金剛山・妙見谷 / 涼を求めて沢登り!
- GPS
- 05:27
- 距離
- 6.4km
- 登り
- 647m
- 下り
- 635m
コースタイム
天候 | 快晴→曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
高巻き、へつり等危険個所多い。ルートファインディングに長け、岩場の経験を十分積んだ上級者向けコース。 |
写真
感想
このところ天候が不安定な日が多く、せっかく休みが合ってもどこにも行けないことが続いた。12日はどうにか持ちそうな感じ。なのでどこか近場で、沢沿いに歩けるところをと考え、以前から目をつけていた金剛山の妙見谷に行ってみることにした。
9時すぎにさわやかトイレの駐車場に到着。駐車料金600円を支払って装備を整え出発。15分ほど車道を歩いて車止めゲートのある妙見谷登山口へ。
先行の沢装備のパーティーが沢へ下りていくのを横目に我々は林道を進む。やがて道は登山道らしい道になり、左手に見事な連瀑が見えてくると最初の難所、グラグラ揺れるアルミ梯子の通過となる。左右に動いてめっさ怖い。
連瀑の上部に出るといよいよ遡行の始まりとなる。倒木の下を潜って右に折れると正面に妙見滝が現れる。落差は15mだそうだが、正直そんなに高さはなさそう。10mちょいといった感じか?
妙見滝は手元の地図によれば右岸を大きく高巻くか左岸の急斜面を登るとある。右岸を見てもどこを登るのかわからず、左岸にはロープが見えたので左岸から登る。滝の上に出るとそこから先はちょっとしたゴルジュ状の地形になっており、小さな滝と滝壺がある。滝といっても10数センチのものだが、滝壺がストックで探ってみると膝丈くらいはありそうだ。こちらは沢装備でなく普通の登山靴なのでここには飛び込めない。先行のひるねが突破の仕方がわからないというので交代し、比較的浅いところを選んで足を置き、ストックで体重を分散させながらどうにか通過する。
少し進むと、上の方から呼び声がする。高巻き道があるのだろう、右岸の崖の上に2人組のパーティーがいて、「本来のルートはそこですか」と聞いてくる。手元の地図には「妙見滝から先は妙見谷の遡行」とあるので、沢の中をジャブジャブ登っていくのがルートなのであろう。そう答えると、高巻き道から沢へ下りるポイントがないのだと言う。先を見てもちょっとそんなものがあるのか不明だったので、妙見滝まで戻って左岸を登るのが一番確実ではないかとすすめておく。
さらに先へ進む。沢沿いのルートは変化に富んで楽しい。流れる水は美しく、渡る風は涼やかである。時々スタンスが靴幅しかないような急斜面のトラバースを強いられたり、水飛沫を浴びながら滑滝を中央突破したりとテクニカルでスリリングな場所が連続する。花崗岩質の岩はグリップが効き、濡れていてもそれほど滑らない。金剛山にこんなアドベンチャーで面白いコースがあったとは。もっと早くに来ていてばよかった。
と、またもや人の声がする。空耳かと思ったがやはり「オーイ」と呼んでいる。こちらからも「オーイ」と叫び返すと、少し下流の方の崖の上でタオルか何かを振り回しながら「オーイ」と呼んでいる人がいる。いやアレってひょっとしたらアレちゃうん。かなりマズい状況になった人が崖の上から決死で助けを求めてるヤツちゃうん。
「どうしたー!」と叫んでみるも、割と大きめの滝の近くにいるため相手の言葉が聞こえない。ともかく状況を知る必要がある。ザックとストックをひるねに預け、ひるねにはその場で待機するよう言って単身空身で声の届く場所まで駆け降りる。場合によっては今日は登頂をあきらめ下まで戻って救助要請をすることになるかも知れない。
果たして、真下まで戻って「どうしましたかー!」との問いに対して返ってきたのは「どこから沢に下りれるんですかー?」との質問であった。力抜ける。
見ると中年男女と初老男性の3人パーティーで、どうやら高巻き道の上から沢の中を進む我々の姿を視認して声をかけてみたっぽい。まあ遭難じゃなくて良かった。
妙見滝のすぐ先で出会った2人組と同じような状況で、そのまま先へ進んだらいつまでも沢へ下りられずにこんなところまで登ってきてしまったんだろう。オレらも妙見滝の右岸を登ったら同じようになったかも知れない。左岸のロープを見つけられてよかった。
結局上のパーティーはそのまま先へ進むことにしたようである。オレは先ほどの滝まで戻り、滝の横の崖をロープに掴まって登攀する。滝を越えると10分ちょいで沢と高巻き道が合流しており、どうやら先ほどのパーティーも無事に沢へ下りられたようである。まあその時点ではこのコースの醍醐味部分はすでに半分以上終わってるような感じだったが。
そこからさらにジャブジャブと水の中を40分ほど登っていくと、左側の斜面が大きく崩れ落ちている場所に出た。下から見るとかなりの斜度があり、崩壊地の向こうには千早本道があるそうなのだが、2年前にはそこにたどり着く手前で滑落死した事故が起こっているらしい。現在は立ち入り禁止のロープと札が張られている。
崩壊地の方が開けた印象のため少しわかりにくいが、右手の林の中から沢の本流が流れてきており、それ沿いに進むのが正解のルートのようである。
林の中へ入ると足元は四角い岩屑の転がるガレた沢となり、源頭部に近づくにしたがって徐々に水量も少なくなっていく。完全に水音が聞こえなくなると道はさらに急坂となり、やがて左に折れて尾根に乗る。下に千早本道の階段が見えると山頂部はもうすぐそこだ。
12:15、予定よりもかなり遅れて山頂部に到着。最高点の葛木神社は何回も行ってるしもうええわ。今日は山頂広場で登頂ということにしておこう。
広場のベンチが一つ空いたのでそこに陣取り昼メシにする。コーヒーを沸かしてひるねが朝早くから作ってくれたサンドイッチを焼く。これがまた超美味い。
昼前くらいから曇ってきて、青空の大展望とはいかなかったが、ま大阪平野の眺望も楽しめたし雨さえ降らんかったら御の字でしょ。時間も押してるので昼メシくったらさっさと下山する。
下りはタカハタ道を通る。尾根から谷に向かって下っていくと、冷たい水が大変美味い水場があり、そこから沢沿いの下りとなる。またもや水の中をジャブジャブ歩いて行ったり、岩にへばりつくようなトラバースをロープを頼りに突破したりしながら下りていく。やがて腰折滝に到着。滝の上に丸木橋があったので渡ったところ、その先はツツジオ谷の遡上だった。あやうくまた山頂へ向かうところだった。下山するなら丸木橋は渡る必要がなく、その先にルートがある。
腰折滝は途中で折れ曲がっている二段の滝。落差は見たところ20mくらいだろうか、見ごたえのある立派な滝である。腰折滝の下まで来たらあとは10分そこらで黒栂谷との合流地点に着く。
楠公首塚から下ってきたルートとの合流点にある「山の豆腐」屋さんで豆乳アイスを購入。火照った身体に冷たく美味い。
千早赤坂村周辺にはこれといった温泉がなく、ワールド牧場の温泉に行く案もあったのだが、久しぶりに太子温泉に行ってみることに。離れてはいるが3〜40分も車を走らせれば着く。汗を流してサッパリして帰途に就く。
初めて行った妙見谷だが、金剛山にこんなテクニカルでスリリングでアドベンチャーなコースがあったのかと驚いた。気持ちよく歩けてめっさ楽しい。また行きたい。
反面、地図によっては「沢登り初歩コース」などと紹介されていたりするが、その字面の気軽さだけにつられて岩登りなどの経験が少ない人事前の下調べが不十分な人がが安易に足を踏み入れては危険なコースでもある。実際に過去には死亡事故も起こっているし、今回も道迷い中のパーティーに2組も遭遇した。他山の石として、次回のチャレンジの際の教訓としよう。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する