緑岳・白雲岳・小泉岳…残雪の 緑の山は 花祭り🌺
- GPS
- 09:17
- 距離
- 14.6km
- 登り
- 1,150m
- 下り
- 1,138m
コースタイム
- 山行
- 7:09
- 休憩
- 2:08
- 合計
- 9:17
天候 | 快晴 のち はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・旭川市⇒道央道 旭川鷹巣IC.⇒旭川紋別道 上川層雲峡IC.⇒国道39号線⇒国道273号線⇒高原大橋手前を左折 町道(未舗装10km)⇒登山口 ・片道104.6km…1時間40分 <有料道路>行き:旭川鷹巣IC.−比布JCT 470円(ETC休日割引利用) 帰り:比布JCT−旭川鷹巣IC. 470円(ETC休日割引利用) 【大雪高原温泉登山口】 ・約80台の駐車が可能。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・第一花畑、第二花畑周辺は、ヒグマの住処であり、熊鈴の携行を! ・第二花畑の末端は、崖沿いの急坂。東側は切れ落ちており、滑落に注意のこと。 ・緑岳直下は、大きな岩の積み重なり。足場の確保を慎重に。 ・板垣新道に雪渓が横たわるが、傾斜が緩く、軽アイゼンは必要なし。 ・白雲岳直下の直登は、積雪が多いため滑落に注意。不安なら軽アイゼンを装着すること。別ルートとして、積雪を左脇から回り込み、山頂に上がることもできる。こちらの方が、かなり安全である。 ・小泉岳周辺は、広い平原状の地形。視界の利かない時は、道迷いに注意のこと。 |
その他周辺情報 | 【大雪高原温泉山荘】 http://www.daisetsu-kogen.com/index.php <日帰入浴>800円(税込) <営業日> 6月10日〜10月10日 <営業時間>10:30〜17:00 ・大雪高原温泉登山口の北側にあり。 |
写真
装備
個人装備 |
行動着(サーマルジャケット / Tシャツ / トレッキングパンツ / 下着パンツ / 靴下 / スティングレイハット / 登山靴)
防寒着(ウインドシェル / グローブ)
予備着(ウルトラライトダウン / フリースハイネック / タイツ / ハイソックス / ウォーマーキャップ / 手袋)
ストームクルーザージャケット
ザック30L
食事(おにぎり×2 / メープルパン)
行動食(シリアルバー)
非常食(柿ピー×2 / ベビースターラーメン×2 / ブラックサンダー×9 / はちみつ×2 / 黒飴×9)
飲料(水2.55L / スポーツドリンク900ml×1 )
食事道具(レジ袋)
登山道具(山と高原地図 / 1/25000地図 / 地図ケース / コンパス / サングラス / タオル×1 / マイクロミニタオル / クマよけ鈴×2 / クマよけスプレー / ホイッスル / 軽アイゼン)
緊急道具( ヘッドランプ / 予備電池 / エマージェンシーシート / アーミーナイフ / ライター / マッチ / トイレットペーパー / レジ袋×3)
救急道具(テーピング / ファーストエイド / 日焼止め / 消毒液(マキロン) / 塗り薬(メンターム) / ハッカ油 / 防虫ネット / ポイズンリムーバ / ポケットティッシュ / ウェットティッシュ / バンダナ / 踵用サポーター / 下腿用サポーター)
その他(腕時計 / スマホ / 一眼レフカメラ / コンパクトデジカメ / 予備電池×3 / 偏光フィルター / 一脚 / たばこ / ライター / ポケット灰皿 / 財布 / 保険証 / 貴重品防水袋×3 / メガネ / コンタクトレンズ)
【計9.5kg】
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備考 | 【反省点】 ・エゾハハコヨモギの株を踏みながら、ホソバウルップソウの写真を撮っている4人組に注意が出来なかった。 【思い出の曲】 Taylor Swift "Dancing With Our Hands Tied" Kasabian "Wasted" St. Vincent "Young Lover " |
感想
10年ぶりの大雪山系での登山。まだ登っていない白雲岳から、残雪のゼブラ模様の山肌を見てみたい。満を持して、快晴の日を狙って行ってみた。
大雪高原温泉への林道に入ると、ワクワクするやら、ピリピリするやら、何とも言えない気分。延々と続くダートの道が、時間の長さをより感じさせる。登山口の大雪高原温泉に着くと、すでに50台近くの車が停まっている。林道で誰とも出会わなかったのが、まるで嘘のよう。不安が一気に吹っ飛び、明るい気分になる。
高原温泉には、山荘をはじめ、ヒグマ情報センターやパトロール事務所までもが揃っている。事務所で登山届を済ませ、いざ出発。あちらこちらから、噴煙が立ち昇り、硫黄のいい臭いが充満している。下山後の温泉も楽しみだ。
緑岳の登山口の看板を越えると本格的な山道に。樹林帯のジグザグの急坂が続く。見晴台で展望が開け、高根ヶ原の手付かずの風景が広がる。白い残雪、緑の新緑、青い空と、爽快な眺め。大雪では、いとも簡単にこんな景色を見ることが出来る。「なんて贅沢な!」
樹林帯の急登はすぐに終わり、正面には緑岳が見える。意外に立派な山容。後ろには、石狩岳と二ペソツ山も顔を出している。残雪が現れ、ほどなく雪渓の上に出る。ここは第一花畑。残雪の山肌が、なんとも美しい。日本離れした景観で、まさに別天地である。
第二花畑に入っても、気持のよい雪渓歩きが続く。残念ながら、東から雲が湧き立ち、緑岳を隠してしまう。「今日一日、快晴であって欲しいものだが…」
東側が切れ落ちたガレ場を過ぎ、ハイマツ帯に入る。小さい男の子が、父親に手をつながれて、懸命に登っている。何とまだ二歳だとか。この子の将来は有望だなと感心するも、「大きくなった時に、この自然は果たして残っているのだろうか?」と心配にもなってしまう。
ハイマツ帯を過ぎると、巨岩の重なる岩場に出る。展望が開け、否が応でも周りの景色が気になってくる。だけど、足元は不安定な岩場。隙間だらけで、踏み外すと大ケガになるだろう。老眼には、なんとも厳しい目の動きを強いられる。ナキウサギを見かけるが、目が追い付かない。からかうように、足の間をすり抜けるチャレンジャーもいる。
目の疲れがピークに達した頃、緑岳に飛び出す。「お~、すごい!」…360度の大展望。正面には白雲岳がどっしりと構え、左手には高根ヶ原の稜線が、遠くトムラウシまで続いている。足元には、キンポウゲやイワウメの花畑。開放的で明るい山頂だ。ゆっくりと展望を楽しみ、セブンイレブン新作の“卵かけおにぎり”を食べる。「や~、美味い」…このおにぎりを食べると、この景色を思い出す。そんな食べ物になりそうだ。
緑岳の山頂を後に、小泉岳に向かう。砂利の斜面には、大雪の固有種であるホソバウルップソウが咲いている。たくさんの人が歩を止めている。中には、道から外れて写真撮影をしているオバハンたちがいる。同じく大雪固有種のエゾハハコヨモギの株を踏みながら…。「おい、ババア!どかんかい!」って思わず言いかけてしまった。それにしても、リーダー格の男性まで、身内の注意をしない。「ボーと、生きてんじゃねえよ!」
鬱陶しい非常識軍団が小泉岳に向かったので、こちらはルートを変更して、白雲岳避難小屋を目指す。静けさの戻った道には、広大なお花畑が広がる。キバナシャクナゲ、エゾノハクサンイチゲ、チングルマの白い花の群落が目立つ。エゾノツガザクラやエゾコザクラも赤い色を添え、ウキウキ気分を盛り上げてくれる。広い雪渓を横切り、避難小屋に到着する。
小屋の背後は、白雲岳の大岩壁。目の前には、広大な高根ヶ原が広がる。エゾオヤマノエンドウやミヤマアズマギクが瑞々しく、水場ではエゾノリュウキンカが大群落。湿原にも囲まれ、最高のロケーションである。「いつか、ここでテント泊をするぞ!」
小屋を経ち、稜線をめがけて登っていく。直射日光の熱さがきつい。途中、雪渓脇を通過し、ヒンヤリとした空気に救われる。砂利の道に変わると、ほどなくして稜線の白雲分岐に飛び出す。目の前には、表大雪の山々が並んでいる。烏帽子岳から黒岳、桂月岳、凌雲岳、北鎮岳…。曇りがちなのは残念だが、それでも懐かしい山との再会は嬉しい限りだ。
分岐を過ぎ、白雲岳の火口跡を進む。足元には、アースハンモックという氷河期の名残が見られるが、平坦で被写体映えがしない。足を休ませるように平坦な道を歩き、白雲岳の真下に来る。最後は雪の壁になっており、登山者が渋滞している。下山者が続き、なかなか登れない。急傾斜なため、体当たりでもされると一巻の終わり。なかなか嫌なスレ違いだ。
下山者に注意をして雪壁をよじ登り、白雲岳の山頂に立つ。ゼブラの模様が、すぐに飛び込んでくる。想像以上に迫力がすごい。手付かずの雪渓の波に、思わず身震い。「なんだ、これは」…初めて見る光景に呆然。ガスが迷い込み、時に視界を遮るも、ゼブラはよく見えている。ガスが去るのを待ちながら、遅い昼食をとる。岩の上では、シマリスも食事中。1時間近く粘るも、スッキリとは晴れず。まあ、ゼブラを見られただけで良しとしよう。
雪壁の下りでは、相変わらずの渋滞模様。この下りを避け、雪壁を上から回り込むコースを取る。トレースがあるが誰も歩いていない。途中に開けた場所が、ゼブラの展望台になっている。いい穴場だ。大絶景を独占している気分になる。このルートには何の危険もなく、あっけなく火口底に下り立つことが出来る。
白雲分岐に到着すると、人だかりが出来ている。どうやら、弱ったウスバキチョウがいる様子。青年たちが、踏まれないように、登山道のはずれの草むらに避難させている。心優しい人たちもいるものだ。救われた気持ちになり、嬉しくなってしまう。
団体が去ると、日差しも弱り、一気に寂しい空気感に。まだ13時半だというのに、人の気配が少ない。こちらも急いで、小泉岳へ向かう。大雪らしい、緩やかな広い砂礫が続く。
小泉分岐を右折し、すぐに小泉岳の山頂に出る。ここは、広場のような山頂だ。眺めも今一つ。記念撮影だけを済ませ、先を急ぐ。エゾノオヤマノエンドウやホソバウルップソウ、エゾミヤマツメクサの花畑が延々と続く。背後からは、大音量の熊鈴を鳴らした団体が迫ってくる。ゆっくりと写真を撮りたいものだが、追いつかれるのはゴメンだ。抜かれない程度に、写真を何枚も瞬撮し、緑岳に到着する。
緑岳の山頂は、日が陰り出し、午前中のような明るさがない。多くの人たちが、下山前の大休止を取っている。団体の中に一人埋もれていると、なぜか気分が滅入るものだ。長居はせずに、山頂を引き上げる。
山頂直下の大岩がゴロゴロした道は、思った以上に危なっかしい。早く下りきりたいが、ナキウサギの声が気になり、なかなか前に進まない。後ろには、たくさんの団体客が控えている。追いつかれるのは嫌なので、ナッキーを諦め、下りることに集中する。足早にハイマツ帯を越え、ガㇾ場帯を一気に越える。
日が陰ったお花畑の雪渓は、なんとも寂しい雰囲気に転じている。雪の色がどす黒く、遠くの景色までもがぼやけている。もう、下山後の温泉しか楽しみがなさそうだ。
集中力が途切れ、第一花畑への下りに差し掛かった時に、ふと不自然な音を聞く。「ヴォルルルルー」…バイクのエンジンのような音。ヒグマじゃないか? 一気に背筋が凍る。2回目の唸り声を聞いたときには、明らかにヒグマだと確信する。どうやら目の前の茂みにおりそうだ。冷静になるしかない。念のために熊スプレーに手をかけ、慎重に横歩き。歩くペースを落とし、距離を開けていく。第一花畑を歩き終えたところで、ようやく背後を振り返ることが出来た。緑岳が半笑いで、「序の口だよ。また、おいでね!」と言っているように見えた。
樹林に入るや、速度を上げて一気に下る。見晴台を越え、あっという間に登山口に到着。クマ現場から30分弱であったが、とてつもなく長い時間が過ぎたように思えた。
やはり大雪は自然の宝庫。ヒグマだって、ナキウサギだっている。高山植物もたくさん咲いている。本来は、人間のいる世界ではないのだ。お邪魔させてもらっているという謙虚な気持ちで、山と向き合わないと…。温泉に浸かりながら、しみじみと思った。
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