真川・金山川から金山(2230m)、焼山(2400m)、火打山(2462m)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 20.4km
- 登り
- 1,837m
- 下り
- 1,770m
コースタイム
9月1日 C1(7:00)→焼山(10:00)→キレット(11:30ー12:00)→影火打(13:30)→火打ヶ岳(14:25ー14:45)→高谷池小屋(16:00)
9月2日 高谷池小屋→笹ケ峰
天候 | おおむね晴れ |
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アクセス |
写真
感想
真川→金山→焼山→火打岳→高谷池小屋
妙高山麓、真川の上流に金山谷がある。長野に転勤して一ヵ月、休日で出かけた初めての山は真川源流の沢歩きだ。
初日、長野をハヤブサ号で出発。意外に近く2時間で笹ケ峰牧場に着く。明星荘という山宿で夕飯と翌日のおむすびをこしらえてもらい、30分程やぶを漕いだ川原でツェルトを張り焚火。翌朝、ほとんど消えかかった踏み跡を辿り金山谷に入る。最初の簡単な滝を越えると、今日の核心部、シャワークライムの滝。トイ状の5mほどの滝がなかなか登れない。一人であることの恐さと葛藤する。登っても無理ができない。微妙なホールドに身を任せられない。結局、手持ちのシュリンゲをつないでザックにむすび、空身で登って引き上げる方法でいく。チムニー状のトイ滝を大きく跨ぐように登り、軽くなった身体で安心して、微妙なスタンスを使って登り切った。次の滝は右岸を高捲く。暫く平凡な沢が続き、稜線が青い空の下にチラチラ見えるようになる。油断したところで最後の滝。水垢で黄色く変色した10mの滝だ。最初右のシャワークライムを試みるがヌルヌル滑る水垢が怖くて失敗。左側、こけむしたところにルートをとると滑らず意外と楽勝。あともうひとつの滝も左のブッシュをつかんで登る。あとは源頭までやぶ漕ぎ無し。
天狗原山と金山の間の広いコルはお花畑。ハクサンフウロやミヤマリンドウ、桃色の穂をつけた名を知らぬ高山植物で足の踏み場もない。少し離れた火打周辺では人が多いため柵がしてあるというのに、このお花畑は独り占めだ。金山までは草原の中の爽やかな小道をゆく。真川の広大な集水域を見下ろし、行く手の焼山、火打、妙高を臨む。丸い山頂からは「かわいい山」、雨飾山が見えた。しかし順調だったのはここまで。この先は道が荒れ、猛烈なやぶ漕ぎになった。裏金山あたりのモミジカラマツの群落は圧巻だった。稜線のやぶ漕ぎのさなか、一休みしたところ。
富士見峠と呼ばれる薮の中で4時になった。金山あたりから見えていた、この峠の脇にある小さな雪渓のほとりで今夜は泊まろう。そこは小さな凹状地形に最後の雪渓を残し、滴る水が小川を作り、遠慮なく水をのむ事ができた。焚火ができれば最高なのだが、かなりいい天場だ。
翌日もよい天気だ。今日も薮漕ぎから始まる。地図の夏道印とにらめっこしながら漕ぐが、もともと無い道を探しても仕方がない。諦めてやぶがなくなる高さまで辛抱して進む。火山噴出物の荒涼たる斜面に出ると岩にペンキで矢印が現われ、大変ありがたく使う。あれほど嫌った人造物なのだが。しかし最後の登りもルートファインディングを誤り、とんでもない崖をクライムダウンするはめになって、再び単独行の恐怖を味わう。
焼山は形の良い成層火山だ。中央火口は北側に裂け、底には小さなカルデラ湖がある。お鉢の東側が山頂だ。静かな頂。もう何年も人が訪れていないかのようだ。標高差400m を登るのになんと4時間半。薮漕ぎとルート間違いのためだ。西斜面の道は気を付けていれば見失わずに済む。途中雷鳥のつがいが歩いていた。コルに来てふと振り返ると山頂西側の噴気口から物凄い音をたて、数十メートルものガスを出している。いまにも噴火が始まりそうな威圧感だ。400m下ってまた400m登る。雪渓でペットボトルに汲んだ水を飲みながらぼちぼち登る。
焼山に人の気配がしなかった理由が火打まで来てようやく判った。4年前の噴火以来登山禁止になっていると看板に書いてあった。なるほど道が荒れているわけだ。影火打の上は牧歌的だ。草原状の高地から妙高、黒姫、飯繩、高妻、延々と北信の山岳地帯が眺められる。そして高谷池の台地にのった大小幾多のチトウ。午後の斜光線が眩しい。この光は秋に近い草木の黄色を強調する効果がある。火打山頂でも一人だった。昨日、今日、人に会っていない。しかし下り始めて程なく、半ズボンに手ぶらで登ってくる人に会った。箱庭の様な天狗の庭への下り道。景観の変化に富む山だ。しかし柵越しに観る風景とはなんとしらけるものだろう。さっきまでの、多くの人が入ってこない場所での、秘められた花畑や湿原のなんと自由な事か。多くの人が登って来る整備された登山道は、たとえ優れた景色の場所でも何かが色あせてしまう。シュラフカバーで過ごす寒い夜が嫌で、高谷池ヒュッテで布団に寝た。
翌朝更に妙高をアタックするつもりだったが、なんだか身体の具合が悪く、そのまま下山した。妙高は、またの楽しみにとっておいて。頚城三山の深部を歩いただけでも今回の山行は満足だった。笹ケ峰の明星荘に再び寄って、何時間かおやじさんと話しこんだ。テレビでナムチャバルワ第二次登山隊の出発をやっていた。あれから一年経ったのだなあ。
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