大菩薩嶺(過去レコです)。


- GPS
- 32:00
- 距離
- 7.2km
- 登り
- 499m
- 下り
- 499m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2003年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
初秋の週末に妻と登るには何処が良いかと、選んだ山がこの山である。小説「大菩薩峠」を読んだことも無く、中里介山や机竜之介の名前は聞いた事があるぐらいの2人である。山小屋泊まりよりは温泉宿と云う事で、嵯峨塩温泉を予約した。平成15年9月27日の土曜日、8時に家を出発し、時間の余裕があるので中央道を伊奈でおり下道を通った。高遠から茅野に出て甲州街道を南下し、台ガ原宿の造り酒屋「七賢」に寄り、酒を2本買うと家の中を案内して呉れた。明治天皇が伊勢、京都へ御行幸の際に泊まられたという由緒ある部屋を見物し、酒蔵を改造した風格あるレストランで昼飯を食べ、酒屋の前の金精軒でみやげを買って妻は満足そうである。韮崎、甲府、石和、勝沼を過ぎ、大和村から上日川(かみにっかわ)峠に向かう日川(ひかわ)沿いの道に入る。日川というのは今回始めて聞いた名前と思ったが、ハテ! 山梨の日川と云えばラグビー高校選手権花園の常連校で、ベスト8やベスト4に入る名門校である。その高校が何処にあるのかは分らなかったが、山の中の道を走り天目山を過ぎ、嵯峨塩温泉に着いたのは3時であった。この温泉地には「嵯峨塩館」のみしか無く、その玄関には例の「日本秘湯を守る会」の提灯が下がっている。信玄の隠し湯との事であるが、甲斐、信州には信玄の隠し湯と称する温泉が多い。宿の従業員に隠し湯の意味を尋ねると、「信玄公が刀傷を負ったとき、それを癒すために敵に知られない様に入った為、隠し湯と云う」との事である。しかしその後に「信玄公がここに来て入ったのでは無く、ここの湯を運んで行った」と続き、信玄の隠し湯も怪しくなって来る。翌日6時前に、昨晩作ってもらったおむすびを持って旅館を出発。20分程で上日川峠に到着したが、ロッジ長兵衛の前の駐車場にはすでに5〜6台の車が駐車していた。6時35分、ロッジの右手から登山道に入る。ブナやミズナラ、林の中の気持ち良い道であるが紅葉にはまだ早く、露をおびたまるで新緑のような葉が朝日を受けて輝いている。オゾンをたっぷり吸いながら25分程歩くと、標高1720m、トリカブトの咲く「福ちゃん荘」に着いた。小屋はすでに店開きし、その前の駐車場には幾台もの車がとめられている。小休止してから唐松尾根の登山口に入ると、車も通るのだろうか、セメントで固められた広い道である。やがて本格的な登山道となり、20分程登ると木の間から景色を望めるようになる。眼下、緑の中に上日川のダム湖が光り、その向こうに裾を白い雲でくるまれた黒グロとした富士が見える。もう少し登ると南面が開けた絶好のビューポイントがあり、そこで富士をデジカメに納める。休憩無しで登るが、登りっぱなしの道ではなく、カラマツとダケカンバと背の低い笹の中の道を歩くこともあり疲れることは無い。唐松尾根とは云うものの余り尾根という感じは無いが、時に両側が切れた尾根道となることもある。黒い石がゴロゴロしている道を登って行くと、木がまばらとなり見晴らしの良い笹原となる。残念ながら富士は雲の中に隠れてしまい、以後この日は二度と姿を現す事は無かった。笹原になってからも急登が続くが、ひと登りで尾根上の広場に到着。福ちゃん荘から1時間5分であった。小休止のあと嶺に向かうが、この尾根道はグジャグジャのぬかるみで、これを避けて通る事は出来ない。登山靴とズボンの裾を汚しながら歩き、10分程で「大菩薩嶺、2057m、山梨百名山」の標識の立つ大菩薩嶺頂上に到着。頂上は木で囲まれ展望は無く、記念撮影もほどほどに今来た道を引き返す。雷岩を登り稜線に出ると、道の両側にお花畑が広がる。開花期は終わっているもののウスユキソウが大半を占め、中には遅咲きの花を咲かせているものもある。ウスユキソウに混じってマツムシソウ、オヤマリンドウ、オタカラコウ、ホタルブクロ、バイカオウレンなどの花が咲き競っている。リンドウの花はつぼみの様に見えるが、上から見ると花は開いており、5枚の薄紫色の花びらの中に白い雌しべが見える。雌しべの外側にはごま粒のような紫色の斑点が放射状に広がり、まるで万華鏡を覗いているみたいだ。大菩薩峠方面に向かって緩やかな笹原の尾根が広がり、その真ん中を1本の道が貫いている。富士山は雲の中だが上空は晴れ渡り、大菩薩の見事な風景に息を飲む。北側から上がってきたガスが尾根を乗り越えて南側の斜面を滑り降りて行く。行き交う人も多くなる。よその山と違って若い人も多く、そのため雰囲気も明るく、赤ちゃんからお年寄りまで、皆さんおだやかな顔をして2000mのハイキングを楽しんでいる。妙見ノ頭から賽の川原に下り、石のゴロゴロした坂を登り返すと介山荘の屋根が見える。親不知ノ頭に腰をおろし、宿屋が作って呉れたおむすびを食べ、デザートに大きなナシを食ったが良く冷えていて旨い。晴れていれば正面に富士が見えるのだろうが、それが無くても充分大菩薩を堪能する事が出来た。そこを下り降りると大菩薩峠で、介山荘の前は人で溢れかえっている。とくに「大菩薩峠」の柱の前は記念写真を撮る人で一杯で、なんとか我々も写真を撮る事が出来た。10時5分、おみやげ屋の間を抜け、介山荘の裏から福ちゃん荘に下る道に入ると、軽トラックがとまっている。成る程、道は軽自動車がギリギリ通れる程の幅があり、傾斜は緩いが所々に岩がゴツゴツとした急傾斜もあり、素人運転では登る事は出来そうに無い。行き交う人は、登山姿の人と運動靴姿の人が半々であり、ピクニック気分で登る事も出来る。古びた山小屋の勝縁荘には人の気配が無いが、その下の富士見山荘の前には一般の車が幾台もとまっていた。福ちゃん荘からさらに勝縁荘まで車で来る事が出来るのだ。車道を下り、10時40分、福ちゃん荘に到着。福ちゃん荘で一杯400円の培煎コーヒーを飲みながら休憩し、11時20分に駐車場に帰り着いた。総所用時間4時間50分の爽快なハイキングであった。
上日川峠からの帰り道、自分達以外に誰もいないペンションの温泉で汗を流した。残念ながらペンションの名前は忘れたが、湧き出る湯も豊富で気持ちの良い湯であった。
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