記録ID: 209906
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
甲斐駒・北岳
【白峰山・北岳】 白根御池 〜 肩の小屋 〜 北岳 〜 大樺沢
1964年08月27日 ~
1964年08月28日
山梨県
fuya0123
その他5人
- GPS
- 30:45
- 距離
- 9.8km
- 登り
- 1,706m
- 下り
- 1,720m
コースタイム
◎ 8/27 広河原(7:50) → 広河原小屋(7:55) → 白根御池小屋(10:20=12:11)
→ 小太郎尾根(14:19) → 肩の小屋(14:50)
◎ 8/28 肩の小屋(5:22) → 北岳(6:00=7:15) → 間ノ岳分岐(7:29) → 八本歯の頭(8:20)
→ 御池小屋分岐(10:40=12:15) → 広河原(14:35)
→ 小太郎尾根(14:19) → 肩の小屋(14:50)
◎ 8/28 肩の小屋(5:22) → 北岳(6:00=7:15) → 間ノ岳分岐(7:29) → 八本歯の頭(8:20)
→ 御池小屋分岐(10:40=12:15) → 広河原(14:35)
天候 | 27日:晴れ 28日:晴れのち曇り |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
・[マイクロバス]芦安(6:40) − 広河原(7:40) 8/28 ・[マイクロバス]広河原(14:40) − 甲府(17:20) ・[国鉄]甲府(17:30) − 新宿(21:07) |
コース状況/ 危険箇所等 |
◎ 今から48年前の1964年。 "日記風"の 当時の記録から、ほぼ原文で 載せます。 −−− 27日 −− ☆★ 甲府 〜 芦安 〜 広河原 まで(車中から) ☆★ −−− これから日本第二位の"高峰"に登るのだ!!と思うと、期待に胸が躍る。 バスを待つ登山者が多いので、リュックを並ぶ列に置く。 甲府を4:10に出発した。空がだんだん白んできた。「芦安」には着いたが、「広河原」から帰ってくる マイクロバスを 長く待たなければならない。 「甲府」から直接「広河原」まで行くマイクロバスを予約したかったが、いっぱいで駄目だった。 朝になった。天気はいいが、外はだいぶ寒い。すぐ前の茶屋に入って、飯を食べる。 マイクロバスが帰ってくるまで、無駄な時間をぶらぶらする。 6:30,近くの学校で、ラジオ体操が始まった。ぼくらも合わせて体操をする。 山へ来て ラジオ体操をするなんて 気持ちの良いものだ。 体操が終わって、マイクロバスに乗り込む。ぎゅうぎゅう詰めの乗合バスではなく、我々6人だけだから 楽しいものだ。 バスは段々高度を上げてきた。朝日が気持ちよくバスの中に飛び込んでくる。 「芦安村」が、ぐんぐん下になる。 朝日を浴びた山々の緑の陰陽が、素晴らしく美しい。 バスは蛇行しながら高度を増し、「夜叉神峠トンネル」に入る。たちまち真っ暗になった。 バスの音がトンネルに反響し、すざましい。暫くして、出口の光が点から明るさを増してきた。 野呂川が広く深く谷を刻み、対岸の山が迫る。その上に、素晴らしく高い「白峰」があった。 「観音経トンネル」に差し掛かる。トンネルを抜けると、「白峰」が、対岸の尾根の上に高く 険しく 美しく 聳えていた。 「野呂川林道工事殉職者慰霊碑」前でバスを降り、休憩する。 工事で殉職した11人のための「慰霊塔」が建てられている。 この林道が出来て、北岳に入るのが、どんなに容易になったかもしれない。 ここから見る「白峰」は、ちょうど前から入ってくる沢の出合で、谷がV字にくびれ、高く 崇高なものだ。 林道を走っていると、右から 幾つも沢が滝となって落ち込んでくる。 最後の「アカヌケトンネル」を過ぎて、「広河原」に着く。 −−− ☆★ 広河原 〜 肩の小屋まで ☆★ −−− まず、野呂川に架けられた吊り橋を渡る。吊り橋は、少し傾いている。 一人づつ間隔を空けて渡る。全員対岸へ渡り、樹木の中を進む。 「広河原小屋」を過ぎて暫くすると、平坦だった登山道が 急になってきた。 白根御池までまだまだ。苦しい登りは続く。 白根御池に着いて荷を下ろし、飯を食う。疲れた。すぐ後ろの御池に行く。 水はあまり綺麗ではない。小太郎尾根に向かう。草すべりである。 御池が下になった。振り返ると、鳳凰三山が見事な姿を見せてきた。 廻りは 高山植物となって、高い立木は無くなった。 あの ギザギザした "吊り尾根"が 見える。 鉄砲登りで 大変きついが、素晴らしい景色 お花畑だ。這松の上に稜線が見える。 その這松も無くなり、ただ岩ばかり。それ!もうすぐだ。雲が激しく動く。 岩・・・岩・・・岩・・・。ついに稜線にでる。気持ちのいい一瞬だ。 動きの速い雲が、3,000m級の山々隠したかと思うと、現れ また隠す。 みえていた「小太郎山」も、すぐに見えなくなった。岩だらけの稜線を行く。 今日宿泊する「北岳肩の小屋」が見えてきた。 14:50、岩を積み重ね それに低く屋根を付けた「肩の小屋」に着く。 中に入り、荷を置く。煙で目が痛い。みんな外にでて、伸び伸びとする。 この肩の小屋で、すでに3,000mに達する高所だ。 小屋の上には、覆い被さるように北岳の北峰が迫る。たえずガスが流れ、北岳は見えない。 一時雲がかなり晴れ、夕日が眩しく我々を照らした。 岩肌が 本当に真っ赤に染まり、美しかった。 飯を炊くにあたって水があまりない。Hちゃんと二人で 水筒、飯盒などを持って、小屋の西側を降りる。 "水場まで5分"となっていたが、こんな岩ばかりの所で 果たして水があるのだろうか?。 とにかく急な所を下る。6,7分もすると、どこから出てくるのか?こんな高所でも流れがあった。 水を充分に汲んだが、かなりの下りだったので 今度は 登るのに骨が折れた。 つまずいてひっくり返したら、それこそ"水の泡"だ。 小屋にやっとのことで戻り、飯を小屋の火に掛ける。 おかずは、缶詰類の他に 野菜も付く。山小屋で食う飯は、旨いものだ。腹一杯食べる。 小屋は、誠に換気が悪い。飯を炊いた煙が 目にしみる。 灯りはランプである。もう寝よう。寒い。 明日は、頂上で "御来光"を 拝もう。明日の天気が快晴でありますように。 −−− 28日−− ☆★ 肩の小屋 〜 北岳 〜 ☆★ −−− 3,000mに朝が来た。天気は快晴そのもの。冷気が漂う。寒い。 "御来光"は 頂上でと思っていたが、間に合わず、小屋の外にでて "御来光"を 待つ。 辺りは、素晴らしい山々が浮かぶ。東の薄い雲から、遂に太陽が出てきた。 感動的な一瞬だ。 すぐ、リュックを背に出発する。肩の小屋を下に、岩陵を進む。 肩の小屋は、すぐに見えなくなった。 「仙丈ヶ岳」、「駒ヶ岳」、「鳳凰三山」などが、近くに素晴らしい威容を誇っている。 素晴らしい天気、岩陵を歩くのは 楽しい。北岳北峰を過ぎ、山頂近し!。 遂に、日本第二の高峰、「北岳」に立った。 ここから見る景色の壮観さと言ったら、もう表しようもない。 廻りの山々からは抜きんでる「北岳」ではあったが、しかし、遙か南西の雲の上では、高く「富士山」があった。 それは、ほんとうに高く美しかった。 「間ノ岳」は ここから一番近く、朝日を浴びた稜線は、壮観だ。 後ろを見ると、絶えず雲が長く掛かる仙丈ヶ岳、駒ヶ岳があり、東には、鳳凰三山があった。 この一大パノラマに、しばらく酔う。 頂上からあの有名な "バットレス"が 落ち込んでいる。一気に大樺沢までの、恐ろしい岸壁だ。 立って下を見れば、足がすくわれそうで 目が廻る。御池小屋と池が小さく見えた。 −−− ☆★ 北岳 〜 広河原 〜甲府まで ☆★ −−− 山頂を出発。岩陵を急激に下る。「間ノ岳」への稜線が、深く切れ込んでいる。 白峰三山を縦走しないのは残念だ。 北岳小屋が、右手下方に小さく見える。 「八本歯の頭」から、いよいよ下山路の大樺沢に入る。 やがて、北岳バットレスが 左に大きく現れてきた。凄まじい絶壁である。 その上の頂上は、雲が掛かって見えない。誰かが、バットレスを登っている。 壮大なスケールのバットレスには、心を奪われる。 下っても相変わらずバットレスは、近くからそそり立っている。 雪渓が見えてきた。リュックを置いて登山道を降り、雪渓に近づく。 雪渓の厚さは、かなりのものだった。上に乗る。白煙が上がり、かなりひやっとする。 ここで大休止し、ラーメンを作るため 皆で薪を集める。 そこにあった石油缶を利用して燃やし、ラーメンを作った。 キュウリ、パセリなども一緒に食べる。 また、雪渓のきれいなところを持ってきて、ジュースにして飲む。 皆で、そばの岩の上にケルンを積む。北岳山頂は、厚い黒い雲が覆っている。 もう「広河原」は近い。やや深くなった大樺沢のすぐ右を進む。 「白根御池」への分岐を過ぎる。野呂川対岸の 鳳凰山山麓が見えてくる。 吊り橋を渡る。昨日は、北岳に向かったこの吊り橋。 着いたのは、14:35分。16:00の約束だったマイクロバスは、既に来ていた。 寝ていた運ちゃんを起こし、広河原を後にする。 楽しかった山々は、バスの外。北岳からの壮観、バットレスの壮大さ・・・。 どれも忘れられない。バスは走る。楽しかった山々から去っていく。 夜叉神トンネル通過。蛇行する道を、バスはどんどん下る。 「芦安」を過ぎて、「甲府」へ。山はもう後ろ。 |
写真
撮影機器:
感想
◎ 今から48年前の 世紀のイベント・[東京オリンピック]の直前、高校2年生の夏休み。
夏休みも終わりに近づいた週末を、兄弟、従兄弟等と行きました。
高山では珍しいほどの晴天で、肩の小屋からの御来光と、北岳からの絶景は
素晴らしいにつきます。
今では 日帰りも充分可能なコース取りですが、もう一泊して 白峰三山縦走としたかった。勿体なかった。
写真は、当時のアルバムからスキャニングしました。
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