記録ID: 2506512
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沢登り
大峰山脈
【大峰】茗荷谷(明芽谷)から十郎山
2020年08月15日(土) [日帰り]


- GPS
- --:--
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 936m
- 下り
- 912m
コースタイム
日帰り
- 山行
- 10:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 10:00
6:30
90分
茗荷谷(明芽谷)出合
8:00
180分
大ゴルジュ入り口
11:00
180分
大ゴルジュ終了
14:00
150分
十郎山
16:30
茗荷谷(明芽谷)出合
天候 | 快晴,そして酷暑 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【茗荷谷(明芽谷,みょうがたに)】 ・ゴルジュ状地形が長く続き,暗い印象の谷だが,その中に現れる滝の数々は形が美しいものが多く,大峰の秘境を垣間見た気分にさせてくれる。両岸が立っているので,高巻きも難しく,悪場の通過は時間がかかるものが多い。 ・核心は言うまでもなく中間に現れる大ゴルジュの処理。私にはこのゴルジュを水線沿いにワンデイで単身突破する技量はないので,以下はあくまで大ゴルジュを高巻く場合の話。このゴルジュを高巻く場合,ゴルジュ入り口の手前に右岸から入ってきている枝谷を少し登ってから右岸巻きするが,なるべく低く巻こうとして岩壁の合間を縫うように巻いていくと,大ゴルジュ内の25m滝の手前あたりで壁に阻まれて行き詰り,そこからかなり苦しいブッシュ壁の登攀を強いられることになるので,安全第一で行くなら,最初から壁が途切れるところまで高く登ってしまってから巻いたほうがいいかもしれない(壁が途切れるあたりまで登ると,薄い獣道が出てきます。)。 ・35m滝を過ぎ源流域に入るとやや平凡で、植林も多くなるため、沢登りを楽しむだけなら、途中の適当なところで十郎山の東尾根に登ってしまってもいいかも。 【十郎山からの下山】 ・ルート本(関西起点沢登りルート100)には,十郎山の東尾根のP1082手前から現れる林業用モノレールを辿って小谷出合付近に降りる方法が紹介されているが,今回は,途中からモノレールと別れ,茗荷谷出合に直接降りるルートを取った。このルートは十郎山に登る際に時々使われているらしく,上部には頻繁にピンクのテープが巻かれているが,下部はほとんどマーキングがなく,しかも時々藪っぽい区間や踏み跡が薄くなる区間があり,慎重なルートファインディングが必要な印象だった(ルーファイを間違えると,険しい茗荷谷側に降りてしまう危険性がある)。ルートファインディングに不安がある場合や,夕闇が迫っている場合などは,林業用モノレールを辿ったほうが確実かもしれない。 ※ヒルは見なかった。ブヨが結構多いため,苦手な方は対策を。 |
写真
しばらく進むと,問題の大ゴルジュが現れた。入り口から覗き込むと,50m以上はありそうな高い壁に挟まれ,極度に狭まった不気味な暗い空間が続いている。やっかいそうな深い淵とCS滝がいくつか連なった奥に,(写真ではうまく写っていないが)25mくらいはありそうな大きな滝が見え,単身でこの中に飛び込む勇気はさすがに起こらない。
おや,カモシカがこちらを覗いている。カモシカの後を追ってみると,カモシカが逃げて行ったあたりに岩壁の間を縫ってトラバースできそうなバンドが走っており,これを辿ることにした。(しかし,人間の数倍は崖地の移動に長けているカモシカの後を安易に追ってはいけないということを,この後思い知らされることに…)
上流に向けてトラバースを続けていく。眼下には樹木の緑の間に深いゴルジュの底が不気味に口を開けている。終始かなりの急斜面で,少しでも足を滑らせれば確実に命はない。断続的に現れる岩場や崖を避けつつ,わずかな足場をつないでいく。
大ゴルジュの入り口からも眺められた25m滝の滝つぼ(写真)が眼下に見え始めたあたりで,ついに進行方向を壁に阻まれてしまった。こうなると,上に登るしかない。かなり傾斜が強いブッシュ壁を,苦労しながら攀じ登っていく。
かなり上まで登ってきたところで,今度は頭上をハング気味の岩場に阻まれてしまった。左右も急斜面で,容易にトラバースできそうにない。しまった,ルート取りを誤ったか? 頭を岩場に押さえられた不安定な姿勢で,活路を求めて周囲を見渡すと,周囲の灌木や木の根に3つほどスリングが巻き付けてあるのを見つけた。おそらく撤退用(懸垂下降用)のスリングだ。先人も幾人かはここで進退窮まり,撤退を決断したようだ。
自分の脳裏にも撤退の二文字が浮かびかけたが,なおも周囲を観察していると,右手に見える岩場の上に丈夫そうな灌木が垂れ下がっており,あれを掴むことができれば,何とか上に這い上がれるかもしれない。細い泥付きバンドを辿って冷や汗もののトラバースをしたあと,何とか灌木を掴み,苔むして外傾した岩場を強引に這い上がった。何とか急場は脱した。
その後も急なブッシュ壁登りが続いたが,岩壁が途切れるところまで登ると,獣道らしき薄い踏み跡が出てきてそれを辿り,途中で出てきたルンゼを下降して,何とか無事に谷に戻ることができた。しかし,規模は小さくなったとはいえ,ゴルジュはまだ終わっていない。
その奥で谷は急角度に右にカーブし,10mほどの滝が落ちていた。右岸から再び巻きに入る。険しい雰囲気からして,またもや大高巻きになるのでは,と危惧したが,ルンゼを一つまたいでトラバースしたあと,意外に簡単に滝上に出ることができた。
と,急に大空間が開け,青空を背負った35m滝が出現。連日の猛暑による減水で迫力には欠けるが,なかなか美しい滝だ。この滝は,左岸のルンゼよりも容易に見えた右岸の小尾根から高巻き。急斜面で結構登らされるが,それほど危険はない。
1040m付近からモノレールを外れ,茗荷谷の出合いに直接降りる枝尾根を下っていく。この枝尾根は十郎山登山に時折使われるらしく,このピンクのマーキングが導いてくれる。ただし,なぜか途中からマーキングはぱったりなくなってしまい,いくつか紛らわしい枝尾根も現れるため,ルートファインディングは主体的に行ったほうが良い。
装備
備考 | ・40mロープ携行。今回は使用しなかったが,大ゴルジュの大高巻きでは,部分的に嫌らしいトラバースやブッシュ壁の登攀が混じるため,複数人で遡行するなら必要に応じロープを出して確保したほうが安全だと思う。 ・フェルトソール沢足袋使用。それほどぬめっている印象はなかったので,ラバーの沢靴でもいけるかもしれない。 |
---|
感想
お盆は日本中の精霊があの世とこの世を行き交う期間。そんな時期に登山をしていると,ひょんなことから異界に誘われてしまうのではないか,という気がして少し気が引ける…とか言いながら,結局,今日も猛暑を避けて沢登り。
茗荷谷の大ゴルジュは,もちろんゴルジュを水線沿いに突破してみないと本当の厳しさはわからないのだろうが,高巻きは高巻きで結構大変だった。ルート取りを誤ったためかもしれないが,ちょっと厳しい岩場に行き当たってしまい,結局,前進を選択して切り抜けられたので良かったものの,ああいう心細い場面で足下に切れ込んだ仄暗いゴルジュの底を見下ろす心境は,やはり半分異界に誘われかけていると言ってもいいかもしれない。
下山の長い尾根は本当にうだるように暑く,半分熱中症のようになりながら林道まで駆け下り,その足で再び茗荷谷に降りて淵に飛び込んだ。その真夏でも背筋が凍るほど冷たい水と、険しく暗いゴルジュの奥に妖しい異界の入口を垣間見せつつも,私を無事に娑婆へと送り帰してくれた茗荷谷に感謝しつつ,車へと着替えに戻った。
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コメント
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一人でガンガンいってはりますね! この谷以外の記録もスゴイと思いましたけど みょうがたに、、、私は あの写真#11の滝は左岸から巻きました。で、落石を落としながら、その二つくらい上流側の滝の落ち口に降りました。途中、色々とアクシデントがあり、怪我などはしてないんですが、午前1時に ようやくゲート駐車地に戻りましたw
9月のご活躍も期待してます!!
こんばんは。ゴルジュ入り口の左岸は,確か普通に壁だった記憶があるのですが…あそこを登られるとは,すごいですね! 2つくらい上流の滝ということは,ゴルジュの只中に降りられたんですね。25m滝も間近で見られたということでしょうか。羨ましいです。
午前1時帰着!というのも凄まじいですね。やはりゴルジュに沿って突破しようと思うと,それくらいかかってしまうのでしょうか。すごいなぁ…。
お返事あざます。
お返事よんで 思い出したことをつらつら書いてみますが、スルーしていただいても問題ありません。
標高820mの二又を右又に入り、少し遡行すると、右岸にぼろい林業小屋がありました。15年以上前の話です。その林業小屋に着いたのが既に18:30頃だったと思います。そこから左岸側を下流方向に斜上していくような杣道がありました。3人パーティで、内1人がヘッドランプを持っておらず、また、その方、下半身が短パンとタイツで、杣道は途中から間伐の倒木で埋め尽くされており、藪漕ぎ混じりで標高を下げていきましたが、足元みえず、足に茨や棘が刺さって痛いとかで ゆっくりとしか動けなかった、ということが下山に時間がかかった要因です。
林業小屋着が遅かったのは、そもそも入渓時間が遅かったこともあるのですが、途中で テニスボールなどを利用した投げ縄トライなどをしたり、そうゆう時間がかかるようなことを色々としてたせいもあり、結構遅めの時間になってました。
なので、ゴルジュに沿って突破したとしても、もっと早い時間で下山できるかたが なんぼでも いらっしゃると思います。
それは壮絶な下山でしたね〜💦そんなところに植林小屋と杣道があったとは。初めて知りました。
テニスボールで投げ縄は斬新ですね!確かにハンマーより制球が利きそうな感じが…
投げ縄の定義からは逸れてしまいますけど、ドローンでロープをかけたりできると便利ですね。ハンマーなんか投げちゃうと「岩とか木に傷をつけるなー」と意識高い系の人からドヤされるかも とビクビクしております。
ドローン(笑)延べ竿はもう古い!ですね。
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