赤岳主稜 (冬山バリエーション体験)
- GPS
- 06:24
- 距離
- 5.6km
- 登り
- 786m
- 下り
- 795m
コースタイム
美濃戸から赤岳鉱泉まで登り、裏同心でミックスクライミング講習。
・二日目
赤岳鉱泉8:05-8:42行者小屋-文三郎道-主稜取り付き-11:45赤岳12:00頃?-13:08赤岳鉱泉14:00頃?-15:09美濃戸
※登攀そのものは2時間ぐらいか?かなり先行していたパーティに追いついたので、速いのかと思ったが、ガイドさんは普通かちょっと遅いぐらいと言っていた。
但しガイドさんはルートを熟知しており、フリーソロでリードしていたし、他のパーティがピッチを切っている箇所をコンテで登って追い抜いたりしたので、いつか自力で登るようなときがきたら、倍以上の時間がかかると思っていた方がよい。
天候 | 初日は雨、二日目は快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
赤岳主稜はバリエーションルートです。 初心者の自分用備忘録なので、参考にしないようお願いします。 ルートさえ間違えなければ難しいクライミングはありませんが、最も難しいのはまさにそのルートファインディングであり、ガイドなしに登れる実力は自分にはありません。 ※文三郎からのトラバースにはすでにトレースがあった。最初に均衡を破りトレースをつけるクライマーに最も雪崩のリスクがあるそうだ。 すでにトレースがついていれば、雪崩のリスクはぐっと低くなる。 但し始めからそれを当てにするのは、クライマーとしては邪道。 ※取りつきにはしっかりしたハンガーボルトの支点がある。 チョックストーンにはお助け紐があるが、とても使う気にはなれない代物。 ※取りつきのチョックストーンはすでにくぐれないので、最初が一番の核心? ステミングで乗越したが、同行者のロープがザックに引っかかってしまい、チョックストーンを抱えたまま立ち往生する羽目に(笑)。 ※何ピッチ目か忘れたが、2mぐらいの垂壁を超えるときガイドさんは左に巻いたが、直登もできますよと言われ、フリーと違って弱点をつくのがアルパインなのでは?と思ったが、同行者が直登したのでつられて直登してしまった。 同行者はクライミング経験がないからか、ガンガン登っていたが、自分は一つ一つ丁寧に登った。 後からガイドさんに聞いたら、慣れるまではそれでよいと言われたが、一方で現場では、簡単なところではそんなに何度もアックスを打ち込まないで、一度で決めてどんどん登った方がいいとも言われた。 ※岩の傾斜が緩いので、プッシュが有効な箇所が多かった。 ※ホールドはガバガバだが、雪や氷に覆われているとグローブでは安定して持てないので、アックスを引っかけて手がかりにする場合が多かった。 ※どこだか忘れてしまったが、垂壁を右に巻いて急な雪面をトラバースする箇所が一番怖かった。 ※アックスは2本携行したが、使用したのは1本だけだった。手で持てるホールドは手で持った方がいい。 ※アックスを使わないとき、背中とザックの間に挟んだり、ホルダーに差すのはよくないそうだ。 万一転倒したり滑落したとき、大怪我をする危険がある。 使わないアックスはザックに仕舞うか、括りつけること。 |
写真
感想
昨年赤岳で冬山デビューするときにお世話になったガイドさんにお願いして、赤岳主稜を登ってきました。
初めての初級冬山バリエーション体験です。
実は昨冬に赤岳を登ったときからの憧れのルートでもあります。
ガイドさんがルートを見せてくれますし、トップロープ状態ですから、雪山経験者で体力さえあればぶっちゃけ誰でも登れるのですが、トップクライマーから教えてもらえる滅多にない機会であり、とても有意義な体験になりました。
初日は雨でしたが、二日目は快晴微風で寒くもなく、絶好の登攀日和に恵まれました。
やはり天は善人に味方してくれるのですねー。
初日の降雪量次第では、文三郎道から主稜取り付きまでのトラバースに雪崩のリスクがあるため他のルートに変更になる可能性があったのですが、予定通り主稜を登ることができました。
雪ではなく雨で、雨で雪崩れる場合は降雨日のうちに雪崩れ、翌日は表面が締まるので大丈夫ということでした。
正直言って、赤岳主稜なんて一般登山道に毛が生えた程度だろうと甘く見ていたのですが、私レベルの者にとっては全然別物でした。
岩登りとして難しいかと言うと、そんなことはないのですが、アックスで岩の凹みを手がかりとし、アイゼンの前爪でフットホールドに立ち込むというのは、慣れていないとかなり難儀します。
絶対にテンションをかけないつもりで慎重に登り、何とかその目標は達成できましたが、かなり必死でした。
岩のない凍った雪の急斜面も厳しかった。
アックスとアイゼンの前爪だけで登るため、非常に体力を消耗しました。
下を見ると、ゲロ吐きそうな急角度の斜面ですし。
この日はたまたま気象条件に恵まれましたが、登攀中に天気が急変し吹雪にでもなったら、ホント厳しいと思います。
敗退することもままならず、吹雪のなか登りきらなければならないというような状況を想像すると恐ろしいですね。
自分の力で冬山バリエーションをリードできるようになるには、相当な修業が必要だと思いました。
今回はアックスとアイゼンで雪と氷と岩のミックスを登攀するという経験ができただけでも満足だったのですが、赤岳山頂から360度雲一つない素晴らしい景色を堪能することもでき、素晴らしい一日となりました。
それにしてもフリークライミングばかりやっていてはダメですね。
このところ山に登っていなかったので、ヘロヘロになってしまいました。
ウェアリングについても要検討。
たまたま暖かかったからかもしれませんが、アプローチで汗をかいてしまった。
ラッセルでもない限り冬山で汗をかくのはNGなので、次回から何とかしなければ。
※初日の講習でとんだ大ポカをしでかすところだった。
アイゼンを装着しようとしたら、サイズが合ってない。どうも靴を履いた感覚がおかしいので、これは靴を間違えられたに違いない!と騒ぎ始め、仕方ないからこのままこの靴を使ってしまおうかと思ったが、念のためもう一度下駄箱をよく確認したら、間違えたのは自分だった。
いやー、危ないところだった。家に帰って、早速靴に名前を書いた。
※クライミング用としては、靴があまりにも緩い。ガイドさんには、踵が浮くのは仕方ない、凍傷にならないためにはある程度緩めがいいと言われたが、それにしても緩すぎる気がする。かと言って、もう一足買うのももったいないし…
アックスもアイスクライミング用が欲しい。シャフトがカーブしていないと、岩や氷とシャフトの間に手が挟まって痛い。そもそもアイスクライミング用は、ピックの刃先の向きが違うということに気がついた。刃先が下を向いていると、上から振り下ろさなければならない。アイスはダブルアックスが必要なので、2本目を買うか…
アイゼンもモノポイントを買っておけばよかったなあ。
※ガイドさんは、例え日帰りの赤岳ガイドでもスコップを携行すると言っていた。自分のような初心者にこそ必要な装備かなと考えさせられた。
ビバークするとき雪洞を掘れるなら、時間と体力を費やしても掘った方がいいとのこと。
ビバークのときは、予備のグローブや靴下など着こめるものは何でも着こんで、懐にはゴミを入れた袋などを詰めて、空気の層を作るとよい。
また行動不能になったときは、慌てて無理に下山しようとしないこと。
※以下、自分用のミックスクライミング講習メモ
▼アイゼンを氷にきめるときは、前爪が下を向いているので、踵を下げる。平行に蹴り込んでも峰の部分が当たってしまい、きまらない。
▼アックスは肘を伸ばし、伸ばし切る手前の位置にきめる。原則として、アックスで伸ばした距離と同じだけ足を上げる。
▼アックスは力任せに氷に打ち込むのではなく、スナップをきかせる。
▼アックスもアイゼンも氷が凹んだ場所を狙ってきめる。凹んだ場所には雪が溜まっていることが多い。
▼アイゼンの前爪をきめたらすぐに体重を乗せるのではなく、きいているかどうか見極める。
▼アックスはできるだけ脇を締めて、真上にきめる。足もできるだけその下に置いた方がバランスがよい。
▼アックスを氷にきめたら腰を壁に近づけて、上半身を壁から離し、足下をよく見てアイゼンをきめる。
▼足下が見えない状態でアイゼンを置く位置を決めてはいけない。足下が見えなくならなよう、多少苦しい体勢でも足を上げてしまうこと。
▼薄く張った氷の場合は、アックスを何度も打ち込むと壊れてしまうため、小さい凹みに引っかけるように置く。
アイゼンも同様。何度も蹴り込むと氷が壊れてしまうので、凹みを探してスタンスにそっと乗せる。
▼岩にアックスを引っかける場合は、氷のようにはきまらず左右に動くので、腕に体重を100%かけて足を上げてはいけない。岩にかけたアックスは手がかりにしているだけという感覚で、脚で登る。
▼岩にアイゼンで立ち込む場合は、2本の前爪とその両側2本の爪のどれを岩の凹みに乗せているかを意識して体重を乗せる。
▼草付きにアックスをきめるときは、氷に打ち込む場合と同じ感覚でよい。
▼ミックスクライミングの場合、アイゼンで岩に立ち込むので、前爪はあまり尖っていない方がよい。下爪は氷を捉えるために尖っていた方がよい。
▼冬山では声によるコールはしない。吹雪になったら、声は全く聞こえない。
今回の場合は、ロープが4回以上引かれたらビレイ準備完了という決めごとで登った。気がつかないこともあるので、実際にはビレイヤーは8回ぐらい引く。
コメント
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天気がよくて
私も次はこんな景色を拝みたいものです
初日の雨が逆によかったなんて、
すべてがいい方向に働いたのですね。
今日も天気悪かったからここ最近では本当にこの日しかないって日だったのですね。
スーパー晴れ男じゃないですか〜。
今度からgeraさんの山行にあわせてスケジュール組みます
持ち物の名前ですが、私も前回危うく間違えそうになりその必要性を感じ帰ってからギアに名前書きまくりました
小学生じゃあるまいし、とか言ってられんですよね。
赤岳主稜、いいな...
是非修行を積んで私を連れて行ってください
山頂には嬉しそうな顔をした人がたくさんいましたよ。
週末でこんな天気に恵まれることはそうそうないですよねえ。
私の修業なんか待っていたらいつになるか分からないので(と言うか無理?)、ミ○○ツさんに頼んで行かれてみては?
kanoさんなら問題なく登れると思いますよ。 ]
今回同行した方も、西穂-奥穂とかの無雪期岩稜歩きの経験はあるけれど、クライミングの経験はないと仰ってました。
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