口元ノタル沢〜赤牛・水晶・鷲羽〜伊藤新道
- GPS
- 56:00
- 距離
- 53.6km
- 登り
- 3,714m
- 下り
- 4,075m
過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
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アクセス | |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
感想
9/14(土)9:20 黒部ダム−12:00 平ノ渡−14:00 東谷出合−【上ノ廊下】−15:30 口元ノタル沢出合−【口元ノタル沢】−17:00 C1
9/15(日)5:30 C1−【口元ノタル沢】−9:55 赤牛岳 10:30−12:50 水晶岳−14:40 鷲羽岳−15:50 三俣山荘C2
9/16(月)4:00 C2−【伊藤新道】−5:40 赤沢−【伊藤新道】−7:50 湯俣−10:00 高瀬ダム−11:00 七倉山荘
9/14(土)
6時過ぎに夜行バスで松本に到着して、電車で信濃大町、バスで扇沢へと向かう。扇沢からのトロリーバスはタッチの差で9時の便になってしまい、12時の平ノ渡の乗船に間に合うかギリギリの時間。
黒部ダムからの湖岸道を足早に進み、なんとか12時の便に間に合った。ちなみに次の便は2時間後の14時となる。
対岸に渡ってからは約一時間半で奥黒部ヒュッテ。東谷を少し下って、黒部川に出合う。遡行準備をしていると釣り師が通りかかり、昨日は水量が多かったけど、今日は大分引いたと教えてくれる。
実際、上ノ廊下に入渓してからも行き詰まる様な渡渉はなく、九年前の上ノ廊下遡行などを思い出しながら進む。ちなみにその時同行した会員外のメンバーは、今年上ノ廊下をパックラフトで下ったらしい。渡渉を幾度となく繰り返すと、やがて眼前に下の黒ビンガの大岩壁が迫ってくる。口元のタル沢出合は十字峡になっており、見落とすことはない。
口元のタル沢に入渓すると、ゴルジュ地形の中、快適に登れる小滝が連続する。最初はやや薄暗い印象だが、少し進むと赤茶けた花崗岩が広がり、ナメ床が澄んだ水の色と相まって北面の沢とは思えない明るい雰囲気の渓相となる。
次々と出てくる小滝はさほど難しさはないが、偶に高度感のある側壁の登りなども出てくるので程よい緊張感を保てる。さすがに登るのは厳しい大滝は左岸から巻いて藪をクライムダウン。
下部ゴルジュの核心となる優雅な二段の大滝は、下段を右岸のバンドから登り、上段の滝は左岸から巻く。この高巻きは中々悪く、いやらしい泥付きをパスしてブッシュ帯に取り付くものの、被り気味の壁にザックを背負ったままでは引っかかって登れない灌木が広がっており、バカ長スリング×2で自分とザックをそれぞれブッシュで確保しながらじわじわと登る。
この大滝を抜けると今度は優雅な廊下が広がり、美渓としての緩急が絶妙。奥の小滝をフリクションを効かしながら登ると、標高1740m付近に幕営の為に造形されたかの様なルーフが張り出した快適な岩小屋が現れる。
時間も17時ということで、迷わずここを幕場とする。
9/15(日)
朝焚火をしながら、明るくなるのを待ってスタート。この辺の小滝は少しヌメるので朝一は緊張する。
下部ゴルジュを抜けて、崩壊地帯を過ぎると、登れない6m滝が出てくるので右岸から巻いて懸垂下降。結局この沢でロープを使ったのはここの下降だけだった。ここからは快適なナメ床が続き、遠くに見える赤牛の稜線を眺めながら爽快な遡行が楽しめる。
2段20mの大滝を竹藪の濃い右岸から巻くと、雪渓が姿を現す。最初の方は割れているので真ん中をそのまま進めたが、後半は完全に谷底を雪渓が覆う。雪渓の上は急傾斜で滑ると危なそうなので、可能な限り左岸の側壁から巻いてやり過ごす。
屏風の様な滝を越えると二俣になるので、右へと進む。今後は衝立の様な岩壁が現れるので、左岸の藪から巻いて上部に出ると、なんと稜線まで標高差400mほど残したところで早くも水枯れ。日射も強く、水なしでの行動は考えられないので、慌てて登ってきた藪を戻り、飲み水を確保する。
ここからはひたすら源頭部のガレを忠実に進むのみ。最後は赤牛の西側の肩に出て、少し尾根を歩くと赤牛岳山頂に到着。北アルプスの最奥だけあって眺めは最高。とりわけここから眺める薬師岳の圏谷群は素晴らしい。
赤牛岳からは一般登山道で、水晶岳、鷲羽岳と、黒部源流のビッグスリーをまとめて縦走する。
口元ノタル沢から鷲羽岳までは、南北にほぼ一直線で繋がっており、ラインとしても美しい。正に北アルプスの正中線。
晴天の中、絶景を満喫できるが、殆ど使わなかったロープとガチャ類の重さで、ペースはあまり上がらない。加えて日射が強くて気温が高いので、ジワジワと体力が削られる。
鷲羽岳の山頂に辿り付いた頃には東面にガスが広がってきて、景色は半分見えなくなったが、そのおかげで山頂からブロッケンを拝むことができた。
この日は三俣山荘のキャンプ地で幕営。小綺麗なテント群の中に、その辺の倒木をポール代わりにして組み立てた原始的な風貌のツェルトで泊まる。
9/16(月)
防寒着を持ってこなかったので寒くて2時に起床。この日は午後から崩れる予報なので、沢の増水リスクを避ける為にも、少々早めの4時出発。
伊藤新道前半は意外と道が整備されており、快適に歩くことができる。ヘッドランプの電池が切れかかっていたが、中秋の満月に煌々と照らされ、灯りを消しても月明りで歩ける。展望台では、対岸の硫黄尾根の白い山肌が怪しげに蒼白い光を放つ。
5時30分頃、夜明けと共に赤沢に到着。最後は少しルートを外してしまったので、ホースのある沢型から懸垂下降で滝を下る。
赤沢からは沢下りとなり、ひたすら渡渉の繰り返し。水量も多くないので、特に問題となるところもなく、ワイルドな景観の中を快調に飛ばす。出発から四時間弱で昨年の増水災害から復旧しつつある湯俣に到着。今回は条件がよく特に問題なく下りることができたが、両岸が切り立った岩壁になっている箇所もあるので、やはり伊藤新道の通過は増水で通行できなくなるリスクを頭に入れておく必要があるだろう。湯俣は初めてではないが、噴湯丘を見るのは初めてだったので、特異な景観を堪能する。
ここから二時間の歩きで高瀬ダム、そしてもう一時間ほど歩いて七倉山荘に到着して風呂に入る。さらにここから9km歩けばバス停から200円で信濃大町駅に戻れるので、入浴後に再び歩き始めるが、4kmぐらい歩いたところで親切な方が車に乗せてくれるとのことで、思いの他早く信濃大町まで戻ることができた。待ち時間の長い夜行バスをキャンセルして鈍行でその日中に帰宅。
これ一人で行ったってのが凄い。俺もバカ長スリング買い足してマネしよーかなー
黒部の沢の中では難易度もボチボチなので、ソロで行きやすい沢だと思います。
バカ長×2での登りは長さ調整に時間が掛るので、あまりイケてる方法ではないですね…(苦笑)
師匠をマネてバカ長スリングx1はゲットいたしました。240cmですけど、バカ長カテゴリーっすかねぇぇぇ。先日、谷中に8mm20mを残置してしまい、やけくそで7.8mm60mの軽いヤツをポチりました。半分の30mは人に買ってもらいます!!!
240は立派なバカ長ですね。
私も沢で8mm×20mを置き忘れたことがありますが、沢中に大きなゴミを残してしまったことを悔いました。後で入渓した沢ヤの薪の燃料になっていて欲しいところです。
師匠、残置、申し訳ありません。回収に行って生きて帰ってくる自信がございません。ロープが蛇に化けて蛙でも喰って欲しいところです。バカなが認定、あざましたーーーー!
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