上谷山〜三国岳〜谷山☆長大な山毛欅の回廊から江越国境再訪
- GPS
- 12:16
- 距離
- 26.1km
- 登り
- 1,644m
- 下り
- 1,635m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・県道中河内線は工事のために田戸まで除雪されている ・田戸から先の県道は多数の片斜面あり、下な傾斜となっており極めて危険 ・左千方からの下りの急斜面が最大の核心部、スノーシューで下降したが12本爪アイゼンが望ましい ・谷山からの下りも急斜面、ナイフリッジあり ・奥川並林道も県道と同様に多数の片斜面あり |
写真
感想
先日の江美国境を縦走した山行で県道中河内線が除雪されていることを知る。果たして除雪がどこまで続いているのかはわからないが、再びこの山域に入る格好の機会に思われた。県道を車で進めるところまで入り、下谷山から上谷山へと周回することを考える。
早朝に田戸に到着し、県道を先に進もうとしたが、最初のカープを曲がるとすぐその先で除雪は終了しているのだった。幸い県道の道幅が広く、除雪された道路の余地に車を停めて登山の準備を始めると、高時川の反対の斜面から突然、複数の犬の鳴き声が聞こえた。
県道を振り返ると見覚えがある犬がじっとこちらを見ている。この犬には見覚えがあった。昨年のこの季節、尾羽梨林道を奥で出遭った猟師さんが連れていた犬の一匹に思われる。もしかしてと思って県道を戻ると田戸に車を停めて、その猟師さんが歩いてくるところだった。
猟師さんにご挨拶をすると、他の犬を見かけなかったかと聞かれる。鳴き声がした方の斜面を見ると急峻な斜面に何匹かの猟犬が見える。鹿を追って冷たい水の流れる高時川を対岸に渡ったようだ。昨年は犬達はまだ小さな仔犬であったが、タフな猟犬に成長したらしい。
猟師さんとお別れして林道を進む。最初の片斜面を乗り越えると何故、この手前で除雪が終了しているのか理解した。なんと県道が大きく崩落しており、その修復の工事が進行しているのだった。果たして県道が復旧するのはいつだろう。しばらくは通行止めが続きそうだ。
崩落箇所を乗り越えて県道を先に進む。広々とした雪原になると歩いていて気持ちが良いが、道路が斜面に近づくと当然ながらいくつもの片斜面が現れる。チェーンスパイクで何とか越えてゆくことが出来る。
尾羽梨の手前で大きく左カープする地点はかなりの急峻な片斜面が形成されている。幸いにも鹿のトレースがあり、鹿の足跡に合わせて乗り越えることが出来たが、片斜面の下は高時川の水面まで断崖となっており、一度足を滑らせたら数十メートルしたの川面まで墜落することになるだろう。
針川まで入って下谷山〜上谷山〜尾羽梨という周回ルートを考えてはいたが、復路でこの林道を通るのは嫌だと家内がいうのもあり、急遽、登山の予定コースを上谷山〜三国岳へと変更する。
尾羽梨川を渡ると、対岸の植林の尾根に取り付く。ここに植林を作る必要があったのだろうかと思われるほど、植林はすぐにも終わり、歩きやすい自然林が広がる。以前は針川から上谷山への尾根に登ったのだが、こちらの尾根の方が下生えのない快適な尾根が続いているように思われる。
やがて針川からの尾根との合流地点が近づくと尾根上は樹高の高いブナの純林となり、ピークから先にはブナの大樹が次々と現れる。ここの山毛欅の樹林は実に素晴らしく、樹々に圧倒されながら尾根を辿る。
p1041のピークにかけて急登となるが、やがてピークが近くにつれて尾根がなだらかになると突如としてブナの樹林は終わり、代わりに広々とした雪原が現れる。このあたりは前回はリョウブの若木と思われる低木がまるで迷路のような藪をなしていたのだが、低木の藪はすっかり雪に埋もれている。
正面には大きく上谷山が姿を現し、純白の雪稜が大きく弯曲しながら山頂へと続いている。遮るもののない稜線からは目の前に三国岳、右手には、左手には下谷山方面へと続いてゆく長い江越国境稜線の展望を眺めながら、山頂を目指して緩やかに雪稜を登ってゆく。
山頂には1組の男女がいるのが見える。山頂が近づいたところで、男性が私に声をかける「また来たの!」何と山頂にいらしたのはflatwellさんとtochiotomeさんであった。tochiotomeさんとご一緒におられる時に山で会うのは以前、野登山でお遭いして以来だ。
昼時だったので、ご一緒にランチでもしましょうか・・・という話になったものの、山頂は途端にかなり風が強い。flatwellさんはドローンを携行されたものの、強風でうまく飛ばすことが出来なかったようだ。一週間前に福井からの女性パーティーが作られたベンチが残っており、前回はそのあたりは風の影に入ることが出来たのだが、この日は山頂一帯はどこも風がきついようだ。山頂でのランチは諦めて少し降ってからランチをとることにしましょうとflatwellさん達と山頂でお別れする。
手倉山への稜線への樹木のない雪稜を辿っていると前方から来られたご夫婦の男性の方が私がぶら下げているカメラを見て「それOlympus?」と聞かれる。「はい、そうです」とお答えすると、「すぐそこの稜線で拾ったんだけど、これ落とさんかった?」とカメラのレンズフードを見せて下さる。「確かにそのレンズ・フードをそのジャンクション・ピークの手前で落としたのです・・・ただ、それは丁度一週間前のことなのですが」・・・先週、レンズフードを落としたことに気がつき、あたり一帯を探したのだが、何故か見当たらなかったのだ。
男性によるとレンズ・フードは雪庇の端で辛うじて落ちずに留まっていたとのこと。それにしても拾って下さった男性と何というタイミングでお遭いしたものだろう、不思議なこともあるものだ。レンズ・フードは私のカメラのレンズにピタリと嵌る。実は新しいものをアマゾンで購入したばかりではあったのだが。
ジャンクション・ピークを過ぎて三国岳への稜線に入ると先ほどまでの強風が嘘のように風がおさまった。正面に三国岳を眺めながら行動食で軽くランチをとる。
家内は三国岳がしきりに遠いというが、ここから眺める三国岳の山容が大きいためにそう思うのだろう。実際には鞍部に多少のアップダウンはあるものの、緩やかな尾根が続き、地図から判断する限りは1時間半ほどの距離と読む。
この長い吊尾根は随所に好展望の広地が現れる。その間には山毛欅の疎林が広がり、気持ちのいいところだ。尾根には少し前のものと思われる12本爪のアイゼンとスノーシューの跡が一つずつある。鞍部を過ぎて三国岳への登りのかかると、今度は背後に上谷山を大きく望みながら緩やかに尾根を登ってゆく。
三国岳の山頂が近づくと空には雲が広がり始める。家内の速度が遅くなり、どうも調子がおかしい、両足の付け根、股関節のあたりが痛みはじめたらしく、登りが非常に辛いという。家内は三国岳の山頂はパスして、左千方に向かって歩いてもらう。
水曜日に三国岳を訪れた際は左千方との間では樹々には厚い霧氷がついていたのだが、すでに霧氷はすっかり落下していた。
左千方からは水曜日に辿った横山岳から続く江美国境への稜線を確認すると早々に下山の途につく。左千方からの下りはやはり最大の難所だろう。先日は硬くクラストしていたが、雪が緩んでおり、スノーシューが効かない恐れがある。一歩一歩ステップを作りながら時間をかけて慎重に下降する。
斜面を下降しきると途端に平坦となり、まもなくブナの樹林が始まる。ふと気がつくと雪の上に明瞭なスノーシューのトレースが現れる。間違いなく水曜日に歩いた私のものだ。
谷山にかけて壮麗なブナの樹林が続く。ブナの樹影を鑑賞することが出来るのは心の余裕がある時に限られるのだろう。谷山への緩やかな登りでも家内の脚には応えるらしく、極度にスローペースとなった。
以前、家内と共に左千方に登った下山の途においても全く同じ症状を呈し、そして家内は極度にベースダウンしたのはまさにこのあたりだ。この尾根は余程、家内と相性が悪いのだろうか。前回は奥川並からの林道には雪がなく、家内は車を停めた田戸までは何とか歩くことが出来たのだが、今日は林道は雪が深く、多数の片斜面が形成されているのは間違いない。しかし、このまま尾根を進んで大黒山への登り返しを登るよりは林道の片斜面を越えて行く方がいいと家内がいうので谷山から奥川並に下降することにする。
谷山の山頂は水曜日に来た時には山名標を見落としていたのだが、以前見かけた場所に同様に山名標を確認することが出来る。しかし、記憶にあるよりもかなり低い位置にあるのは積雪の量が多いからだろう。
谷山から遠い琵琶湖の輝きを眺めると、急下降の尾根を降る。やがて尾根は極度なやせ尾根となり、ナイフリッジの下りとなる。何度かこの尾根は登り降りしてはいるが以前はこんなに雪がなかったので、これも積雪による難所なのだろう。
苦あれば楽あり、ナイフリッジを通過するとなだらかな尾根が続き、山毛欅の樹林が続く。水曜日に下降した安蔵山からの尾根は早くから雪が切れたのだが、尾根はほぼ並行に走行している筈のこちらの尾根では雪は全く途切れない。
奥川並に降るためには途中で右手の急斜面を下降する必要があるのだが、なだらかな尾根が続いているので下降点を少し行き過ぎてしまう。家内はスノーシューがない方が痛みがマシだというので、所々踏み抜きながらツボ足で下降する。
尾根の末端は以前は杉の倒木が集中して大変だったのだが、少し処理されたのか、あるいは積雪のせいか、今回はさほど苦労せずに奥川並の廃村後に着地する。時刻は17時14分、空はまだかなり明るい。
ここからはいよいよ林道歩きが待っている。ここまで多くの踏み抜きをしたせいもあるのだろう、家内はツボ足で歩くのもしんどくなってきたようだ。家内はツボ足ではさすがにズボズボと沈み込むので再びスノーシューをつける。
奥川並から少し歩くと突然、真新しい足跡が現れる。近くには犬の足跡もある。どうやらこのあたりまで朝にお遭いした猟師さんがいらしたようだ。まもなくあたりはすっかり暗くなる。ヘッデンの明かりを頼りに、いくつもの片斜面を越えることになるが、猟師さんの足跡があるのは心強い。
安蔵山への登り口となる鉄梯子を過ぎるともう一つ、数日前の私の足跡が現れる。駐車地に戻ったのは19時を回ったところではあったが、谷山のあたりでの家内の歩行速度からするとこの時間に戻れたのは上出来だ。家内は痛みをこらえながらよく歩いてくれたことと思う。
※もしも同様のご経験や対処法をご存知の方がいらしたらご教示いただけると幸甚です
コメント
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誰だかわかりましたよ。
2週も続けて登るモノズキはほかにいないから
おまけに2日続けて山に入るバケモノはほかにいないし
また山で会いましょう。
愛宕山や金剛山は云うに及ばず、敦賀の野坂岳、湖西の赤坂山は毎日の登られる方がおられますよ 。どうですか、flatwellさんもオグラスを日課にされるとか
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