甲斐駒ヶ岳赤石沢Aフランケ赤蜘蛛ルート
- GPS
- 22:21
- 距離
- 20.1km
- 登り
- 6,452m
- 下り
- 6,467m
コースタイム
- 山行
- 6:04
- 休憩
- 1:06
- 合計
- 7:10
- 山行
- 3:41
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 3:50
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
---|---|
アクセス | |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
詳しくは
https://yamap.com/activities/4578115
中、長期的な目標としていた甲斐駒ヶ岳の赤蜘蛛ルートに行って来ました。天気やパートナー問題など、波乱万丈の展開が…
色々ありましたが、充実の山行になりました☆
ここからは長いので、読みたい人だけ読んでください。
甲斐駒ヶ岳の赤石沢Aフランケ赤蜘蛛ルート。
このルートのことを知ったのは3年ほど前。
60代の先輩が、これまで登ったルートの中で最も印象深いと語っていた。とにかく垂壁にスパッと走るクラックが美しいとのことだった。気になって調べては見たが、自分には到底登れないルートだと当時は諦めていた。
月日は流れ、それなりに色々な岩場を経験して行くと、体力のある40代のうちに赤蜘蛛を登りたいという気持ちが湧いてきた。
しかし、問題になるのは誰と登るか。Ⅳ-Ⅴ級程度なら組んでくれる人も多いが、フリーだと5.11も出てくる本チャンマルチに、A1ありきと言えども付き合ってくれる人は、そうそういない。
そんな中、今回の相方が赤蜘蛛に行く相手を探していると聞いたので、その話に飛びついた。彼と本チャンルートを組んだことはなかったが、フリーは12後半のRPがあり、クライミング力はピカ1。体力面は自分がカバーして、クライミングは彼の力を生かせれば登れるだろうと思い準備を始めた。
出発を前にして天気をチェックすると最悪の状況。気を揉みながら予報を見続けていると出発直前に奇跡的に好転!
ヨッシャ!登るぞー!とやる気に満ちて空港へ赴いた。すると3日前に北岳に入ってバットレスを2本登った相方から連絡が入った。
疲れたので、明日はレストにして小川山で遊びたいと言うではないか!
いやいや、待て待て、なんだこの温度差は…
ふざけんなーとの思いもあったが、そこは大事なパートナーだ。天気がいいので予定通り赤蜘蛛に行こうと気持ちを伝え、歩荷やリードは俺が頑張るからと説得して、赤蜘蛛行きがなんとか決まった。
ロープ2本にクッカー、カム2セット、水8Lなどなどでザック重量は33kgほどになった。歩荷はそれなりに疲れたが、剱岳熊の岩までに比べると、はるかに楽だった。
ベースの8合目岩小屋には12:50ごろ到着。相方はまだ時間がかかるので、1人で取付きまで偵察に行くことにした。踏み跡とテープをたどり、慎重に降りると40分ほどで岩壁に出た。あっさり着きすぎたので、本当に取付きか信用できず、ネットの写真と何度も照合して確認した。
15時前に岩小屋に戻ったが、相方はまだ到着していない。さすがに遅すぎるので心配していたら、7合目まで下ってしまったと連絡が来た。仕方がないので7合目まで迎えに行き荷物を担いでやった。
翌朝、2時半に起床して身支度を開始。周辺はガスっていて、夜中には小雨も降っていた。草木は露で湿っていて、風が吹くとバラバラと雨粒が落ちてくる。条件はよくないなと思ったが、弱気な発言をすると、相方のモチベーションが持たない気がしたので、そのことには触れず出発した。
5時前に取付きに到着。ガスっていて、草付きはやはり湿っている。岩もほんのり湿っているが、ここまで来て引き返す選択はない。絶対に登り切る!と腹をくくり取り付いた。
1ピッチ目
A1で行く。ところどころ岩場をホールドとスタンスに使ったが、濡れていて滑ることもあった。久しぶりのA1に手こずりながらも登り切った。フォローで上がってきた相方は息を切らしていて、しばらく休みたいとのこと。つるべは無理そうだったので、引き続き、自分がリードした。結局、全ピッチリードすることになった。
2ピッチ目前半
コーナークラックを快適にフリーで登る。半分ぐらい進んだところで、ぐらぐらするハーケンとリングボルトの終了点があった。このまま進むと弾切れになりそうだったので、一旦ピッチを切った。残置ハーケンは使えない状態だったので、カム0.3とリングボルトで支点を作った。
2ピッチ目後半
引き続きキレイなコーナークラック。フリーでぐいぐい進める。しばらくすると、クラックに濡れた草付きがびっしり生えだし、進めなくなる。左のフィンガークラックに移り、進もうとするが、こちらも濡れた草が多く厳しい。ホールドを探してまごまごしていると、スリップしてフォール...
リングボルトの中間支点から5mほど下で止まった...
脆弱なリングボルトが持ちこたえてくれて命拾いしたが、破断していたらどうなっていたか分からない。やはり、今日のコンディションでは無理かと弱気になった。
ここで、しばらく気持ちを落ち着かせ、トポを確認。いつのまにか3ピッチ目のA1セクションに入っていたことに気付いた。「確実にA1で行けば大丈夫!」そう自分に言い聞かせ冷静さを取り戻した。少し戻ってピッチを切った。
3ピッチ目
さっきのフォールもあるので、確実にA1で進む。クラック沿いに打たれた残置ハーケンにアブミをかけて進み、ハング下で終了。
4ピッチ目
ハングを、アブミを使ってこえる。ここは割と楽だったが、そのあとの薄かぶりのフェイス越えがなかなか疲れた。薄被りのフェイスを越えると傾斜が緩みブッシュが目立つ。ルートは判然としないが、何となく残る踏み後をすすむ。時おり灌木などを掴みつつ大テラスまで出た。貧弱な灌木が多く、結構悪かった。
5ピッチ目
大テラスから灌木の生えた凹角を進む。フリーで快適に進めるが、快適過ぎて終了点を10mほど上がりすぎてしまった。残置ハーケンに捨てビナをセットしてロワーダウンした。3ピッチ目もそうだったが、トポに記されたピッチの長さよりも実際の長さは短いようで、トポを信用しすぎるとダメだなと思った。
6ピッチ目
いよいよ核心。垂壁にスパッと入ったクラックを登るハイライト。実際に目の当たりにするとすごい迫力だ。本当に登れるのだろうかと自問自答しながら取り付いた。
カムは自分用に3番×1,2番〜0.3番×2、フォローの前進用に1番〜0.3番×1。
出だしは、リングボルトのA1。しばらく上がるとクラックに入る。ここからカムにアブミをかけるAA1がスタート。クラックの幅は0.5番前後で0.5番を特に多用する。長さも30mほどあるので、0.5番前後は終盤まで中間支点には使わず温存。逆に3番〜1番が使える時は迷わず中間支点を取った。1時間15分ほどでリングボルト3本の終了点に到着。アブミをかけてハンギングビレイした。ここのビレイは相当怖いだろう思っていたが、既に感覚が麻痺していて怖いとは感じなかった。
7ピッチ目
リングボルトを使ってA1で進む。高度感はあるのだが、前のピッチが厳しすぎたので、やけに簡単に感じる。淡々と登って、安定したテラスで終了。核心を越えて完登の目途が立ち、心に余裕が持てた。
8ピッチ目
序盤はⅢ-Ⅳ級程度の岩場をフリーで進む。終盤に10台のフェイスが出てくる。すでにフリーで登る気力は無くなっていたので、A1で確実に登り、安定した大テラスのダケカンバで終了。
9ピッチ目
ロープをたたむか迷ったが、コンテで行こうということになったので、一応ロープを引っ張った。ロープは重いだけで、あまり意味がなかった。フリーで登ってもよいと思った。
100mほど進みAフランケ頭の岩小屋に出て終了。登攀時間は9時間だった。
ロープをたたんでしばらく休憩し、ベースの岩小屋に戻った。
目標だった赤蜘蛛を登り切り、達成感がある一方で、スーパー赤蜘蛛をフリーで登る人たちがいることを考えると、自分の実力の無さを実感してしまう。
スーパー赤蜘蛛は一生登れる気はしないが、次の3年後あたりに挑戦したい目標を見つけ、小さな努力を重ねていきたい。
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