7歳児とゆく3度の急登と心洗われる絶景大パノラマ・棚横手山(大善寺から)
- GPS
- 06:46
- 距離
- 10.5km
- 登り
- 1,048m
- 下り
- 1,031m
コースタイム
天候 | 快晴〜晴れ どこまでも真っ青な空 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
勝沼堰堤に駐車場あり(3台分) |
コース状況/ 危険箇所等 |
完璧 やや落ち葉が厚いところも |
その他周辺情報 | 正徳寺温泉 初花 露天風呂がやたら広い。源泉の温度が低めのお湯でいつまでも入っていられる もちろんいちばん近いのはぶどうの丘の天空の湯だけど今はやってないから |
写真
感想
緊急事態宣言の下、休日は人混みの都会にいるよりは誰にも会わない自然の中にいようと山に登り続けた。
ただケガをしても病院で受け入れてもらえない可能性がある。だからあまり高くない山にしよう、そう考えてきた。
だが。藤野十五名山に登り、御坂山塊の山百に登り、としていて思った。
もうちょい、歯ごたえがほしいな。
妻に、次の山はもう少し標高差のあるところにしないかと持ちかけた。妻もやや物足りなさを感じていたようで、そうしよう、早起きしていこう、となった。
当日、妻は5時起きをして、本来僕が作るはずのスープとおにぎらずを完成させていた。ぐずる息子をふとんからひきはがして着替えさせる。車で朝ごはん食べることにして、8時前に家を出発した。
中央道で勝沼インターを降り、柏尾交差点を直進するとすぐ、今回のトレイルの出発点となる大善寺に到着する。しかし車は寺には止められないので、勝沼堰堤(えんてい)の駐車場に車を入れた。我々の車以外に車はない。トイレが2基あるが、使用禁止になっていた。
大善寺の門下から登山道が始まっている。寺の敷地を抜けて、害獣ゲートをくぐると本格的な登山道。最初やたらきついという、柏尾山までの急登である。
歩きながら妻が聞く。「今日はどれくらい登るの、頂上まで何分ぐらい?」
歩きながら僕が答える。「4時間半?」
「はああああああああ!!!????」
最近話題の女子高生によるヒット曲みたいな反応をもらうことができた。
ほら急げモタモタしてたら日がくれるぞ、と息子にハッパをかけだす妻。急登をキビキビ登る息子。悪くないですねーこういう展開。
柏尾山の道はガレとまではいかないが、直線的に割れた岩石がたくさんある。いいかたちに割れるので息子は面白がり、ナイフや立方体、三角柱などの岩を採取、そして「パパもってかえってね」? え? すっごいささるんだけどこれ。「サバイバルのときにナイフとして使えて便利だろう」と息子はいう。イノシシをしとめるその日までこれを持てというのか。
妻のハッパにより、ここ最近のなかでもっとも早く息子のエンジンがかかった。柏尾山山頂に、ふもとから45分で到着。標準タイムから5〜10分ほど早い。急登部分でこれは素晴らしいペースだ。
このルートを選んだ理由のひとつは、なだらかな尾根部分が多いこと。乾徳山のとき、斜度のあまりない尾根を通過するときはかなりのハイペースだった。息子さんがそのように動けるなら、このコースもうまくクリアできる。
想定したとおり、息子はたいらなところは走り抜けていく。ついていくのが多少大変だが、ああわたしいま運動してる!みたいな感じがして気持ちいい。
快晴の下の幅広い尾根、これは歩いていてもう本当に気持ちがいい。ときどき斜度が出て、またなだらかになる。ごほうびみたいなコース、しだいに塩山方面が見渡せるようになってくる。きれいな緑色をしたウスタビガのまゆも見つけた。
道がゆるやかにくだりはじめたら、それは急登開始の合図。本日2回目のきびしい坂、甲州高尾山の入り口だ。
かなりの角度がある斜面だが、小刻みなジグザグ道になっているからなんとか登れる。危険ではないけれど、あんまり後ろは見たくない感じだ。
登り続けるのがキツいので、途中でひとやすみ。ここでもウスタビガのまゆを見つけた。タマゴかいくつかついている。ウスタビガは自分が生まれ育ったまゆに産卵することがあるのだという。快適に暮らせたところだから子供にもオススメ、ということなのだろうか。なんだかかわいい話だ。タマゴつきなのでそっとしておいた。
急登をさらに登ると、林道と出合う。ピカピカの電波中継機のようなものを横目に登り進め、またしてもウスタビガのまゆ。息子はこのまゆがどこように枝に結びついているかを学んでいたようだ。
道がゆるやかになって、さあ、甲州高尾山に登ったよ!……と思ったら、道しるべに甲州高尾山山頂はあっち、って書いてある。ここは、甲州高尾山剣ヶ峰? 木には「宮宕山」……まあいいや、高尾山行こうね!
ほとんど斜度のない尾根を進んだら、ありました、甲州高尾山山頂! 高尾山登ってきたんだよー、てのをやりたかったんです!
南アルプスがちらりと見える、標高1092mの高尾山、ちょいと地味。まあとりあえずお茶でも飲もう。そして先に進もう。
甲州高尾山を過ぎたあたりから、展望が開けてくる。平成以降すでに4回も起きている山火事で木がなくなっての展望だとしたら、ちょっと素直に喜べない、けど、やはりスケールの違う開放感。これは、すごい。
圧巻は、甲州高尾山山頂から10分ほど歩いたところにある小ピーク。坂をすこしのぼったらいきなり、360度のパノラマビューの中にいた。ちょっと怖いぐらいに遠くまで見える。これはスゴいわ、、、
少し坂をくだって、大滝不動尊からの道と合流。そしてまた尾根道をのぼってゆく。大きく展望がひらけていて、ここも山火事のあとだとわかる。
息子が頂上だと勘違いした小ピークで道は向きを変える。道しるべには、もう少し行くと富士見台があると書かれている。そこでひとやすみしよう。
尾根上に、富士山がよく見えるピークがまたあった。しかしここではないらしい。さらに進んだところにあるほんとうの富士見台にはちゃんと標柱が立っていた。さすがのきれいな富士山、記念写真を撮っておこう。
そして、これから進む道が見える。このピークを下って、最後の急登。ひと組、足元を見ながらゆっくりおりてくるのが遠くからわかった。なかなか急なのかもしれない。
下り坂を過ぎると、思っていたとおりの急登が待っていた。かなり足が疲れてきている。でも、頂上まであと少し。背丈の低い松が生えている。
きつい坂を登りきると……林道。そして「火の用心」ののぼりが立つコンクリートの階段。なんだかここだけ公園みたいだ。
階段からすぐの景色の良いところで、ハイカーさんがひと組休んでいた。息子に「えらかった?」と声をかけたが息子はよくわからず、かわりに妻が「えらいを使うってことは東海のかたですか?」とたずねる。静岡から来たのだという。
ここからは10分くらいだよ、と教えてもらった。あとほんとにちょっとだ!
最後かと思うと、足の疲れがどっと出てくる。辛抱強く歩いていく。小高くなっているところに標柱が立っている。あそこか! 息子が一番乗りとして乗り込んだ。やった、ついについに頂上!!
棚横手山に登りました!!!長かったーー!!
大富士見台、という別名のとおり、ここからの富士山はほんとうに雄大。さあ、ごはんにしよう。
肉味噌のおにぎらずにかぶりつき、ベトナムフォーをすする息子。長い山歩きのあと富士山を見ながら食べるごはんはやはり本当においしいのだ。
さっきのパーティーはこんなに長く歩いてきたのか、と妻がいうので、いや不動尊から登れば高低差430くらいだよ、と答えたところ
「はああああああああ!!!????」
最近話題の女子高生によるヒット曲みたいな反応をもういちどもらうことができた。
あとからハイカーさんがきて奥の山頂を往復し、もうひと組のハイカーさんは山頂でゆったり休んでいた。われわれはそろそろ下を目指そう。
ゆるい尾根部分はそらきたとばかりに息子が駆けおりていく。林道を横切り、急坂では少し慎重に。このルートは帰り道もまた下界に飛び込んでいくようで本当に気持ちがいい。
さて、行きかえりがまったく同じルートというのは面白くない。ここは大滝不動尊方面に少しおりて林道を進んでみることにしよう。
稜線からトラバースするようにして、林の中をくだってゆく。大善寺方面よりも道はよくふまれていて、人気のコースだとわかる。
ほどなくして林道に到着。谷の奥に真っ赤な不動尊が見えた。ここで林道からはなれて直進すると、見晴らし台……とあるが、ほこらがあって甲州御嶽山? 塩山方面が見渡せるが、見晴らしは正直さっきまでいた尾根のほうがずっといい。
ここから林道はゆるやかなのぼりになるが、さほどつらいものではない。淡々と歩き続けてゆく。この林道歩き、それなりに長い。
やがて、ピカピカのアンテナが見えてきた。甲州高尾山直下で林道と登山道がクロスするところに戻ってきた。えっ、あんなに歩いたのにまだここなの?と妻。そう、残念ながら3度の急坂はひとつもスキップできないルートなんですよ。あ、もうヒット曲は間に合ってます。
林道からいきなり急坂をおりてゆく。やはりここの斜面は相当な角度だ。それでもきちんとした道がジグザグを刻んでいるので歩きやすい。妻はピーギャー言っているようだが息子は楽しそうにおりていく。
急坂が終わると、あのなんとも気持ちのいい尾根道。ずっとここを歩いていたい……と思うが息子は基本爆走である。
鉄塔が見えてくる。柏尾山までおりてきたのだ。ここから道は90度近く曲がり、最後の急坂になる。
すこしザレっぽい急斜面、気を抜くとすべりそう。昔設置された足場が朽ちて鉄釘が長く出ているところもある。息子はあやうくこれで腹を打ちそうになった。
テンポよく駆けおりて、害獣よけフェンスの扉をあけて下界に到着。6時間、10キロを超える山歩き、本当によく歩いた。
このあとはシャトレーゼ勝沼店で甘いものを補給、山梨市の初花で汗を流して東京へ。久しぶりのフル規格の山登り、たまにはこういうのをやりたい。体のボロボロっぷりとうらはらに、心地よい満足感に包まれていた。
そしてなぜ子供というのは全く疲れないの?
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