地蔵尾根より静寂の仙丈ヶ岳へ
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- GPS
- 14:39
- 距離
- 33.7km
- 登り
- 2,988m
- 下り
- 3,010m
コースタイム
- 山行
- 4:17
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 4:38
- 山行
- 8:33
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 9:28
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
仙丈ヶ岳は格別な想いがあった。話は3年前に遡る。数日間の連休を取って、家内と当時、高校生になった長男と共に蓼科山に登った後、北沢峠にテントを張って甲斐駒ケ岳、仙丈ヶ岳に登るという計画をしていた。しかし、蓼科山の山頂で濡れた岩に足を滑らせたところ母趾のつま先が岩に当たり、母趾の末節骨を骨折するという失態をやらかす。その日はなんとか蓼科山をダブル・ストックを上手く使いながら下山し、宿泊を予約していたので仙流荘までたどり着くが、翌日の山行は到底諦めざるを得ない状態となる。早朝から南アルプス林道をバスに乗って北沢峠に向かう大勢の登山客を見送りつつ、テン泊山行のための重装備を背負って三人で京都に戻ったのだった。この時以来、いつか家内と長男と共に再びこの仙丈ヶ岳を訪れるというのが一つの宿願のように思われていた。
今年の夏は北沢峠へのバスの運行はないので、仙丈ヶ岳を訪れる人はほとんどいないことが予想されるが、もとより仙丈ヶ岳を再び訪れるなら地蔵尾根からと心に決めていた。下山は丹渓新道を辿りたかったのだが、数年前の台風で戸台川沿いのルートが歩くことが出来ない。
この地蔵尾根の登山口は柏木の集落に登山口があり、レコでは登山口からのピストン往復が多いが、京都からここまで車で一人で運転するのは現実的ではない。柏木集落の下にある市野瀬までは伊那市のコミュニティ・バスでアプローチすることが可能であり、この柏木の登山口まではそれほど長い距離ではなさそうだ。
お盆の帰省自粛が叫ばれる中、遠距離の移動をするのはどうかと思われたが、直前にJRの予約状況を確認すると新幹線はガラガラのようだ。思い切って仙丈ヶ岳に出かけることにする。
【一日目】
早朝の新幹線も特急しなの号のガラガラであった。辰野駅で中央本線から飯田線に乗り換えて列車が伊那盆地に入るとまもなく左手の車窓に大きく仙丈ヶ岳が姿が目に入る。この飯田線からの仙丈ヶ岳の姿を目にすると、南アルプスの女王の異名に相応しい大きな山容を誇る山であることを改めて再認識することになる。
JRで伊那市にたどり着くと駅前から高遠行きのJRバスが接続する。ちなみに名古屋から高速バスで伊那市まで来ると、この高遠行きのバスには間にギリギリ合わない。
高遠に到着し、バスを降りようとして整理券を取っていなかったことに気がつく。運転手にその旨を伝えると、驚いたことに運賃は10円だという。八月は公共交通機関の利用推進月間とのことで運賃を10円に設定しているようだ。果たして地元住民でない我々がその恩恵を蒙って良いものかと思うが、有り難く恩恵を預からせていただく。
平日であればこのバスに接続して、登山口方面への長谷循環バスが出発するのだが、次のバスまで時間があるので、三峰川にかかる望仙橋を渡ってスーパーに買い出しに行く。橋の名前は紛れもなく仙丈ヶ岳の眺望が優れることに由来するのだろう。雲ひとつない蒼穹を背景に彼方に仙丈ヶ岳を望む。
高遠はその中心部を流れる三峰川を挟んで両岸の河岸段丘に城下町が広がる街であり、非常に好きな街のひとつだ。食彩館というスーパーで買い物をするとスーパーの広い駐車場にバスが来る。バスは高遠の街を離れると三峰川に沿ってフォッサマグナ(大地溝帯)の西端であり東西日本の境界線と言われる糸静線を南下する。
市野瀬で降りると再び三峰川にかかる橋を渡って柏木の集落を目指す。川では多くのファミリーが川遊びをしており、なんとも気持ちが良さそうだ。車道は斜面を九十九折に登ってゆくのだが、斜面は下生のない植林地が広がっており、車道をショートカットして植林地の中を登る。
植林地の中には作業道による薄い踏み跡があり、斜面は急ではあるものの登りやすい。しかし、風がなく、早速にも大粒の汗が流れ始める。柏木の集落に辿りついて、塩分補給のタブレットと水を補給するが、早くもペットボトルが一本、空になる。登山口までの集落の中の炎天下の歩行がわずかな距離ではあるにも関わらず、辛く感じられる。たどり着く前から既に体力的に予想外のダメージである。
集落を越えて赤松の林の中に入ると、ようやく日陰に入ることが出来て安堵の息をつく。しばらくはなだらかな道が続くが、今回は、途中の小屋にリュックをデポすることが出来るという安心感から余計なものをいろいろと詰め込んでいるせいで、テントがないにも関わらず荷物がかなり重く感じられる。
最初の九十九折を過ぎて尾根に上がると左手から時折、涼しい風が吹くようになる。尾根の先の方に車が停められている。どうやら柏木の集落からここまで車でたどり着くことが出来るらしい。丁度、一人の男性が下山されたところであった。昨夜は夜通し歩いて、山頂でご来光をご覧になり下山して来られたとのこと。男性の車の後ろにはもう一台、長岡ナンバーの車もある。
男性にご挨拶して、先に進むとすぐにも上から快速で降って来られる方とすれ違う。後でヤマレコでの山行記録を確認するとユーザーのyoisaさんであった。尾根に涼しい風が吹いてくるのを喜んぶことが出来たのは短い区間で、登山道が尾根から離れて南斜面のトラバース道に入ると風はなくなる。
なだらかな道が続くが、重いリュックと暑さのせいでなかなかスピードが上がらない。登山道のすぐ上の斜面から湧き出す水を見つけて小休止すると、細い水流の脇には節黒仙翁(フシグロセンノウ)のオレンジ色の花が彩りを添えていた。
林道と交差すると植林から羊歯の繁茂する落葉松の樹林に入り、途端に樹林の中は明るくなる。ありふれた光景かもしれないが、南アルプスらしさを感じて嬉しくなる。三伏峠への登山道や池口岳から光岳への稜線の風景を思い出す。
明るい樹林の中は陽射しも強く暑いことを懸念したが、このあたりから空気に涼しさを感じることが出来るようになる。林床を覆う羊歯の緑のカーペットの中にはマルバダケブキの黄色い花が数多く咲いており、色彩にコントラスを与えている。
再び林道に出ると「林道を300m歩く」と指示がある。最初に出遭った男性から林道が暑くて傘をさして歩いたとの話を聞いていたので、暑さが心配ではあったが、林道には意外と木陰があり、暑さに苦しまずに済んだ。しばしの樹林歩きを挟んで再び林道に出ると今度は800mの林道歩きとなる。
登山道が林道から分岐する手前では斜面から滾々と勢いよく水が出ている。地蔵尾根中間水場として地点登録されているところだ。水は驚くほど冷たい。早速、持参したミニトマトと巨峰・キウィを水で冷やして食べる。
何度か林道と交差しながら緩やかに落葉松の斜面を登る。右手に林道を見下ろしながらトラバース道を進む。樹間より正面に松峰、地蔵岳の向こうに仙丈ヶ岳の姿が現れる。ほとんど雲のない晴天ではあったが、山頂にはガスがかかり始めているようだ。長い尾根の間、森林限界を出るまでに仙丈ヶ岳の姿を見ることが出来たのはこの地点のみであった。
足元には白い五弁のセンジュガンピの花がよく目立つ。林道の最終交差地点を過ぎると後はp2083のピークを越えるばかりだ。
この日は夕方までに松峰小屋に辿りつけばよいと思って緊張感がないせいか、長い道のりをだらだらと歩きてしまったように思うが、この登りを越えると小屋かと思うとようやく元気が湧いてくる。ピークを越えて鞍部にたどり着くと「松峰小屋」と書かれた真新しい道標が現れる。
松峰小屋は、山と高原地図では「少し荒れている」と記載してあるように、中は綺麗とは言い難い。小屋には小さな窓が一つあるだけなので、中はかなり薄暗い。誰かが木を焚いたのだろう、土間の片隅には燃え残りの木が積まれている。小屋の板間は南側半分が傾いている。
小屋のすぐ南には小さな谷があり、テープと薄い踏み跡がつけられている。踏み跡を辿ると100mほど沢を下降したところで水が得られた。早速にもビールを冷やす。京都から凍らせたジュースと共に保冷バックに入れて携行してきたのが、流石にこの季節はここまでは冷凍は持たない。ジュースも生温くなってしまっている。
小屋に戻ったところで小屋の入り口の扉を開けて、明るいうちに料理をする。虫が多いことを懸念したが、意外にも全くと言ってもいいほどに虫に煩わされることはなかった。というのも前日、比良で虻に噛まれた箇所は特に前腕が著しく腫れ上がって酷いことになっている。そういえば昨年の仙塩尾根の縦走においても三伏小屋や両俣小屋でも虫が気になったことはなかったように思う。
食事の後半は高遠の食彩館で購入した信州牛のカレーを温める。食事を終えると早々に眠りについた。夜中に小屋の中でガサゴソと怪しい音がする。ネズミかと思ったがどうも雰囲気が違う。何かの虫が徘徊しているようだ。
【二日目】
早朝2時半に起床する。起きてすぐにも出立したいところであったが、長男が何か暖かいものが飲みたいというのでお湯を沸かしてオニオンスープと梅昆布茶を用意するうちに時間が過ぎ、結局、出発は3時になる。
相変わらず空には梢の間からは星が綺麗に見える。登山路に戻ると最初は地蔵岳の登りから始まる。ピークが近くなると北側斜面をトラバースするが、ヘッデンのライトを頼りに道を探すが道がわかりにくいのでスピードが出ない。
次のca2400mのピークの西側はちょっとした岩場となっており、西側に展望が開ける。越えてきた地蔵岳のシルエットの左手には遠くに伊那の夜景が見える。空を見上げると、天の川の微かな白い靄を星空の中に探す。一筋の流れ星が伊那谷の方に向かって落ちていった。
丸山谷の頭になると再び北斜面のトラバース道に入る。こちらのトラバース道は倒木が多く、荒れている。梢の間から覗く空は星が徐々に薄くなってゆく。東の空には薄い三日月が昇ってゆく。三日月の近くではオリオン座の三つ星も姿を見せる。
登山道が尾根に戻ると、いよいよp2736にかけての急登になる。この坂を登ればいよいよ森林限界を越えるだろう。朝の稜線からの光景に期待が高まる。急速に空は明るくなっていき、ヘッデンのライトを落とす。
急登を登りきったところで果たして一気に林相が変わりハイマツ帯に出る。背後には中央アルプス山々の展望が一気に広がるが、その背後には一層のローズピンクに色づいた空が広がっている。中央アルプスの上には西に向かって収束する数本の光の筋が見える。反薄明光線のようだ。太陽が昇る方角に雲がある時にその正反対の方向に光の筋が瞬間的に現れる現象だ。光の筋が収束するのは不思議に思われるが実際には平行の筋が地球が丸いので収束するように見えるらしい。
登山道が稜線にたどり着いたところで北沢峠に向かう稜線の向こうに雲から朝日がか顔を出す。左手に目を向けると鋸岳の鋸歯状の稜線の彼方にやはりギザギザとした八ヶ岳が綺麗に見える。その左手には冒頭に述べたように前回、この仙丈ヶ岳への山行を諦めることになった悔恨の蓼科山が綺麗に見える。
目の前には屏風を広げたかのように仙丈ヶ岳から大仙丈に至る壮麗な稜線が大きく聳える。高度が上がるにつれて、中央アルプスの上には御嶽山が姿を現す。その右手では乗鞍岳も珍しくすっきりとした姿を見せている。今頃、これらの山々の上では数多くの登山者がご来光を眺めていることではないだろうか。北アルプスの穂高岳から槍ヶ岳のあたりには薄っすらと雲がかかっているようだ。
背後を振り返ると中央アルプスrの上に広がっていたパステルカラーは瞬く間に消えて、中央アルプスは朝陽を浴びている。その手前には大きく仙丈ヶ岳のシルエットが広がっているのだった。刻一刻と朝陽が輝きを増していくが、私も長男も帽子を小屋に置いてきたことに思い当たる。おまけに日焼け止めもだ。しかし稜線はさすがに風が強く、涼しさを通り過ぎて肌寒さを感じるので私も長男も上に一枚シャツを着る。
仙丈小屋への分岐を過ぎるとすぐにも仙丈ヶ岳の山頂にたつ。昨年、塩見岳から仙塩尾根を歩いてこの山頂にたどり着いた時は立錐の余地もない程に狭い山頂広場は混雑していたのだが、今朝は人影はなく、静寂に満ちている。そして昨年の印象と大きく異なるのは東側に富士山、北岳、間ノ岳と日本の標高第一位から第三位までが、並ぶ様は圧巻である。ところで間ノ岳の標高は昔は3189mと記憶したものだが、2014年の測定の結果、穂高岳と並ぶ3190mに改定されたらしい。
穂高岳を振り返るといつしか雲がとれ、大キレットの右手に槍ヶ岳の鋭鋒も姿を見せる。天空の稜線の上を歩く悦びに浸りながら大仙丈を目指す。仙丈ヶ岳山頂の南側はお花畑が広がり、花の種類も急に多くなるように思われる。東側には大仙丈沢のカールの優美な彎曲が広がっている。
吊尾根の鞍部へと下る途中で単独行の男性と出遭う。この仙塩尾根を北上して来られる人がいるとは思わなかったので驚きであった。熊の平小屋から昨晩は途中の水場でビバークして来られたとのこと。「あの水場は実に雰囲気のいいところですよね」と返すと、同意されておられた。
大仙丈ヶ岳の山頂からは昨年辿った仙塩尾根を再び視線で辿る。ここから眺めると大した高低差がなく、中間の三峰岳まで辿り着けるように思えてしまうが、なかなかどうして、視線で辿るのと実際に歩くのとではまるで違う。この日は雲もなく、塩見岳の彼方の南アルプス南部の山々までが一望のもとだ。仙丈ヶ岳の姿を眺めながら再び山頂へ向かってパノラマの稜線を辿る。
山頂に戻ると下山の前に眼下に望む仙丈小屋に降りて見ることにする。藪沢カールから眺める仙丈ヶ岳はまた違った姿だ。カールの彎曲のたおやかさが仙丈ヶ岳に品格と女性的な印象を与えるのだろう。期待はしてはいなかったが、仙丈小屋はやはり水場も使えない。無人のこの山頂域は別世界の感がさらに強い。
いつまでものんびりとこの別世界を堪能していたいところだが、ここからは時間との勝負となる。市野瀬のバスの時間がまであと5時間と少々。もちろんバスの時間に間に合うつもりで、大仙丈ヶ岳と仙丈小屋に寄り道したのではあるが、松峰小屋に戻って荷物を撤収する時間を考えるとおそらく時間的にはあまり余裕はないだろう。
下山の途につくと残念であるがパノラマの稜線はすぐにも終わってしまう。樹林に入ると九十九折の道は下りやすいので距離を稼ぎたいところだ。単独行の男性とすれ違う。丸山谷の頭の北斜面のトラバース道は暗闇の中では道がわかりにくかったがあまりにも呆気なく通り過ぎてしまう。なだらかな尾根上は苔の美しさが目を惹く。
ca2400mの好展望のピークで再び単独行の男性とすれ違う。中国系の訛りの感じられる人懐こい感じの好青年は我々が初めて遭遇した登山者だったのだろう、800mの林道歩きの途中で熊に遭遇したことを勢いよく話し始める。胸元からスマホを取り出し熊の動画を見せてくれる。林道のすぐ脇の樹の上に熊がいたようで、十分ほど待ったが熊が一向に動く気配がないので、無理矢理迂回して通過してきたとのこと。話し振りからしてもかなり怖い思いをしたらしい。ここまでも不安を感じながら歩いてきたらしい。
地蔵岳の手前に差し掛かると先を歩いていた長男は山頂に向かって伸びる踏み跡を辿りそうになる。そのピークを辿ってみたいところで一瞬、思案するが、万が一ルート・ロスするとバスに間に合わなくなる可能性が高い。ここは我慢して再びトラバース道を辿ることにする。
松峰小屋に戻り急いで荷物を撤収すると、熊鈴をリンリンと鳴らしながら地蔵尾根を下る。実は熊鈴も小屋に置き忘れて出発してしまっていたのだ。昨日は長時間をかけて辿ってきた尾根は荷物がかなり軽くなったせいか、下りは快速に歩くことが出来る。前日はかなり長時間かかった道のりも短く感じられる。
11時前に中間地点の水場に到着すると残りの葡萄と胡瓜を食べる。冷たい水に漬けると葡萄は瞬く間に冷えてくれる。ここからは1時間あれば柏木の集落にたどり着けるだろう。
柏木までは林の中を通る風のせいもあって、感じる暑さは昨日ほどではない。集落にたどり着いたのは丁度12時。しかし市野瀬に向かって植林の中を下ると急に暑さが増してくる。バスの時間は12時35分、あとわずかしかないという焦燥感と緊張感で一気に市野瀬の公民館まで下る。
市野瀬の公民館にたどり着くいたのは12時32分、まずは自動販売機に飛びつき、炭酸ジュースを一気に流し込む。ところがバスがなかなか来ない。バス停の時刻表をみると、どうやら時間をすっかり勘違いしていたようだ。バスの到着予定時間は45分であった。予定時間丁度にバスが到着する。
【下山後】
高遠に到着するとまずはバスターミナルの向かいの蕎麦屋「壱刻」に向かう。前日、昼には行列が出来ていたが、この日は時間が遅いせいなのか店内には客がほとんどいない。二八も十割もいずれも蕎麦の風味を感じるもので、久しぶりに美味い蕎麦に舌鼓を打つ。
蕎麦屋の後は隣の酒屋に立ち寄り、仙醸酒造の「やまむろ」と信州錦の「一瓢」を求める。店の奥では二人の老人が酒盛をしている。我々の姿を見て「どこを登ってきたんかいの」と訊かれる。仙丈ヶ岳と答えると「お地蔵さんは越えたか?」と訊かれる。「昔の登山道は地蔵岳のピークを越えていたが、どこかの大学生がトラバース道をつくりおったんじゃ」とのこと。「次にこの地蔵尾根を訪れる機会には是非、地蔵岳を越えるようにしたいと思います。」と返答すると、男性は嬉しそうな顔をする。「昔、よう登った時のことを思い出したわい」と相方に向かって話されるのが聞こえた。
酒屋を後にするとさくらの湯に向かう。ここの温泉はアルカリ性でぬるっとした感触の湯である。日差しは強いが露天風呂に吹いてくる風がなんとも涼しい。二年前に長男と共に池口岳から聖岳に縦走した後の白樺荘でも風が気持ちよかったことを思い出す。温泉から上がると伊那市行きのバスがこのさくらの湯の前から出発する。京都までの6時間近くかかる長い帰路につく。
今回の山行の唯一の心残りは山の上で水茄子の塩麹漬けを楽しもうと思って携行したにも関わらず食べ損ねたことであった。実はこの水茄子を手に入れるためにわざわざ遠くのスーパーに出かけて行き、売れ残っていた最後の一セットを手に入れることが出来たのだった。家に帰ると早速、家内に塩麹漬けにしてもらう。水茄子のせいか高遠の酒がついつい進み、気がついたら深酒に酔いすぎていた。
コメント
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ご出発直後にすれ違って、挨拶させていただきました。
私の駆け足日帰りと比べると、静かな南アルプス、そして仙丈ヶ岳をじっくり堪能された様子が伝わってきます。3年前から特別な思い入れがあったのですね。
長い林間歩きも楽しまれたご様子、山頂部も素晴らしい天候に恵まれてよかったですね!さらに高遠のそばと温泉、信州のお酒も堪能され・・・本当にお疲れさまでした。
yoisaさん ご丁寧なコメント有難うございます。
山頂に立つタイミングは違いましたが、yoisaさんが体験された静寂の山頂と絶景の景色を私も共有させて頂けたことを嬉しく思います。
林相が魅力的に思われて何枚も写真を撮るのですが、見返してみるとどれも同じような写真ばかり。変化に乏しい樹林の景色が長く続きますが、普段見る景色とは全く違っており、やはり南アルプスの樹林の魅力に浸りながら歩いておりました。
昨年は私一人で塩見から縦走したのですが、長大な尾根を歩いて山頂に立つとその分、山の雄大さを感じることになりますね。今回も改めて仙丈ヶ岳の雄大さゆえの魅力を再認識したように思います。
yoisaさんは近くに涼しくて、かつ雄大な山がいろいろあって羨ましく思います。
16日の6:31-6:52 仙丈ケ岳の頂上におりました。
まわりに人がいるとは思わず、あまり目を凝らすこともなかったのでワタシの方からは気づきませんでした。yamaneko0922さんからは見えていたでしょうか。ワタシの到着5分前に頂上から地蔵尾根へ下っていく方は見ていました。
ワタシは戸台川から入って、当日は3時に北沢テント場を出て頂上に至りました。現在レコ作成中です。
遠方よりお疲れさまでした。またこの辺りにおいでください。
yama-takeさん コメント有難うございます。
私達が大仙丈ヶ岳を往復している1時間の間に山頂におられたのですね。私もまさかその時間帯に他に人がいるなどとは予想だにしておりませんでした。
地蔵尾根に下って行かれた方というのは私たちが仙丈ヶ岳から大仙丈ヶ岳への途中で出遭った熊の平小屋から来られたという男性ではないかと思います。
レコを拝見するのを楽しみにしております。
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