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Yamareco

記録ID: 2318310
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
白山

白山 平瀬から(過去レコです)。

2008年09月27日(土) ~ 2008年09月28日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
15.5km
登り
1,539m
下り
1,537m
天候 晴れ。
過去天気図(気象庁) 2008年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
 東海北陸道荘川ICを下りて御母衣ダムから平瀬に至り、登山口の大白川ダムへ。
コース状況/
危険箇所等
 それなりに危険個所も。
2008年09月28日 07:20撮影 by  u780,S780 , OLYMPUS IMAGING CORP.
2
9/28 7:20
2008年09月28日 08:49撮影 by  u780,S780 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
9/28 8:49
撮影機器:

感想

 2008年9月27日に、飛騨側から白山に登ることにした。秋雨前線の影響で前日まで雨だった。白山公園線の平瀬〜大白川間はよく通行止めになる道なので、高山土木事務所に電話で問い合わせると、案の定雨のため通行止めにしていると云う。天気予報では明日は曇り、明後日は晴れマークで雨は降らないようであるので、明日になれば解除される事を期待。6時に出発、美濃ICから東海北陸道を走る。荘川ICを下りて御母衣ダムから平瀬に至り、大白川ダムへの道が開通していることを確認する。昼飯を用意してなかったので鳩谷のコンビニまで行き、およそ30分のロス。登山口の駐車場は満員であったが、「平瀬道登山口」の階段の前に車をとめる。仕度をしている間にも車がどんどんやって来るが、満車状態であるのを見て下の駐車場に下りていく。9時25分、「ようこそ白山国立公園へ」と書かれたゲートをくぐる。傍らの柱には、「白山室堂まで6.9km」とある。昨日とは打って変わって快晴であるが、登山道はブナの林の中、陽はあたらない。ブナの葉っぱは初夏の色、紅葉の気配も無い。丸太で土留めされた階段、整備が行き届いているが階段登りはつまらない。ゆっくりゆっくりと登る。後から来た人が何人も追い越して行く、お先にどうぞ。ブナの木の間から見える滝は白水滝だろう。大分登ったつもりであるが出てきた標識は、「←白山室道5.9km、大白川1km」、まだ1kmしか登ってないんだとガックリ。ブナ林の中に立派なダケカンバの木が現れると、ブナとダケカンバが混じりあった林となる。色づき始めた葉っぱもチラホラと。右手に三方崩山が地肌を露出し荒々しい姿を見せるが、三方崩山の方がまだまだ高い。振り向けば御嶽山と乗鞍が雲の上に黒々と浮かんでいる。時には平らな道もあるが、それもすぐに終わり再び登りが始まる。何だか登ってばかりいる気分である。休憩を取ろうにも細い登山道には休む場所が無く、やむなく立ったままでひと休み。見上げれば稜線は近そう、頑張って、でもゆっくりと登る。左に長い稜線が見え始める、多分銚子ヶ峰から白山へ続く石徹白道の稜線だろう。山の端に疎らに立つ木が人のように見える。そして目指す白山、御前峰と剣が峰だろう、二つのコブが見え始め、元気が出てくる。晴れ渡っていた空はいつしか雲に覆われ、どんよりとした空に変わっているが、紅葉も見え始める。ナナカマドは2分程度、赤い実をつけた広い葉っぱが赤黒く染まっているのはムシカリだろうか。フジアザミはやや旬を過ぎ、リンドウやハクサントリカブトは今が盛り。行く先のこんもりした山が大倉山だろう、左側が崩壊している狭い道を慎重に通り、やがて「大倉山山頂」の標識に至る。あまり山頂らしくない所から少し下るとログハウスの青い屋根が見え、間もなく大倉山避難小屋に到着。石垣に腰を下ろし、ザックからオムスビとソーセージを取り出して昼食とする。小屋の中には携帯用トイレ専用の便所があり、携帯用トイレも備え付けられ、専用の捨てる場所もある。携帯用トイレを始めて体験する。長袖シャツを着ているが、休んでいると汗で濡れた背中が寒くなる。ここから軽く下ってしばらくは軽快な尾根歩き。緩やかな登りは徐々に勾配を増し、これをジグザグに登る。案内本には、三方崩山の向こうに北アルプスが見え、とても眺めがいいので余り苦にならないと書かれているが、北アルプスは雲の中。登山道に足を滑らせたような真新しい跡が幾つもあるが、全て崖に向かってついている。登山道に流れる水を谷に誘導するために付けられたようだ。階段を土留めしている丸太はところどころ浮き上がっているが、浮き上がった丸太の下に石が詰め込まれ手入れされている。ゆっくりゆっくり足を上げ、ひたすら登りが続く。ミヤマリンドウ、アオノツガザクラ、ハクサントリカブトが慰めてくれる。「←1.2km白山室堂 カンクラ雪渓 大白川5.7km→」の標識が立っているところでひと休み。雪渓とはいえ雪は全く残ってなく、岩肌が露出している。「中部森林管理局」と腕章をつけ、首から身分証明書をかけ、腰にナタをぶら下げたおじさんがやってきて、バナナを食べながら説明してくれる。「登山道につけた溝は、わたしがこの足で蹴って付けた」、「カンクラ谷はここまで、ここから下は大白水谷で、あの尾根の向こうは小白水谷」、「この上の崩壊地は40年前に崩れたのだが、今年やっと環境省の予算がついて今工事をしている。工事は石川県の業者が室堂に泊まりこんでやっている。夏山最盛期が終わって雪が降るまでの短い期間に工事をする」等々、話ながらバナナの皮をポイと捨てる。おじさんと別れて少し登ると崩壊地が現れ、赤茶けた崖がゾロ谷に落ち込んでいる。古びた丸太の階段が半分宙に浮いている。その横の、まさに出来立てのホヤホヤ、丸太の階段を登る。シャベルと大きな槌が置いてあるが、作業員はもう引き上げて居ない。新しいのは10段程だけ、その先の階段は古びて朽ちかけている。それどころか、崖崩れで階段は消失し通行止めとなり、右手に迂回路が作られている。ガスで見通しが悪い時は崖の下に落ちてしまうんじゃないかと心配する。落ちれば即死である。迂回路から出ると階段となり、見上げれば延々と続いている。うんざり。ヘリで荷揚げされた階段用の丸太が置かれているが、傍らに簡易トイレが横たわっているのを見ると、工事はまだ始まったばかりのようである。もうすぐ雪も降るだろうに、改修工事は無事完成するのだろうか。延々と続く階段が終わったと思うと、また延々と続く階段が現れる。階段が終わって石ころの転がる緩やかな道となると、御前峰はもう目と鼻の先。今が盛りの紅葉で、気分は一転。綿毛をつけたチングルマは見事に草紅葉。ハイマツでおおわれた広々とした室堂平、その向こうに別山が浮いている。南竜ヶ馬場への道を左に分けると室堂の赤い屋根のかたまりが見え、ほどなく到着。5時間20分の行程であった。ホテルと見間違えるほど立派な室堂ビジターセンターで宿泊手続きをし、宿泊棟へ案内される。案内係が、昨晩は氷点下6℃だったと云う。宿泊棟の一室、狭い布団が5つ並んだ蚕棚が両側に並ぶ。下の段、入り口の壁際を与えられる。汗で濡れた下着を着替え、厚手の長袖にフリースを着込み外に出る。冷たい風が吹きすさび、タンクの水には氷が張っている。ビジターセンターに入り缶ビール、ウイスキー、そしてまた缶ビール。5時半から食堂で夕食。大きな食堂は人で溢れそう。5時40分からは次の人達が並ぶ。夏山は終わり、紅葉にはまだ1週間早い狭間の時期を狙ったつもりであったが、なんと大勢の人。中高年が多いのは勿論であるが、若い人も外人さんも多く、人気のある山であることが窺がわれる。外は猛烈に寒い。早々に毛布2枚を被って寝床にもぐり込むが、シバリングが来るほど寒い。何ぼなんでも眠るには早すぎる。いつものごとくウツラウツラ、眠ったのかどうか良く分からないまま夜が過ぎていった。
 頂上で御来光を見ようとする人達が、暗いうちからゴソゴソと起きだし、わたしも目を覚ます。皆さん出て行って静かになり、再び眠りに着く。窓の外が明るみ出し、わたしも起きてトイレに歯磨き、洗面。昨晩のような強い風は吹いていないが、タンクの水はカチカチに凍りついている。6時半から朝食。ザックをデポし、サブザックに水筒とお茶のペットボトルを入れ、7時に白山比弯声劼硫から御前峰に向かう。見た目より急登であるが、すぐにジグザグ道となり、大勢の人に追い越されながらゆっくり登る。ハイマツの中の道、遮るものは無く、振り返れば室堂の赤屋根が整然と並び、その向こうに別山が大きく横たわっている。朝から雲、今日は晴天は期待出来そうも無いが空気は澄み切っている。白山比弯声劼留宮が見え、室堂から40分程で御前峰頂上に至る。目の前に岩だらけの剣ヶ峰、その右手にこんもりした大汝峰が立ち、三方崩山を下に見て、その向こうに北アルプスの山々、それに続く乗鞍、御嶽が雲の上にくっきりと浮かんでいる。南には別山が横たわり、その西には遠く伊吹山も見える。御前峰の裏側は大石が重なる崖で、ハイマツに被われた表側とは打って変わって荒々しい光景を呈している。火口原には噴火の跡があちこちに池となって残っている。山頂を西へ向かい、お宝庫からガレ場をジグザグに下って火口原へ降り立つ。こんな道がついていたのだ。以前、親友のSさんと来た時は、大石が重なる道なき崖を、酔いに任せて下りて来たのだがな。お鉢に青い水をたたえた紺屋ガ池はいかにも火口湖という感じ、左手の油ガ池は透明な水が池の淵でさざなみ状に凍りついている。二つの池の間を緩やかに登ると、右手に溢れんばかりのの水を湛えた翠ガ池を見下ろすようになる。エメラルドグリーン、ん? コバルトブルーかな? 砂礫の中に大きな石が点在しているが、これは噴火の際に吹き飛んできた火山弾。赤くない水を湛えた血の池、続いて百姓池。右に中宮への道を分け、少し行くと千蛇ヶ池に至る。千蛇ヶ池は万年雪で閉ざされているというが、端の方は雪が融けて池面が現れている。万年雪に覆われ、千匹の蛇が閉じ込められている筈だが、きっとみんな逃げ出したに違いない。万年雪が融けたときには頭上のお宝庫が崩れ落ちて池をふさぐというが、その気配は無い。ここで道はふた手に分かれる。左は近道であるが登り、右は回り道であるが下り。右手の道に入ると、チングルマの草紅葉が見事である。ハイマツの中の道、ホシガラスが飛ぶ。雪の無い水屋尻雪渓を渡り、室堂に帰り着いた。2時間少々、気分の良い散歩であった。まだ9時過ぎ、時間はたっぷりある、ビジターセンターでコーヒーを飲みながらゆっくり過ごす。10時に出発、ハイマツの広がる室堂平の中、昨日通った道を引き返す。室堂平からは乗鞍、御嶽が見えるだけだが、室堂平の東の端からは正面に北アルプス連峰を眺めながらの下りとなる。左手から槍ヶ岳、立山連峰、薬師岳、そして黒部五郎、水晶岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳が軒を連ねてい
るのだろうが、どれがどれだか判らない。そして槍の穂先が、小槍もはっきり見える。それに続く大喰岳、南岳。その右手の穂高連峰は、北穂、涸沢岳、奥穂、前穂と、4つのピークが重厚かつ崇高な姿を浮かべている。少し下って乗鞍岳、さらに右手に御嶽山が孤高な姿を雲の上に見せ、俺は独立峰、お前らと一緒にされたくない、と云っている。いずれも3000mを越える日本を代表する山々、それが今、競い合うようにして目の前にいる。紅葉は昨日より随分下り、たった一日で秋がどんどん進んでいる。大倉山避難小屋に着いたのは11時半、ビジターセンターが作ってくれたお弁当は竹の皮で包まれた押し鮨。山の中でこんなに美味い鮨が食えるなんて、感激しながらペロリと平らげる。団体さんがやってきて休憩をとっている。こんなに大勢の人と露天風呂に入るのはかなわないと、お先に出発。追いつかれてはなるまじと急ぎ足、何組もの人達を追い越してひたすら下る。下るにつれ三方崩山を見上げるようになり、北アルプスも雲の中に隠れる。登山道の笹は刈り払われているが、這いずり回る根っ子はそのまま。滑っては大変と、ペースを落として慎重に下る。駐車場に帰り着いたのは13時、室堂センターからちょうど3時間の下りであった。ドロノキの綿毛が舞う大白川露天風呂で汗を流し、ビールは我慢してソフトクリーム。白山公園線をグルグルと走り下り、東海北陸道を一路岐阜へ。
  白山は日本3名山のひとつと云われるだけあって、変化に富んだ楽しい山登りであった。

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