農鳥岳ー間ノ岳ー三峰岳ー仙丈ヶ岳縦走
- GPS
- 56:00
- 距離
- 35.0km
- 登り
- 4,184m
- 下り
- 2,968m
コースタイム
2日目:大門沢小屋(5:30)-大門沢下降点(8:05-8:10)-農鳥岳(8:45-8:55)-農鳥小屋(9:55)-間ノ岳(11:05-11:20)-三峰岳(11:55-12:00)-野呂川越(14:15)-両俣小屋(14:55)
3日目:両俣小屋(4:15)-野呂川越(5:00)-横川岳(5:30)-伊那荒倉岳(6:45)-2755ピーク(7:50)-大仙丈ヶ岳(8:45-8:50)-仙丈ヶ岳(9:10-9:25)-馬ノ背(10:15-10:30)-北沢峠(12:15)
天候 | 1日目:曇り 2日目:曇り時々雨 3日目:快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰り:北沢峠〜広河原(南アルプス市営バス) 広河原〜JR甲府駅(山梨交通バス) |
予約できる山小屋 |
|
感想
毎年、夏に出かけている南アルプスに、今年はまだ行けていない。今年の夏は、体調がずっと悪く、とてもテント泊は無理で、軽めの山行にしか行けなかった。
先週の登山で、体力が落ちていることも分かり、まだ体調も芳しくないこともあって、今回は無理のない行程を選んでみた。
1日目に奈良田〜大門沢小屋、2日目に農鳥〜間ノ岳〜両俣小屋、3日目に仙丈ヶ岳〜北沢峠に抜ける行程だ。これであれば、1日目は8km、2日目と3日目は13km程と距離は短く、水はテント場にあるので、水を余分に担ぐ必要もない。
■1日目
電車とバスの接続が悪いお陰で、身延で1時間程のんびりしてから、奈良田行きの小型バスに乗り込むと、乗客は6人程だ。3連休の初日というのに空いている。途中の七面山登山口で、軽装の登山者を降ろすと、残っているのは私ともう1人だけだった。
奈良田で2人で下車。もう1人の男性は、マウンテンバイクを輪行バックから取り出し、素早く組み立てると、広河原の方に向かって行った。
結局、登山者は私だけのようだ。この時点で12時40分。急いで大門沢の小屋に向かう。広河内沢が早川に合流する地点で、林道に入り、しばらく沢沿いに進むと登山口がある。
すぐに吊橋が連続して出てくる。2つ目の吊橋で、先行する登山者を見て驚く。先ほどのMTBの青年が、自転車を担いで登っている。なんとも大変そう。
巨岩の先で、重荷のMTBの彼を追い越して、しばらく登って行くと、少し道が怪しい。赤テープも先に続いて行くのだが、一般登山道にしては踏み跡が薄い。一旦戻ろうと思い、引き返すとMTBの彼が来た。2人して道を間違える訳ないなと思い、2人でしばらく進んでみるも、やはりおかしい。枝沢を渡って本流に戻るはずなのだが、一向に沢を渡らないし、方角も西に寄り過ぎている。MTBの彼のGPSで、大古森沢の左側を登ってきていることを確認する。
何をやっているのかと2人で笑ってしまう。引き返すと、すぐにルートが分かった。正規のルートは、間違えないように、ピンクテープが多数付けられている。
結局、私が道を間違えて、その後ろ姿につられて、彼も道を間違えてしまったようで、気の毒なことをした。
そこで別れて、八丁坂の急登を登る。その後、沢を何度か木橋で渡渉すると、大門沢小屋に到着した。もう少し開けたところを想像していたのだが、とても狭い。テント場は、斜面に段々状に設けられている。16時過ぎの時点で、数張のテントだけで、私も良い場所を確保できた。
夜中、雨が降り続く。体が冷えないよう、テントの中で冬用シュラフにくるまる。心配した体調はそれほど悪くない。明日も、なんとか登れそうだ。
■2日目
朝になっても、雨がなかなか止まない。しびれを切らして、雨の中、出発する。ここから農鳥岳まで1300mほどの登りだ。ヘッドライトの明かりを頼りに進む。道はとても分かりやすい。
時々、標高を示すプレートが出てくる。大分登ったぞと思ったところで、プレートの標高をみると、まだ半分も登っていない。がっかりしながらも、息を切らして登っていくとハイマツ帯に出た。
ようやく雨が止み、ガスの切れ間から、少しだけ農鳥が顔を見せた。岩だらけで険しい山容。下の方を見ると大分、紅葉が進んだ景色が見えた。
大門沢下降点では、数名の登山者が休憩している。有名な鐘が叩かれる音を聞きながら、少し休憩。
急登はここまでで、あとは一登りで農鳥岳だ。山頂に着くも、ガスで何も見えない。3年前に登った時は、快晴だったためか、別の山に登ったよう。
今の所ペースは悪くない。この調子なら、明るいうちに両俣小屋に着けそうだ。
ここからは、見覚えのある道だ。岩場を慎重に進むと、西農鳥に着いた。それにしても対向する登山者が多い。皆さん3連休で白根三山を登っているのだろう。
農鳥小屋を過ぎてからの間ノ岳への登りが辛く、何度か休憩してしまう。ホシガラスと思われる鳥がちらほらと見える。その先、山頂近くで雪がでてきた。昨晩の雨は、この辺では雪だったようだ。
山頂に着くも、何も見えない。他の登山者も残念そう。朝の天気予報から、この辺りでは晴れを期待していたのだが、今日は無理そうだ。パンを食べながら休憩していると雨が降り出し、とても寒くなってきた。やはり3000m峰の天候は厳しい。一度脱いだ雨具を再度着込んで先を進む。
三峰岳に向かう稜線に入ると、人通りがパッタリとなくなった。ガスで先が見えず、岩に手こずりながら進む。
三峰岳は2999mの山だ。山頂に立つと頭だけ3000mを越える。霧雨の中、1人山頂に立ってみる。
ここからは、仙塩尾根を両俣小屋に向かって降りるだけだが、1000mの下りはなかなか大変だ。岩場の下りを慎重に下る。予想以上に道は分かりやすい。時々両俣小屋から登ってきた登山者とすれ違う。
その後、樹林帯に入ったところで、気を抜いてしまった。考え事をしながら下っていくと、濡れた木の根で足を滑らしてしまう。体勢を立て直そうと、もう片方の足を着くも、更に滑って、左側の斜面に転がり落ちてしまった。体が1回転して衝撃と共に停止した。斜面の木に引っかかって停まったようだ。ザックが衝撃を吸収して怪我はなかった。落ちたのは4mほどだったが、下を覗き込んで恐ろしくなる。
そこは斜度が60°くらいありそうな急斜面で、私を支えてくれた直径10cm程の木の下には、5m以上も下に木が2本生えているだけだ。そこで止まらなければ、どこまで落ちたか分からない。4mを登り返すのにも苦労した。少し間違えれば、下まで落っこちそうだ。
地形図を見て確認していれば、左斜面が要注意と分かっただろうにと反省する。ちょっとした気のゆるみで、大変な事故になるところだった。
その後は、時間をかけて慎重に下った。野呂川越から両俣小屋に下る道も急で怖かった。
両俣小屋に着くと、人の気配がない。テント場にも誰もいない。
結局、この日のテントは私と単独行の男性の2張だけだった。この男性としばらく山の話をする。北岳から来たとのことだが、やはり展望なしだったとのこと。
夜、沢の流れる音を聞きながら就寝。今日は距離は短かったけれど、高低差が大きく、かなり疲れてしまった。
■3日目
今日は体調が悪ければ、林道でエスケープの予定だったが、まだ行ける。北沢峠13:05発のバスに間に合いたいと、朝4時過ぎに出発した。6割ほど欠けた月が出ている。今日はよい天気になりそうだ。
真っ暗な中、野呂川越に登り返す。昨日通った道なので、暗くても問題なかった。野呂川越から横川岳に向かって登って行くと、向こうからヘッドライトの明かりが近づいてくる。昨晩、横川岳でビバークしたという男性だった。
横川岳に着いた頃、うっすらと明るくなり始める。北岳が真っ黒いシルエットで、聳えている。
伊那荒倉岳に向かう途中、またもや単独行の男性とすれ違う。こちらは高望池でビバークしたとのこと。お二人ともかなり山慣れした感じの方だった。
北岳の山頂付近から太陽が登ってきた。ハイマツ帯に入ると素晴らしい展望だ。北岳、間ノ岳、塩見岳、甲斐駒、これから向かう仙丈ヶ岳もくっきりと見える。中央アルプスの山並みも良く見えた。
その先、仙丈ヶ岳まで、登山地図のCTでは4時間となっている。時速に換算すると1km/時だ。ハイマツ漕ぎのせいで、こんな甘いCTになっているのかと思い、急ぎ気味で登るも、ハイマツが邪魔な所はほとんどなく、道の状態も良い。温かい日差しの中、快適な稜線散歩が続く。ただ、細かいアップダウンが多い。
仙丈ヶ岳の頂上には、大勢の人の姿が見える。手前の大仙丈ヶ岳に到着すると、数名の登山者がいた。ハイマツ帯で活躍した雨具を脱ぐ。
ここからの眺めもいい。小太郎山が、すぐ近くに見える。
仙丈ヶ岳までは、もう一登りだ。人で溢れる山頂に到着。今日は天気が良くて、皆さん満足そう。仙丈ヶ岳は、4年前に私が初めて登った3000m峰だが、そのときは、ガスで何も見えなかった。アサヨ峰や鳳凰三山、甲斐駒ケ岳、鋸岳など、昨年登った思い出の山々を眺めた。
後は、北沢峠に下るだけだ。予定よりも大分早く着いてしまい、13時のバスにも余裕があることが分かったので、ゆっくりと下ることに。
仙丈小屋の下では、今年初めて雷鳥を目にする。もう足の辺りが冬毛になりつつある。途中、丘のように見える馬ノ背に寄り道をした。ここから仙丈ヶ岳を見ると、なかなかの紅葉。
北沢峠も登山者で溢れていた。何台も増発されたバスに乗って、甲府に向かった。
今回は体調が悪くなれば、大門沢小屋で1泊して、そのまま奈良田に下ってもいいから南アルプスに行きたい、という気持ちで出発しただけに、予定通りの行程を歩けたのは、嬉しかった。
みんな仙丈まで行っても大仙丈まで行かないのもったいないと思います。
大仙女までの道、夏はお花畑でサイコーですよ。
自分的にはアサヨ峰までの道がたまりません。
来年の夏はアサヨ峰でビバークを考えています。
仙丈ヶ岳の混み具合と、大仙のすき具合の差はすごかったです。大仙までピストンで行く人は、仙丈に登る人の、1/30くらいでしょうか。そして、その先に行く人は、ほとんどいない。
花はもう見られませんでした。夏がいいんですね。
アサヨ峰の道もいいですね。山頂ビバークですか。なかなか楽しそう。
こんばんは
濡れた木の根は滑りますね〜何事もなく帰宅出来て何よりです。最後まで、気を抜かないようにしましょう!
お互いに
araigengaさん。お久しぶりです。
ホント、馬鹿をやってしまったものです。もう少し落っこちて骨折でもしていれば、登り返すことはできなかったでしょうから、どうなっていたことか分かりません。
セルフレスキューもまともにできないので。
araigengaさんは、こんな初歩的なミスは無いでしょうが、人気(ひとけ)のない所に入り込んでいることが多いので、気をつけてくださいね。
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