中央アルプスプチ縦走 千畳敷〜檜尾岳ピストン
- GPS
- 06:40
- 距離
- 7.6km
- 登り
- 978m
- 下り
- 979m
コースタイム
天候 | 晴れのちガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
始発は本日6時頃(時期で違います) 大混雑。ロープウェーも。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ポストは千畳敷の駅外にあります。 縦走はなだらかな稜線かと思いきや、アップダウンしかありません。ただし緩めなのとキツイのがあります。 花崗岩の多い山なので、急斜面でザレている所もあります。 極楽平〜島田娘、島田娘からぐっと下ってしばらくはなだらかな稜線です。 濁沢大峰周辺からヤセ尾根(といっても歩く幅は十分にありますが)の岩場続きです。鎖場等も出てきます。路面、岩は駒津峰からの甲斐駒の様なイメージでしょうか。岩場の通過は慣れてないと思ったより時間かかると思います。 檜尾の避難小屋までも2〜3時間、そこから縦走すると先予約必須の木曽殿山荘まで約3時間、予約なければその先の駒峰ヒュッテまで更に空木岳のキツイ登りを超えて1.5時間、とあまり小屋数多くなく、間が長くなります。天候変化で雷の時などは、ずっと稜線上で逃げ場もないので、十分な情報収集と動向読みをしないと運まかせはちょっとコワすぎます。 |
写真
感想
春夏秋冬、四季それぞれに山はいろんな表情を見せてくれまたそれが魅力ですが、
高山でも比較的登り易い、緑や植物の生きる様が見れる、となるとやはり夏、それもあまり長い期間でもありません。
短い夏を惜しむ様に、夏の終わりに再度ちょっとハードめの行程に出かけました。
ざっと計画を立て、目指すは駒峰ヒュッテ。自炊小屋との事です。
テン泊装備でテントの代わりに非常用ツェルト、水も計4L、食材も肉米麺と豊富に揃えて、いざという場合にも備えました。
盆後なので登山者も少ないかと思いきや、「混雑する」とは他の方のレコで確認させてもらってましたが、予想以上でした。
朝5時過ぎ、菅の平BSでは既に駐車場も埋まりかけ、バス待ちの行列が・・・10人、20人、少なくとも200-300人ぐらは前に並んでいました。
始発は6時頃。5時頃かと思っていたのでちょっとここも調査不足でした。
臨時バスもとにかく沢山出て、しらび平でも乗り口から建物の外までズラっと行列でしたが、平常20分おき運行を9分おき運行にしてくれていたので、何とか8時には千畳敷へ。
小屋が少ない中央アルプス、ちょっと夏山縦走には少し遅いかな…
千畳敷の駅では、「午後は大気が不安定になる予報です」「早めの行動を」とアナウンスがありました。
歩き始めると、結構しんどい。荷物が重いのか…計った時には総重量17kg程でしたが…体も重いしある意味歩くだけでボッカ(!?)みたいな最近、ちょっと欲張りすぎたかなあとも思いましたが、一応エスケープの計画も立ててるし、これまでの山行歴から言えば歩けそうな気がするコースでもありました。
道を行くと、今を盛りと咲き誇る高山植物の数々。
昔来た時は晩秋で山は険しい岩肌をのぞかせる茶褐色でしたが、今回は緑が多くありました。フーフー言いながら極楽平まで出ると、天気も快晴、まさに極楽のよう。御嶽山も以前登ったままの姿を遠景で見せてくれ、南アルプスもクッキリと一望出来ました。もうここで滞在したいぐらい(笑)
でも先へ進む事にしました。最初の坂を極楽平まで登ってしまうと、体も軽くなった気がします。スタスタ歩けるので、島田娘から下るともう先に小屋はずっとない、このエスケープもない巨大な山々が連なる稜線上をひたすら行くしかない、おまけに南北アルプスの様に人が多い訳でもない静かな山行です。
降りていくと、500mほど前方に人影が見えました。始発で皆出てしまって自分はスタートが少し遅いのか?と心配だったので、人影が見えると安堵感が。
やがて追いつき、ちょっと話しかけてみました。お二人連れでしたが、木曽殿山荘を予約済、2日前でギリギリ予約出来た、との事。「キャンセルも出てるかもしれないし、聞いてみては?」と言ってもらえたので、電波が入るポイントがある山域な事に期待して先を急ぐ事に。
ゆったり楽しみながら行かれているお二人にお礼を言って先行、濁沢大峰まで登りきると、既にかなり山の下の方に見える様になっていました。
そこからは岩場の通過。まずは栄養補給に、おにぎりを1つ。それから岩場を進んでいきました。花崗岩の大きな岩が連なる岩場で、踏み跡はハッキリしていますが、リボンも滅多にないので、変な所に迷い込まずにきちんと登山道沿いに進めているか、確認しながら進みました。
が、しばらく行くと、道が分からない。行く手には岩がふさがっており、ちょっと上に上ってまたもと来た方へ戻る道があります。そっちに一度行くルートかと思い登って進んでみるものの、やはり元来た道の上から、岩場を通って合流するルートの様でした。
そうこうしてる内に先ほどのお二人が追いついて来ました。岩の上に鉄の手すり?がついているのを見つけ、進んでいきました。3つのピークを超えると、前方視界が開け、まずは鞍部までかなりの下り。途中鎖やロープなどもあり、甲斐駒の様なザレた斜面もありで中々堪えました。
鞍部で休んでいた一団を抜かした所で、ガイドさんが引率するその一団も休憩を終え進み出しました。登りになると、重荷でペースが速いというのはやはり相当効く感じで、コースタイム通りか少し割り増しぐらいのペースで来てましたが、ここで息が上がり、団体さんの1グループに先にいってもらう事に。
引率している先頭のガイドさんを見ると、完全に力も抜いて、一歩一歩大変ゆっくりブラブラと歩いている様に見えますが、しかしながら結果として速い。
足置きに迷いがなくそっと置いている感じだし、よどみなくその流れが続いていくから、そうなってるように見えます。
自分の歩き方を振り返ってハッとしました。張り切ってガツガツ飛ばしてきてますが、今日は荷物も重いのに、コースタイムを気にした様なペースで、例え途中で休んでも安全に安定したまま最後までもつか怪しいものです。
自分も無理をせずスローペースで安定した歩きを思い出して、団体さんの先頭グループと2番目グループの間を着いていきました。結果として、同じ様なペースですが
息も何とか上がらずに、同ペースで一緒についてました。
檜尾岳に着いた所で、皆昼食タイムに入っています。携帯を見ると電波がつながったので、かけてみました。結果、今日は団体さんも入り予約でいっぱい、明日ならあいていますが…との事でした。仕方がありません。朝11時半、地図を見て、計画を再度よく検討します。すぐそこに避難小屋はありますが、今居る一団が通り過ぎたら、ひと気の無い広い稜線で一人きりです。
1.集団に着いていって木曽殿山荘で離れ、空木岳を登って駒峰ヒュッテまで降りるか…順当に行っても4〜5時ぐらいにはなりそうです。しかも、空木岳の岩場登りは結構ハードそうだし、多分その時は単独、大気が不安定との事で、雷にでもなってたらたまりません。
2.檜尾の避難小屋へ行くか…まだ昼前だし、明日早起きしても、このペースでしか進めてないのに明日空木を越えて池山尾根を激下りのルートはちょっとハードそうです。周囲に誰も居なくなったどこまでも広い稜線を見てると、もし避難小屋に誰も来なかったら1人で過ごすのは急に心細く思えて来ました。
3.檜尾根を降りる…地図を見ると「迷」が2箇所あります。下山地点もシャトルバスが通過するエリアだし、事前情報がない状態で、何だか最も人が少なそうなルートで、いざという時のリスクは高く感じられます。
4.来た道をピストンで戻る。ちょっと悔いは残るものの、時間も十分、3時間で着けば下山のロープウェイにも間に合うし、何といっても一度通過している道なのが安心感があります。
という訳で、今回は最後の選択肢、来た道を戻る事にしました。
帰り始めると、道の長い事…ここはこんなに長かったっけ?という箇所の連続でした。周囲は静かで、2800m級の大きな山脈の稜線上、多分数km四方に自分以外誰も居ないんだろうな…聞こえるのは、風の音と、鳥の声と、自分の音ばかりです。
これからの下りも相当な長さで、向こうの濁沢大峰への登り返しが果てしなく高くそびえて見えます。うわ…これ登らないと帰れないのか…しかもその先も長かった気がします。今までにない心細さでした。荷物がやはり適正量よりちょっと重すぎるのか、肩にも少し食い込んでて疲れます。ナンかキツイな…よくよく考えてみれば、ここ3日の睡眠も4,5,1時間でした。テンション高い間は平気だったものの、幾ら多少余裕を持たせつつも適当とはいえ、ナンかテキトー過ぎた気がしました。こんなある意味ナメてて、ひとたび何か本当にトラブルあったら、遭難してしまうかもしれない。少し休んで、気を引き締めなおして着実に一歩一歩歩いていきました。途中でハイ松からイワヒバリが歩き出て目の前を通っていて、ちょっと和まされたりもしました。
向こうから進んで来る人が見えた時は内心かなりホッとしました。
ですがいでたちもあまり山慣れた感じやスピード志向でもなさそうだし、話しを聞くと、昼も1時を過ぎたこれから空木岳まで向かう、木曽殿山荘にも予約は取ってない、あと何時間かかりますか?との事で、自分以上に無謀登山じゃ…と冷や汗。千畳敷で聞いた午後は大気が不安定になる恐れ、檜尾に避難小屋はあるけどその先は次の小屋まで標準タイムでも2時間40分、予約が無いと泊まれないでしょう、という事だけはしっかり伝えさせてもらい、もし無理そうだったら、と避難小屋をお勧めはしました。
鞍部に下りると、下からガスが上がって来ていて、鞍部直下で垂直に立ち上がり、雲を形成しようとしていました。
その後も中々人に会いませんでした。濁沢大峰へ登る途中の鎖場では、6,7人の集団と単独の中年女性に会いました。彼らは檜尾の避難小屋を目指しているとの事で、装備や知識、行程等もしっかり把握され鎖場での通過時応対やフォローもしっかりしていて、安心感がありました。
濁沢大峰の岩場に着くと、反対側から見ると道が分かりづらい箇所が沢山ありました。テープも数が少なく、尾根の上を進むものの本当はずっと下に道があったんじゃないか、等思ったり、遥か下に見える裸地の沢がそれらしく見えたり…NV-37を出して、少し進んで偵察しては確認し、を繰り返しながらルートファインディングも交え進みました。そうしてる内にも振り返ると、熊沢岳方面は黒っぽい雲がかかり、檜尾岳の方もガスに巻かれています。先日の九重の雷の記憶がよみがえり、まだ雷鳴などは全然ないものの、兆候を読む事が出来ないので内心ちょっとドキドキでした。いざとなったら、とにかく稜線から外れてザックを下に敷いてハイ松にでも潜り、運を天に任せるしかないな…とか考えながら、これ以上急ぎも出来ませんが、帰路の足を進めました。
更にアップダウンは続きます。岩場を越えて降りた後も、また島田娘への登り返しが結構長い…途中で更に3団体、計7人と会いました。ランで来たと思われる若者達はかなり速そうで、空木岳まで行くとの事でした。他の方はここまで誰にも会わなかったとの事で、避難小屋までの時間を聞かれました。岩場の通過の後大下り、大登りで檜尾岳です、天気も崩れそうだから気をつけて、と声をかけました。
島田娘の登り返しの時も、また視界の向こうまで人一人居ない稜線。ガスが時折かかって、何とか稜線上にはかからず上空を通り過ぎていますが、視界を塞がれたら難儀そうな感じです。砂礫の道で、足元の高山植物を見ながら励まされ、島田娘をやっと頂上まで登り返しました。千畳敷のカールが右前方に見えると、ほっとしました。
2時半過ぎですがこれから避難小屋へと向かう人もまだ2人×2組。テン泊装備がしっかりしてて山慣れてそうな男性らは安心感ありましたが、後ろのお二人連れは、テント持って無さそうだし、地図もなくてコースタイム分かってないみたいだし…
人の事は言えた柄じゃないんですが、やっぱ場所に合わせた計画は大事です。
でも天気は結局それ以上悪化せず、晴れて来ていました。この分なら自分も進んでいたら多分先まで行けたでしょうけど、睡眠、荷物の重さ、どちらもミスってて、余裕が無い登山はやめとこう、という判断の下、帰ってきてこれもまた正解と思う事にしました。もう30分早ければ、でしたが朝の出遅れも原因の1つですし。
千畳敷に戻るとロープウェイは2時間待ちでした。整理券を貰って、周囲で遅い昼食、そして散策をした後下山しました。夕日の当たる千畳敷カールはとてもきれいでした。
せっかく駒ヶ根に来たので、下山後はソースカツ丼。
駐車場最寄だった明治亭に寄り、何だかばたばたした感じでしたが、まずはノンアルコールビールで1杯。それから、香ばしい洋食の風味のカツに甘酸っぱいソースをたっぷりかけて、ガツガツとかきこんで行きました。
撮った写真を確認しつつ、今日歩いた中央アルプスの稜線を思い出していました。
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