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Yamareco

記録ID: 197929
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

西穂高・独標

2012年04月29日(日) ~ 2012年04月30日(月)
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hiratsuka その他1人
GPS
32:00
距離
3.1km
登り
612m
下り
43m
天候 曇時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2012年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
新穂高ロープウェイ
新穂高ロープウェイ
笠ヶ岳方面
ロープウェイ山頂駅
ロープウェイ山頂駅
西穂高山荘
あったかランプ
美味しい珈琲
丸山到着
右手下は上高地。落っこちないように!
右手下は上高地。落っこちないように!
上がってきた
ヘリが飛んでいる
ヘリが飛んでいる
独標(真ん中)に人が立っている
独標(真ん中)に人が立っている
ちょい休憩
徐々に近づく
独標の岩場に取り付く
独標の岩場に取り付く
疲れたなー
ピラミッドピークと西穂高
ピラミッドピークと西穂高
焼岳方面を振り返る
焼岳方面を振り返る
下山開始
上高地が小さく見える
上高地が小さく見える
一気に下るぞー
失敗作!?
ぷちテント村

感想

一昨年の年末に敗退した西穂高に再チャレンジ。
西穂高といっても手前の独標(どっぴょう)まで。
その先ピラミッドピークを経て西穂高まで急峻な岩場が続いている。
今回は残雪もあるので無理はしないつもり。
独標から眺める穂高の峰々はさぞや素晴らしいだろうな。
期待に胸がふくらむ。

日中は息子のバスケの試合があったので出発したのは深夜0時過ぎ。
中央高速はGWということもあり夜中なのに交通量が多い。
途中諏訪湖SAで仮眠を取りながら新穂高ロープウェイを目指す。
ラジオが関越道で大きなバス事故があったことを伝えている。

8時半。新穂高ロープウェイの駐車場に到着。
登山者は少し上がったところの鍋平に停めて下さいとの事。
オンシーズンのこの時期は観光客優先ということらしい。
ロープウェイは第一、第二と分かれていて鍋平は第二への乗り替え口になる。
二階建てのロープウェイはほぼ満員。
団体がほとんどでザックを背負った登山者は2割程度か。

ロープウェイがグングン高度を上げるにつれて山々が姿を表す。
「おおー」
車内から歓声があがる。
雪を被った穂高の峰々。その奥に槍ヶ岳の穂先が姿を見せている。
右手に目を向けると焼岳とその背後に乗鞍の山々。
振り返ると笠ヶ岳から双六岳にかけての稜線。

10分足らずで西穂高の展望台へ到着。
ロープウェイを降りたら乗客は展望台、売店、登山口とバラバラに散っていく。
我が家は売店をのぞいてみる。
売店には漫画「岳」の島崎三歩が書かれたクッキーも売っている。
「おおっ、こりゃウマイぞ」
「とーさん、こっちも美味しいよ」
サンプル品を試食してカロリー補給。(笑)

”登山者出口はこっち→”
案内にしたがって建物の外に出る。
やや曇ってはいるが風もなく寒さは感じない。

他の登山者に混じってアイゼンを用意する。
息子の靴は今回がデビュー戦。
先日の北横ですでに小さくなっていたので新たに購入した。
これで何足目の相棒になるのだろうか?

ロープウェイ乗り場をあとに歩き出す。
しばらくは雪の回廊と言われる一般の観光客も歩けるところを登山口に向けて進む。
5分ほど歩くと
”ここから先は登山装備のないかたは進めません”
という内容の案内札が立っている。
羨ましそうな一般観光客の視線を感じながら(誰も見てないぞー)足を踏み入れる。

気温が上がってきているため雪はシャーベット状態でアイゼンが効きにくい。
今回はザックを背負って歩くのは山荘までなので軽量化は意識せず。
テントやシュラフ、食料が入ったザックは久しぶりの20kg近くだろうか。
「ハーハー」
トレーニング不足加えて早くも息切れ。
山頂直下の急登では息子に完全に置いていかれる。(オヤジ頑張れ!)

パタパタというヘリの音が遠く聞こえる。
「荷揚げだろうか、事故でなければいいのに」
いやいや今はそんな事よりこの斜面を登りきらねば…。
樹林帯が少しずつ切れてきた頃、ようやく西穂山荘の屋根が見えてきた。

10時半 西穂山荘到着。
山荘の前に10張ほどテントが見える。

山荘の受付でテン場代を支払う。(ひとり500円)
アルバイトとおぼしき若い兄さんの応対はとても丁寧。
山荘内はテーブルが5,6つあって明るく清潔な印象。
壁に掛けられている写真の中で長澤まさみ嬢が微笑んでいる。
岳の映画撮影で来たようだ。
「今度は山荘に泊まってみるかな」

我が家のテント設営と入れ替わるように下山してきた人達が撤収に取りかかっている。
混雑を予想していたがこの分だと静かな夜が過ごせそうだ。
日が高くなるにつれてじんわりと暑さを感じる。

今日の予定は独標までの往復。
まだ時間があるのでテントの前でお湯おを沸かして野菜スープとおにぎりでお昼とする。
正面に見えるのは梓川を挟んで霞沢岳(2645m)。
右手には焼岳からは噴煙はあがっていないようだ。
左手には独標、西穂高があるが斜面に遮られテン場から見ることが出来ない。

「さぁそろそろ行こうか」
アタックザックを背負いハーネスを付ける。
ハーネスは今回新たに購入。
独標までは初心者でも行けるらしいが調べてみると凍結した斜面での滑落事故も少なくないらしい。
状況をみて確保が必要ならアンザイレンして進むつもりだ。(結局使う場面はなかったが)
私も息子も付け慣れないハーネスにちょっと違和感がある。
ピッケルにハーネスで登る姿は一人前の雪山登山者に見えるのだろうか。

山荘前の急斜面をアイゼンをきかせながらゆっくりと登って行く。
森林限界を越えているため日差しを直接受けた雪面からの照り返しがまぶしい。
ゴーグルをしっかりつけて雪目にならないようにする。

13時 丸山到着
「さぁここからが本番だ」
広い稜線に真っ直ぐ続いているトレースを辿ってひたすら登って行く。
時々下山してくる人とすれ違うが我が家以外に登っている人は前にも後ろにも見えない。
息子のペースは落ちていない。
「西穂まで行こうよ」
と行く気満々で声を掛けてくる。

以前はよく息子と山でケンカしていたが最近はそんな事もなくなって来た。
体力がついてきたことで自信も出てきたのだろう。
余計なことに気を遣わないで山に向かうことが出来るようになったので
自分も今までより山を楽しめるようになってきた。

右下には上高地、梓川の曲線や大正池も見える。
この斜面をスキーで降りることが出来れば30分もかからずに上高地に着くことが出来るだろう。
それくらい近く感じる。
前方には右から独標、ピラミッドピーク、西穂高が見える。
ここから見る限り独標にはほとんど雪はついていないようだ。
不安要素のひとつがなくなり少しホッとする。

斜度を増したぐずぐずのトレースに悪戦苦闘する。
うっかりトレースを外すとズッポリ膝上まで埋まってしまう。
時々息を整えるために立ち止まる。
苦しいけれど素晴らしい景色を眺められるのは山歩きの醍醐味だ。
ピークを越える度に独標が近づいてくる。

独標が近い。
稜線が徐々に狭くなり岩肌が剥き出しになっているところが多くなる。
今回の山行の核心部に差し掛かる。
「ガリッ、ガリッ」
歩く度にアイゼンのツメが岩を削るイヤな音を立てる。
緊張を煽るように冷たく強い風が谷底から吹き上げてくる。
「ゆっくり慎重に行くよ」
息子に声をかける。
一旦下ったあとに独標の岩に取り付く。
アイゼンを脱ごうかと思ったがそのまま行くことにする。
斜度は槍ヶ岳ほどではないが岩がもろく浮き石が多いので油断は禁物。
鎖もあるがたよらなくても大丈夫。
でも雪がついていたらレベルは一段とあがるだろう。
三点確保しながらグイグイ登っていく。

14時半 独標登頂。
頂はそれほど広くない。
ただし強風時は注意が必要。
高度感はなかなかのもの。
目の前のピラミッドピークとその背後の西穂高岳。
こちらへ向かって下ってくる人が小さく見える。
夏場でも緊張を強いられるような岩場が連続している。
息子も目の前の状況を見て今回のゴールはここまでということを理解したようだ。

10分ほど展望を堪能し下山する。
引っ掛ける危険があるので下りはアイゼンを外す。
岩場を抜けるとあとは広い尾根を下るだけ。

息子は時折尻セードしながら私のはるか先を下って行く。
足下はますますシャーベット状態だがもう関係ない。
「富士山の砂走もこんな感じだったなぁ」
そんなことを思いつつブレーキをかけつつ小走りに進む。

40分ほどでテン場に戻ってきた。
テントの数は6張ほど。
うちの隣りはカップル、そして3,4人のおじさんグループ。
あとは単独といったところ。
カップルは出入りがしやすいようにテント前を掘ってある。
我が家はフラットな場所が確保出来ればいつも大体適当だ。

昼間に作ったスープの残りを温めてキムチ鍋を作る。
徐々に風が出てきてテントがパサパサと音をたてる。
大きく天気が崩れることはないはずだがテン場は尾根上にあるので少し心配。
残念ながらキムチ鍋は失敗だ。(笑)
酸っぱ過ぎでとても食欲をそそる味でない。
息子にもダメだしされたが他に食べるものがないので半ば無理やり食べる。

18時 夕食終了
食べ終るとやることがなくなる。
「UNOでも持ってくれば良かった」
「そうだな、鳳凰三山のときは盛り上がったよなー」
そんなことを話しながらシュフラフに入ってゴロゴロする。
心地良いひとときだ。
ラジオをつけると聴こえてきた「桜坂」。
そういえばロープウェイ乗り場にはまだ桜が咲いていたな。
このあたりはまだまだ春の名残が残っている。
何だか少しホッとしてテントから顔を出す。
雪を被った霞沢岳の山すそが徐々に翳っていくのが見える。

山小屋もいいけれど息子と過ごすならやっぱりテントだな。
快適に眠れたことは一度もないけれどやっぱりこの醍醐味は何物にも変えがたい。
はじめてテン泊した尾瀬の朝、
一晩過ごしたテントやシュラフがすべてザックに収まったのを見て
「スゴいなぁ」
と息子が関心していたことを今でも時々思い出す。

ゴミを持ち帰ること、水は大事にすること、出会った人には挨拶をすること。
いつもの生活では出来ていないことも山に入れば自然とスイッチが切り替わる。
多くは望まないけれどこういう世界もあるんだということ。
それを身をもって感じてこれただけで十分だと思う。

明日は丸山まで登って日の出を見てからそのまま下山する予定。

今度来るときは雪の溶けた季節だな。
そしてあの西穂高の頂へ。


また来るよー

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