北八つ池巡り
- GPS
- 32:00
- 距離
- 15.0km
- 登り
- 885m
- 下り
- 886m
コースタイム
2日目 6:33双子池―7:08カラ川橋―8:01雨池8:40―9:50ピラタスロープウェイ山頂駅
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
北横岳の下りは亀甲池へ。大岳経由は登りに使うほうが良(双子池管理人)いとの事です。双子池から雨池までは迂回路であるが、良く刈り込んであり、北八つ彷徨が楽しめます。 |
写真
感想
10月第3週の週末に、北八つの秋に浸ることにした。ゆっくりしたいので山小屋泊まりとし、取り合えず双子池ヒュッテに予約を入れた。お爺さんが出て来て、「どこから来るのか?」と聞くので、「ロープウェイから行きます」と云うと、「北横岳から大岳を通って降りて来てはいけません。腰にひびきます」。この人、わたしの腰が悪い事を知っているのかな、しっている筈は無いが、助言を重く受け止める。2012年10月20日、朝5時過ぎに出発。ピラタスロープウェイは北八ヶ岳ロープウェイに改名されたのか、外見はなんの変わりも無い。8時20分発のゴンドラに乗り、山頂駅まで7分。売店で缶ビールを買い、ザックに納める。坪庭散策の観光客やザックを担いだ登山者で、早くから賑わっている。8時45分、坪庭散策路に入る。緑のハイマツの中、クログロとした溶岩がゴロゴロし、白いススキが風に靡いている。ここには何度か来た事があるが、全て冬。真っ白な世界しか見た事が無く、ここは火山であることを実感。木道の坪庭から離れて登山道を登り、9時32分、北横岳ヒュッテに到着。ザックをデポして「七ツ池」に下る。雲ひとつない空の下、小さなさざ波の立つ青い青い水面に、立ち枯れのオオシラビソの白い幹が並んでいる。森の中の静かな池、北八つを堪能。ヒュッテに戻ってザックを担ぎ、10分程登ると北横岳南峰山頂に着く。北峰までは僅かの移動。山頂の針葉樹は霧氷で白く輝き、えびの尻尾を作っている。ここはもう、秋を通り越して冬。双子池ヒュッテの管理人の忠告に従って大岳は止め、亀甲池への道を下る。急な下降。苔生した丸い石は滑りやすい。ストックを取り出し、慎重に下る。こちらの道でこんなんだったら、大岳からの道は一体どんなもんなんだろう。急坂下りが終わり、苔の生える倒木があちこちに現れ、亀甲池に降りたつ。北横岳から1時間弱の緊張した下りであった。亀甲池の底は、その名の通り亀甲模様を呈すると云う。寒さの成せる業、本白根山の鏡池にもあった事を思い出し、池の底を眺めると、それらしき石が並んでいるのが見える。黒っぽい石がゴロゴロする池畔に入る。本来は池の底なのであろうが、水量が減り、川原状態となっている。秋の明るい日差しの下、数組の人が休んでいる。わたしも石に腰を下ろし、ちょっと早目の昼食、オムスビを頬張る。亀甲池から天祥寺原までは、黄色く染まった明るいカラマツ林の道。正面に蓼科山を見ながら緩やかに下る。ここはまた別の北八つ。20分程で天祥寺原に到着。振り返り、仰ぎ見れば森の上から北横岳が頭を出している。随分高い山に見える。天祥寺原の道には、何故か水が貯まっている。左は竜源橋への道、10年ほど前、始めて蓼科山に登った時に降りて行った道だ。あの頃はただ登って下るだけ、こんなにゆっくり山を楽しむ余裕は無かったな。今日は右へ、大河原峠に向かう。笹原の中に伸びる一本の道、大河原峠を挟んで左に前掛山、右に双子山、どちらも黄色く色づき、穏やかな山容、気持ちも穏やか、緩やかに登って行く。所々ぬかるんではいるが苦にはならない。ゆっくりゆっくり休みながら、北八つにどっぷり浸って笹原を登り、天祥寺原から50分、大河原峠に到着。蓼科山から降りて来た人、双子山から降りて来た人たちがたむろしている。峠の駐車場は満員で、路肩まで駐車の列が伸びている。大河原ヒュッテでチーズケーキセットを注文し、外の椅子に座って、時々車が通るのを眺めながらぼんやりと過ごす。登山客を迎えにきたのだろう、大型バスが狭い道で何度もハンドルを切りながらUターンする。街中の風景であるが、ここは北八つ、それを感じさせない空気が漂っている。双子山への案内に従ってヒュッテの裏側に入り、笹原の中の道を緩やかに登る。ゆっくりゆっくり、振り返りながら登る。登るにつれ、前掛山の向こうに蓼科山が頭を出して来る。20分ほどで登り着いた広い双子山山頂は、枯れ草が広がる草原。その中に大石がゴロゴロしている。遮るものの無い山頂は風、ウインドブレーカーのフードを被る。蓼科山、北横岳、大岳を一望。小海の町を挟んで遠くに見えるのは奥秩父の山々だろう。双子池へ下る道は、コメツガ、シラビソ、カラマツなど、針葉樹の森の中。カラマツがキラキラと輝き、ナナカマドはすでに盛りを過ぎているが、木洩れ陽に照らされて紅葉の名残りを留めている。30分程下り、双子池に降り立つ。双子池ヒュッテの周りには、大勢の人が休んでいる。まだ2時20分、ザックを背負ったまま雌池に向かう。赤、黄、緑のグラデュエーションに囲まれ、青緑の水面にさざ波が光っている。向こう岸にはテントが並んでいる。テント泊まりの水場は雄池。大岳をバックに、赤、黄、緑の森が広がり、雄池は佇んでいる。年に一度増水してこの二つの池がつながるそうだが、辺り一面水浸しで、与七郎とお染が愛の絆を確かめるというロマンテイックな情景は浮かんでこない。小屋の受付で管理人さんがこまごまと説明して呉れ、二食付き7,500円を払う。今夜は4畳半の「こけもも」を、個室として使わせて呉れると云う。部屋で身体を拭き、着替えを済ませ、小屋の前で雄池を眺めながら缶ビールを飲む。ヒュッテなんて洒落た名前がついているが、北アルプスの大きな山小屋とは違って、昔ながらの山小屋らしい山小屋で雰囲気が良い。3時を回って大勢いた人の姿もなくなり、泊まり客がぼちぼちやって来る。小屋泊まりより圧倒的にテント泊の人の方が多い。缶ビールを飲み干し、持参のブランデー、酔いが回って部屋でお昼寝。管理人の奥さんが、「夕食ですよ〜」と呼ぶ声に目を覚まし、食堂へ降りる。缶ビールを空けながら夕食をつつく。食堂にいる客は19人。自炊をしている人もいるようだが、いずれにしても泊まり客は少なそう。おかみさんが、「とんじるおかわりありますよ〜」と叫んでいる。部屋に戻って、今度は持参の缶ビールを空け、そのまま布団にもぐり込む。まだ7時前、目はつむっているが眠れる訳が無い。そのままウツラウツラ、物音一つしない真っ暗闇、サ〜ッと云う音がし、窓ガラスがガタガタと揺れる。一回きりでおさまり、そしてまた静寂の暗闇。ウツラウツラ、再びサ〜ッ、ガタガタ。風が通り過ぎる「サ〜ッ」という微かな音が聞こえるなんて、これがまた北八つ。
翌朝は5時半から朝食。「ゆっくり、のんびり、北八つ池巡り」という事で、大岳に登るのはシンドそうなので止め、雨池経由で帰る事にする。地図に載っている雨池峠下までの大石川林道は、落石の危険性があるので現在は通行禁止。8月末に廃道の笹を刈り開き、新しい道を作ったと云う。6時32分、小屋の裏手から林道歩きが始まる。小屋専用の林道は、両側に黄葉のカラマツが立ち並び、快晴、ヒンヤリとした空気、ひとっこ一人いない、林道といっても気分は爽快。サルオガセが絡むカラマツ、専用林道から大河原林道に出ると、進入禁止のゲートがある。左手の「うその口集落」に向かう林道を行くと、右手に「雨池→」の案内がある。刈り開かれたばかりで、まだ踏み固められていない道を下ると、再び林道に出る。しばらくまた林道を歩き、「カラ川橋」を渡ると「雨池方面→」の案内があり、ここから登山道となる。登り始めは急ではあるが、じきに緩やかとなる。笹に覆われたシラビソとコメツガの森、クマ除け鈴を鳴らしながら進む。苔生した倒木を何度も跨ぐ。誰にも会う事の無い、ただ鳥の声だけがする深い森。刈り開かれたばかりのこの古い道、どれだけ落ち葉が降り積もっているのだろうか、フカフカ、とっても気持ちいい。カラ川橋から1時間弱、北八つを堪能。樹間から池が見え、8時2分、雨池の北岸に降り立つ。この新しく刈り開かれた旧道は、予想に反して素敵な道であった。雨池は七ツ池、亀甲池、双子池に比べれば大きな池である。岸辺には大きな黒い岩が重なっているが、池を取り巻く周遊路は山道でこれを辿る。八柱山への道を分けた所で、岸辺に降りる。水暈が少ないのだろう、湿った岸辺が広がり、何頭ものシカの足跡が横切っている。今まで誰に出合うことも無かったが、対岸に数名の若者が見える。そろそろ静かな北八つも終わりかな。岸辺を歩いて若者たちがいる場所から周遊路に入り、出発点に戻る。ん?ロープウェイにはどう行くのかな? 今来た周遊路を戻り、ロープウェイ山頂駅への分岐を見つける。急な登りが10分程、ひょこっと林道に出る。味気ない林道を歩いて行くと立て札が道を遮っている。どうやらこの先が大石川林道のようである。左手に登山道の入り口があり、ここから再び急登が始まる。濡れた丸い石が積み重なる滑りやすそうな道を慎重に登る。大きな石も現れ、這い上がる。勾配が緩んでも、石がゴロゴロ、これを伝って登る。鎖場や梯子は無いけれど、北八つとは云え、結構シンドイ登りである。雨池峠に登り着くと、あとは快適な木道歩き。縞枯山荘を横に見て、峠下の登山道入口から50分でロープウェイ山頂駅に到着。9時52分であった。坪庭は観光客で賑わっていた。ゴンドラは今の時期、20分間隔で出発するのが定時であるが、秋の紅葉シーズン、10分間隔で運用している。10時発のゴンドラに乗り、山麓駅に降りた時はゴンドラを待つ長蛇の人の列が出来ていた。
小斉の湯の露天風呂で汗を流し、2時には自宅に帰り着いていた。
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