明神峠-三国山-高指山-山伏峠
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- GPS
- 04:28
- 距離
- 13.4km
- 登り
- 939m
- 下り
- 811m
コースタイム
天候 | 曇り ほんの少しだけ晴れ間 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
富士急バス 駿河小山駅08:45-09:10明神峠 山中湖周遊バスふじっ湖号 石割の湯バス停15:46-16:00旭日丘バス停 出発約10分遅れ 富士急バス(三島行き)旭日丘バス停16:33-17:10御殿場駅 出発約15分遅れ、到着約20分遅れ JR御殿場線 御殿場駅17:40-松田駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
明神峠へのバスは4月〜10月の土日に朝1本のみ。春先と時刻が変わってました。 明神峠には、仮設トイレあり。 大棚ノ頭分岐から山伏峠への下山路は、10月末まで送電線工事のため通行禁止の案内あり。ただし、立入禁止境界のトラロープの外側を迂回可能でした。 |
写真
感想
10月14日の日曜日に計画していたが、この週も休日出勤となってしまい、10月20日に延期。勤務先は週休2日だし、3連休もあったりなので、休んでいないわけではなく、なんだかんだ5週連続で休日出勤でも、本来なら十分リフレッシュできていいはず。
しかし、精神的にかなり参ってしまっているこのごろでは、だんだんと深く沈みこんでいくような状況。
こんなときには、やっぱり山に入ってリフレッシュ!
と思ったが、山の効用も万能薬とは行かないようで。
天気も曇り空で、熊の影におびえての山行だったのもあるかもしれないが、晴れ晴れとしない気分は山を下りるまで、風呂に入っても、続いてしまうのであった・・・
ヤマケイのアルペンガイド丹沢の表紙にある11座で唯一未踏峰の三国山に登って、なんとなく「制覇」の気分を味わってみたい。マイマップのルート赤い線がぐるっとつながるのがうれしい。明神峠へのバスも10月いっぱい。そんなところが今回の計画の動機です。
篭坂峠から歩いて、三国山と明神峠の間を往復してから高指山に抜けるという案も考えたものの、ひよってしまいました。
1本バスの時刻が早くないので、家を出るのも、普段の丹沢行きよりゆっくりで、電車の中も登山客が少ないようだ。御殿場線でもあまり見かけず、駿河小山駅で降りたときには、最初、山行きの格好をした人を見かけなかったので、バスの時間を間違えたか、バスが運休になっているのかと不安になった。まあ、ちょっとしたことで不安になってしまうのが、今の精神状態ではあるのだが。
それでもバス待ちは僕のほかに2組、3名。春には十数名が、明神峠から東と西に半々くらいに分かれていったので、今回も、少なくとも同じくらいの人になるのではとの予想は外れです。
明神峠には白い車が1台。バスの同乗者より先に歩き始めたが、足跡が一人分あったので、今日、西に向かって歩いているのは僕で二人目か。
歩きやすい道だが、富士スピードウェイからさえぎるもののないところを三国山までほぼ離れずに歩いていくので、エンジン音とタイヤのきしむ音がはっきりと聞こえる。さらに峠越えの車道が近くを通っているので、普通の車の音も間近で聞こえる。人の気配(機械音だが)があることは、それ自体はそんなに悪いものでもなく、車の音も、それほどいやなわけではないが、静かな山行を愛する人にとっては、苦痛な道かもしれない。三国峠に止まっている車が4、5台あり三国山の峠側では数組の方とすれ違ったが、このコースを歩くのなら三国峠から北へのスタートでもよいかな。
三国山をその名のとおり、神奈川、静岡、山梨の3県の県境で、山頂に標識が複数あるのも、設立主体が違うからなのか。それでも山頂の標高が標識によってちがうのは、何なんだろう。山と高原地図に三国山の標高表示がないのも、この事情が関係しているのだろうか。
西丹沢で単独の山歩きなので、熊鈴は必携。2つ持ってきた。と言っても、ひとつは百円ショップで買ったふくろうの頭の形の鈴型キーホルダー。振っても鈍い音を響かせるだけなので、ポケットにしまった。もう一つは、北アルプス立山の雄山山頂の境内入山料でもらったお札に付いていた鈴。杖に付けて、地面を突いたときになるように作られているのだろう。振れば、高い通る音が出る。しかし、平らな所を歩いている時には、静かなままだ。音が小さいのが心細いが、ときどき手で振りながら鳴らす。
三国山に至る道は、途中で峠への車道を横切る。そのあと、急坂になる。
美しいブナの林である。そして、苔むした幹のブナの根元に発見してしまった。
動物の糞である。親指くらいの太さ、長さの真っ黒いもの。
丸い粒々ではないので、鹿の糞ではなさそうだ。大きさからいっても、小動物のものではなさそうだ。熊だ。きっと熊に違いない。今年はブナの実が不作で熊の目撃情報が多いらしい。長野駅のホームにまで出てくるのだから、車道が近く、車の音がブンブンいっているこの場所に現れたとしても不思議はない。
しっとりしたこの物体は、排泄されてまだ間もないだろう。熊と出くわしたら、じっと目を見て、刺激しないようにゆっくりと後ずさる。問題はその後だ。うまく熊をやり過ごせたとして、そのまま進むか。引き返して帰るか。ああ、どうすればよいのだろう。って、まだ熊には遭遇していないが、熊と格闘になったら、どう考えてもかなわないよな、とか、狩をする動物でもないだろうに、何でそんなに力が強いんだ、とか、前にTVで見た熊の映像とかが頭の中をぐるぐるしている。
手は、鈴をぐるぐるしている。心臓はどきどきしている。
しかし、まだ熊は現れていない。この鈴の音を聞きつけて、逃げてくれ。
見通しのよい林なので、こちらが先に発見すれば、ばったり出くわすのは避けられる。きょろきょろ前後左右を見ながら歩く。それでも、前に歩く。
三国山の山頂まで着いた。林野庁の「緑の回廊」の案内板がある。野生動物の移動のために保護林を連続させている場所とのこと。その野生生物とは・・・ツキノワグマ、ニホンジカ、ホンドテンが紹介されている。
やはり、さっきの糞は熊、ツキノワグマだ。
三国山頂のベンチで一回目の行動食を座りながら食べている間は、鈴は鳴らせないので、周りをキョロキョロ。予定より早めに着いたが、ゼリー飲料だけで、すぐにスタート。
三国峠に向かって下っていくと、ヤマトリカブトの写真を撮っている男性や、熟年夫婦などが峠の方から登ってきていて、ひとまず熊は大丈夫そうだな、と無理に鈴を鳴らすのはやめた。
車道の三国峠を過ぎて鉄砲木ノ頭に向けて上り始めると、背の低い草原の道になり、振り返ると三国山がところどころ紅葉させた山容を見せている。そこを歩いているとよく分からなかったが、離れてみると色づいている木々がちらほらあるのが分かる。木を見て山を見ずか。
鉄砲木ノ頭は、高指山や富士岬平と同じように、山中湖が見下ろせるビューポイント。晴れていれば、富士山が間近に見えるのだろうが、今日は全然だめ。
先客のパーティーが写真を撮っていたのをやり過ごして、先に進む。
ここから切通峠の道は、なだらかな傾斜の広い尾根で、明るい林の中を歩く快適な道なのだろう、本当は。
黒土の道のところどころに、薄く削られた跡がある。あたかも、熊が転がったような。道の脇には、植物の根を物色したような掘り起こされた跡がずっと続いている。げげっ、また熊の影が。鈴をビンビン振りながら鳴らす。キョロキョロ再開。
鉄砲木ノ頭から15分ほど歩いたところ、50mくらい先の道の右側に黒いぽっちゃりした下半身。ついに出たか。大きさも、まさに熊くらい。初遭遇かなどと考えている間もなく、その物体は左の林の中に走っていく。速い。熊は相当速いらしい。疎林なので、木々の間からその姿が見えた。上半身が見えた。カモシカ?昔、上高地で見かけたことがあるが、丹沢では初めて。さすがに牛の仲間だけあってでかい。鹿じゃないよね。あの黒い体は。カモシカもいるって読んだことあったけど、いるんだ、本当に。どうも、鈴の音を聞きつけて逃げているようだった。
熊じゃなかったっていう安堵と、カモシカを見られたというウキウキと、それでも野生巨大動物に出くわしたドキドキと。
カモシカがいれば、熊もいるかもしれない。大型動物が掘り起こしたような跡は、まだまだ続いている。鈴も鳴らし続ける。
5分くらい歩いただろうか。今度は左から登山道を横切って左に走っていくカモシカを見た。先ほどの個体だろうか。さっきよりも少し近い。40mくらいだろうか。今度も逃げていくような感じの走りだ。顔はさっきよりもちゃんと認識できたが、さっきは驚いてしまっていたので、同一の個体だかどうだかは自身がない。しかし大きさといい、走って行った方向といい、その可能性の方が高いんじゃないか。
そんなに高い密度で生息しているのではないだろうし。
山中湖も近く、テニスコートや民家かからもそれほど離れていない場所なのに、いるんですね。2回も見ちゃったよ、と一人興奮しながら歩いていると、今度は2頭の鹿。母鹿を先頭に、後ろから小鹿が。軽やかだ、鹿の走りは。東丹沢では、人が近づいても慣れきって、びくともしない鹿君達だが、西丹沢の鹿は違うね。走っているうもんね。活動的だ。左の谷の方から来て、右の谷の方へ駆けて行くさまは、こちらには気づいていないという風。わずか30mくらいの距離だったのに。
その場所まで行ってみると、そこは切通峠。平野方面から浅瀬入口の方向に走っていったのだね。人の道と同じ道を通っていたんだね。考えてみれば、登山道ももとは、動物に踏み固められて歩きやすくなっていた、けものみちを人が歩くようになったのかもしれない。
切通峠から高指山に向かう途中、獣の匂いがした。三国山の手前のブナの木の根元にあったのと同じような糞をまた発見。
そういえば、栗のイガが空になってたくさん落ちている。登山者が拾っているわけではないよなあ。ブナの林も、どんぐりは落ちていない。片っ端から木の実を食べ尽くしているんだろうか。カモシカだの鹿だのさんざん遭遇したので、熊に対する不安は少しは薄らいでいるが、払拭されたわけではない。
高指山でおにぎり昼食。相変わらず富士山は全然見えないが、頭の上には少し青空。赤い実をつけた木や、ススキが光ってきれいだ。鉄砲木ノ頭から切通峠にかけての尾根がよく見える。三国山は丁度影になって見えないだな。地図を確認する。
向かいの石割山の尾根が見える。いつかは道志側の山も歩きたいものだ。どうしても横浜からだと便が悪いので、ホームグラウンドの丹沢を歩き尽くしてからになると思うけど。
大棚ノ頭分岐。おととしのGWに甲相国境尾根を初めて歩いたときは、ここに腰を下ろしておにぎりを食べていたところに、山伏峠の方からトレランの人が来たんだったな。大棚ノ頭0.1kmは、前回寄っているし、特に展望があったわけではなかったので、今回はパス。さて、最後、山伏峠まで、って進もうと思うとカラフルなたて看板が。「送電線工事のため、立ち入り禁止」??10月31日まで?アウトじゃん。石割の湯に行こうと思っているのに。山伏峠行ってみたいのに。
高指山まで戻るのは癪だしな。予定より大分時間が早いといっても、先に進んで菰釣山から道志に出るのにさらに4時間はかかりそうだし。まあ、行ってみてだめなら引き返して高指山まで戻る時間はある、ということで山伏峠へ向かった。
2箇所表示されていた工事現場のうち、峠へ下りる分岐のところは、整地した跡はあるが、立ち入り禁止にはなっていなく、国道に出る直前の方だけが立ち入り禁止になっていた。何かの施設を新しく建設中で、コンクリートの養生中のようであり、トラロープで囲われていた、その外側を伝って国道まで出られたので、引き返すことにならずよかった。
山伏トンネルは歩道が車道より一段高くなっているので、それほどヒヤヒヤせずに通行できた。(トンネルは苦手です。橋も苦手です。高いところが苦手です。)
歩道のない国道413号線を最初は右側を歩いたが、カーブが多く、対向車から直前まで認められないのが怖いので、左側を歩くことにする。左側通行は後ろから車に抜かれるので、これはこれで怖いが、昼間なので、まだよい。
石割の湯までは歩いて40分。予想より少し早かった。ゆっくり露天で湯に浸かり、さっぱりしたが、バスまでまだ1時間ある。缶ビール400円は高いので、中ジョッキ550円の生にする。甲府名物の鳥モツ煮でやる。ジョッキ小さくないか?すぐに開く。時間がまだまだある。モツ煮もまだある。しょうがないので、梅サワー350円。今度はチビチビやる。それでも空になって、時間が30分近くあるので、座布団枕に横になる。目を覚ましたときには、自分がどこにいるのかすぐに分からない。会社で昼寝をしたときもそうだ。目覚めるときはいつも、現在地を認識するのに時間がかかる。0.何秒の時間かもしれないが。
このときには、現在地を認識した後に、バスの時間!と、あせりの2段構えが押し寄せてきた。よく15分前に目覚めたものだと思う。ゆっくり仕度をして、10分も遅れてきたふじっ湖号に乗り、中継地点の旭日丘バス停まで行く。
ここで、御殿場まで行くバスも30分くらい待つので、森の駅と称する道の駅みたいなバス停施設に入る。「山梨のお土産はここが最後です」の表示が目に入る。確かに、御殿場に向かえば篭坂峠からは静岡県だし、新宿行きに乗れば、東京都内まで止まらないのかもしれない。などと考えながら店の中を歩いていると、アウトドア用品のコーナーが。おっと、熊鈴。帰ったら好日山荘に買いに行こうと思っていたけど、ちゃんとしたのが売ってる。よし、購入。これで、次回の単独山行の不安も少し和らぐか。
帰ってから、熊情報、熊の生態をちょっと調べてみたら、土を掘り起こすのは、イノシシみたいです。丹沢にもイノシシは生息するようなので、糞や土の掘り起こしでその影におびえていたのは、実はイノシシ?
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