山の日の御嶽山でリスクについて考える(六合目・中の湯から)
- GPS
- 06:00
- 距離
- 10.7km
- 登り
- 1,296m
- 下り
- 1,296m
コースタイム
- 山行
- 5:11
- 休憩
- 0:49
- 合計
- 6:00
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
駐車場にはそこそこきれいなトイレもあります。水洗なしですが、トイレ内は匂いもありません。 ただ、トイレの外はちょっと匂うので、車中泊する場合は少し離れたところに停めるのをおすすめします。 駐車場の駐車可能両数はそれなりに多いのですが、当日は時期的なこともあり(お盆の山の日)、5時の出発時点でほぼ満車でした。前日の夕方の到着時はさすがにガラガラでしたが。 とはいえ、メインの駐車場から少し戻ったところにも駐車できるスペースがあり、下山時に見てもそこから溢れているわけではなかったので、駐車できるかどうかについてはあまり心配しなくても良さそうです。 駐車場まで走る山道として、アクセスルートが2つあります。北東側のホテル木曽温泉〜御岳ロープウェイのルートと、南東側の白崩林道を通るルートです。 おすすめなのは圧倒的に前者。道幅が広くて走りやすいので、特段理由がなければこちらが良いでしょう。三岳方面から来ると少し遠回りにはなりますが、それだけの価値はあります。ロープウェイへの案内に従って走れば、こちらを通れます。 逆に白崩林道は、すれ違い困難な場所が多々あるなど狭くて急な道なので、運転に自信がある人でないとなかなか苦労すると思われます。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
体感グレーディング:3B 森林限界を越えると岩場の急坂が続くので、足元に注意が必要です。 六合目〜八合目は、ほぼずっと木の階段が整備されていて、いい感じに朽ちているので、それほど歩きにくくはありません。 八合目で森林限界を越えるとあとは岩場。手を使う部分はない程度の斜度なので、難度的には低め。ただ、砂が多い部分でスリップしている人を多く見かけたので、気を付けましょう。まぁ正直、そんなに滑りそうなポイントはなかったので、足の置き方とバランスの取り方に気を使えばそれほど問題にならないような気がします。 言うまでもなく、御嶽山は火山なので、At Your Own Risk(自己責任)で行きましょう。 なお、ヘルメット等の持参が推奨されていますが、持っていないと登れないわけではありません。 |
その他周辺情報 | 少し遠いですが、中央アルプスを越えて伊那市にある「みはらしの湯」はとても気持ち良かったです。お手頃価格。 そして駒ヶ根市にある明治亭でソースカツ丼を食べれば完璧。 |
写真
感想
山の日に御嶽山へ登ってきました。
独立峰で眺めが良く、たくさんの石柱などに信仰を感じられる、まさに名山と呼ぶにふさわしい、良い山でした。
お盆、それも山の日で、登りやすい百名山ということで人でごった返しているかも、と想像していましたが、意外とそれほど多くはありませんでした。敬遠されているのか、それとも山頂まで行けるようになったことがあまり周知されていないのか分かりませんが。
御嶽山といえば、2014年9月27日のあの噴火災害を抜きにしては語れません。
九州で生まれ育ってきた自分としては火山はかなり身近な存在で、「危険なものではあるというのは分かっているけど、噴火してもほとんど局地的な被害でそんなに人が死ぬわけではないし(雲仙普賢岳のマスゴミは別として。あれは自己中心的なマスメディアの人間が引き起こした人災です)」、という認識でしたが、それは活動レベルに応じて立入規制を行うなどのコントロールを行っている結果であって、この御嶽山のように突然噴火し、そのときにたまたま人が多くいたら大惨事になる、というリスクの大きさを改めて知らしめられました。
この「たまたま」「偶然」というのは、リスクを考える上でかなり大きな要素です。
もしあの御嶽山の噴火が起きたのが厳冬期の真夜中だったら一人の死者も出ず、「怖いねー」くらいの感覚で終わっていたかもしれません。
ただ本来、危険度というのは結果(死傷者数)ではなく事象(実際に起こったこと)で図るべきなんですよね。でもそれがプロにも難しくて、さらに素人には想像すらできない事柄も非常に多いので、有効な対策を打てずに悲劇が繰り返されることや、本質的に何の意味もない小手先の対策(という名の責任逃れ)だけが横行することになってしまうわけです。社会のコンセンサスを得る必要があるレベルならなおさら。これはどんなに技術が発展しても、昔からずっと変わりません。
さて、登山にはリスクがつきものであり、そのリスクをどのようにコントロールしていくかは登山者が考え続けなければならないことです。むしろリスクコントロールこそが登山の本質であると言えるかもしれません。
御嶽山の噴火を見て「そもそも山に登らなければ安全だから登山を禁止しろ」、という非登山者の(一見まっとうに聞こえる)意見は、単なる思考停止。じゃあ街を歩いていても事故にあうかもしれなくて危険なんだから絶対に家から出るな、という意見を正当と思えるかどうかです。でもそんなの無理ですよね、生活がありますし。
もちろん登山は生活に必要な衣食住に属するものではなく、趣味のカテゴリです。でも人間が人間らしく生きていくためには、楽しみは必要不可欠でしょう。だからそれを問答無用に禁止するのは知性的な行動とは言えません。
そしてこの話をややこしくしているのが、火山が噴火するリスクはほぼゼロと見なせてしまう点です。
なぜなら、ほとんどの火山については、噴火していない時間が大部分であり、危険な時間帯が占める割合はほんの僅か。したがって、ある瞬間のリスクは、10のマイナス10乗%とかのレベルであり、そんなのほぼゼロと変わりません。どう考えてもクルマがビュンビュン走る市街地で暮らしている方が危険で、街を歩いているよりも火山に登っている方が安全という見方すらあり得ます。
第一、噴火については、予測できない部分も多いため、そもそもリスクとして読みにくいのも困りどころ。地質学的スケールで見れば、人間が観測を始めたのなんてほんの一瞬前程度のレベルでしかないので、分かっていない部分が多すぎます。だからできる限り火山を避ける、立ち入りを規制していくというのも一つの解答ではあるのですが、ほぼゼロと見なせる程度の実質的なリスクに対して、観光産業面などでの影響が大きすぎるでしょう。したがって、火山に関するあらゆることを禁止するのは一つの解答ではあっても、決して正解ではないのです。
ただまぁそんなこんなで色々ありつつ、結局のところ、ほとんどの人にとっては、登山はあくまでもレジャーでしかありません。楽しむことが目的であり、無事に家に帰れるよう、常にリスクとどう向き合っていくかが重要なのでしょうね、きっと。どんな山に、どんな風に登るのかは、各自の選択に委ねられているのです。
まぁそんなツラツラとした思考はともかくとして、今回は剣ヶ峰への往復だけにしました。摩利支天山などにも行っても良かったのですが、三ノ池と女人堂を結ぶトラバース道が通行止めになっていて周回ルートがとれないこと、そして何より当日の気象条件から激しい夕立の発生が予想され、早ければ昼頃には天候が急激に悪化するかも、ということでさっさと下山。降る確率は40%程度かなー、と予想。
その後、雨雲レーダーを見ていましたが、やっぱり昼頃には山頂付近で一時的にかなりの雨が降ったようですね。もし落雷があったらかなり危険な状態になるところでした。
こういう天候読みも、登山におけるリスクコントロールのひとつですね。
あと下山後、暑さにやられたのかなんかやたらと疲れていたので、山頂までの往復にしたのは大正解でした。
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