信州松川/烏帽子ヶ岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 1,082m
- 下り
- 1,078m
過去天気図(気象庁) | 2012年01月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
信州松川/烏帽子ヶ岳 日帰り 鳩打峠からピストン
with K氏
1月11日
6:00
K氏と我が家で合流。
私の奥様の自家用車(バモス4WD)に乗り換えて出発。
東海環状自動車道の豊田東ICからIN。
途中、話に夢中になりすぎて中央道のジャンクションをスルー・・・。
次のインターチェンジで折り返して中央道へ・・・。
8時半頃に松川ICをOUT。
鳩打峠の駐車場で出発の準備を整えました。
私は左足用の登山靴のインソールを忘れてガッカリモードへ・・・。
いつもは自家用車に積みっぱなしなのですが、今回は自宅出発直前に奥様の自家用車に積み替えたので・・・割と致命的な凡ミス・・・。しかし、早起きしてここまで来て断念はパートナーに申し訳が立たないので右足だけインソールを装着することに・・・。
この日の駐車場に他の車は無し。車道自体に5cm未満の積雪あり。林道の30%ほどの道程は積雪&凍結していました。
この先ずっと積雪&凍結を予測してスパッツとアイゼンを装着。
気温/0℃ 天候/曇 気圧/883hpa 高度計を1050mにSET。
9:10
鳩打峠登山口から出発しました。
雲ってはいますが、時折眩しい朝日が照りつけるので天候の心配はしませんでした。
今回は新調したオークリーの度付きサングラスのデビュー戦です。
更に、去年結局デビューできなかったピッケルと年末に都内の登山用品店で購入した爛▲襯瀘悒ン瓩皀妊咼紂疾錣任發△蠅泙后
もう皆さんお気づきだと思うのですが、私は完全に道具マニアです。
新しい道具を手に入れ、それを使う為に山に入っているといっても過言ではありません。
ですから、何かしらデビューする日は通常より3割近くテンションが上がっています。
今回の課題は3つの新しい道具を使い倒すことと、去年のリベンジです。
2011年4月20日にH氏と共にここに来ましたが、7合目と8合目の間で、斜面凍結の為、敗退しました。しかし、今回は私自身12本アイゼンと50cmの軽量ピッケルを装備しての再戦ですし、K氏も前爪付きアイゼンとピッケルを装備しているので万全です。
ここを制すれば「冬期高度2000m越え」というタイトルも副賞で付いてきます。
正直、去年も途中まで冬期に行きましたし、夏道は2,3回来ているので猯悒ン瓩鮖箸Φ_颪量気せは知っていました。しかし、分かっていながら
「担いでいきたかったのです!」
「ザックの背面に装着したかったのです!」
これが狷散颯泪縫↓瓩寮です。
が、出発してすぐ誤算に気付きました。
アスファルトの車道には5cm近い積雪があったのですが、登山道は所々にしか積雪がありません。
何か、張り切って駐車場からアイゼンを装着してきたことが恥ずかしかったです。
しかし、この時は気付かなかったのですが、結果的にはアイゼンを履いていて正解でした。
取りあえず、木の根や植物を踏まないようにそのまま歩きました。
小八郎岳分岐(下)までは、日向は落ち葉の道、日陰は2〜3cmの積雪&凍結といった状況でした。
小八郎岳分岐(下)を過ぎて、小八郎岳をトラバースする道を選択し、
10:00
烏帽子ヶ岳山頂までの3合目である小八郎岳分岐(上)で5分程小休止しました。
この日はこの時点で風がほとんど吹いていなかったので、歩いているとすぐに体が熱くなり、少し汗ばんできたので、ナイロンヤッケのパタゴニアフーディニを脱ぎ、ミッドドレイヤーであるR1フーディーとベースレイヤーのメリノウールの爺シャツEXPだけにしました。
この分岐を過ぎると、8割以上は積雪の道になりました。
去年敗退した時は、7合目以降からの積雪でしたから、今回はこの先相当の積雪が想像できます。
しかし、5合目を過ぎる頃も、登山道の様子に変化はありませんでした。
ラッセルが必要な箇所は全く無く、踏み跡もしっかりしているので、只の歩きやすい登山道でした。おまけに風も殆ど無いので逆に暑いくらいでした。しかしアナログ気温計によると気温はマイナス4度程を指していました。
6合目前後で風が出てきたと思ったら、物凄く細かい雪が降ってきました。
風が出てくると、途端に体感気温が下がります。「寒い寒い」と思っていたら、時折指す日光に照らされた粉雪がダイヤモンドダストに見えてきました。※当然只の雪です。
11:20
飯島ルートとの分岐点がある7合目に到着したので、ザックを降ろしてしっかり休憩しました。
ここでトレッキングポールからピッケルに切り替えるつもりだったので、どのみちザックを降ろす必要がありました。
ザックからテルモスを取り出して、今朝作った熱々のミルクチーを飲みました。毎回書きますが、こういう環境で暖かい飲み物が即座に飲めることは何より嬉しいことです。
K氏も同じようにテルモスのミルクチーを飲みながらしみじみ同じ事をおっしゃっていました。
さあ、ここからが勝負です。
去年はここから高度100m上の8合目に到達することは出来ませんでした。
夏道ならここから山頂まで1時間。7合目の高度は1849m、山頂は高度2194mです。
去年はこの辺りから急にクルブシからフクラハギ程度の積雪がありました。気温はマイナス6℃。
積雪量的には大差なかったですが、「今回は行ける!」と確信したのは雪の状態でした。今回は表層に積もりたての雪が多かったですし、アイゼンの爪が良く噛んでくれたので、完璧にグリップしながら歩けたからです。去年はただただ凍っていただけなので、簡易アイゼンの歯は全く無力でした。
更に、去年通過に苦労した犧の上に雪が乗っているだけの小谷のトラバース瓩砲發靴辰り雪が着いていたので、少しも恐怖感はありませんでした。
そして、大崩落地の上部の覗き場所から写真を撮りました。雪も着かぬほどの急斜面です。今回は岩が落ちていく雷のような音は一度も耳にしませんでしたが、前回はその音に恐怖したものです。
この先の原生林の急登が去年の敗退地点です。
12:00頃
去年私を拒否した犖鏡故咾竜淌亅瓩搬儘気靴泙靴拭
夏道でもその急な角度から骨が荒れる道ですから、雪が積もっていれば尚更です。この辺りは短い間隔の九十九折に作られています。真っ直ぐには歩けないのです。
去年はこの急斜面が全体的に凍っていたので、簡易タイプとは言え、一応爛▲ぅ璽鶚瓩般召つくものの歯も全く機能しませんでした。まさに
「歯が立たない!」
とはこのことです。(多分)
しかし今回は全く問題ありませんでした。
先ず、表面が凍っていない。
次に程度な積雪によりステップが切り易くなっていたので、斜面に立ててしまえる状態。
最後にピッケルを振り下ろせばしっかりした手がかりが出来るので、下半身だけなく、上体も使って全身で高度を稼げる。
この3点が私を勝利へと導きました(大袈裟)
ピッケルはストラップで右手に固定。左手は僅かに出ている木の根や幹を掴んだり、グローブごと手刀を雪に叩き込んで上半身を持ち上げました。この状態では必ずしもアイゼンの前爪は必要ではなかったと思います。ただ、前爪があった方が通過しやすい場所も少しはあるので快適装備としての存在感はありました。もちろん、想定どおりの凍った道なら必要不可欠だったと思います。
8合目の手前に1箇所だけ全長5m強の絶壁と呼べる登りがあります。木の根も数箇所いい感じに出ているので助かりましたが、ここはピッケルなしでは通過できなかったかも知れません。
一応、頼り気の無いトラロープと5mm程度の直径の針金がフィックスされていますが、余り当にできません。無いよりはマシ程度です。この日は凍り付いていなかったので使えましたが、もう少し積雪が進んだり凍結したりすればこれらすら使えない、狢の絶壁瓩砲覆襪任靴腓Α
12時半を過ぎた辺りで8合目に到達しましたが、2人とも疲れ始めていましたし、想定より随分遅れていますので、この先どうするか検討しましたが、何とかやれそうだったので続行しました。気温はマイナス8℃くらい。
8合目から9合目の間に特に危険な箇所やラッセルが必要なほどの積雪はありませんでした。
試しにピッケルを踏み跡から外れた場所に突き刺してみると、全長50cmの先端も届かなかったのでそれなりに積もっていると思うのですが、気温が低くて、適度に先人たちに踏み固められているので歩き難くはありません。
9合目から岩場の通過になります。
13:00頃
9合目の岩場まで到達しました。
ここからは烏帽子岩東面の岩登りコースとトラバースする牋汰甘仍各鮫瓩鯀択できます。
岩登りは好きですが、二人とも疲れていましたし、ちょっとビビリもありましたので、安全登山道を行くことにしました。
牋多喚瓩般召呂弔い討い泙垢、足場の不安定な箇所もありますので、アイゼンの爪を引っ掛けて転倒すれば運が良くても大怪我、悪ければデッドです。
烏帽子岩のトラバースが終わり、鞍部に立つとやっと西方に真の山頂を拝むことができます。
この時点で疲労困憊だったので、今回は烏帽子岩の頂点に立つ気力もなく、そのまま山頂に進路を取りました。
残りの距離は30mほどしかないような道のりですが、予想以上に体力を奪われた山行になったので、雪を一歩一歩踏みしめる度に達成感が久しぶりにこみ上げてきました。
そしていよいよ1年半ぶりに松川・烏帽子ヶ岳2194mの頂に到達したのです。
やはりこの山頂は低山とはいえ中央アルプスの一部だけあって、アルペンムードあふれる岩場のピークです。
とりあえずいつものようにザックを山頂の名が刻まれた木製の柱に立てかけて、記念撮影をしました。
ちょうど取り終えた頃にK氏も到着されました。
お互い交代しながら人物入りの記念撮影をしました。
そしてすぐさま昼食の準備に取り掛かりました。
とにかく暖かいものを胃の中に入れたかったのです。
昼食と言っても、私はK氏から頂いたおにぎりと今朝コンビニで調達したインスタント豚汁だけです。
最近は行動食を摂らないことが多いので、この日も何も持っていなかったのですが、さすが今回は体力を搾り出してお腹も減り、7合目で稲荷寿司を食べたもののお腹がペコペコだったのです。
湯を沸かす準備をしながら時計を見ると
13:30
をお過ぎていました。
久しぶりに追い込まれて夢中だったので、時計の確認を随分怠っていました。
今から昼食休憩して出発するには30分は掛かります。
普段なら14時台に下山完了していますから、今回はちょっと時間的にもヤヴァいです。
登山口からここまで約4時間半…まったく同じ道を引き返すだけなので距離的には同じだけ雪道を歩かなければなりません。しかも、ここは尻セードして時間短縮できるような道ではありません。
「…ヤヴァいっすね…」
思わず口から出ていました。
でも、とりあえず早く食べたいので、プリムス144ナノストーブを点火して、600ccのコッヘルに400ccほど水を入れて沸かし始めました。
待っている間、テルモスの暖かいミルクチーを飲んだり煙草を吸いながら待ちました。
「…遅い…絶対なんかオカシイ…400cc程度の水ならもう沸いているハズ…。」
バーナーの炎を見ると
「ほとんど火が出てないし…」
最初はガスの残量不足かと思いましたが、アナログ温度計を確認すると
「…マイナス10℃…またか…」
10月初旬の南岳で同じような気温の中、湯を沸かすの苦労した記憶が蘇りました。
バルブを全開にしても、とても沸騰までいかない感じの火力…。
このストーブの限界かな…ガスも平地用だし…中身も家庭用カセットガスの継ぎ足しだし…。
(※後日噴射バルブを掃除したら火力が回復しました。3年近く使いっぱなしで一度もメンテしなかったので、煤が積もっていました。更に次回から冬用ガスを使うことにします。)
結局、若干気泡が出てきた程度のぬるま湯でインスタント味噌汁を作り、すぐ覚めてしまうので、急いで一つのおにぎりと共に胃に流し込みました。
これでも随分落ち着きましたし、温まりました。
そして食後の一服をしながら改めて山頂からの景色をゆっくり眺めました。
空は雪雲…風は弱いもののシンシンと振り続ける粉雪…間近に見えるはずの念丈岳すら見えないので、期待してきた南駒ケ岳や越百山の展望も一切なし、本来なら烏帽子岩越しに屏風のように広がっている南アルプスどころか、数十メートル先の烏帽子岩すら見えない…。
この先も一向に天候が回復する様子はありません。
しばらくの間、超近距離の雪景色を眺めた後、道具類をパッキングし直して、パタゴニアフーディニを脱いで、アークテリクスのアルファSLプルオーバーを着込みました。
K氏も出発の準備を完了したので、
14:10
下山を開始しました。
「Kさん、ヘッドライト持ってます?」
この時点で日暮れ前に下山するのは絶対不可能だと思っていたので、確認しておきたかったのです。幸いK氏もヘッデン持参でした。学生時代はワンゲル部だったのでぬかりはありません。
登りは休憩込みで4時間半かかった道のり…急いで下っても3時間くらいか…下山予想時間は5時過ぎ…
はいっ!アウトォォ!!…。
夏の日帰りでも5時過ぎまで歩くようなことはありません。完璧に慢心から出た失敗です。
でも、生きて帰るには出来る限り急いで下るしかありません。
やるしかないのです。
それから猛スピードで下りました。自分自身が雪崩になったかのように…。
下りは体力を使いませんが、落下スピードを抑える為に筋力を使います。しかも、アイゼンをつけていますのである程度慎重に足を運ばないと危険です。スピードが出ている時に、アイゼンを木の根などに引っ掛ければ、物理的な急ブレーキ対し、前進する慣性の働いている体の関節や筋に高負荷がかかり、痛めたり骨折することも考えられます。
スピードを保ちつつ、膝をしっかり持ち上げ、足さばきを普段の3割り増し早めました。
登ってきた時の自分たちの踏み跡は積雪で消えかかっていましたが、蛍光ピンクのリボンがハッキリ確認できたので、
15:00
1回もコースアウトすることなく7合目まで下ってきました。でも、足の関節は少し悲鳴を上げ始めていました。
往路と同じようにここでピッケルからトレッキングポールに交換しました。
…3時か…このまま何もなければ4時台には帰れるかな…。
少し希望が持てました。最悪でも日暮れ前に小八郎岳分岐(下)まで到達できれば、後はヘッドライトだけでも安全に歩けそうな登山道です。
気温はマイナス8℃。
危険地帯は抜けたものの、まだあと7割の行程が残っています。
装備の交換だけしてすぐに出発しました。
それからも猛スピードで下りました。正直、時間的に追い込まれていたのでアドレナリンが出ていたと思います。往路の疲れと、ここまでの関節への負担は尋常ではなかったハズなのに、何処も痛くないし、疲れも忘れていました。
5合目を過ぎたあたりで、少し夕日が差してきたので、ザックを下ろして休憩しました。
休憩後は更にスピードアップしたかったのでアイゼンを脱ぎました。
西の尾根のやや上辺りに夕日があったので、少し余裕も出てきた頃です。
4合目以降は次第に落ち葉の露出した地面の割合が増えてきました。3合目以降は5割ほどになります。7合目以下の標高ではあまり降雪しなかったようで、往路よりも復路の方が雪が少なかった気がします。
しかし、この落ち葉が厄介でした。
見た目は狆し湿った落ち葉瓩任垢、踏んでみるとほとんどが凍っていて、雪よりはるかに滑ります。
アイゼンを脱いでから30分以内に4.5回は尻餅をつきました。
だんだんそれが怖くなって体が勝手にブレーキをかけます。
時計は見ませんでしたが、それでも小八郎岳分岐(下)を午後4時前に通過できました。
辺りはまだ明るかったです。私は薄い色のサングラスをかけていましたが、十分足元を確認できるほどでした。
しかし、山の日暮れを舐めてはいけません。山間部では、「まだ上のほうに太陽があるな」と思っていても、夕日の方向にある稜線の高さと距離によっては想像より早く日暮れが訪れるのです。
そんな突然の暗闇を警戒しながらも、最後まで必死で下り続けました。
K氏と会話しながら歩ける体力的な余裕は多少ありましたが、登山口の看板をこの目で見るまでは安心できませんでした。
そして
16:20
何とか太陽が落ちきる前に登山口に辿り着きました。
人間、頑張れば何とかなるもんですね?
山頂からおよそ2時間で下りてきてしまいました。
往路の半分以下です。
この松川・烏帽子ヶ岳は登山口から山頂までの高度差が約1150mを片道4km位で登るので、低山ハイクとしては急な登りと言えると思います。それが半分の時間で下りる事が出来た要因かも知れません。積雪の道の下りは夏道よりもグリップを曖昧にすることが出来ます。普通に急いで歩いているようでも、少し靴裏を滑らせながら進む事が出来るので、結果的にタイムを縮められるのだと思います。
しかし、時間的な余裕がなくなってしまったことに関しては、「まだ大丈夫だろう」とか「たまにはギリギリまで歩いちゃっても大丈夫だろう」的な慢心があったことは否めません。
今回は二人とも怪我せずに山行を終えられたので良かったようなものの、途中で何かしらのトラブルがあったらアウトだったかも知れません。
次回からは以上の反省点を踏まえて冬山に挑もうと思います。(←全く懲りてはいない)
自家用車に戻り、装備を外し、発進した時には車のヘッドライトが必要な時間になっていました。本当にギリギリでした。
ちなみに、鳩打峠の駐車場には以前は仮設トイレがあったような気がしましたが、今回はありませんでした。跡形も…。冬期だけは撤収しているかも知れませんが、いずれにしても現在トイレはありませんので、近々来られる方はお気をつけ下さい。
帰りは松川IC近くの狎粁苑瓩箸いΣ浩瑤鯏てにしていたのですが、定休日でした。
どうしても温泉で暖まりたかったので、飯田山本ICで降りて狠訖晴浩瓩劉狹鬚辰燭蝓舛蔽訖性瓩卜ち寄って、ついでにそこで夕食を食べて帰りました。
久しぶりに疲れましたし、時間も押しましたが有意義な休日を過ごしました。
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