西金−奥久慈男体山−月居山
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- GPS
- 09:34
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 1,805m
- 下り
- 1,799m
コースタイム
- 山行
- 8:57
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 9:35
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
男体山−月居山縦走路は案外紛れがあります。踏み跡を丁寧にたどります。赤テープにもよく注意します。 |
写真
装備
備考 | ヘッドランプ、雨具、手袋、タオル、スマホ(地図+GPS)、ファーストエイド、水、行動食、デジカメ |
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感想
コロナ休みの4連休を利用した奥久慈集中の(距離的には)メインだ。久しぶりの紅葉期の奥久慈、久しぶり、そして紅葉期は初めての奥久慈ー月居山縦走路だった。縦走中に食べたリンゴ(持参、奥久慈産)が実においしかった。しかし足ががたがたになった。
ーーー注意! 以下は未来の自分のためのメモ 無駄に長文注意ーーー
月居山は袋田の滝とセットで、袋田駅近くの宿に宿泊して2009年ごろに一度やった。あの時は水郡線アプローチで、西金駅で降りる登山者たちがすごい登山愛好家に見えたものだったし、月居山山頂から南部の山々、つまり男体山方面の山を眺めてここを縦走することはとんでもないことだとなどと考えていたものだ。
10月下旬からちらほらとヤマレコの皆さんの男体山ー月居山縦走の紅葉の山行記録を読み、久しぶりに紅葉の奥久慈を歩いてみたくなった。なかでも男体山から月居山までの縦走はいわゆる紅葉の名所だし、自分が歩いたときにもここを紅葉の季節に歩いたら素晴しいだろうなと空想していたものだ。実は月居山の紅葉を見たことはまだなかった。
恒例により西金に車を停めて出発した。いつものように国道118号を渡ればすぐに奥久慈岩稜が頭を覗かせる。毎度のことだがどきどきする。アプローチに自動車を使う人が圧倒的に多いのであるが、今回の山行では西金から先行者のカップルがいらっしゃった。湯沢あたりであいさつをしてお先に失礼した。奥久慈岩稜が見えると血が騒いでペースが上がりすぎるのでった。紅葉狩りの期待にワクワクしていたところもあっただろう。
途中銀杏並木の黄色のロングカーペットを踏んだりしながら古分屋敷にアプローチ、大円地を過ぎて恒例の一般コースを歩いた。11月8日に歩いたときにはケヤキをはじめかなり木の葉が残っていたが、今回はそれらがあらかた落ちてしまっていた。頂上稜線のウリハモミジも丸坊主。今年はなんとなく散りが早いというか、五月雨的に色づいては散るというか、一度にドンと色づく紅葉ではなく、迫力には欠ける気がしたが、イロハモミジはもともと紅葉を長い間楽しむことができる。奥久慈なら12月の頭くらいまでは、良い場所も残っているだろうからと、あまり悲観はしなかった。
男体山山頂は祠で無事を祈願するだけにとどめて軽く通過してあずまやまで下り、ここから本日の縦走の本番が始まった。
わかりやすい道だと思っていた。実際よく使われる登山道には標識があるのだが、それとは別にいくつも踏み跡が枝分かれしていた。けものみちなのだろうか。また倒木が登山道を遮ったり、方角が思っているものと少し異なったり、落ち葉で踏み跡が薄れていたりと、無駄に歩いた時間が多かった。西金から男体山頂までオーバーペースで歩いていたこともあり、往路から少し疲労を感じた。この段階では本当にばてるというよりも、道迷いしたとき特有の気持ちのくじけに近いものがあったようだ。
山全体の色づきはピークを過ぎていたが、期待通りにイロハモミジは随所でよかった。天気もよく、散り残った黄葉と一緒に日の光に透かされてみる葉は黄緑からエビ茶色まで複雑な色合いを楽しませる。真っ赤も迫力があるが、複雑な色のモザイクにはまた別の種類の興奮を感じる。
足許は落ち葉のじゅうたんで滑りやすい。滑りやすいがふかふかで気持ちが良い。途中何箇所か鞍部を通過するが、そこの落ち葉のじゅうたんで昼寝をしたいくらいだ。もちろん寒いからそれなりに着込んでということではあるのだが。
アップダウンがあり、谷がちなところを歩いたり、古い木道を転倒に気をつけながらそろそろ通過したり、少し岩がちなところを攀じたりと、変化も多い。どちらかというと谷がちのやや陰気なところを歩くことが多いルートであるが、木々が葉を落としているのと好天のおかげで登山道は十分に明るかった。
月居山まで残り何キロという標識がなかなか出てこないところが距離の長さを感じて疲れる。ひとつの目安は第二展望台、第一展望台(鍋転山)、そして水根分岐の標識だ。このころにそろそろ月居山が視界に入ってくる。
月居山の紅葉スポットのメインは縦走路の終点(月居山をスタートするなら出発点)の登りにあった。真っ赤に紅葉したイロハモミジを通過した光で、落ち葉が赤く見えた。モミジ交じりの落ち葉のせいだけではなかっただろう。
山頂は袋田からのハイカーも含めて結構にぎやかだった。紅葉自体は、件の紅葉スポットを除くと劇的というほどではなかった。城跡である山頂の広場を回り、三角点ならぬ図根点を確認した。一段高い図根点のある場所に、かつて物見のやぐらでも立っていたのだろうかと思いを馳せた。
再び赤い光線の中を下って縦走の後半戦に取り掛かった。往路だけで結構疲れたと思ったので、ここまで歩いた距離をもう一度歩くのかと思うと、長い距離を歩きまくるということの喜びと、結構疲れるだろうなという倦怠感が入り混じる。水根分岐のある場所に「男体山登山口」の古い石碑を見つけて、長い縦走路であるが、登山口なのだな、と確認して杉並木を鍋転山へ高度を稼いだ。
後半は午後の日差しの中、同じモミジたちを別の光線で楽しんだ。往路で取った紅葉の写真も、表情の違いについつい撮影してしまった。午後は光線が黄色くなって、赤いイロハモミジや、本数は多くないが、メグスリノキかも知れない赤紫に紅葉する木の色付きが異なって見えるのだ。
後半戦の中ほどで、往路に湯沢あたりで追い越したカップルの方に「速いですね」とお声をかけていただいて、うれしくあいさつを返したが、はしゃぎすぎてオーバーペースだったので、脚はぼちぼち筋肉痛などが出始めていた。歩いている当日に筋肉痛が出るということは身体がまだ若いということか?しかし身体の若さをえらい是などと思うこと自体はすでに老境に入ったアカシではないか。などと考えながら、ところどころにあるイロハモミジの紅葉スポットに足を止め、写真を撮影しつつ奥久慈男体山を目指した。
白木山分岐あたりが残りわずかの目安かなと思ったのだが、なかなかやってこなく手足に堪えたし、おなかがすいた、今回の月居山縦走も、かつて歩いたときと同様に耐久ハイキングとなった。
もともと自分にとっての奥久慈男体山登山は、北アルプス登山のためのステップアップだった。テント泊の荷物をわざわざ担いで男体山登山を始めたのが2012年度の冬季。一回の登山で大円地から2周歩いていたら、それに気づかれたトレランの方に月居山縦走を勧められたのがきっかけだった。
使わない荷物のたっぷり詰まったザックを背負っての縦走は歩荷ではないものの辛いものだった。復路でばてばてになって、最後男体山山頂直下のあずまやあたりで、スティックタイプのインスタントコーヒーを粉のまま水と一緒にとって急場をしのいだこともあった。お湯を沸かす道具はテント泊装備だから当然持っていたのだが、お湯を沸かすのさえもどかしかったからだ。コーヒー飴みたいで甘いものが大好きでかつ疲れた身体には非常に効果的な応急薬となり無事に下りて来られたこともった。あるいは往路で喉が渇いておなかもすいて、月居トンネル付近にある酒屋さんの自動販売機のコカコーラで窮地をしのいだこともあった。
今回は当時と比較すれば何も持っていないような軽装の登山だったが、久しぶりの奥久男体山ー月居山慈縦走と、足の故障からの復帰がうれしくて飛ばしすぎたこともあり、ばてばてになったのであった。疲れるとすっぱいものが欲しくなる。前日に飲んだ花の香りがする白ワイン(トロンテス、アルゼンチン産)が急に思い出されて無性に喉が渇き、家に帰ったら冷たい白ワインをがぶ飲みしようと心に決めた(実際には西金駅の自販機で買ったリンゴの炭酸飲料で満足したのだが)。
運転を控えた登山者のザックの中には酒類などあるわけもない。しかしありがたいことにリンゴが一つ入っている。今年は近所のスーパーで買った奥久慈リンゴのしっかりした果肉と心地よい酸味に心をしっかりわしづかみされてしまい、山にはリンゴとチョコレートと決めていた。このありがたいふじリンゴをどのタイミングでかじるかを考えていた。
当初はごほうびとして大円地か、もう少し前で展望台岩のあたりでかじろうかと考えていたが、もはやそういった余裕はなくなった。白木山分岐にたどり着いたところでがっくりとペースが落ち、ここが元気の取り戻しどころだろうということで、魔法の果物、奥久慈産リンゴをかじった。硬くてさわやかでみずみずしい。一気に歩くペースを取り戻すということはさすがになかったが、元気は確かにもらった。種の周りの芯を少しだけ残して全部頂いた。2016年の前穂北尾根ー明神の縦走のあと、上高地の売店でかじったリンゴのことを少し思い出した。
往路で右往左往した長福山付近のところまで来て、もはや男体山頂上直下のあずまやにたどり着くのは時間の問題化とも思われたがリンゴのパワーも及ばず、気持ちは安全地帯に入ってほっとしてきたが、ペースは上がらなかった。しかし名残の紅葉と落葉した高木のスタイル、そして縦走路から見る奥久慈の山並みに見入ったこともペースダウンの理由だったかもしれない。
空腹と、太もも並びに体幹の筋肉の張りを感じながらもあずまやまで到着した。本日の最後の課題は、疲れた身体でも安全を確保しながら健脚コースをクライムダウンすることだ。経験上、足を滑らせてハンドホールドだけで持ちこたえるためには、よほど安定したハンドホールド、しっかりした潅木などをつかむことが必要だ。そもそも足を滑らせないようなフットホールドの取り方をしなければならない。
空腹も筋肉痛も忘れて、自分にとっての核心部分である赤土のオーバーハング気味の岩を過ぎ、さらにいくつかの岩のトラバースごっこを楽しんで、展望台岩まで戻ってきた。天気がいいから。展望台岩から見る男体山が美しい青空をバックに立っていた。奥久慈岩稜も午後の日差しを浴びる姿を見るのが美しい。今回はこの日差しを狙っての出発時間だった。満足。
とはいえ登山はまだまだ続く。鎖場もここからヘルメットの谷までが案外悪い。だいぶ登山道がくたびれてきていてホールドも滑りやすくなっている。今回の下山ではやや不注意で小石を落としてしまった。誰もいなかったから気にするほどのことではなかったが、砂ひとつ落とさないで下りる位の心構えで訓練しなくてはと反省した。
ヘルメットの谷、座禅岩の谷、座禅小僧基部(いずれも筆者が勝手に命名しているもの)まで戻ってくると、登はん性はほぼなくなる。ほぼなくなるがここからが歩きのきつさは本番だ。元気ならば、あるいは登りならば体力任せで進める急斜面も、疲れた身体での下りでは、はいつくばったほうがいいような箇所も何箇所か残っている。
健脚コースの健脚たるゆえんはこの下部の杉林だよなあとふうふう言いながら、ラストの紛れに到着した。テープの先に踏み跡が明瞭についているが、そこは行き止まり。斜面を巻くのだ。この斜面の巻きが、道が侵食されていてが毛皮に傾斜しており、あまり歩きたくないようなトラバースになっている。
そこを慎重に過ぎれば筆者が緑のトンネルと呼んでいる箇所を通過し、何本かの杉の木のゲートを通過して(ここは滑りやすくしりもちをつかないように気をつける)茶畑横に到着した。大円地越のくびれがお迎えしてくれた。男体山同様、気持ちの良い青空をバックに明瞭なくびれを見せてくれた。おそばやさんの大円地山荘前で頭のタオルをはずし、手を合わせて無事を感謝した。
しかし距離的にはまだ復路の7割くらいだろう。西金駅まで歩かねばならない。ここからの元気の源は、里山ののんびりした風景と午後の日差しの中にすっくと立つ、男体山をはじめ奥久慈の山々の姿だ。朝のうちにさっと登ることが多い自分にとってはこの風景を目にすることはどちらかかというと少なく、ありがたい。
車を運転しているとこの景色を堪能することはできないだろうなと思いながら、筋肉痛の脚にべそを書きつつ西金駅を目指した。ところどころ民家の庭や林道沿いのイロハモミジ、コウゾの黄葉が励ましてくれた。明るいうちに下山するつもりだったが、国道118号の交差点が見えることには奥久慈岩稜の最後の姿も残照の中だった。
西金駅でリンコ果汁のたっぷり入った三ツ矢サイダー(?)を買うと、水郡線が祝福するように汽笛を鳴らして入線してきた(もちろん自分は自家用車で帰宅だ)。
お気楽ハイキングのつもりだったが月居山縦走は今回もしょっぱかった。明日は少し短めに歩こう、というよりもそもそもこの筋肉痛で歩けるのか、、、?
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