踏み跡のない緩やかな緑の草原。梅雨の湿度の高い天気ではあるが、涼しい風が吹き抜けてゆく。今日のコース取りはこの源頭を歩くためのものであった。なんとも贅沢な空間を歩く悦びに
再び西尾根の西端部に辿り着くと、今度はp897まで尾根を北東に辿る。尾根の西側には樹間から滝谷山を望む。紅白の電波塔はすっかり撤去されており、塔が失われた景色はいささか寂しい。
尾根上に倒木が目立つのはやはり昨年秋の台風の影響だろうか。左手に松谷の源頭を通り過ぎて尾根を東に折れ曲がると、すぐにp897のピークだ。山頂手前の尾根の展望地からは正面に皆子山の山頂を望むことが出来る。
尾根を戻り下山は松谷の右岸尾根を下る。馬酔木の藪の間をぬって薄い踏み跡がついている。自然林から杉の植林に入ってゆくと、倒木の集中地帯が現れる。尾根筋を歩いてゆくことは到底困難なので、北側の斜面をトラバース気味に歩いて、倒木地帯を通過する。最後は植林の尾根を緩やかに下って、県道に着地した。ヒルの多そうなところではあるが、幸いにもヒルに取りつかれることなく山行を終えることが出来たのだった。
皆子山の谷の美しさを堪能することが出来た梅雨の晴れ間の一日であった。京都の市内に戻ると急に蒸し暑い。市内の電光掲示板の温度は34度を示している。もうすぐ暑さのために北山の山を歩くのも困難な季節になるだろう。
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